災害救助法とは?|基本原則や支援内容・適用基準を徹底解説
2026/04/16
災害救助法とは、災害発生直後から被災者を迅速に救助・保護し、生活の維持を支援するための法律です。
地震や台風などの大規模災害が発生すると、避難所の開設や物資の供給、応急仮設住宅の提供など、さまざまな支援が実施されます。
本記事では、災害救助法の目的や5つの基本原則、適用基準、具体的な支援内容について詳しく解説します。
さらに、り災証明書の取得方法や関連制度との連携についても触れ、企業の防災担当者や総務担当者が知っておくべき実務的なポイントをお伝えします。
災害時に家族や社員を守るためには、平時からの制度理解が欠かせません。
この記事を通じて、災害救助法の全体像を把握し、いざというときに適切な行動がとれるよう備えましょう。
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災害救助法とは
災害救助法は、災害発生時に被災者を迅速に救助・保護するための法的基盤を提供する法律です。
この法律を理解することで、災害時にどのような支援が受けられるのかを把握できます。
ここでは、災害救助法の定義と役割、そして制定に至った歴史的背景について解説します。
災害救助法の定義と役割
災害救助法とは、災害時に被災者へ応急的な救助と保護を行い、生活の安定を図るための法律です。
具体的には、避難所の開設や物資の供給、医療の提供など、災害直後から必要となる救援活動が定められています。
この法律は、被災者の生命や身体の安全を確保するだけでなく、社会秩序の維持にも寄与します。
災害発生直後の混乱期において、行政が迅速かつ組織的に救助活動を進めるための根拠となっています。
また、災害救助法に基づく支援は、被災者が自ら申請しなくても受けられる「職権救助」の仕組みが特徴です。
これにより、混乱した状況下でも支援の漏れを防ぎ、より多くの被災者を救済できる体制が整えられています。
制定の背景と災害対策基本法との関係
災害救助法は1947年に制定され、その契機となったのは1946年の南海地震でした。
この地震で甚大な被害が発生したことを受けて、応急救助の内容が見直され、現行の法律が整備されました。
この法律は、災害時に、国が地方公共団体や日本赤十字社などと連携して必要な応急救助を行い、被災者の保護を図るとともに社会の秩序を維持することを目的としています。
一方、災害対策基本法は1961年に制定され、防災行政全般の枠組みを定める法律です。
災害の予防から準備、緊急対応、復旧まで、災害対応の全段階を網羅しています。
両者の関係を整理すると、災害対策基本法が防災の全体計画を定め、災害救助法は発災後の応急救助に特化しています。
企業の防災担当者は、それぞれの役割分担を理解しておくことで、より実効性の高いBCP対策を講じることができます。
災害救助法における5つの基本原則
災害救助法を正しく理解するためには、その目的と運用の基本原則を知ることが重要です。
ここでは、法律が目指す状態と、救助を実施する際の5つの基本原則について詳しく説明します。
災害救助法が目指す目的
先に述べたとおり、災害救助法の目的は、災害時に住民等を迅速に救助・保護し、生活の破綻を防ぐことです。
また、生活再建に向けた活動や給付の基盤を提供することも重要な役割として位置づけられています。
この法律による支援は、災害発生直後の応急的な救助に重点を置いています。
被災者が一時的に生活を維持できる環境を整え、その後の復旧・復興段階へとつなげる橋渡しの機能を果たします。
企業にとっても、従業員が被災した際にどのような公的支援が受けられるかを把握しておくことは重要です。
社内での情報共有や支援案内の体制を整えることで、従業員の生活再建を後押しできます。
救助実施の流れと実施主体
災害救助法に基づく救助は、国・都道府県知事が救助要請を行い、市町村長が補助して実施します。
この体制により、広域的な災害でも組織的な救助活動が可能となっています。
救助の実施にあたっては、被災者からの申請の有無に左右されない「職権性」がポイントとなります。
行政が主体的に被災状況を把握し、必要な支援を届ける仕組みが整えられています。
また、都道府県間での相互応援協定に基づき、被災地域外からの人的・物的支援も行われます。
このような広域連携の枠組みは、大規模災害時の迅速な対応を可能にしています。
5つの基本原則の詳細
災害救助法には、救助を適切に実施するための5つの基本原則が定められています。
これらの原則を理解することで、制度の趣旨と実際の運用をより深く把握できます。
平等の原則 事情や経済状況にかかわらず、すべての被災者を平等に救助します 必要即応の原則 被災者の一人ひとりの状況や必要性に応じて、臨機応変に救助を行います 現物給付の原則 衣食住に関する救援は、原則として現金ではなく現物で行います 現在地救助の原則 住民に限らず、災害発生時にその場所にいる被災者も救助の対象とします 職権救助の原則 申請の有無にかかわらず、行政の判断により迅速に救助を行います
特に「現在地救助の原則」は、出張中や旅行中に被災した場合でも支援を受けられることを意味します。
企業の従業員が出張先で被災した際にも、この原則に基づいて適切な救助を受けることができます。
「職権救助の原則」は、混乱した状況下で申請手続きが困難な被災者を守るための重要な仕組みです。
行政が積極的に被災者を把握し、支援を届けることで、救助の漏れを最小限に抑えます。
災害救助法の適用基準
災害救助法はすべての災害に適用されるわけではなく、一定の基準を満たした場合に発動されます。
ここでは、適用される条件と判断の流れ、そして近年の適用実績について解説します。
適用される条件と判断の流れ
災害救助法は、住家や建物への被害、生命や身体への危険が生じた場合に適用が検討されます。
市町村・都道府県が情報収集を行い、被災状況を踏まえて国が最終的な判断を下します。
適用の判断においては、「被害の程度」「生命身体の危険」「行政判断」の3点が重要な要素となります。
これらを総合的に評価し、救助の必要性が認められた地域に対して法が適用されます。
適用が決定されると、その地域の被災者は災害救助法に基づく各種支援を受けられるようになります。
企業の防災担当者は、自社の拠点がある地域の適用状況を迅速に把握することが重要です。
近年の適用実績と代表的な事例
2023年6月の梅雨前線と台風2号の影響により線状降水帯が発生し、茨城県、埼玉県、和歌山県、静岡県の5市1町に災害救助法が適用されました。
床上・床下浸水、土砂災害、農業損失などの被害が確認され、継続的な支援が必要と判断されました。
2011年の東日本大震災では、10都県241市区町村に災害救助法が適用されました。
消防庁によると、死者18,131人、行方不明者2,829人という甚大な被害が発生しました。
この震災では、広域避難や被害の長期化を十分に想定できていなかったことが課題として浮上しました。
これを踏まえ、2018年6月に災害救助法の改正法が成立・公布され、より柔軟な対応が可能となりました。
2024年1月の能登半島地震では、新潟、富山、石川、福井の35市11町1村に適用されました。
石川県内では死者684人、多数の避難者が確認され、断水の長期化など深刻な被害が続きました。
これらの事例から、災害救助法は地震に限らず多様な災害に適用されることがわかります。
企業は自社の拠点地域でどのような災害リスクがあるかを把握し、適用時の対応を想定しておくことが重要です。
災害救助法で受けられる支援内容
災害救助法に基づく支援は10項目以上にわたり、被災者の生活維持に必要なさまざまな救助が提供されます。
ここでは、代表的な支援内容と、支援を受けるために必要な手続きについて詳しく説明します。
り災証明書の重要性と取得方法
災害救助法の支援を受けるためには、り災証明書の取得が極めて重要です。
り災証明書とは、災害による住家被害を公的に証明する書類で、賃貸住宅の居住者も対象となります。
この証明書は、各種支援金の申請、公共料金の免除、保険金の請求などに必要となります。
提出先は地域の税制課などで、世帯主の身分証と被害状況がわかる写真の提出が求められます。
被害写真の撮影は、被災直後の初動段階で行うことが重要です。
家の外観、室内、被害箇所ごとに複数枚撮影しておくことで、後の手続きがスムーズになります。
スマートフォンでの撮影でも問題ありませんが、日付や場所がわかるように撮影することをおすすめします。
応急修理の申請時にも写真提出が求められるため、修理前の状態を記録しておくことが大切です。
避難所・福祉避難所の利用
避難所は、避難生活の拠点として物資配布や情報提供の場となります。
復旧の見通しや支援制度の案内など、被災者にとって必要な情報がここで提供されます。
福祉避難所は、配慮が必要な方向けの避難施設です。
高齢者、障がい者、妊婦、乳児とその家族などが対象となり、特別な支援体制が整えられています。
福祉避難所では、紙おむつ(高齢者・乳児用)、粉ミルク、液体ミルク、離乳食などが配布されます。
車椅子や補聴器の貸与も行われ、避難生活における負担軽減が図られています。
また、ホテルや旅館を借り上げて避難所として活用するケースもあります。
これにより、避難所の収容能力を超える被災者にも適切な避難場所が提供されます。
食品・飲料水・生活必需品の供給
災害救助法に基づき、炊き出しや給水車による飲料水、生活物資の提供が行われます。
この支援は避難所滞在者だけでなく、在宅避難者にも平等に提供されます。
家屋被害の有無に関係なく、物資の調達が困難な被災者全員が支援対象となります。
内閣府の定めでは、食品供給の費用目安は1人あたり1日1,390円以内とされています。
生活必需品としては、タオルケット、寝具、衣類、衛生用品、食器、調理器具などが支給・貸与されます。
全壊、流失、床上浸水などで生活が困難な場合に対象となります。
乳児や高齢者用の紙おむつも支給対象に含まれています。
必要な場合は、速やかに自治体の窓口へ相談することが推奨されます。
応急仮設住宅と住宅の応急修理
応急仮設住宅は、全壊・全焼・流失・大規模半壊などで自力での住居確保が難しい方が対象です。
長期避難指示地域に住宅がある方も対象となり、賃貸型と建設型の2種類があります。
家賃や手数料は国庫負担となりますが、光熱費は入居者負担となるケースが多いです。
入居期間は原則として2年間ですが、状況に応じて延長される場合もあります。
住宅の応急修理には、被害の拡大を防ぐ「緊急修理」と、日常生活に必要な部分の修理があります。
窓ガラスの破損や外壁の剥落などに対して、自治体から資材が提供されます。
トイレや台所が被害を受けた場合は、自治体と契約した業者による必要最低限の応急修理が行われます。
申請には応急修理申込書、り災証明書、被害写真、修理見積書、資力に関する申請書が必要です。
企業の防災担当者や総務担当者は、従業員が被災した際にこれらの支援制度を案内できるよう、
平時から情報を整理しておくことが重要です。
総合防災アプリ「クロスゼロ」を活用すれば、災害時の安否確認から情報共有までを一元的に管理でき、従業員支援の質を高めることができます。
災害救助法と関連制度の連携
災害救助法は応急救助に特化した法律であり、復旧・復興段階では他の制度との連携が必要となります。
ここでは、激甚災害制度や被災者生活再建支援制度など、関連する重要な制度について解説します。
激甚災害制度による財政支援
激甚災害制度は、特に被害規模が大きい災害において、国の財政支援を強化するための制度です。
大規模な災害で支援が特に必要と判断された場合、災害が激甚災害に指定されます。
指定されると、国庫補助率の嵩上げなどの特別措置が講じられ、地方公共団体の財政負担が軽減されます。
これにより、被災自治体は復旧事業に集中しやすくなり、被災者への支援もより充実したものになります。
被災者生活再建支援制度の活用
被災者生活再建支援制度は、居住している住宅に重大な被害を受けた世帯に対して、生活再建のための支援金を給付する制度です。
支援金の金額は、住宅の被害状況や再建方法に応じて決まり、最大で300万円が支給されます。
生活用品(家電・寝具等)の購入に最大100万円、移転交通費、負傷時の医療費も支援対象となります。
災害救助法が応急救助を担い、この制度が中長期の生活再建を支える役割分担となっています。
企業の防災担当者は、「救助(直後)=災害救助法」「生活再建(中長期)=生活再建支援制度」「自治体財政の補強=激甚災害」という役割分担を理解しておくと、従業員への情報提供がスムーズになります。
企業の防災担当者が押さえるべき行動
企業の防災担当者は、従業員が被災した際に適切な支援案内ができるよう、制度理解を深めておくことが重要です。
災害直後の初動対応から生活再建まで、必要な情報を整理しておきましょう。
被災直後に従業員がとるべき行動としては、まず避難先・自治体情報の確認があります。
避難所や福祉避難所の利用、物資・給水の受け取りについて、在宅避難でも対象となることを周知しましょう。
住家被害の写真撮影は、外観・室内・箇所ごとに行うことが重要です。
り災証明書の発行手続きを速やかに進め、応急修理や仮設住宅などの支援につなげます。
従業員への社内周知においては、何が支援対象か、必要書類は何かを明確に伝えることが大切です。
休業・出社判断とあわせた生活支援の案内、安否確認と情報提供の質向上にもつながります。
平時からの制度理解があれば、災害時の混乱を最小限に抑え、従業員の生活再建を効果的に支援できます。
BCP対策の一環として、災害救助法と関連制度の知識を組織全体で共有しておくことをおすすめします。
まとめ
災害救助法とは、災害発生直後から被災者を迅速に救助・保護し、生活の維持を支援するための法律です。
5つの基本原則に基づき、平等かつ迅速な救助が行われる仕組みが整えられています。
適用されると、避難所の利用、物資供給、応急仮設住宅、住宅の応急修理など、多様な支援を受けることができます。
支援を受けるためにはり災証明書の取得が重要であり、被災直後の写真撮影が鍵となります。
災害救助法だけで完結するわけではなく、復旧・復興段階では激甚災害制度や被災者生活再建支援制度との連携も必要です。
企業の防災担当者は、これらの制度を理解し、従業員への適切な情報提供ができる体制を整えておきましょう。
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