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見やすい施工図の書き方は?基礎知識・手順・ポイントを詳しく解説

2024/06/25

建築

施工図は、寸法や材料などの細かい情報が記されている図面です。具体的な記載が求められるため、作成を担当する際はどこから手をつけると良いのかわからない人もいるでしょう。

この記事では、図面の書き方やポイントを解説しています。施工図の基礎知識もまとめているため、これから学び直そうと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

施工図とは?

施工図とは、寸法・材料・構造など工事の情報が細かくまとめられた図です。設計図よりも詳しく情報が記載されており、工事の説明書のような役割を果たします。

ひとまとめに施工図といっても、実は1種類だけではありません。施工図には、以下のような種類があります。

  • 平面詳細図
  • 断面詳細図
  • 躯体図
  • 天井伏図
  • 配管図
  • 割付図
  • プロット図
  • 外構図

平面詳細図は平面から見た部分から、断面詳細図は高さがわかるように立体的に表現されています。ほかにも天井の詳細を盛り込んだ天井伏図もあります。

施工図の3つの役割

施工図は、工事の詳細が網羅された図です。しかし、なぜこのように具体的な内容が書かれた図が必要なのでしょうか。
それは、以下の3つのような役割があるからです。

それぞれ確認していきましょう。

細かい情報がまとまっている

施工図には、設計図には書かれていない工事情報が詳しく記載されています。それは、工事に取り掛かるにあたって、施工図を参考に作業を進めるからです。

施工図には寸法や材料などが記されていますが、設計図は施工図のように情報が網羅されていません。そのため、情報が足りない設計図だけを見ながらの作業は難しいといえるでしょう。
つまり、設計図では表せない情報も細かく載っていることから、施工図は現場には欠かせません。

工事ミスを防げる

現場に施工図があると、工事のトラブル防止につながります。施工図は正確な寸法や材料がメモされており、いつでも詳細を確認できるからです。
さらに作業ミスがあった場合でも、施工図があることで早く気づけます。

施工図がないと、材料のサイズや種類などがわからなかったり、違う材料を取りつけてしまったりする可能性があるでしょう。事態に気づくのが遅れると、作業のやり直しによるタイムロスや、材料の追加によって予算をオーバーする可能性もあります。

これらのミスは、工事の詳細をまとめた施工図を確認すると防げます。そのため工事中のトラブルを避けるためにも、施工図は重要です。

情報共有がしやすい

施工図は、工事関係者同士の情報共有をしやすくする役割もあります。それは、同じ図面を見ながら工事を行えるからです。

施工図は寸法や材料などが書かれており、作業員が同じ図面を見ることで情報の錯綜を防げます。また誤った情報が載っていた場合は、全体で修正内容のアナウンスができるのも良さの1つです。

さらに、施工図通りに作業が進んでいない箇所があった場合でも、作業員の担当を問わずミスを発見できます。

工事現場でのコミュニケーションは、安全な建物を完成させるために重要です。そのため情報共有ができる施工図は、重要な役目を果たしています。

施工図の書き方の基礎
【平面詳細図編】

施工図には、さまざまな種類の図がありますが、まずは基礎となる平面詳細図の書き方を解説します。平面詳細図は、平面図に比べると情報量が多い点が特徴です。

平面詳細図の手順は、以下のとおりです。

それぞれ確認していきましょう。

壁と柱の中心線を引く

はじめに、壁芯と柱芯を引きます。

壁芯とは壁の中心線で、柱芯は柱の中心線です。中心線は、図面に壁や柱を書き込む際に必要で、この線をもとに壁や柱の位置を定めます。中心線は、薄くなるように軽く引きましょう。

壁と柱の線を下書きする

はじめに引いた中心線をもとに、壁と柱の線を下書きしましょう。

壁の場合は、中心線を軸にして定めた壁の厚さになるように書きます。壁の種類にもよりますが、一般的な厚さは60mm~200mmです。たとえば、壁が180mmの場合は、中心線を軸に左右が90mmずつになるように壁を下書きします。

柱も同様に、中心線を軸に線を書き足します。180mmの場合は、中心線を軸にして90mmずつに分けて柱を下書きしましょう。

壁と柱の線を清書する

次に壁と柱の中心線を清書します。この際、壁や柱の厚さや太さが正確かどうかを確認してから引くのがポイントです。

全体を確認して間違いがない場合は、下書き線に沿って濃く見分けがつきやすいようにハッキリと引きましょう。

ただし壁が隠れている大壁と壁が見える真壁、壁の厚さが半分の半壁によって記し方が異なるため要注意です。

開口部を追加する

線をハッキリとさせたら、窓やドアなどの出入りや喚起の役目を果たす部分を書きましょう。開口部には下記の種類があります。

  • 引違い窓
  • 片引戸
  • 折りたたみ窓
  • 片開き窓
  • 両開き窓
  • 雨戸
  • 格子付窓

部屋の開口部に合わせた表記方法で追加しましょう。

設備器具と床仕上げを書く

次に、キッチンや洗面台などの設備機器を追加します。設置予定の器具がある場合は、施工図に盛り込みましょう。

床仕上げは、畳やタイルなどを敷く部分に書きます。細い線で引き、冷蔵庫と洗濯機の部分は点線で記しましょう。

基本線や方位などの詳細を記載する

仕上げに基準線・方位・寸法線・部屋名などを記入しましょう。

寸法は、柱の中心線ごとに記します。書く部分に表記漏れや誤りがないか確認しましょう。

施工図の書き方の基礎
【断面詳細図編】

断面詳細図は、立体的で高さをイメージしやすい図面です。

矩計図とも呼ばれる、工事で必要な図面です。ここからは断面詳細図の書き方を7ステップに分けて解説します。

それぞれ見ていきましょう。

中心線を引く

平面詳細図と同様に、中心線から引きます。中心線は、壁や柱を書く際に基準となる線です。各部分に線を引くことで、壁や柱を表記しやすくなります。中心線がずれると、寸法が正しく書けないため、まっすぐ正確に引きましょう。

中心線を引いたら、地盤面の高さを表す「GL」や、階名を表す「F」も追加します。

梁や柱を書く

中心線を引いたあとは、梁や柱を記していきます。梁や柱は建物によって異なるため、サイズを確認しながら記入しましょう。

壁の線を記入する

壁を記入し、内装材の仕上げ材も追加します。内装材とは壁の仕上げに使用する材料で、防音や防水などに効果的です。内装材には、タイル・クロス・石材があり、使用する材料を図面に書き込みましょう。

この際、下地材の厚さと、仕上げ材の両方の情報を記入します。下地材とは内装材の下部にあたり、仕上げ材は表面の部分をいいます。

床と天井の情報を記入する

床と天井の下地の情報を書き足します。下地材は仕上げ材をつけるために必要で、床になくてはなりません。下地材には胴縁やプラスターボードなどがあり、防火性や防音性など機能はさまざまです。

また、天井の下地になる部分の記入も行います。天井板を張るために必要になるため、忘れずに書き足しましょう。

仕上げ材を書く

まだ記入していない部分の仕上げ材を書き足します。ここでの仕上げ材は未記入の床や天井部分です。ほかにも仕上げ材に該当する窓・ふすま・障子なども書き込みます。屋根や外壁などの外から見える部分の詳細も追加しましょう。

見えがかり線を書いて仕上げる

見えがかり線を記入して、仕上げ面の情報をまとめましょう。見えがかり線とは、見える部分のことをいい、開口部やパペットなどが当てはまります。必須項目ではないものの、記入するとよりイメージがしやすく、より細かい図面に仕上がります。

部屋名と寸法を入れる

最後に、断面詳細図の部屋名や寸法などの情報を書きこんで仕上げます。部屋名は「洋室」・「和室」・「リビング」のような記入で問題ありません。使用する材料や寸法などが間違っていないか確認しながら、記入しましょう。

また、寸法は書き漏れなく細かく記入する必要があります。抜けている部分がないか最終確認をして、見直しをしましょう。

施工図を書く際のポイント

施工図を作成するにおいて、必要な情報が詰め込まれているかが重要です。
施工図は寸法や材料などが記載されており、作業員が見ながら工事を進めます。そのため、情報量が不足していると、作業の遅延やミスにつながります。

また、詳細がまとめられていても、誤った情報や古い情報では意味がありません。仕上げでは、正しい情報なのかの確認も不可欠です。

まとめ

今回は施工図の、基礎図面となる平面詳細図と、立体的に表現できる断面詳細図についてや、書き方のポイントなどを解説しました。

施工図は、寸法や材料などが細かくまとめられた工事に欠かせない図面で、電気系統や配管を記載するものなど、さまざまな種類があります。

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