配筋検査とは?8つの検査項目のチェックリストや写真の撮り方、作業を効率化できるツールを紹介
2023/01/11
2025/07/15
配筋検査とは、基礎検査の一つでコンクリートを打設する前に実施します。
鉄筋の位置や本数、固定状態を確認し建物の状態を把握する重要な検査といえるでしょう。
今回は、配筋検査の基本的な検査ポイントや、検査実施時の注意点、配筋検査のデータ保管におすすめのツールを解説します。
建設業の会社で業務効率化を検討している人や、配筋検査の概要を知りたい人はぜひ参考にしてください。
建設現場では、写真整理や図面確認などの"ちょっとした作業"が積み重なり、大きなムダや残業につながります。こうした課題を解決し、現場の効率化を実現するのが施工管理アプリ「PRODOUGU」です。
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配筋検査とは
配筋検査とは、設計図面に基づいて配置された鉄筋の位置や本数、取り付け方法があっているかを確認する検査です。
鉄筋の配置は基礎工事として最初の段階に必要な要素で、配筋検査で問題がなければコンクリートを打設し、工事を進めます。
配筋検査で確認した項目は、建設が進むにつれて見えなくなる部分なので、検査項目を写真や書面で残しておく必要があります。
検査項目を事前に確認しておき、計画的にデータを収集することで施工後のトラブルを防げるでしょう。
配筋検査の8つの検査項目を解説
ここでは、実際に配筋検査でチェックする8つの項目を解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
鉄筋の配置
鉄筋の配置を確認するには、図面で以下の記号を探してください。
@100
@300
たとえば「@300」という表記は、鉄筋の網目の幅を300mm(30cm)にする必要があるということです。
図面どおりの幅を維持できていなければ、図面作成時に想定した耐久性を確保できない可能性があります。
検査写真を撮影する場合も、等間隔の目安になるマーカーを設置して撮影しましょう。
鉄筋のかぶり厚さ
かぶりの厚さとは、鉄筋を覆うコンクリートの厚さのことです。
検査の際の測定箇所は、鉄筋の表面からコンクリートの表面までの最短距離です。
検査箇所ごとのかぶり厚さの最低限の基準は以下のとおりです。
立ち上がり部分:40mm以上
底面:60mm以上
かぶり厚さが大きいほど、中の鉄筋が錆びにくくなり耐久性が高まります。
かぶり厚さの確保に利用する道具・資材は、コンクリートの塊です。
スペーサーやサイコロと呼ばれることもあります。
検査では鉄筋から型枠までの距離を測定して、数値通りになっているか確認しましょう。
鉄筋の波打ち
鉄筋は、まっすぐの状態で設置されなければ想定された強度を発揮できません。
鉄筋の波打ちのチェックとは、名前のとおり曲がっている鉄筋の有無を確認する作業です。
目視の確認をした後、鉄筋同士の間隔を測定して数値上でも問題ないかを確認しましょう。
鉄筋定着の長さ
鉄筋定着とは、2つの鉄筋を継ぎ足した際に重なっている箇所のことです。
鉄筋定着の長さは建物の種類や階層によって、必要な長さが異なります。
図面と照らし合わせて、必要な長さを満たしているかチェックしてください。
鉄筋の径(太さ)
住宅基礎で使用する鉄筋の径は、建築基準法で数値が定められています。
【住宅基礎で使用する鉄筋の径】
9mm
13mm
どちらの鉄筋を利用するかで強度が変わることもあるので、複数の径の鉄筋を利用している現場では、特に注意して確認しましょう。
防水・防湿シートの破れやシワ
防水・防湿シートは、防水や防湿の役割を果たします。
基本的には床面に敷き詰められて捨てコンクリートで固定されています。
防水・防湿シートの注意点はシート間の隙間や破れ、シワの有無です。
隙間や破れがあれば、防湿・防水の機能を発揮できなくなるため、細かい箇所まで確認してください。
ホールダウン金物の位置・本数・状態
ホールダウン金物の役割は、土台と柱のつなぎです。
ホールダウン金物が機能することで、地震が発生しても建物の倒壊を防いでくれます。 設置位置によって必要な数や固定状況が異なるため、図面を確認しながら確認する必要があります。
正しい位置に設置されていても、歪んでいれば意味がないため、設置状況の確認もしっかり行いましょう。
アンカーボルトの位置・本数・状態
アンカーボルトは、土台と基礎をつなぎ合わせる役割があります。
配筋検査ではコンクリートが入っていないため、基礎の鉄筋に結合された状態になっています。
アンカーボルトの位置や本数をチェック、土台との連結が上手くいくかを確認しましょう。
鉄筋の波打ちのチェックと同じようにアンカーボルトがまっすぐ設置できているか、曲がっていないかの確認も重要です。
配筋検査の課題と現場で発生しやすいトラブル
配筋検査は、建物の強度や耐久性を左右する重要な工程です。しかし、現場では施工ミスやチェック漏れが発生し、設計図どおりに施工されていないケースが少なくありません。
これらのミスは、強度不足による構造の不安定化や耐久性の低下につながり、後から修正しようとするとコスト増加や工期の遅延といった問題を引き起こします。
特に配筋検査で発生しやすい施工トラブルとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アンカーボルトの未施工による強度不足
アンカーボルトは、基礎と柱をしっかり固定するための部材です。しかし、施工ミスによって未設置や位置ズレが発生し、そのままコンクリートを打設してしまうケースが少なくありません。
見落とされると、建物の強度が不足し、地震や強風時に構造が不安定になるリスクが高まります。
施工ミスの背景には、設計図と現場の確認不足や工期優先の作業、チェック体制の甘さなどの要因があります。特に、スケジュールの遅れを取り戻すために事前確認の省略が原因で、後から修正が困難になるケースが多く見られます。
アンカーボルトの未施工が見逃されると、施工後にさまざまな問題を引き起こします。具体的には、以下のような影響が考えられます。
| 耐震性の低下 | 基礎と柱の結合が弱くなり、大きな揺れで建物が損傷するリスクがある |
|---|---|
| 修正の困難さ | コンクリート打設後に発覚すると補修が非常に難しく、コスト増加につながる |
| 建物全体の 安全性に影響 |
施工不良のまま引き渡されると、後々の改修や補強工事が必要になる |
リスクを防ぐためには、配筋検査の段階で設計図と現場を細かく照合し、確実に施工されているかのチェックが必要です
施工管理アプリやチェックリストを活用し、ヒューマンエラーを防ぐ仕組みの導入も有効な対策となるでしょう。
配筋ピッチのズレが招く施工不良
配筋ピッチ(鉄筋の間隔)は、建物の耐久性や耐震性を左右する要素です。しかし、施工時の測定ミスや管理の甘さが原因で、設計図どおりのピッチが確保されていないケースが多く見られます。
特に、大規模な基礎工事や複雑な形状の建物で発生しやすく、施工後に問題が発覚すると、補修が困難になる場合もあるため、注意が必要です。
配筋ピッチのズレが起こる主な原因としては、以下のようなものがあります。
- 鉄筋配置時に正しいピッチが測定されていない
- 設計図の読み取りミスや、基準の誤解によるズレ
- チェック体制が十分でなく、確認作業が不十分
こうしたズレが放置されると、以下のような影響が生じます。
| 耐震性の低下 | 鉄筋の間隔が設計より広いと、荷重分散が適切に行われず、地震時の耐久性が落ちる |
|---|---|
| 構造強度の不足 | ピッチがズレることで、鉄筋が本来の力を発揮できず、ひび割れや変形が起こりやすくなる |
| 施工後の修正が困難 | コンクリート打設後に問題が発覚すると、部分補修では対応しきれないケースがある |
施工不良を防ぐためには、配筋検査の段階での徹底した確認が必要です。
適切なチェックリストの活用や、現場でのダブルチェック体制を強化すれば、測定ミスや認識違いを防ぐことができます。
施工管理ツールを活用すれば、リアルタイムでデータを共有し、ズレを早期に発見する体制を整えることも有効な対策となるでしょう。
かぶり厚不足による耐久性の低下
かぶり厚とは、鉄筋の表面からコンクリートの表面までの距離のことで、鉄筋の耐久性や建物全体の強度を左右する要素です。
しかし、施工時のスペーサー不足や管理の甘さが原因で、かぶり厚が確保されていないケースも少なくありません。この不足が原因で、鉄筋の腐食や耐震性の低下など、建物の寿命を大きく縮めるリスクがあります。
かぶり厚が不足すると、以下のような問題が発生します。
| 鉄筋の腐食リスクが高まる |
|
|---|---|
| 耐震性や構造強度の低下 |
|
| 施工後の補修が困難 |
|
上記のようなリスクを防ぐには、施工段階でのチェックが必要です。施工時には適切なスペーサーを配置し、配筋検査で正確な測定を行うことで、かぶり厚不足を未然に防ぐことができます。
検査データをデジタル管理し、リアルタイムでの記録の共有により、測定ミスを防ぐ対策も有効です。
配筋検査は、施工の品質を左右する工程です。しかし、現場では施工ミスやチェック漏れが発生しやすく、手戻りや補修によるコスト増加のリスクが常に伴います。こうした問題を防ぐためには、検査の徹底と、正確な記録・管理が欠かせません。
「PRODOUGU」なら、配筋検査に必要な記録のデジタル管理が可能です。施工図面やチェックリストをすぐに確認できるため、見落としを防ぎながら業務をスムーズに進められます。
配筋検査の管理を効率化したい方は、無料の資料をチェックしてみてください。
配筋検査で注意すべき
3つのポイント
配筋検査を実施する場合は、以下の3つのポイントに注意しましょう。
それぞれ詳しく解説します。
配筋検査に必要な書類を用意しておく
配筋検査では、施工図や設計図に記載された項目と実際の鉄筋の配置や数が合っているかを確認する必要があります。
検査項目を照らし合わせるため、必要な書類をそろえましょう。
配筋検査に必要な書類の例は以下のとおりです。
- 配置図
- 基礎伏図
- 基礎断面図、詳細図
- 構造仕様書
- 平面図
- 給排水設備図
検査を実施する建物によっては、追加で書類が必要になる可能性もあります。
必要な書類をデータで一元管理しておけば、必要な書類を集める手間が省けておすすめです。
検査項目の計画を立てる
検査を実施する側は、事前に検査項目の確認やどの順序で検査を進めるか計画を立てておくと良いでしょう。
なぜなら、工事の規模にもよりますが図面との照合や証拠写真の撮影、移動を含めると数時間以上かかる可能性もあるからです。
移動した後に写真の撮り忘れやチェック漏れが発覚すればさらに移動の手間がかかります。
計画を立てる際は、チェックリストを作って、検査が終わるごとに印をつけていく方法がおすすめです。
工事写真を撮影する
配筋検査では、証拠を残すために写真を撮影しましょう。
配筋検査で確認する箇所は、コンクリートを打設すると見えなくなります。
万が一、施工後に基礎工事の対応漏れを指摘されたとしても、検査箇所の写真や記録が残っていればトラブルを防げます。
写真を撮影する際は、数値がわかるように撮影したり、全体から撮影したり、複数枚のログを残しておくのがおすすめです。 写真を撮るだけでなく、工事黒板を活用して情報を記録しておきましょう。
配筋検査の効率化には
SiteBox 配筋検査がおすすめ
配筋検査のデータ管理を楽にしたい・検査を効率化したい人には「SiteBox 配筋検査」がおすすめです。
SiteBox 配筋検査は株式会社建設システムが提供する、配筋検査に特化したツールです。
SiteBox 配筋検査で利用できる機能は以下のとおりです。
- 自主検査や立会検査の検査結果の数値を入力
- 連続マーカーの設置
- 工事写真に描画コマンドの追加
- 配筋検査用の小黒板を自動生成
配筋検査のデータをまとめて管理できるだけでなく、検査中の作業にも活用できます。
検査現場ではスマートフォンやタブレットを使って撮影できるため、撮影道具を減らすことも可能です。
「PRODOUGU」と連携して施工業務の効率化を実現
SiteBox 配筋検査に加えて、書類の取り込みや共有、編集をしたい人は「PRODOUGU」の導入を検討してみてください。
「PRODOUGU」は、建設業に特化したさまざまな業務のデータ連携・管理を実現する施工管理アプリです。
配筋検査によって出たデータを管理することも可能ですし、検査中に必要な施工図や設計図の取り出しも簡単にできます。
他にも建設業の業務効率化につながる機能は以下のとおりです。
- CAD図面の取り込み
- 断面図切出
- 計測機能
- 電子小黒板
- 撮影箇所ごとの黒板管理
- 画面メモ書き
- 写真の自動振り分け
「PRODOUGU」の導入で、施工管理業務をはじめとした工事現場でのデータ確認や管理作業が効率化できるでしょう。
特に施工管理の仕事は業務が多すぎて長時間労働になりがちな職種です。
「PRODOUGU」を使って書類作成や進捗管理の手間を減らし、労働環境を改善しましょう。
配筋検査に関するよくある質問
ここでは配筋検査に関するよくある質問をまとめました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
基礎検査はどんなタイミングで実施するの?
基礎検査の回数は建物の規模や種類、担当する会社によって異なります。
基本的には以下の4つの検査を実施することが多いため参考にしてください。
| 検査名 | 詳細 |
|---|---|
| 掘り方(遣り方)の検査 |
基礎工事前に実施 敷地内の建物の位置や柱・壁の中心線・高さ・水平基準を正確に設定する |
| 基礎底盤(ベース)・立上り部分の配筋検査 | 設計図面に基づいて配置された鉄筋の位置や本数、取り付け方法があっているかを確認する |
| 基礎底盤(ベース)・立上り部分のコンクリート打設の立会い検査 | 生コンクリートの一部を採取し数値を確認する(スランプ値、空気量、塩化物量、圧縮率、温度など) |
| コンクリート打設完了後の基礎仕上り検査 | コンクリートの仕上り具合を検査する(コンクリートのジャンカやひび割れ、アンカーボルト) |
基礎コンクリートの打設は2度に分けて行うため、基礎底盤(ベース)の配管検査と立上り部分の配管検査の2回実施する場合もあります。
基礎の種類によって検査内容や項目が変わることもあるため、あくまでも参考にしてください。
配筋検査は誰が実施するのですか?
配筋検査は複数人で実施することが多いです。
主に検査・確認を実施する人は下記のとおりです。
- 専門工事業者
- 施工業者
- 工事管理者
- 第三者の審査機関
配筋検査を実施する際に必要な資格はありません。
ただ、検査項目をすべて把握したうえで適切な検査・確認・証拠の取得をする必要があるため、配筋検査を実施する際はしっかりと計画を立てることが重要です。
配筋検査に必要な書類は何ですか?
配筋検査に必要な書類は主に以下のとおりです。
- 配置図
- 基礎伏図
- 基礎断面図、詳細図
- 構造仕様書
- 平面図
- 給排水設備図
検査によっては必要になる書類が変わります。
特に外部機関に依頼して配筋工事を実施する場合は、事前に必要な書類内容を確認しておきましょう。
配筋検査の実施には、適切な手順や必要な書類の準備が欠かせません。しかし、現場ごとに異なる条件や管理方法があるため「自社にとって最適な検査の進め方がわからない」と悩むことも多いのではないでしょうか。
「PRODOUGU」では、施工管理の効率化に関する無料オンライン相談を実施しています。配筋検査の記録・管理をデジタル化し、チェックの抜け漏れを防ぐ方法など、具体的な活用事例もご紹介可能です。
「うちの業務でも使える?」と思ったら、まずは無料相談で話を聞いてみてください。現場の課題に合わせた解決策をご提案します。
まとめ
今回は配筋検査の概要や検査項目、検査時の注意点や検査情報を管理するのにおすすめのツールを紹介しました。
配筋検査は丈夫な建物を建設するうえで重要な検査の一つです。
検査内容には8個のチェック項目があるため、抜け漏れがないように、指定された数値を満たしているか確認しましょう。
検査内容を正確に記録できるように、検査の事前準備や撮影、管理を徹底することが大切です。
配筋検査の作業の手間を省きたい人はSiteBox 配筋検査や「PRODOUGU」の導入を検討してみてください。
写真管理やデータ取り出しが楽になるだけでも、建設業全体の業務効率化につながるでしょう。
建設現場では、写真整理や図面確認などの"ちょっとした作業"が積み重なり、大きなムダや残業につながります。こうした課題を解決し、現場の効率化を実現するのが施工管理アプリ「PRODOUGU」です。
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