
遠隔臨場とは?導入するとどのようなメリットがあるのか事例も交えて解説
2025/04/30
「遠隔臨場ってなに?」
「遠隔臨場を取り入れたいけど具体的にどうすればいいのか分からない」
本記事ではそのような悩みにお応えするため、メリット・必要な準備・注意点から実際に遠隔臨場を活用した事例まで解説します。
公共工事だけでなく民間工事でも、遠隔臨場のノウハウを活用すれば現場業務の効率化に役立ちます。ぜひお役立てください。
もくじ
遠隔臨場とは?
遠隔臨場とは、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)によって取得した映像及び音声を利用し、遠隔地から Web 会議システム等を介して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を行うことをいう。
簡単にすると「ツールを活用して離れたところから現場確認を行う」ことです。
WebカメラやWeb会議システムを利用することで、監督職員等が十分な情報を得られる場合に適応されます。
建設業界ではここ数年、就業者全体の高齢化や若手離れの影響による人材不足や長時間労働が悩みの種です。国交省も建設業のあらゆる分野で生産性の向上を図るi-Constructionを推進しています。
遠隔臨場もその一環です。少ない人数でも業務を効率化できる手段の一つとして注目されています。
また、遠隔臨場のような仕組みができれば、コロナ禍の影響で実際に対面することが難しい状況でも対応が可能になります。
遠隔臨場を活用する4つのメリット
遠隔臨場を活用するメリットは主に4つあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
移動時間の削減につながる
遠隔で現場確認が行えるため、現場まで移動する必要がありません。
単純に、距離が長くなればその分移動時間や移動に伴う準備、場合によっては現場での待ち時間など、もったいないと感じる時間が増えていきます。
遠隔臨場ができるようになれば、移動時間を違う仕事にあてられるため効率よく動けるようになるでしょう。
感染症対策ができる
遠隔臨場は感染症対策に非常に有効です。現場に直接赴く必要がなく、人と人との接触を最小限に抑えることで感染リスクを大幅に低減できます。
安全性の向上につながる
遠隔臨場が安全性の向上につながる理由は、「すぐに確認できる」「頻繁に確認できる」環境ができるからです。現場に直接行き確認する場合は、確認事項を当日に漏れなくすべてやりきらなくてはなりません。場合によっては時間が足りなくなり、確認がおろそかになってしまいます。
遠隔臨場の環境が整っていれば、気になった点があればすぐに確認ができます。また、万が一トラブルがあった場合も伝言ゲームにならず、映像として現場確認ができるので適切な判断ができるでしょう。
人材不足解消につながる
遠隔臨場ができるようになれば、間接的ではありますが人材不足の解消につながります。現場臨場にかかっていた時間が、他の仕事にあてられるようになるからです。
新しい人材は現場で活躍するまでに時間がかかりますが、業務を効率化すれば今いる人材の時間を有効活用できます。遠隔臨場を活用すれば効率良く仕事ができるようになり、人材不足の悩みも軽減されるでしょう。
遠隔臨場に必要なルールや機器
遠隔臨場を行う場合、撮影用のカメラは受注者側(現場側)が準備・用意することになっています。Web会議システムに関しては、受注者・発注者が双方相談の上、使いやすいものを選びましょう。
カメラもWeb会議システムも機材やツールの指定はありません。ですが、仕様に関しては指定があるので条件を満たすものを使いましょう。
▼動画撮影用のカメラに関する参考数値
項目 仕様 映像
- 画素数640×480以上 カラー
- フレームレート:15fps以上
音声
- マイク:モノラル(1チャンネル)以上
- スピーカ:モノラル(1チャンネル)以上
▼Web会議システム
項目 仕様 通信回線速度 下り最大 50Mbps、上り最大 5Mbps 以上 映像・音声 転送レート(VBR):平均 1Mbps 以上
細かい解説は省きますが、640×480というのは画像サイズを表しているのでカメラの性能としては30万画素以上のものを用意すればいいということになります。
ちなみに、iPhoneのカメラだと最も古い「iPhone3G」でも200万画素あるので、スマートフォンのカメラであれば全く問題ない、と考えられるでしょう。
遠隔臨場を活用する際の注意点
遠隔臨場を活用する際の注意点について解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
通信環境の整備
Web会議システムを活用するので、安定した通信環境が求められます。
また、最低限必要とされる通信速度は、利用する人数や映像共有の有無等の利用環境や電波状況、時間帯に応じて変化するので注意が必要です。
プライバシーへの配慮
撮影時に人が映り込むこともあるため、関係する人達への配慮が欠かせません。撮影した映像は記録用として保存し、不特定多数の人が閲覧する可能性もあります。どういう目的で撮影しているのか、どういった用途で使うのかなどを共有しておきましょう。
IT機器に不慣れな人へのフォロー
使い慣れていない人にはフォローが必要です。遠隔臨場を行う前に周知しておき、実際に始めるまでに使い方や仕組みを関係者全員が理解している状態にしておきましょう。
スマートフォンを利用したり、使い慣れたWeb会議システムを利用するなど、利用者が使いやすい機器やツールを使うのも一つです。
遠隔臨場を活用した事例
飛島建設株式会社の事例
入札時に求められる技術提案のひとつとして遠隔臨場に早くから注目していたという飛島建設株式会社はKENTEM(建設システム)の遠隔臨場システムである「遠隔臨場 SiteLive」を導入し、立会い後の業務の削減や感染症リスクの低減に取り組んでいます。
特に注目した機能は、受注者のスマートフォンによる測定箇所の映像、発注者の映像・受注者の映像をリアルタイムに1画面で確認でき、スナップショットでも同様の映像が得られるということでした。
詳しくはこちらをご覧ください。
比較検討の末、様々なこだわりを満たす遠隔臨場SiteLiveを導入!今後のシステムの進化に期待(飛島建設株式会社)| 導入事例 | KENTEM[ 建設システム ]
芹澤建設株式会社の事例
富士山須走口の5合目から山頂までの道路維持修繕工事を受注した芹澤建設株式会社は、富士山という厳しい現場環境の中で監督員も検査監も1泊2日かけて中間検査や完成検査を行うという負担の大きな検査業務を実施していました。
そこで、直接現地に出向かなくても途中の進捗状況をリアルタイムで確認できる遠隔臨場を導入します。「遠隔臨場 SiteLive」を導入して行われた工事では、施行説明・段階確認・中間検査(現場検査と併用)・社内安全パトロールなどを含め計10回の遠隔臨場を実施し、発注者からも高い評価を受けました。
詳しくはこちらをご覧ください。
5年前まで検査は1泊2日!!富士山という特殊な環境で遠隔臨場実施(芹澤建設株式会社)| 導入事例 | KENTEM[ 建設システム ]
まとめ
今回は遠隔臨場について解説しました。
遠隔臨場を導入することで、受注者の立ち会い調整時間、発注者の移動時間削減が期待されています。また、昨今の感染症対策としても急速に普及しています。
国土交通省だけではなく、自治体発注工事でも活用が進んでおり、自治体ごとでも基準が策定されています。
基準対応だけではなく、遠隔臨場の仕組みを活用しどのように業務の効率化を図っていくのかがポイントになります。
株式会社建設システム(KENTEM)は「遠隔臨場 SiteLive」を提供し、現場での立会検査にかかる調整や移動時間の削減や、検査業務の効率化を支援しています。
感染症対策として注目されがちな遠隔臨場ですが、建設業における生産性向上と人手不足を解決するための手段としても活用できます。
まずは遠隔臨場導入のメリット・デメリットと自社の抱える課題をよく分析し、自社に合った遠隔臨場システムをご検討ください。
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