【災害時に注意!】クラッシュ症候群とは?|原因や症状、対処法を解説
2026/05/12
地震や建物の倒壊などで、瓦礫や重い家具の下敷きになった人を救助する場面を想定してみましょう。
「一刻も早く助け出したい」と焦る場面ですが、救出方法を誤ると命を落とす危険性があることを理解しておく必要があります。
クラッシュ症候群とは、長時間圧迫された部位が解放された直後に、全身状態が急激に悪化する重篤な病態です。
救出直後は意識があり元気に見えても、数時間後に心停止や急性腎不全を起こすことがあります。
阪神・淡路大震災や令和6年能登半島地震でも発症例が報告されており、災害時のBCP(事業継続計画)対策として正しい知識を持つことが重要です。
本記事では、クラッシュ症候群の原因や症状、見分け方をはじめ、市民ができる応急処置や企業が備えるべき安否確認体制を解説します。
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災害時に知っておくべき
クラッシュ症候群の基礎知識
クラッシュ症候群は、災害現場で発生する可能性が高い重篤な病態です。
まずは基本的な定義と特徴を正確に理解することが、適切な対応の第一歩となります。
クラッシュ症候群の定義と特徴
クラッシュ症候群(クラッシュシンドローム)とは、腰・腕・脚などの筋肉が重い物によって長時間圧迫された後、その圧迫が急に解除されたときに起こる重篤な全身症状のことです。
日本語では「圧挫症候群」とも呼ばれています。
クラッシュ症候群の特徴は、救出直後は無事に見えても、数時間後に容態が急変し死亡する可能性がある点です。
一般的な外傷とは異なり、圧迫が解除された後に全身状態が悪化する傾向にあります。
重症化すると急性腎不全や心停止を引き起こし、死亡に至ることがあります。
そのため、災害時の救助活動においては、クラッシュ症候群のリスクを常に念頭に置く必要があります。
発症しやすい災害現場と危険条件
クラッシュ症候群は、特定の状況下で発症リスクが高まります。
どのような現場で注意が必要かを把握しておくことが重要です。
発症しやすい現場として、地震などの災害現場、瓦礫の下敷き、車両に挟まれる事故、重い家具や建材の下敷きなどが挙げられます。
特に筋肉量の多い部位(足・太ももなど)が圧迫されている場合は、発症リスクが高くなります。
一般的に2時間以上の圧迫は危険とされていますが、1時間程度での発症例も報告されています。
そのため、圧迫時間のみで安全性を判断するのは避けるのが賢明です。
過去の震災における発症事例
日本では、大規模地震の際にクラッシュ症候群が注目されてきました。
過去の震災での発症事例を知ることで、この病態の深刻さを理解できます。
阪神・淡路大震災では、倒壊した建物から救出された多くの被災者がクラッシュ症候群を発症しました。
救出直後は元気だった方が、その後急変して亡くなるケースが相次ぎ、医療関係者や救助隊員の間でこの病態への認識が広まりました。
令和6年能登半島地震においても、クラッシュ症候群の発症例が報告されています。
地震大国である日本において、この病態への正しい理解と対策は、企業のBCP対策としても欠かせない要素となっています。
クラッシュ症候群が起こる原因
クラッシュ症候群がなぜ危険なのかを理解するためには、発症のメカニズムを知る必要があります。
圧迫中から圧迫解除後までの体内の変化を段階的に解説します。
圧迫中に筋肉内で起こる変化
重い物で筋肉が長時間圧迫されると、その部位の血流が遮断されます。
血流が止まった状態が続くと、筋肉細胞は酸素や栄養を得られず、徐々に破壊・壊死していきます。
壊れた筋肉細胞からは、ミオグロビンやカリウムなどの有害物質が放出されます。
しかし、圧迫されている間は血流が遮断されているため、これらの物質は圧迫部位の周辺に蓄積されたままとなります。
この「有害物質が蓄積された状態」が、クラッシュ症候群発症の準備段階です。
圧迫時間が長いほど、蓄積される有害物質の量も増加します。
圧迫解除後に全身へ広がる有害物質
瓦礫や重い物を取り除いて圧迫が解除されると、遮断されていた血流が再開します。
この瞬間、圧迫部位に溜まっていた有害物質が一気に全身の血流に乗って広がります。
特に問題となるのがミオグロビンとカリウムです。
ミオグロビンは筋肉に含まれるタンパク質で、大量に血中に放出されると腎臓に重大なダメージを与えます。
カリウムは通常、細胞内に存在する電解質ですが、血中濃度が急激に上昇すると心臓の働きに深刻な影響を及ぼします。
これらの物質が全身を巡ることで、救出後に容態が急変するのです。
急性腎不全・心停止に至るメカニズム
血中に放出されたミオグロビンは、腎臓でろ過される際に尿細管を詰まらせます。
これにより急性腎不全が引き起こされ、体内の老廃物や余分な水分を排出できなくなります。
また、高カリウム血症は心臓の電気的活動を乱し、不整脈や心停止を引き起こす原因となります。
さらに、圧迫されていた部位には著しい腫脹(むくみ)が生じ、コンパートメント症候群と呼ばれる状態に進行することもあります。
圧迫そのものだけでなく、解除後に有害物質が全身へ広がる点がこの病態の本質的な問題です。
そのため、迅速な救出が必ずしも最善とは限らず、適切な処置を併行することが推奨されます。
クラッシュ症候群の症状の
見分け方のポイント
クラッシュ症候群は早期発見が重要ですが、見た目だけでは判断が難しい場合があります。
典型的な症状と、現場で確認すべきポイントを解説します。
典型的な症状とサイン
クラッシュ症候群を疑うべき典型的なサインがいくつかあります。
以下のような状態の人を見かけたら、クラッシュ症候群の可能性を考慮する必要があります。
- 2時間以上同じ体勢で挟まれている
- 挟まれている部分に点状出血(皮膚に小さな赤い点)がある
- 挟まれている部分の感覚がない
- 痛みがない、あるいは動かせない
- 下半身だけ挟まれているが、声は出せる
- 自力で抜け出せない状態にある
これらのサインは、筋肉組織が深刻なダメージを受けている可能性を示唆しています。
特に「感覚がない」「動かせない」という症状は、神経や筋肉への重大な影響を意味します。
声かけで確認すべき項目
挟まれている人を発見したら、まず声をかけて状態を確認することが重要です。
以下の項目について、落ち着いて聞き取りを行いましょう。
- どの部分が動かないか
- 感覚はあるか(触られている感じがするか)
- いつからその状態か(圧迫されている時間の把握)
- 痛みの有無と程度
これらの情報は、救助隊や医療機関へ引き継ぐ際の重要な判断材料となります。
可能な範囲でメモを取り、正確な情報を伝えられるよう備えましょう。
見た目では判断できない危険性
クラッシュ症候群の最も恐ろしい点は、外見からは危険度を判断しにくいことです。
目立つ出血や大きな怪我がなくても、体内では深刻な変化が進行している可能性があります。
救出直後は意識がはっきりしていて、会話もできることがあります。
しかし、その後数時間で急変し、心停止や腎不全に陥ることがあるのです。
また、クラッシュ症候群は年齢を問わず発症する可能性があります。
若年者であっても、部位の麻痺や感覚消失、長時間圧迫といった兆候が見られる場合は注意が必要です。
市民ができる
クラッシュ症候群の応急処置
クラッシュ症候群が疑われる人を発見した場合、適切な初期対応が生死を分けることがあります。
市民ができる応急処置と、その限界について解説します。
最重要ポイント:すぐに瓦礫を動かさない
クラッシュ症候群への対応で最も重要なのは、「すぐに瓦礫や重い物を動かさない」ということです。
焦って救出しようとすると、かえって命を危険にさらす可能性があります。
圧迫された状態で初期対応を行い、救助隊の到着を待つことが基本です。
安易に瓦礫を除去すると、蓄積された有害物質が全身に広がり、症状を悪化させるおそれがあります。
医療的には、救出前からカリウムを含まない生理食塩水の輸液を開始することが推奨されています。
これにより、圧迫解除時の血中毒素濃度を薄めることができます。
水分補給・保温・記録の具体的手順
医療機器がない状況でも、市民ができる応急処置があります。
以下の手順に従って対応しましょう。
| 水分補給 | 経口補水液や水をできるだけ飲んでもらい、血中のカリウム濃度を下げる |
|---|---|
| 救助要請 | 他の人に依頼してレスキュー(119番)を呼ぶ。自分は要救助者のそばを離れない |
| 保温 | 毛布やジャケットなどで体を覆い、体温低下を防ぐ |
| 記録 | 圧迫部位、圧迫時間、症状の変化をメモしておく |
水分摂取中も瓦礫は動かさないことを徹底してください。
また、要救助者に意識がある場合は、声をかけ続けて安心感を与えることも大切です。
市民対応の限界と医療機関への引き継ぎ
市民ができる応急処置には限界があることを理解しておく必要があります。
以下に、市民ができることとできないことを整理します。
| 市民ができること | 危険に気づく・水分補給・保温・情報収集と記録・救助要請 |
|---|---|
| 医療機関でなければできないこと | 原因物質の除去・本格的な循環管理・透析や血液浄化療法 |
心臓マッサージや除細動は緊急時の対応として重要ですが、クラッシュ症候群の場合、原因物質を除去する根本治療にはなりません。
最終的には、血液透析や血漿交換などの血液浄化療法ができる病院への搬送が不可欠です。
市民が担うべき役割は、拙速に救出することではなく、リスクを理解した上で適切な初期対応を行うことです。
正しい知識に基づく冷静な対応が、救命につながります。
災害発生時に従業員の安全を守るためには、平時からの備えが欠かせません。
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災害時に注意すべき
クラッシュ症候群以外の健康被害
災害時には、クラッシュ症候群以外にも注意すべき健康被害があります。
企業のBCP対策として、これらのリスクについても理解しておくことが重要です。
エコノミークラス症候群の予防と対策
エコノミークラス症候群は、狭い場所で長時間同じ姿勢を続けることで発症するリスクが高まります。
足の血管内に血栓(血の塊)ができ、それが肺・脳・心臓などに詰まって重篤な状態を引き起こします。
災害時に起こりやすい場面として、車中泊や避難所での生活が挙げられます。
主な症状には、片足の痛み・むくみ・胸の痛み・呼吸困難などがあり、自覚症状が乏しいまま進行することもあります。
予防法として、以下の対策を心がけましょう。
- こまめな水分補給(1日1L以上を目安に)
- 定期的なストレッチと歩行
- 足首を回すなどの運動
- 足元に荷物を置いて足を上げる
- 締め付けの少ない服装を選ぶ
特に車中泊を行う場合は、意識的に体を動かす時間を設けることが推奨されます。
火傷の応急処置と注意点
地震による火災や、揺れによる調理器具・鍋の転倒で火傷を負うことがあります。
火傷は適切な応急処置を行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。
火傷を負った場合の応急処置として、まずすぐに冷やすことが重要です。
流水で15〜30分間しっかり冷却し、状況によってはさらに長時間冷やすことが推奨されます。
注意点として、衣服は無理に脱がせないでください。
水疱が破れたり、火傷が深くなるおそれがあります。
応急処置後は、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
地震発生時は火元を消すことが基本ですが、激しい揺れの最中は無理に近づかず、収まってから消火や元栓の確認を行ってください。
避難所で広がりやすい感染症対策
災害時は、免疫力の低下・避難所での密集・断水・衛生用品不足・換気不足などの要因により、感染症が広がりやすくなります。
新型コロナウイルス・インフルエンザ・ノロウイルスなどへの対策が必要です。
個人ができる対策として、以下を実践しましょう。
- 手洗い・うがいの徹底
- 十分な食品加熱
- マスクの着用
- 手指消毒
- 衛生用品の備蓄(手指消毒用アルコール・マスク・食品用ラップフィルムなど)
避難所運営側の対策としては、食品衛生管理・トイレの衛生管理・定期的な換気が重要です。
企業としても、従業員への衛生用品の備蓄や、感染症対策の周知を行っておくことが求められます。
クラッシュ症候群を防ぐための
安否確認の重要性
クラッシュ症候群のリスクを下げるためには、早期発見・早期救助が不可欠です。
そのために重要となる位置情報共有と安否確認システムについて解説します。
早期発見・早期救助がリスクを下げる理由
クラッシュ症候群は、圧迫時間が長くなるほど発症リスクが高まります。
つまり、いかに早く要救助者を発見し、適切な医療につなげるかが生死を分けるのです。
災害時に所在を確認できない場合、救助が遅れてクラッシュ症候群のリスクを高める可能性があります。
従業員の安全確保のため、平時から位置情報を共有できる仕組みを整えておくことが有効です。
特に外出先や現場作業中に被災した場合、自力で連絡できない状況に陥る可能性があります。
企業として、従業員の所在を把握できる体制を構築しておくことが、BCP対策の基本となります。
災害時の連絡手段の課題と解決策
災害時は、通常の連絡手段が使えなくなることがあります。
電話やメールは、電波障害や回線混線により通じにくくなる可能性が高いです。
このような状況に備えて、複数の連絡手段を確保しておくことが重要です。
安否確認専用のシステムを導入することで、災害時でも従業員や家族の安否・被害状況を把握しやすくなります。
また、位置情報の自動共有機能があれば、本人が連絡できない状況でも所在を把握することが可能です。
これにより、救助や支援判断の迅速化、会社としての初動対応の円滑化が期待できます。
安否確認システム導入のメリットと選定ポイント
安否確認システムを導入することで、大規模災害時の情報共有が格段にスムーズになります。
導入によって期待できるメリットは以下の通りです。
- 従業員の居場所の迅速な把握
- 被災状況のリアルタイムな確認
- 救助や支援判断の迅速化
- 会社としての初動対応の円滑化
システムを選定する際は、以下の観点から比較検討することをお勧めします。
| 機能の充実度 | 安否確認・位置情報共有・緊急連絡など、必要な機能が揃っているか |
|---|---|
| 回答方法のわかりやすさ | 従業員が迷わず操作できるシンプルな設計か |
| 回答者の負担 | 災害時の混乱の中でも簡単に回答できるか |
| 管理者の運用負担 | 集計や分析が容易で、次の行動判断につなげやすいか |
安否確認システムは、災害リスクを軽減するための有効な手段の一つです。
企業の防災担当者は、自社の環境に即したシステムの検討が求められます。
まとめ
クラッシュ症候群は、救出後の容態急変に注意が必要な病態です。
圧迫解除前からの適切な判断が求められるため、市民は危険なサインを察知し、安易な救出を避け、水分補給や保温、救助要請、記録といった対応を行うことが推奨されます。
また、災害時にはエコノミークラス症候群・火傷・感染症といった健康被害にも注意が必要です。
企業のBCP対策として、これらのリスクに関する正しい知識を従業員に周知しておくことが求められます。
クラッシュ症候群のリスクを下げるためには、早期発見・早期救助が不可欠です。
被災状況を正確に伝えるため、安否確認システムや位置情報共有の仕組みを平時から整備しておきましょう。
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