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【建設業必見】間接工事費とは?|内訳と計算方法を分かりやすく紹介

2025/09/05

建築

建設工事における見積もりや積算業務を行う担当者にとって、間接工事費の正しい理解と計上は利益確保の要となります。
しかし「間接工事費の範囲が曖昧で、直接工事費との境界線がわからない」「国土交通省の積算基準に従った計算方法を具体的に知りたい」といった課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、間接工事費の定義、内訳書の作成方法、公共工事と民間工事での使い分けまで、実務に直結する知識を詳しく解説します。
正確な間接工事費の算出により、見積もりの精度向上と安定した利益の確保を実現しましょう。

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間接工事費とは

間接工事費は建設工事における重要な要素でありながら、その定義や範囲について十分に理解しないまま実務を進めているケースが多く見られます。
適正な利益確保のためには、まず間接工事費と直接工事費の明確な区分を理解することが不可欠です。

間接工事費の定義

間接工事費とは、建設工事を完成させるために必要でありながら、直接的に建造物の構造体を形成しない費用の総称です。
国土交通省の積算基準では「現場管理費」「共通仮設費」「その他間接費」の3つに大別され、工事の円滑な進行と品質確保のために不可欠な費用として位置づけられています。

具体的には、現場監督や技術者の人件費、安全管理や品質管理にかかる費用、仮設構造物の設置費用、現場事務所の運営費などが該当します。
これらの費用は建物の構造体には残らないものの、工事の品質と安全性を担保し、工程管理を円滑に進めるための必須の投資といえるでしょう。

直接工事費との明確な違い

直接工事費との区別を明確にすることは、正確な積算の基礎となります。
直接工事費は材料費・人件費・機械経費など、完成した建造物の構成要素に直接関わる費用を指し、コンクリートや鉄筋などの材料費、人件費、建設機械の運転費用などが含まれます。

一方、間接工事費は工事現場の運営や管理に要する費用であり、完成建造物には物理的には残りません。
例えば、生コンクリートの購入費用は直接工事費に含まれますが、現場に運搬するためのミキサー車の基本料金や、品質管理のための試験費用は間接工事費として計上します。

直接工事費の例 材料費(鉄筋、コンクリート、建具など)
人件費(職人の作業工賃)
機械経費(建設機械の運転費用)
間接工事費の例 現場管理費(現場監督の人件費、安全管理費)
共通仮設費(足場、仮囲い、仮設道路)
その他間接費(試験費、交通整理費、保険料)

一般管理費との線引きポイント

間接工事費と混同されやすいのが一般管理費です。
一般管理費は本社の経営活動に関する費用であり、特定の工事現場に直接関連しない間接費として区分されます。

具体的には、本社の役員報酬や本社建物の賃借料、営業活動費、財務費用などが一般管理費に該当し、間接工事費には含まれません。
現場事務所の光熱費は間接工事費ですが、本社の光熱費は一般管理費として区分することで、適切なコスト配分が可能となります。

間接工事費の内訳と具体例

間接工事費の適切な計上には、各費目の内容を具体的に理解することが重要です。
現場管理費、共通仮設費、その他間接費の3つの主要カテゴリーについて、実務での計上基準と具体例を詳しく解説します。

現場管理費の内容と計上方法

現場管理費は、工事現場における管理業務に直接関わる人件費と諸経費を指します。
主要な項目として、現場代理人や主任技術者の人件費、品質管理技術者や安全管理者の人件費、現場事務費などが含まれます。

具体的な計上基準として、現場常駐の技術者については工期中の月額給与に工期月数を乗じて算出し、間接的に関与する技術者については従事比率を考慮して按分計算します。
現場事務費には、現場事務所の光熱水費、通信費、事務用品費、現場写真撮影費、測量機器のリース料などを含めることが一般的です。

現場管理費の主要項目 現場代理人人件費、主任技術者人件費、品質管理技術者人件費、安全管理者人件費、現場事務費(光熱水費、通信費、事務用品費、測量費等)
計算例(工期6ヶ月の場合) 現場代理人月額60万円×6ヶ月+主任技術者月額50万円×6ヶ月+現場事務費月額15万円×6ヶ月=合計750万円

共通仮設費の種類と算定基準

共通仮設費は、工事全体に共通して必要な仮設構造物や設備の費用であり、工事の安全性と作業効率を確保するための重要な費目です。
主な項目として、仮囲い、門扉、仮設道路、足場、仮設上下水道、仮設電力、現場事務所、資材置場、仮設トイレなどがあります。

算定方法は、各仮設物の設置面積や延長、設置期間に基づいて計算します。
例えば仮囲いの場合は、現場周囲の延長メートルに単価を乗じ、さらに設置期間を考慮した損料計算を行います。
仮設道路については、幅員と延長から面積を算出し、路盤材の使用量と転圧作業費を積算します。

特に注意すべき点として、仮設設備は工事完了後に撤去が必要であり、設置費用と撤去費用の双方を計上することを忘れないよう注意しましょう。
また、仮設期間が長期にわたる場合は、損料率を適用して月割り計算を行うことが標準的な算定方法となります。

その他間接費の項目と留意点

その他間接費には、現場管理費と共通仮設費以外の工事遂行上必要な諸費用が含まれます。
代表的な項目として、材料や機械の運搬費、交通整理員の配置費、工事保険料、各種試験費、官公庁手続き費、近隣対策費、産業廃棄物処理費などがあります。

運搬費の算定では、資材の搬入距離や現場の立地条件を考慮し、標準的な運搬費に現場特性による割増率を適用します。
交通整理費については、工事車両の通行頻度と作業時間から必要な警備員数を算出し、日当単価と配置日数を乗じて計算します。

近隣への配慮にかかる費用は工事内容と周辺環境により大きく変動するため、事前調査に基づいた慎重な見積もりが必要です。
騒音・振動対策、粉塵対策、近隣住民への説明会開催費用、苦情対応費用などを具体的に積み上げて算出することが重要です。

建設業における工事管理の効率化には、デジタル化の推進が重要です。
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内訳書作成時のチェックポイント

正確な内訳書作成のためには、計上もれの防止と適切な費目分類が不可欠です。
まず、工事全体の工程表と照合しながら、各工程で発生する間接費用を時系列で整理することから始めます。

チェックリストとして、以下の項目を確認することを推奨します。
現場管理費では技術者の配置計画と実際の従事期間の整合性、共通仮設費では仮設物の設置・撤去時期と工程の整合性、その他間接費では法定要求事項(各種試験、保険加入等)の計上漏れがないかを重点的に確認します。

また、内訳書の根拠資料として、人工計算書、仮設図面、見積書などを整備し、査定や変更契約時に説明できる体制を整えることが重要です。
特に公共工事では、積算基準への準拠性を明確に示すため、計算根拠の明示が求められます。

間接工事費の計算方法と
実務での使い分け

間接工事費の算定には、国土交通省が定める積算基準での厳密な計算方法と、実務で使用される間接費率法があります。
工事の規模や種類、発注者の要求に応じて最適な算定方法を選択することで、精度の高い見積もりを効率的に作成することが可能です。

国土交通省積算基準に基づく算定方法

国土交通省の積算基準では、工事種別と規模に応じた標準的な算定式が定められており、客観性と透明性を確保した間接工事費の算出が可能です。
基本的な算定手順は、まず直接工事費を正確に積算し、その金額を基礎として各間接費項目を計算する流れとなります。

現場管理費の算定式は以下の通りです。
現場管理費 = (直接工事費 × 現場管理費率) + 技術者配置に伴う加算額
現場管理費率は工事種別により異なり、建築工事では約8~15%、土木工事では約10~18%の範囲で設定されています。

共通仮設費については、工事種別ごとの標準率が定められており、建築工事の場合は直接工事費の2〜6%程度、土木工事では3〜8%程度が目安となります。
ただし、現場条件により大幅な変動があるため、個別検討による積み上げ計算も併用することが重要です。

建築工事の標準費率 現場管理費:8~15%
共通仮設費:2~6%
その他間接費:1~3%
土木工事の標準費率 現場管理費:10~18%
共通仮設費:3~8%
その他間接費:2~4%

間接費率法による迅速算定

間接費率法は、過去の実績データに基づいて設定した間接費率を直接工事費に乗じて算出する簡単で便利な方法です。
もり作成の初期段階や概算見積もりでは、この方法により迅速な算定が可能となります。

間接費率の設定には、自社の過去案件データを分析し、工事種別・規模・地域別に標準率を算出します。
例えば、RC造建築工事の場合、直接工事費に対する間接工事費の比率が20〜25%程度となるケースが多く、この実績率を基準として案件特性による補正を加えます。

ただし、間接費率法では現場ごとに変わる固有の条件が反映されにくいため、受注決定後は詳細積算による見直しを行うことが重要です。
特に、特殊な立地条件や工法を採用する案件では、標準費率からの乖離が大きくなる可能性があるため注意が必要です。

規模補正と地域特性の調整方法

工事規模による間接工事費の変動を適切に反映するため、規模補正係数を適用した精度の高い算定が求められます。
一般的に、工事規模が大きくなるほど間接工事費の比率は低減する傾向があり、スケールメリットが働きます。

規模補正の計算方法として、直接工事費の金額区分に応じた補正係数を適用します。
例えば、直接工事費1億円未満の場合は係数1.0、1〜5億円では0.9、5〜10億円では0.8といった段階的な補正を行います。

地域特性の調整では、労務費や材料費の地域ごとの差を反映した補正率を適用します。
国土交通省が公表する地域別補正係数を参照し、東京・大阪などの大都市圏では1.05〜1.15、地方部では0.85〜0.95程度の調整を行うことが標準的です。

さらに、現場の立地条件(市街地・山間部・離島等)や工事条件(夜間作業・分割施工等)による特殊要因についても、適切な割増率を設定して調整することが重要です。

公共工事と民間工事での使い分け

公共工事と民間工事では、要求される算定精度と納期が異なるため、案件ごとの特性に応じた最適な算定方法の選択が重要です。
公共工事では積算基準への準拠が重視され、詳細な根拠資料の提出が求められるため、基準に基づく厳密な算定が不可欠です。

民間工事においては、競争力のある価格提示と迅速な見積もり回答が求められるため、間接費率法による概算算定を基本とし、受注確度に応じて詳細検討を行う段階的なアプローチが効果的です。
ただし、大規模な民間工事や特殊工法を採用する案件では、公共工事に準じた詳細算定を行うことで、受注後の収益確保に繋がります。

また、設計施工一括発注方式(DB方式)やECI方式などの新しい契約方式では、設計段階から詳細な間接工事費の検討が必要となります。
従来の積算手法に加えて、VE提案やライフサイクルコストを考慮した算定が求められます。

間接工事費算定の
実践的なテンプレートと注意点

実務における間接工事費算定の精度向上と効率化のためには、標準化されたテンプレートの活用と、よくある計上ミスを未然に防ぐことが重要です。
ここでは、すぐに実務で活用できるテンプレートと、出来高査定時の注意点について詳しく解説します。

実用的な内訳書テンプレート

効率的で漏れのない間接工事費算定のために、工事種別ごとに標準化された内訳書テンプレートの活用が有効です。
以下に建築工事の間接工事費内訳書の基本構成を示します。

費目 項目 単位 数量 単価 金額
現場管理費 現場代理人人件費 6 600,000 3,600,000
主任技術者人件費 6 500,000 3,000,000
現場事務費 1 900,000 900,000
小計 - - - 7,500,000
共通仮設費 仮囲い・門扉 m 200 8,000 1,600,000
仮設事務所・倉庫 50 15,000 750,000
仮設電力・上下水道 1 800,000 800,000
足場 2,000 1,200 2,400,000
小計 - - - 5,550,000
その他間接費 材料運搬費 1 1,500,000 1,500,000
交通整理費 120 12,000 1,440,000
各種試験費 1 300,000 300,000
小計 - - - 3,240,000
間接工事費合計 16,290,000

このテンプレートを基に、工事の特性に応じて項目を追加・修正することで、案件固有の条件を反映した精度の高い算定が可能となります。
また、単価については最新の人件費の調査結果や資材価格情報を反映し、定期的に更新することが重要です。

よくある計上ミスと対策

間接工事費の算定において頻発するミスとその対策について、実務経験に基づく具体的な防止策を紹介します。
最も多い計上ミスは、直接工事費との境界線の判断を誤ってしまうケースです。

具体例として、建設機械のリース料について、実際の稼働時間に応じた運転経費は直接工事費ですが、基本料金や回送費は間接工事費として計上すべき項目です。
また、現場で使用する電力について、溶接機やコンプレッサーなど直接作業に使用する電力は直接工事費、現場事務所や照明用電力は間接工事費として区分します。

計上漏れの防止策として、工程表と連動したチェックリストの活用を推奨します。
各工程で発生する間接費用を時系列で整理し、着工準備・施工中・完成検査・引渡しの各段階で必要な費用を体系的に確認することで、計上漏れを防止できます。

さらに、変更工事で発生する間接工事費の取り扱いにも注意が必要です。
工期延長に伴う現場管理費の増額、追加工事に伴う共通仮設費の変更、新たな法規制への対応費用など、当初契約時に想定していない間接費用の発生を適切に把握し、変更契約に反映することが重要です。

出来高査定における間接工事費の扱い

出来高査定時の間接工事費については、直接工事費とは異なる査定基準と計上タイミングを理解することが重要です。
現場管理費は工事の進捗に関わらず月単位で均等発生するため、査定時期に応じた月割り計算による計上が基本となります。

共通仮設費の査定では、各仮設物の設置完了時点で一括計上する方法と、使用期間に応じて按分計上する方法があります。
仮囲いや仮設道路など工事全期間にわたって使用する仮設物は設置完了時に全額計上し、足場など特定工程で使用する仮設物は対象工事の進捗率に応じて計上することが一般的です。

その他間接費については、費用発生の実態に応じた査定が必要です。
材料運搬費は材料搬入の都度計上、交通整理費は実際の配置日数に基づく計上、各種試験費は試験実施時点での計上といった具合に、各費目の性質を考慮した適切なタイミングでの査定を行います。

また、出来高査定では間接費率を用いた簡単で便利な計上方法も活用されます。
直接工事費の出来高に対して、契約時に設定した間接費率を乗じて間接工事費の出来高を算出する方法であり、査定作業の効率化に寄与します。
ただし、この場合も実際の費用発生状況との整合性を定期的に確認し、必要に応じて調整することが重要です。

まとめ

間接工事費の正しい理解と算定は、建設工事における適正な利益確保の要となります。
直接工事費との明確な区分を理解し、現場管理費・共通仮設費・その他間接費の内訳を具体的に把握することで、もりの精度向上と計上漏れの防止が可能となります。

国土交通省積算基準に基づく詳細算定と間接費率法による迅速算定を使い分け、工事規模や地域特性に応じた適切な補正を行うことで、公共工事・民間工事を問わず競争力のある見積もりを作成できるでしょう。
また、標準化されたテンプレートの活用により、算定業務の効率化と品質の安定化を実現できます。

間接工事費の算定精度向上には、工程管理との連携や出来高査定における適切な計上タイミングの把握も重要です。

一方で、現場では日々の業務に追われ、労務費の管理まで手が回らないケースも少なくありません。そこで、業務の効率化を図るためにITツールの活用が求められています。

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目的に応じて適切なツールを選定し、施工管理と原価管理をバランスよく行うことで、業務の効率化と利益確保の両立が期待できます。

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