情報化施工とは?ICT施工との違いや取り組みの推移、デジタル技術を取り入れるメリットを詳しく解説
2024/02/07
近年の建設業では、ICT技術を活用した機械の導入やツールの活用が増えてきました。
当時はICT技術を取り入れて建設業の活性化を目指す取り組みのことを、情報化施工と言っていたのを知っていますか?
今回は情報化施工という考えが普及した経緯やICT施工との違い、ICT技術を取り入れるメリットを解説します。
自社でICT技術の導入を検討している人や、情報化施工について詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。
情報化施工とICT施工の関係性を分析
情報化施工という言葉はあまり聞かないけれど、最近「ICT」という言葉をよく聞くようになった、という人もいるのではないでしょうか。
情報化施工とICT施工はどちらも建設業で目指すべき将来に向けた施工方法の手段を指します。
ここでは情報化施工とICT施工についての概要や違いを解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
情報化施工とは?
情報化施工は、建設工事においてデジタル情報を活用する手法です。
具体例を挙げると、BIMやCIMを使った3D設計の手法やクラウドを活用したプロジェクト管理などです。
情報化施工のツールを導入することで、設計ミスの削減や施工手順の最適化、リアルタイムな情報共有が実現するといわれています。
ICT施工とは?
ICT施工は、情報通信技術(ICT)を駆使して建設プロセスを最適化する手法です。
具体的には、ドローンやセンサーを用いたデータ収集や分析などです。
現場の情報をリアルタイムで共有すれば、測量や施工管理など幅広い作業をリモートで実施できるようになるかもしれません。
情報通信技術の発達に伴って、徐々に活動領域が拡大している手法といえるでしょう。
情報化施工とICT施工の違いとは?
情報化施工とICT施工は、似ているようで異なるポイントがいくつかあります。
具体的な違いは以下の表にまとめました。
情報化施工 | ICT施工 | |
---|---|---|
焦点を当てる場所 |
データの効果的な活用 設計や進捗管理のデジタル化など |
情報通信技術 センサーやネットワークを通じたリアルタイムなコミュニケーション |
活用する技術 | BIM/CIM、デジタルツイン、クラウドベースの工事管理ツール | ドローン、センサー、IoTデバイス |
活動領域 | 設計・プロジェクト管理 | 現場のモニタリング・データ収集・センサーによる状態監視 |
目的 | 工事のデジタル化により、品質向上・業務効率化を図る | リアルタイムな情報収集や通信技術を活かし、作業効率や安全性の向上を図る |
たとえば、情報化施工ではBIMやCIMを使った3Dモデリングによって施工内容を可視化できる将来が期待されており、ICT施工ではドローンやセンサーが現場の状態をリアルタイムで把握し、安全性を確保できる未来を目指しています。
情報化施工とICT施工はデジタル技術を活かす点では共通しつつも、焦点や具体的な技術や活動領域において異なるアプローチを取っていることがわかります。
情報化施工のこれまでの取り組みの経緯を解説
現在では、情報化施工という言葉だけでなく、建設業のICT化などの言葉もよく聞くようになっていますが、いつから情報化施工の取り組みが進められてきたのでしょうか。
ここでは2000年代から始まった情報化施工の取り組みを時系列で解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
情報化施工という言葉の登場|2000年代
情報施工という考え方のきっかけになったのは、1970年代に始まった製造業の産業ロボット導入です。
特に自動車業界では、 CADデータを入力して作業装置を制御する方法が既に実用化されていました。
1980年代には建設業でもロボット技術の開発が進められましたが、屋外での利用の難しさや情報通信技術の未発達、費用面の問題などの課題がありました。
その後もさまざまな取り組みが行われ、2001年には国土交通省が「情報化施工のビジョン-21 世紀の建設現場を支える情報化施工-」を策定します。
産学官の連携のもと情報化施工の普及や促進が進むきっかけになっています。
国土交通省による情報化施工の推進がスタート|2008年
2008年には、国土交通省による情報化施工の推進が本格化し、業界全体での取り組みが始まりました。
ブルドーザや油圧ショベルに位置計測技術や3次元設計データを搭載したICT 建設機械の認知度が高まり、利用環境の整備が進んでいます。
他にも、BIMやCIMなどの3Dデータを活用した設計技術の利用促進や電子入札システムの導入なども進展しました。
政府が業界全体のデジタル技術導入を奨励したことで、建設業全体の工事の生産性向上にも貢献しています。
国土交通省によるi-Constructionの策定|2016年
2016年には、国土交通省がi-Constructionと呼ばれる新たなガイドラインを策定し、デジタル技術の更なる普及を促進しました。
i-Constructionとは建設現場にICT技術を積極的に活用しようとする取り組みのことです。
情報化施工では、「施工分野」に注目していましたが、i-Constructionの査定によって「ICT施工」として建設業の全ての工程におけるデジタル技術の活用が推進されています。
i-Constructionは全国的に導入が進み、 現場でのスマートフォン活用やデータ連携などクラウドベースのデジタル技術の活用も普及しました。
今後のi-Constructionは3D活用が鍵|2025年
2025年には、i-Constructionがますます進化し、3D技術やデジタル技術の活用がさらなる注目を集めることが予測されています。
具体的な例を挙げると、空間認識技術の進歩により、建設プロセス全体を立体的に可視化することが期待されます。
ドローンやVR・AR技術の導入が一層進展し、リモートでの建設工事の実施が可能になる未来も来るかもしれません。
情報化施工による3つの方面からの
メリットを解説
情報化施工はインフラを利用する国民や工事を担当する建設会社、工事を依頼するクライアントそれぞれにメリットを与えます。
具体的なメリットを以下の3つに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
公共構造物の品質が向上する
建設業におけるデジタル技術の導入は、国民にとっても大きなメリットになります。
情報化施工において、BIMやCIMの活用が進めば、従来よりも精密な設計と施工が可能です。
建築プロジェクトの全体像を、デジタル技術を使ってモデリングすることで、建物の品質向上が期待できます。
設計時に示したデータに基づき、データを活用して誤差を最小限に抑えることで、国民が安心して使用できる高品質な公共構造物が実現するでしょう。
作業効率や安全性が向上する
工事を実施する作業員や建設業者の目線で見ると、情報化施工は作業効率や安全性の向上に役立ちます。
たとえばICT施工の一環として、現場の作業員とリアルタイムの調整ができるようになれば、工事の遅れやトラブルが発生した際もすぐに次の作業に移ることが可能です。
さらに、怪我や事故の多かった建設現場の作業にロボットが導入されることで、危険な作業をロボットに任せることができ、作業員の業務効率化にもつながります。
人材不足が懸念されている建設業ですが、情報化施工の発展によっては人材不足の解消や技術の伝承にも役立つでしょう。
監督・検査作業が楽になる
デジタルデータの活用は、工事を依頼した発注者側にもメリットがあります。
従来は紙の書類や目視での検査・監督をすることで建設物のチェックを行っていましたが、デジタル技術を活用すれば監督・検査作業を効率的かつ容易に行えるようになります。
リアルタイムで工事の進行状況をモニタリングできれば、必要な検査や監督の手間も省けるかもしれません。
管理やチェックに割くべき人材を削減できるため、余った人材を別の事業に活かすこともできるでしょう。
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まとめ
今回は、情報化施工についてICT施工との違いや情報化施工の取り組みの推移、おすすめのツールを解説しました。
情報化施工やICT施工を活用することで、建設業の人材不足や3Kといった悪いイメージの改善にも役立つでしょう。
情報化施工としてICT技術の活用を検討している人は、自社の課題を分析して何から始めるべきかを考えることが大切です。
徐々にICT技術の活用を広げていきたい人は、まずはデータ連携やクラウドベースのデジタルツールの導入がおすすめです。
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