A工事・B工事・C工事とは?工事区分表の見方と工事負担の違いを解説
2026/05/11
ビルのテナント工事や改修工事では、「A工事」「B工事」「C工事」という区分がよく用いられます。
これらの区分は、費用負担や業者選定の権限、施工後の管理責任を明確にするための分類です。
工事区分表を正しく理解していないと、オーナーとテナント間で認識のズレが生じ、費用トラブルや工期遅延につながるおそれがあります。
本記事では、A・B・C工事それぞれの違いや施工箇所の具体例、工事区分表の見方について、実務に役立つ知識を解説します。
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A工事・B工事・C工事を分類する
基本の考え方
工事区分表とは、ビルの新築や改修、原状回復において、費用負担や発注者、業者選定、管理責任を整理した一覧表です。
工事をA工事・B工事・C工事の3つに分類し、オーナーとテナントのどちらが主導するかを明確にします。
この区分表がないと、費用負担や業者選定で認識のズレが生じやすくなります。
特にB工事は費用負担と業者選定の権限が分かれるため、誤解が生じやすい傾向にあります。
工事区分表を正しく理解することは、トラブル防止に極めて有効です。
工事区分表の定義と役割
工事区分表は、工事の費用負担や責任範囲、資産区分を明確にした資料です。
この表により、発注者や費用負担者、施工対象の管理責任が誰にあるのかをひと目で確認できます。
工事区分表は、ビルオーナーとテナントの間で共通認識を形成するためのツールです。
工事に関わるすべての関係者が同じ認識のもとで業務を進めるために欠かせない資料となります。
工事区分表が必要な理由
工事区分表が必要な最大の理由は、テナントとビルオーナー間の費用負担・責任をめぐるトラブルを未然に防ぐことです。
区分が曖昧なまま工事を進めると、どちらが費用を支払うべきか、工事後の不具合対応を誰がするかといった問題が発生しやすくなります。
さらに、ビルオーナーにとっては資産保護の観点でも重要です。
建物構造に詳しくない業者が無秩序に工事を行うと、共用部や基幹設備を傷つけるリスクがあります。
工事区分表で業者選定のルールを定めておくことで、建物全体の安全性と品質を維持できます。
工事区分表の作成者と書式
工事区分表は、一般的にビルオーナーが作成します。
決まった書式はありませんが、「発注者」「費用負担者」「該当区分」などの項目が一覧形式でまとめられるのが通例です。
物件ごとにルールが異なるため、テナント側や施工業者は、工事に着手する前に必ず当該物件の工事区分表を確認しておくことが大切です。
A工事・B工事・C工事の違いを
区分表で比較
A工事・B工事・C工事は、「発注者」「業者選定」「費用負担」「所有・管理」の4つの観点で区別されます。
工事区分表ではこれらの情報が一覧化されており、各工事がどの区分に該当するかをすばやく判断できます。
とくに重要なのは、B工事が「費用はテナント負担だが業者はオーナーが指定する」という構造を持つ点です。
A工事はオーナー主導、C工事はテナント主導と比較的わかりやすいのに対し、B工事は費用負担者と管理責任者が異なるため、トラブルの原因になりやすい区分です。
A工事・B工事・C工事の一覧比較表
以下の比較表で、A工事・B工事・C工事の違いを整理しています。
工事区分表を読み解く際は、この4つの観点を軸に確認するとスムーズです。
| 工事区分 | 発注者 | 業者の選定 | 費用負担 | 所有・管理 |
|---|---|---|---|---|
| A工事 | ビルオーナー | ビルオーナー | ビルオーナー | ビルオーナー |
| B工事 | テナント | ビルオーナー | テナント | ビルオーナー |
| C工事 | テナント | テナント | テナント | テナント |
このように、A工事はすべてオーナー主導、C工事はすべてテナント主導で完結します。
B工事だけが費用負担と業者選定の権限が分かれるため、工事区分表を確認する際はとくに注意が必要です。
分類の本質は「建物全体への影響度」と「所有・管理責任」
A・B・C工事の分類は、施工箇所だけでなく、建物全体への影響度と管理責任の所在によって決まります。
共用部や建物の安全性に影響する工事はオーナー主導、テナント専有部で完結する工事はテナント主導となるのが一般的です。
つまり、オーナー資産に関わる部分はオーナーの関与が強くなり、テナント資産に関わる部分はテナントの自由度が高くなるのが原則です。
この本質を押さえておくと、工事区分表の読み取りがスムーズになります。
B工事の細分化(B1・B2)について
実務では、B工事がさらにB1・B2などに細分化されるケースがあります。
テナントごとにレイアウトやデザインが異なる工事では、B工事という大枠だけでは整理しきれない場合があるためです。
たとえば、B1は設計者・施工業者ともにオーナー指定、B2は設計者をテナントが指定し施工業者はオーナー指定といった区分が設けられることがあります。
物件によって細分化の基準は異なるため、工事区分表の内容を個別に確認することが大切です。
A工事・B工事・C工事それぞれの
区分表での確認ポイント
工事区分表を実務で活用するうえでは、A工事・B工事・C工事それぞれに該当する具体的な施工箇所を把握しておくことが重要です。
施工箇所を知ることで、工事区分表のどの欄を確認すべきかが明確になります。
一般的に、A工事はビル全体や共用部の基幹設備、B工事はテナントの利用に関係しつつ建物全体にも影響する箇所、C工事はテナント専有部の内装・設備が対象です。
各区分の代表的な施工箇所を以下で整理します。
A工事の主な施工箇所
A工事の対象は、建物の外装・共用部・基幹設備など、ビル全体の安全性と資産価値に関わる箇所です。
具体的には、建物の外壁、屋上、共用部のトイレ、共用通路、階段、エレベーター、空調設備、消防設備、電気設備の配線・配管工事、共用部の給排水設備、衛生設備などが該当します。
これらはすべてビルオーナーの資産であり、建物全体の機能維持に直結する工事です。
テナントには直接関係ないように見えますが、専有部内で行われるA工事もあるため、テナント側も対象工事の把握が必要です。
B工事の主な施工箇所
B工事の対象は、テナントの利用に関係しつつも、建物全体の機能や安全性に影響を与える箇所です。
たとえば、天井やドアの変更・移設、空調設備、排気設備、排水設備、防水設備、防災設備(非常照明、スプリンクラー)、分電盤、建物外部の看板などが該当します。
B工事に分類される箇所は、専有部と共用部の境界に位置する工事が多いのが特徴です。
テナントの要望で工事を行いますが、建物全体に影響するため業者はオーナーが指定します。
工事区分表で確認する際は、この点を特に意識しましょう。
C工事の主な施工箇所
C工事の対象は、テナント専有部の内装や設備で、ビル全体への影響が比較的小さい箇所です。
壁紙や床の張り替え、造作工事、電話工事、インターネットの配線工事、什器の設置工事、コンセント・ブレーカー・照明の増設などが代表的な例です。
C工事はテナントが自由に業者を選定できる区分ですが、実施にはビルオーナーの承認が必要な点に注意が必要です。
工事後の対象物はテナントの所有となるため、管理責任もテナントが負います。
建設現場では工事区分表の管理だけでなく、図面や写真の管理も重要な業務のひとつです。
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A工事・B工事・C工事の区分表で
実務上注意すべきポイント
工事区分表の内容を正しく理解していても、実務の現場ではさまざまな誤解やトラブルが発生します。
とくにB工事は費用負担者と業者選定権限が異なるため、テナント側が「費用を出すのだから業者も選べる」と誤認するケースが少なくありません。
また、C工事はテナント主導の工事ですが、オーナーの承認なしに進めてよいわけではありません。
A工事がテナント専有部に及ぶこともあり、各区分の実務上の注意点を正確に把握しておくことが、円滑な工事進行の鍵となります。
B工事で起きやすい誤解と対処法
B工事では、「費用を負担するテナントが業者を自由に選べる」という誤解が生じやすい傾向にあります。
実際には、施工箇所がビル全体の安全性に関わるため、業者はオーナーが指定するのが通例です。
安さ重視で質の低い業者を選定すると、手抜き工事や共用部の損傷、建物全体の安全性低下といったリスクが生じるおそれがあります。
オーナーが業者を指定する背景には、建物構造を熟知し、定期メンテナンスを通じた信頼関係のある業者で品質を担保するという意図があります。
テナント側はこの構造を事前に理解しておくことが重要です。
C工事でもオーナー承認が必要な理由
C工事はテナント主導の工事ですが、実施にあたってはビルオーナーの承認を得る必要があります。
テナント専有部の工事であっても、工事内容によっては建物の構造や設備に影響を及ぼす可能性があるためです。
オーナーへの事前確認を怠ると、承認が得られず工事が中断したり、原状回復時にトラブルが生じたりするリスクがあります。
C工事だからといって自由に進められるわけではないことを認識しておきましょう。
A工事がテナント専有部に及ぶケース
A工事はオーナー主導の工事ですが、テナント専有部の内部で行われることもあります。
たとえば、消防設備の更新や電気設備の配線工事など、ビル全体の安全性に関わる工事が専有部に及ぶケースです。
テナントには直接関係がないように見えても、工期中は業務に影響が出ることがあります。
工事区分表でA工事の対象範囲を事前に確認し、オーナーとの間で工期や影響範囲の情報共有を行うことが大切です。
A工事・B工事・C工事の
区分表を踏まえた
テナント工事の業者選定基準
A工事・B工事・C工事の区分表を正しく理解したうえで、とくにC工事のようにテナントが業者を選定する場面では、どのような基準で業者を選ぶべきかが重要になります。
発注者であるテナントが重視するポイントを把握しておくことは、施工会社・工務店側にとっても受注力の向上につながります。
発注者が業者選定で重視する主な基準は、内装工事の実績、アフターケア体制の充実度、そして価格の妥当性です。
これらの観点を押さえることで、テナント工事の受注機会を広げることができます。
内装工事の実績と専門知識
発注者が重視するポイントとして、店舗やオフィスの内装工事における実績が挙げられます。
ノウハウを持つ業者は、デザインだけでなく動線設計や機能性への理解も期待できるため、選定時の安心感につながります。
とくに、オフィスの機能性への理解、消防法などの法令対応の知識、テナント工事の経験値が高い業者は評価されやすい傾向にあります。
過去の施工事例を整理し、発注者に提示できる体制を整えておくことが受注につながります。
アフターケア体制の充実度
工事後の不具合対応やメンテナンス体制が整っているかどうかも、発注者にとって重要な選定基準です。
保証サービスの有無、修理・再工事への対応、点検体制の充実度などが評価の対象となります。
「工事をして終わり」という業者は、発注者からリスクが高いと見なされやすい傾向にあります。
アフターケア体制を明確に提示できるかどうかが、信頼獲得のポイントです。
価格の妥当性と見積もりの透明性
発注者は単に安い業者を選ぶのではなく、費用が妥当かどうかを重視しています。
とくに工務店へ直接依頼する場合、発注者は価格感に敏感です。
見積書の内訳をきちんと説明できること、諸経費の内容を明確にすることが求められます。
諸経費については、何が含まれているのか、なぜ必要なのか、品質維持や管理上どのような役割を果たす費用なのかを丁寧に説明しましょう。
価格の透明性が高い見積もりは、発注者の信頼につながります。
まとめ
本記事では、工事区分表の基本とA・B・C工事の違いを解説しました。
工事区分表は費用負担や責任範囲を明確にする資料であり、オーナーとテナント間のトラブル防止に有効なツールです。
A工事はオーナー主導、C工事はテナント主導、B工事は費用負担と業者選定が分かれるという特徴があります。
各区分の違いや実務上の注意点を正しく把握し、円滑な工事進行に役立てましょう。
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