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BCMとは?|意味やBCPとの違い、実施手順と運用のポイントを紹介

2026/05/18

防災

BCM(Business Continuity Management)は、日本語で「事業継続マネジメント」といいます。
自然災害や感染症、システム障害などの緊急事態において、企業が重要事業を継続し、中断した場合でも早期復旧を目指すための包括的な管理手法です。

BCMは単なる災害対策ではなく、平時からの準備、有事の対応、復旧、改善までを含む継続的なマネジメントとされています。
近年、企業を取り巻くリスクは多様化・複雑化しており、BCMの重要性が高まっています。

本記事では、BCMの定義からBCP・BCMSとの違い、具体的な実施手順、運用のポイントを解説します。
BCP対策の強化を検討している企業の防災担当者や経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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BCMとは?事業継続マネジメントの基本を解説

BCMは企業が緊急事態に直面した際に、事業を継続し、被害を最小限に抑えるための包括的なマネジメント手法です。
ここでは、BCMの定義と目的、そして具体的に何を行うのかについて詳しく解説します。

BCMの定義と目的

BCMとは、災害やシステム障害などの非常時に重要事業を継続し、早期復旧を実現するためのマネジメント手法です。
日本語では「事業継続マネジメント」と訳されます。

BCMの主な目的は以下の4点です。

  • 企業や社会にとって重要な事業を止めないこと
  • 中断しても短時間で復旧すること
  • 被害拡大を防ぐこと
  • 事業継続力を高め、企業価値や信頼を守ること

BCMは単に災害が起きたときの対応策を考えるだけではありません。
平時からの準備、有事の対応、復旧活動、そして事後の改善までを含む継続的な取り組みとして捉える必要があります。

BCMで行う具体的な取り組み

BCMでは、優先事業の選定からリスク分析、対策立案、BCP策定、社内周知・訓練、定期的な見直し・改善まで、幅広い取り組みを行います。
これらの活動を体系的に実施することで、緊急時にも迅速かつ適切な対応が可能になります。

BCMで行う主な取り組みは以下のとおりです。

優先事業の選定 継続すべき重要事業を特定する
リスク分析 想定されるリスクと影響度を評価する
対策立案 リスクに対する具体的な対策を検討する
BCP策定 事業継続計画として文書化する
社内周知・訓練 全社員への教育と実践的な訓練を行う
定期的な見直し・改善 計画の実効性を検証し、継続的に改善する

これらの取り組みを継続的に実施することで、企業の事業継続力は着実に向上していきます。

BCMとBCP・BCMSの違いを整理する

BCMに関連する用語として、BCPやBCMSがあります。
これらの用語は似ているため混同されやすいですが、それぞれ異なる概念を指しています。ここでは、3つの用語の違いと関係性を整理します。

BCMとBCPの違い

BCPは「Business Continuity Plan」の略で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。
緊急時にどのように対応するかをまとめた具体的な計画書のことを指します。

BCMとBCPの違いは以下の表のとおりです。

項目 BCM BCP
正式名称 Business Continuity Management Business Continuity Plan
日本語訳 事業継続マネジメント 事業継続計画
内容 事業継続のための全体的なマネジメント 緊急時の対応をまとめた計画書
範囲 計画策定、運用、教育、改善まで含む 具体的な対応手順を記載

つまり、BCPはBCMの一部であり、BCMという枠組みの中でBCPを策定・運用する関係にあります。
BCMが「マネジメントの仕組み全体」を指すのに対し、BCPは「具体的な計画書」という位置づけです。

BCMとBCMSの違い

BCMS(Business Continuity Management System)は、事業継続を運用・改善するための仕組みです。
BCMを組織に定着させるための土台となる枠組みとして機能します。

BCMSに含まれる要素は以下のとおりです。

  • 事業継続に関する方針
  • BCP策定
  • 内部監査
  • マネジメントレビュー
  • 組織体制
  • 継続的改善

BCMを継続的に実行するための仕組みがBCMSであり、BCMを組織に定着させる土台としてBCMSが機能します。
BCMが「実践するマネジメント」であり、BCMSは「それを回す仕組み」という関係性です。

3つの用語の関係性

BCM、BCP、BCMSの関係性を整理すると、以下のように表現できます。

BCMS 事業継続を継続的に運用・改善するためのシステム(最も大きな枠組み)
BCM BCMの中で実践される事業継続マネジメント
BCP BCMの中で策定される具体的な計画書

これらは相互に関連し合いながら、企業の事業継続力を支える重要な要素となっています。
BCPを作成しただけで終わるのではなく、BCMとして運用し、BCMSとして組織に定着させることが重要です。

BCMやBCPが企業に求められる理由

なぜ今、多くの企業でBCMやBCPの導入が進んでいるのでしょうか。
ここでは、BCMやBCPが企業に求められる3つの理由について解説します。

災害や緊急事態で事業継続が困難になるため

自然災害やシステム障害などが発生した場合、企業の事業停止リスクが高まります。
売上の減少や市場シェアの低下が長期化すると、復旧後も以前の経営状態に戻ることが困難になる傾向にあります。

特に初動対応が遅れると、以下のような深刻な事態につながる可能性があります。

  • 事業継続の断念
  • ブランド毀損
  • 風評被害
  • 顧客離れ
  • 取引先との関係悪化

BCMは「被災後にどうするか」だけでなく、「止まりにくい会社をつくる」ための経営課題として捉える必要があります。
平時から準備を整えておくことで、緊急時の被害を最小限に抑えることができます。

国内外で導入が進み重要性が高まっているため

BCMは日本だけでなく海外でも重視されており、国際的・制度的にも整備が進んでいます。
BCMに関連する主な国際規格として、ISO22301とBS25999があります。

ISO22301は、BCMSに関する国際規格です。
事業中断リスクへの組織的な対応や、BCMSの有効性の監視・レビュー、継続的改善を目的とした要求事項が定められています。

出典:日本品質保証機構「さまざまな脅威から事業を守り早期の復旧と再開を実現するためのマネジメントシステム規格」

また、BS25999はBCMSに関するイギリス規格であり、BCMの定義、実践方法、モニタリングなどを包括的に整理しています。

出典:国土技術政策総合研究所「国土技術政策総合研究所資料|海外における危機管理対策と港湾の危機管理に対する示唆」

BCMは一時的な流行ではなく、国際的に求められている経営基盤のひとつとして認識されています。

取引先や金融機関からの信頼獲得につながるため

BCMに取り組む企業は、緊急時の対応力が高いと評価される傾向にあります。
取引先がBCMの実施状況やBCPの策定状況を選定基準とするケースも増加しています。

また、金融機関でも事業継続力を評価する融資制度が設けられることがあります。
BCMは単なる守りの施策ではなく、信用力・競争力の向上にもつながる施策として位置づけられています。

緊急時の対応力を高めることは、平時における企業価値の向上にも直結します。
BCMへの取り組みは、企業の総合的な経営力を示す指標のひとつとなっています。

BCMの効果的な実施手順を
6ステップで解説

BCMを効果的に実施するためには、体系的な手順に沿って進めることが重要です。
ここでは、BCMの実施手順を6つのステップに分けて解説します。

手順1|基本方針を策定する

BCMの第一歩は、企業として何を守るかを明確にする基本方針の策定です。
企業特性、社会的役割、地域との関係性を踏まえて、優先的に守るべき対象を決定します。

基本方針の例としては、以下のようなものがあります。

  • 人命優先
  • 重要事業の継続
  • 二次被害の防止
  • 地域復興への貢献

最初に方針を決めることで、その後の分析や対策に一貫性が生まれます。
経営理念や企業ビジョンとの整合性も意識しながら策定することが重要です。

手順2|インパクト分析を行う

インパクト分析では、緊急時にどの程度の被害・影響が出るかを分析し、想定災害ごとに事業リスクを把握します。
この分析により、優先的に守るべき業務と、先に復旧すべき業務を明確にできます。

インパクト分析で検討すべき主な項目は以下のとおりです。

  • 被害規模の想定
  • 影響を受ける業務の特定
  • 従業員への影響
  • 取引先への影響
  • 復旧優先度の設定

客観的なデータに基づいて分析を行うことで、効果的な対策の立案につながります。

手順3|対策を検討する

インパクト分析の結果をもとに、必要な対策を検討します。
この段階がBCP策定の土台となる重要なステップです。

検討すべき対策の例としては、以下のようなものがあります。

  • 経営資源の分散管理
  • ライフラインのバックアップ
  • 設備状況のモニタリング体制構築
  • 安否確認システムの導入
  • 代替拠点の確保
  • サプライチェーンの多元化

実効性を重視し、現実的な対策を検討することが重要です。
コストと効果のバランスを考慮し、優先順位を明確にして対策を選定します。

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手順4|計画を策定する

検討した対策を具体的なBCPとして文書化します。
BCPには緊急時の対応手順だけでなく、事前対策も含めて記載することが重要です。

BCPに盛り込むべき主な内容は以下のとおりです。

  • 緊急時の通信手段
  • 備蓄品の配置や供給方法
  • スタッフ訓練計画
  • 行政・自治体・地域との連携体制
  • 復旧手順
  • 二次被害防止策

復旧対応だけでなく、事前対策まで含めた包括的な計画を策定することがポイントです。
また、実際の緊急時に迷わず行動できるよう、具体的で分かりやすい記載を心がけます。

手順5|社内に周知する

策定したBCPをマニュアル化し、全社員に共有します。
教育・訓練まで含めて実施することで、計画の実効性を高めることができます。

社内周知で必要なことは以下のとおりです。

  • 定期的な啓発活動
  • 訓練や演習の実施
  • 実際の行動レベルまで落とし込む教育
  • 役割と責任の明確化

策定した計画を形骸化させないためには、平時からの教育が重要です。
緊急時に迅速に行動できるよう、継続的な訓練と周知が求められます。

手順6|課題を改善する

BCPは策定後も定期的に見直し、課題を改善することが重要です。
年次確認だけでなく、環境変化や実際の発動後にも見直しを行います。

見直しの契機となる主な事象は以下のとおりです。

  • 組織変更
  • 拠点変更
  • 取引先変更
  • 災害発生
  • 訓練結果
  • システム更新

BCMは一度作って終わりではなく、継続的改善が前提となります。
PDCAサイクルを回しながら、常に最新の状況に対応できる体制を維持することが求められます。

BCMを成功させるための運用ポイント

BCMを形骸化させず、実効性のある取り組みとして定着させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ここでは、BCMを成功させるための3つの運用ポイントについて解説します。

企業存続に関わるタスクを最優先にする

BCMでは、すべてを同時に守るのではなく、優先順位を明確にすることが重要です。
特に優先すべきなのは、企業存続に直結する事業です。

優先度を判断する際の基準としては、以下のような観点があります。

  • 財務への影響が大きい事業
  • ブランド毀損につながる事業
  • 社会的責任の高い事業
  • 顧客との契約上、継続が必須の事業

BCMの目的は「全業務維持」ではなく、企業存続に必要な中核事業の継続です。
限られたリソースを効果的に配分するためにも、優先順位の設定は欠かせません。

経営陣が率先して推進する

BCMは経営判断に直結するため、経営陣による主導が推奨されます。
経営層が関与することで、全部門を横断した運用の実効性が高まります。

経営陣が主導することで得られるメリットは以下のとおりです。

  • 全社への浸透が進む
  • 部門横断の連携が取りやすくなる
  • 必要な予算を確保しやすくなる
  • 継続的な改善が推進される

BCMは防災担当だけの仕事ではなく、経営主導で進めるべきテーマです。
トップのコミットメントがあることで、組織全体の意識も高まります。

BCMの実施そのものを目的化しない

「作っただけ」「認証取得だけ」では、BCMの本来の目的を達成できません。
重要なのは、有事に本当に機能することです。

意識すべき点は以下のとおりです。

  • 現場で実行可能な計画になっているか
  • 実際の行動につながる内容か
  • 形骸化していないか
  • 定期的に見直しが行われているか

BCMは書類づくりではなく、実効性のある事業継続体制づくりです。
訓練や演習を通じて、計画が実際に機能するかどうかを検証し続けることが求められます。

まとめ

BCMとは、企業が非常時でも重要事業を継続し、早期復旧を目指すための包括的なマネジメントです。
BCPはその具体的な計画であり、BCMSはそれを継続運用する仕組みとして位置づけられます。

自然災害や感染症、システム障害などのリスクが高まる中、BCMは企業の存続・信頼確保・競争力向上に直結する重要な取り組みです。
実施においては、基本方針策定、インパクト分析、対策検討、計画策定、社内周知、改善という流れで進めることが効果的です。

BCMを成功させるには、優先事業の明確化、経営層の関与、実効性の確保が重要です。
PDCAサイクルによる継続的な改善を通じ、企業の事業継続力向上を目指しましょう。

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