2024年4月から始まる建設業の残業時間に対する罰則とは?概要や注意点、業務効率化のおすすめツールを紹介
2024/05/30
建設業には、きつくて危険というイメージが定着しています。
なぜなら建設業は少子高齢化や労働環境の悪化により、作業員一人に割り当てられる仕事量が膨大になり、長時間残業が深刻な問題になっているからです。
しかし2024年4月には、労働基準法の36協定が建設業に適用され、時間外労働時間に対して罰則つきの上限規制が設けられました。
建設業は、上限規制の施行にどう対策すればいいのでしょうか。
今回は、建設業に施行された時間外労働時間に関する罰則つきの上限規制について、概要やポイント、残業を減らすための対策を解説します。
2024年4月に適用された時間外労働の上限規制の概要を解説
建設業では働き方改革関連法により、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されました。
ここでは建設業に適用された時間外労働の上限規制の概要や、罰則を防ぐために注意すべき対策などを下記にまとめています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
時間外労働の上限規制とは
2024年4月から、労働基準法の改正により建設業にて時間外労働時間に対する罰則つきの上限規制が設けられました。
上限規制が適用された背景には、建設業で月100時間を超える長時間残業が横行していたことが挙げられます。
働き方改革として設置された時間外労働時間の上限時間は以下のとおりです。
- 月45時間
- 年360時間
しかし、年6ヶ月までの特別条項を活用すれば年720時間、複数月平均80時間以内に調整できます。
一般則と特別条項を踏まえて、建設業の会社は従業員に残業をさせずに事業を継続する方法を見出さなければいけなくなりました。
残業時間を減らすための対策は、記事の後半で紹介しています。
上限規制を避けるためのチェックポイント
罰金や罰則を受けないためにも、上限規制を超過しないための対策を取ることが大切です。
ここでは上限規制を超過しないために注意すべき3つのポイントをまとめました。
- 36協定で定めた範囲内で休日労働や特別条項をこなす
- 時間外労働と休日労働の合計を月100時間に抑える
- 1ヶ月あたりの時間外労働時間の平均は80時間に抑える
上限規制の内容は36協定で定められているため、条件を満たせば特別条項による一時的な延長は可能です。
たとえば繁忙期に限定して、一時的に月60時間の残業を認めるなどの設定を行えば上限違反を避けられるでしょう。
しかし、特別条項自体を活用したとしても、1ヶ月あたりの時間外労働時間は100時間以内、年で見ると720時間以内の範囲内に納める必要があります。
複数月にわたって時間外労働が45時間を超える場合、 時間外労働時間の1年の平均が月80時間を超えてはいけない点も注意が必要です。
たとえば4月は60時間で5月は100時間だった場合でも、1年を通して平均80時間以内であれば違反にはなりません。
建設業の工事は、大型のものであれば1年間に及ぶものもあるでしょう。
月別の変動に合わせて36協定の範囲内で調整する必要があります。
災害時の復旧・復興事業では上限の適用がなくなる
罰則つきの時間外労働の上限規制は、災害時の復旧・復興事業の際には適用外になります。
災害時は突発的なトラブルや復興に向けての活動が第一となるからです。
災害時の復旧・復興事業に限り、適用外となる特別条項の内容は以下のとおりです。
たとえば東日本大震災などの大型の震災が発生したあとの復興事業では、事前に労使の合意を得て、例外的に時間外労働の上限を超えることができます。
状況によって上限規制の対応が変わる点も理解しておきましょう。
時間外労働の上限規制以外で進められている取り組みを紹介
2024年4月から適用された建設業の時間外労働時間の上限適用は、業界の中でも特に大きな働き方改革の動きでした。
しかし、建設業の働き方改革は時間外労働時間の上限適用以外にも進められています。
ここでは以下の3つの取り組みを紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
年次有給休暇の確実な取得
長時間労働の環境改善の取り組みとして、厚生労働省によって2019年4月から年次有給休暇の取得が促進されています。
年次有給休暇の取得促進は建設業だけでなく、全業界で進められており、主な概要は以下のとおりです。
対象者 年次有給休暇が10日以上付与される労働者
※管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。条件 労働者が雇入れの日から6か月間継続勤務し、その6か月間の全労働日の8割以上を出勤した場合 付与日数 6か月:10日
1年6ヶ月:11日
2年6ヶ月:12日
3年6ヶ月:14日
4年6ヶ月:16日
5年6ヶ月:18日
6年6ヶ月以上:20日
従来までの建設業界では、職人気質で「有給は無駄遣い」と考えられがちでしたが、最低5日の年休取得が義務化されたことで、労働環境が改善に向かいつつあります。
しかし、建設業のなかで年次有給休暇を取得できている人数は、まだまだ少ないのが現状です。
働き方改革が拡大することで、今後も改善されるでしょう。
月60時間超の時間外労働の割増賃金率引き上げ(中小企業)
中小企業では、月60時間を超える残業代の割増率が2023年4月から引き上げられました。
具体的な数値をまとめると以下のとおりです。
従来まで | 2024年4月以降 |
---|---|
25% | 50% |
大企業では2010年4月から割増賃金率引き上げが適用されていましたが、中小企業は対象外でした。
割増賃金が2倍になったことで、中小企業でも過度の長時間労働をさせづらくなったことで、徐々に残業時間を削減できるでしょう。
週休2日制の推進
建設業の時間外労働時間の上限適用に合わせて、2024年4月から建設業の週休2日制の推進が進められています。
あくまでも推進であるため、義務や罰則が発生するものではありません。
しかし、多くの官公庁の工事現場では4週8休以上の現場閉所が実施されています。
連続した休日を確保できる環境を整備することで、作業員は体を休めることができ、仕事と生活のバランスをとりながら、心身をリフレッシュできるでしょう。
建設業で残業時間を減らすために取り組むべき対策を解説
建設業は人口不足や高齢化の影響から、一人に割り当てられる仕事量が多く、残業時間を減らすのが難しいといわれています。
建設業の残業時間を減らすためには、以下の3つの対策を進めてみてください。
- ドローンやAIロボットなどを活用する
- BIMやCIMを使って設計作業を効率化させる
- クラウドツールを使って勤怠管理や情報共有を容易にする
近年の建設業ではi-Constructionと呼ばれる、ICT技術を建設現場へ導入することを促進しています。
たとえばドローンによる測量やAIロボットによる作業支援があれば、重い資材の運搬や稼働が必要だった作業を短縮できます。
さらに、BIMやCIMを使って設計段階で3次元データを活用できるようになれば、設計内容が決まったあとの工程の生産性向上につながります。
また、勤怠管理や情報共有の効率化など、基本的な業務の効率化には、クラウドツールの活用が効果的です。
クラウドに勤怠データや施工図、設計図などの情報を全て取り込んでおくことで、本社の管理者は随時労働実態を把握できますし、工事現場では作業員同士の情報共有がスムーズになります。
さらにクラウドツールを介して、書類作成や申請手続きといった事務作業の効率化ができれば、ムダな残業時間を削減できるでしょう。
まとめ
今回は、建設業の残業時間について、2024年4月から施行された罰則つきの時間外労働に関する上限規制の概要や、建設業で行われている働き方改革や残業時間を減らすための対策を紹介しました。
建設業は他の業界と比較しても残業時間が多い業界です。
政府が定めた規定に従って、建設業でも積極的な残業時間の削減が求められるでしょう。
残業時間を減らすには、AIやロボットの活用で、作業員の作業量を減らす方法も効果的ですが、根本的な業務量の超過を解決するにはクラウドツールなどを活用した業務効率化がおすすめです。
PRODOUGUを活用すれば、従来までは書類を印刷・配布して実施していた業務をタブレットやスマートフォンで対応できるようになります。
さらに電子小黒板に対応しているため、工事写真の撮影などの業務も道具なしで行えるようになるかもしれません。
ツールを導入するだけで、業務量が通常よりも減り、残業時間を削減できるでしょう。
クラウドツールなどを活用して業務の効率化につなげたい人や、残業時間を減らしたいと考えている人は、ぜひPRODOUGUの導入をご検討ください。
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