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災害対策基本法とは?|知っておくべき基本内容と6つの要素を解説

2026/04/16

防災

災害対策基本法とは、災害時に国土と国民の生命・身体・財産を守るための基本ルールを定めた法律です。
1959年の伊勢湾台風をきっかけに1961年に制定され、国から地方自治体、企業、住民に至るまで、それぞれの防災責務や組織体制、計画策定、緊急時の措置などを体系的に規定しています。

この記事では、災害対策基本法の目的や制定背景と、災害対策基本法を6つの観点から整理して解説します。防災基本計画や地域防災計画との関係、災害救助法との違い、そして近年の主な改正ポイントまでを詳しく解説します。
企業のBCP対策や防災体制の強化を検討している方にとって、法律の全体像を理解するための参考情報としてお役立てください。

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災害対策基本法とは

災害対策基本法は、日本における防災行政の根幹を成す法律です。
この法律は、災害から国民を守るための基本的な枠組みを定めており、国・地方自治体・公共機関・住民それぞれの責務を明確にしています。

ここでは、災害対策基本法の定義と目的、制定に至った歴史的背景、そして現在の防災体制における役割について解説します。

災害対策基本法の定義と目的

災害対策基本法とは、災害時に国土ならびに国民の生命・身体・財産を保護するために制定された法律です。
この法律は、災害発生時だけでなく平常時からの防災活動についても細やかな行動指針を示しています。

出典:内閣府「災害対策基本法」

災害対策基本法の目的は、社会の秩序維持と公共の福祉の確保にあります。
具体的には、防災に関する責務の明確化、防災に関する組織の整備、計画の作成、災害予防、応急対策、災害復旧など、防災に関する必要な体制を確立することを定めています。

このように、災害対策基本法は総合的かつ計画的な防災行政の整備・推進を目的としており、災害大国である日本において欠かせない法的基盤となっています。

伊勢湾台風を契機とした制定の経緯

災害対策基本法が制定されるきっかけとなったのは、1959年に発生した伊勢湾台風です。
この台風は、三重県や愛知県を中心に甚大な被害をもたらしました。

伊勢湾台風では、暴風雨と高潮による浸水被害が広範囲に及び、死者・行方不明者が5,000人を超える未曾有の災害となりました。
この教訓を踏まえ、1961年に災害対策基本法が制定されました。

出典:内閣府「災害を語りつぐ 1‐内閣府防災情報のページ」

制定の目的は、それまで分散していた防災関連の法制度を統合し、総合的かつ計画的な防災行政を実現することでした。
以後、大規模災害が発生するたびに課題が見つかり、法改正が重ねられています。

災害対策基本法が果たす役割

災害対策基本法は、日本の防災体制において中心的な役割を果たしています。
この法律を軸として、国・都道府県・市町村それぞれが防災計画を策定し、発災時の対応を行う仕組みが構築されています。

災害発生時にニュースで見る「避難指示」「災害対策本部の設置」「緊急交通路の確保」などの多くは、この法律に基づく計画と権限によって運用されています。
つまり、災害対策基本法を理解することは、緊急時に何が行われ、自分たちは何をすべきかを把握することにつながります。

災害対策基本法と
防災計画・災害救助法の関係

災害対策基本法は単独で機能するものではなく、各種防災計画や関連法令と連携して防災体制を形成しています。
特に、防災基本計画・地域防災計画との関係性、そして災害救助法との違いを理解することは、法律の全体像を把握するうえで重要です。

ここでは、災害対策基本法と各計画・法律との関係について解説します。

防災基本計画・地域防災計画との関係

防災基本計画と地域防災計画は、いずれも災害対策基本法に基づいて作成される計画です。
これらの計画には、発災前から発災後までの対応が細かく記載されており、災害時の行動の指針となります。

国・地域・自治体は、災害時に計画に基づく行動選択が求められます。
避難行動・人命救助・防災活動まで、計画が適切に機能するほど被害を軽減する効果が高まります。

災害対策基本法は、こうした計画づくりと運用のガイドラインとなる法律です。
つまり、各自治体や機関が策定する計画のガイドラインとして位置づけられています。

災害救助法との違い

災害対策基本法と災害救助法は混同されやすいですが、それぞれ異なる役割を持っています。
災害対策基本法が防災から災害発生時までの全体設計を定めているのに対し、災害救助法は発災後の応急救助と被災者保護に特化した法律です。

災害救助法は、特に救助や補償の実務に関係しています。
被災地だけでは財政的な補償が困難なため、国の財源から補償が行われる枠組みが整備されています。

補償範囲の判断基準としては、住宅被害の有無や生命・身体への危険の有無などが考慮されます。
支援内容の例としては、避難所の設置、応急仮設住宅の提供、食料品・飲料水・生活必需品の供給、医療費や埋葬関連費用の支給などがあります。

災害対策基本法 防災から災害発生時までの対応全般を定める基本法
災害救助法 発災後の応急救助・被災者保護・費用負担を定める法律

このように、両法律は相互に補完し合いながら、災害時の国民保護を実現しています。

災害対策基本法を構成する
6つの要素

災害対策基本法は、防災体制を体系的に整備するために6つの要素で構成されています。
これらの要素は、防災責務の明確化から緊急事態への対応まで、災害対策の全体像をカバーしています。

要素①:防災責務の明確化

災害対策基本法では、国・都道府県・市町村・指定公共機関・住民それぞれの防災責務が明確に規定されています。
この仕組みは基本的に国から地方、機関から住民へと展開されるトップダウン構造となっています。

各主体の責務として、国は組織・機能のすべてを挙げて防災に万全の措置を講じること、都道府県は計画作成・実施ならびに市町村や指定地方公共機関の支援と総合調整を行うこと、市町村は基礎自治体として計画作成・実施を担うことが定められています。
また、指定公共機関等は業務に係る防災計画の作成・実施と国や自治体の計画への協力が求められ、住民等は法令や地域防災計画に従い誠実に責務を果たすことが規定されています。

住民に求められる責務としては、生活必需品の備蓄、自主的な防災活動への参加、そして「自らの身を守る」行動が推奨されています。
各主体が単独ではなく相互に協力することで、防災体制の実効性が高まります。

要素②:災害対策組織の整備と推進

災害対策基本法では、災害対応のための組織体制が規定されています。
国には中央防災会議が設置され、状況に応じて特定災害対策本部や非常災害対策本部が設置されます。

都道府県・市町村においても、地方防災会議と災害対策本部が設置されます。
これらの組織は、被害状況に応じた対応や復旧計画の策定を担い、発災後の行動指針を明確化する役割を果たしています。

組織体制が明確であることにより、災害発生時に誰が何を決定し、どのように行動するかが事前に定められた状態で対応を開始できます。

要素③:計画的な防災体制の構築

災害による被害を軽減するためには、平時からの計画策定が不可欠です。
災害対策基本法では、国・指定行政機関・指定公共機関・都道府県・市町村それぞれが策定すべき計画が規定されています。

国は中央防災会議を通じて防災基本計画を策定します。
指定行政機関・指定公共機関は防災業務計画を、都道府県・市町村は地域防災計画をそれぞれ策定します。

これらの計画が相互に連携することで、国全体として一貫性のある防災体制が構築されます。
企業においても、地域防災計画との整合性を意識したBCP策定が求められています。

要素④:段階ごとの役割と権限

災害対応には、予防から応急対策、復旧までさまざまな段階があります。
災害対策基本法では、各段階における実施責任主体の役割と権限が規定されています。

具体的には、予算確保や技術開発といった事前準備から、二次被害の予防、応急対策の実施、そして復旧作業に至るまでの各対策が、それぞれの責任主体のもとで実施される仕組みとなっています。

また、大規模災害時には例外規定も設けられています。
たとえば、避難指示は市町村長が行うことが原則ですが、状況に応じて都道府県や指定行政機関が応急措置を代行できることも規定されています。

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要素⑤:災害時の財政措置

災害対策基本法では、法律に規定された対策の実施費用は、原則として実施責任者が負担することが定められています。
同時に、必要な資金供給や財政支援の仕組みも整備されています。

ただし、都道府県や市町村の対応可能範囲を超える大規模災害の場合は例外が適用されます。
このような場合、国が主体となって支援する役割を担うことが規定されています。

この財政措置の仕組みにより、自治体の財政状況にかかわらず、必要な災害対応が確実に実施される体制が整えられています。
企業においても、こうした公的支援の枠組みを理解しておくことは、被災時の事業継続計画において重要です。

要素⑥:緊急事態における特別措置

災害対策基本法には、緊急事態において平時とは異なる特別な措置を講じるための規定が設けられています。
これらの措置は、災害緊急事態の布告に基づき、政府の閣議決定による基本方針のもとで運用されます。

具体的な措置の例としては、生活必需物資の配給制限、金銭債務の支払い猶予、海外支援受け入れに関する緊急政令の制定などがあります。
また、特定非常災害法の自動発動も、この枠組みの中で行われます。

これらの特別措置は、通常の法的手続きでは対応が困難な緊急事態において、迅速かつ柔軟な対応を可能にするためのものです。
企業の防災担当者は、こうした措置が発動された場合の影響を事前に想定しておくことが望ましいでしょう。

災害対策基本法の
主な改正ポイント

災害対策基本法は、災害のたびに課題が顕在化し、継続的に改正が重ねられてきました。
自然災害は同じ条件で発生しないため、過去の対応が通用しないことがあり、より多くの住民や地域を救うための法改正が必要となります。

ここでは、2021年、2023年、そして2025年の主な改正ポイントについて解説します。

2021年改正:避難情報の一本化と個別避難計画

2021年5月の改正では、4つの柱を中心に大幅な見直しが行われました。
これらは、過去の災害で明らかになった課題を踏まえた実効性の高い改正です。

まず、避難勧告と避難指示の一本化が実施されました。
従来は、避難勧告のタイミングがわかりづらく、「今逃げるべきか」「どのような避難か」が住民に伝わりにくいという課題がありました。

勧告と指示の違いが理解されず混同が生じることも多かったため、改正により両者を一本化し、避難の場所や方法も明確化する方向へ見直されました。

次に、個別避難計画の作成が市町村の努力義務となりました。
対象は高齢者や障がい者などの避難行動要支援者で、計画には支援者や避難先などが記載されます。

要支援者名簿は2013年に義務化され普及しましたが、実効性に課題があったため、より具体的な計画策定が求められるようになりました。

さらに、国の災害対策本部設置と広域避難の受け入れに関する規定が強化されました。
災害リスクが高い段階で国の本部設置が可能となり、他市町村への広域避難のための協議が進む枠組みが整備されました。

実施体制の強化として、非常災害対策本部長を内閣総理大臣に変更、防災担当大臣を本部長とする特定災害対策本部の設置、内閣危機管理監の中央防災会議委員への追加なども行われました。

2023年改正:道路通行規制の運用強化

2023年5月の改正では、緊急通行車両以外の車両に対する道路通行の禁止・制限に関する運用が見直されました。
緊急通行車両とは、応急対策や必要物資の緊急輸送に携わる車両のことで、優先通行により救助や生活支援の迅速化が図られます。

改正前は、災害発生時にのみ一般車両の通行禁止・制限が可能でした。
しかし改正後は、災害発生前の段階でも通行禁止・制限の確認ができるようになりました。

この改正により、災害発生が予測される段階から事前に交通規制の準備ができるようになり、発災直後の緊急対応がより円滑に行えるようになりました。

2025年改正法の成立と今後の展望

2025年5月28日には、参議院本会議で改正災害対策基本法および改正災害救助法が可決・成立しました。

出典:参議院「議案情報」

この改正は、近年の災害対応で明らかになった新たな課題に対応するためのものです。

災害対策基本法は、制定から60年以上が経過した現在も、災害のたびに課題が検証され、改正が重ねられています。
今後も気候変動による災害の激甚化や高齢化社会の進展を踏まえ、さらなる法整備が進むことが予想されます。

企業においても、こうした法改正の動向を注視し、自社のBCP対策や防災体制を継続的に見直していくことが重要です。

まとめ

災害対策基本法は、国から住民までの防災責務と行動指針を定めた日本の防災行政の基本法です。
1959年の伊勢湾台風を契機に1961年に制定され、防災基本計画や地域防災計画とも深く関わりながら、今日まで改正が続けられています。

この法律を構成する6つの要素(防災責務、災害対策組織、計画的な防災、段階ごとの役割と権限、財政措置、緊急事態対応)を理解することで、災害時に何が行われ、自分たちは何をすべきかが明確になります。
企業のBCP対策においても、この法的枠組みを踏まえた体制構築が求められています。

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