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介護報酬の減算が開始|報酬改定の背景と減算方法を解説

2024/07/26

防災

介護報酬の減算が令和6年4月から始まりました。
この改定は介護サービスの質の向上と効率化を目指す一方で、事業者にとっては大きな影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、介護報酬の仕組みから令和6年度の減算の内容、そして減算の背景までを詳しく解説します。

介護報酬とは、介護サービス提供事業者が受け取る対価のことですが、今回の改定では一部サービスで減算が行われることが決まりました。

  • なぜこのような変更が行われたのか
  • どのようなサービスが対象となるのか
  • そして減算を算定していない場合はどうなるのか

介護報酬の改定内容を理解し、適切な対応をするために参考にしてください。

介護報酬の仕組み

介護報酬とは、介護保険事業者が利用者に提供した介護サービスに対して支払われる対価です。

介護サービスの種類、要介護度、事業所の所在地などに応じて、厚生労働大臣が定めた基準に基づいて算定されます。

介護報酬は、大きく分けて以下の3つの要素で構成されています。

単位数 各サービスに定められた単位数。サービス内容や利用者の状態によって算定される。
単価 国が定める基準に基づき、地域ごとに算定される単価。
加算・減算額 サービス提供体制や利用者の状況に応じて加算・減算される額。

介護報酬は以下の式で算定されます。

  • 介護報酬=単位数×単価+加算額-減算額

単位数×単価で算出されたものが、基本報酬です。

介護報酬は、介護保険制度の運営を支える重要な役割を担っており、介護サービスの質の向上や利用者の負担軽減に大きく影響します。

基本報酬と加算・減算の役割

介護報酬は、大きく「基本報酬」と「加算・減算」の2つに分けられます。

基本報酬は、介護サービスの種類や提供時間、利用者の状態などに応じて算定される標準的な報酬です。

具体的には、訪問介護であれば「訪問介護項目」、通所介護であれば「通所介護項目」のように各サービスに定められた項目に基づいて算定されます。

一方、加算・減算は、基本報酬に上乗せしたり、減額したりするもので、サービスの質や利用者の状態、施設の状況などを考慮するために設けられています。

  • 加算(夜間加算、早朝加算、特定施設加算、特定疾患加算など)
  • 減算(運営基準違反減算、虐待防止措置不備減算、時間外サービス提供時間制限減算など)

基本報酬と加算・減算は、介護サービスの質や利用者にとっての適切性を評価し、適切な報酬を算定するために定められています。

令和6年度介護報酬改定における減算

令和6年4月1日より、介護報酬の大幅な改定が実施されました。
本改定では、サービスの質向上や効率化を目的としたさまざまな介護報酬の減算が設けられました。

介護報酬改定は、介護保険制度の持続可能性を確保するために必要な措置です。 関係者全員が協力し、円滑な実施に向けて取り組んでいくことが重要です。

令和6年度介護報酬改定について」の具体的な内容は、厚生労働省のホームページで確認してください。

主な減算項目

令和6年度介護報酬改定の主な減算項目は以下の通りです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

定員超過利用減算

定員超過利用減算は、通所介護だけではなく、通所リハビリテーションや短期入所介護など、幅広い事業所が対象となります。

減算額は、利用者全員分の基本報酬が30%減額されます。

定員超過利用減算の算定方法は以下のとおりです。

算定要件 月々の利用者をサービス提供日数で割り、平均利用人数が登録定員を超えていること
単位数 所定単位数×70/100(30%減額)
対象者 事業所が提供する介護サービスの利用者

定員超過利用減算は、月々の状況で算定されます。
つまり、一時的に定員を超えた場合でも、翌月には解消される可能性があります。

ただし、2ヶ月以上連続して定員を超えた場合は、市町村長による指導を受ける可能性があるため、注意が必要です。

さらに、悪質な違反が繰り返された場合は、事業所の指定取り消しにつながる可能性もあります。

運営基準・人員基準などの遵守状況に応じた減算

令和6年度介護報酬改定では、運営基準・人員基準などの遵守状況に応じた減算が導入されました。

これは、居宅介護支援事業所や訪問介護事業所、通所介護事業所などが、運営基準や人員基準などを遵守していない場合に、介護報酬を減算する仕組みです。

減算の対象となる項目は、事業所の種類やサービス内容によって異なりますが、主な内容は以下のとおりです。

運営基準遵守状況
  • 運営基準に定められた事項を遵守していない場合
  • 書類の不備や情報の漏洩などがあった場合
人員基準遵守状況
  • 必要とされる職員数が不足している場合
  • 職員の資格要件を満たしていない場合

運営基準・人員基準などの遵守状況に応じた減算は、介護事業所の適正な運営を確保し、利用者への質の高いサービス提供を推進するための一環として定められています。

高齢者虐待防止措置未実施減算

高齢者虐待防止措置未実施減算とは、高齢者虐待の発生・再発防止に向けた措置が講じられていない場合に、報酬を減算する制度です。

令和6年度の介護報酬改定で新設されました。
この減算は、介護事業所が虐待防止のための必要な措置を講じていない場合に適用されます。

具体的には、以下のいずれかが欠けている場合に適用されます。

  • 虐待防止委員会の定期開催
  • 防止指針の整備
  • 定期的な研修実施担当者の配置

これらの対策を実施していないことが判明した場合、利用者全員分の報酬から、所定単位数の1%が減算されます。

減算は、事業所が改善計画を提出・実行し、都道府県知事から改善が認められた月まで継続されます。

介護報酬の減算の背景

介護報酬の減算の背景には、日本の高齢化社会での介護保険制度の持続可能性確保があります。

高齢者人口の増加に伴い、介護サービスの需要と費用が年々上昇しています。
この状況下で、限られた財源を活用し、サービスの質を維持・向上させることが介護事業の課題です。

また、一部の事業所による過剰なサービス提供や不適切な運営実態も問題視されてきました。

これらの課題に対応するため、介護報酬の適正化と適切なサービス提供体制の構築を目指して、減算制度が導入されました。

介護報酬の減算の目的

介護報酬の減算の主な目的は、介護サービスの質の向上と効率化の促進にあります。
具体的には、以下の3点が挙げられます。

サービスの適正化 不適切なサービス提供や過剰なサービス利用を抑制し、真に必要な介護サービスを適切に提供する
経営の効率化 介護事業者に対して、効率的な運営を促すことで、限られた財源の中で持続可能な介護システムを構築する
利用者負担の軽減 不要なサービスを削減し、利用者の自己負担額を抑え、必要な介護サービスを受けやすくする

介護報酬の減算は、介護事業所にとって厳しい措置となる場合もありますが、利用者にとって質の高い介護サービスの提供と、介護保険制度の持続可能性の確保に不可欠な仕組みです。

減算を算定していない場合

介護報酬の減算を算定していない場合、以下の3つのリスクが生じます。

法令違反による厳しい措置

介護報酬の不正請求は、介護保険法違反となり、行政処分を受ける可能性があります。

故意性の程度によって、改善勧告、改善命令、さらには最悪の場合、事業所の効力停止や指定取消処分に繋がることもあります。

事務的負担の増加

減算を算定せずに報酬を受け取った場合、過剰に受け取った分の返金や、正しい減算後の報酬の請求など、膨大な事務作業が発生します。

さらに、利用者への説明や領収書の再発行、差額の調整といった対応も必要となり、時間的にも労力的にも大きな負担となります。

利用者からの信用失墜と事業継続

減算を算定していないことが発覚した場合、利用者からの信頼を大きく損ない、事業継続の危機に繋がる可能性があります。

たとえ故意ではなく、うっかりミスであっても、 事業所の信用を失ってしまうことにつながります。

まとめ

本記事では、介護報酬の仕組みや令和6年度の介護報酬改定における減算、その背景を解説しました。

介護報酬の減算は、介護保険制度の持続可能性を確保し、サービスの質を向上させるために導入されています。

介護報酬の減算項目を理解し、適切な請求をしなければなりません。

減算の算定をせずに報酬請求している場合は、最悪の場合は行政処分を受ける可能性もあるため注意してください。

また、令和6年4月1日からは介護事業者でのBCP(事業継続計画)の策定が義務化されました。

これは、災害や感染症などの緊急事態でも、介護サービスを継続して提供できる体制を整えるために策定されたものです。

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