自治体のBCPとは?策定手順と災害時に行政機能を守るための基本ポイント
2025/07/31
大規模災害や感染症の発生時でも、行政サービスを継続して住民を支えるために必要なのが、自治体自身のBCP(業務継続計画)です。
BCPとは、災害などの緊急時に「どの業務を優先し、誰が何を担うのか」をあらかじめ定めておく計画のことです。
住民の命や生活を守る役割を担う自治体にとっては、単なる備えではなく責任としての位置づけが求められています。
この記事では、自治体BCPの基本的な意味や目的から、民間企業との違い、策定時に必要な要素、見直しや訓練のポイントまでを具体的に解説します。
自治体のBCP策定・改善する際に、ぜひ役立ててください。
自治体のBCPの役割
災害や感染症などの緊急事態でも、行政サービスを止めずに提供し続けるためには、自治体自身の業務継続体制BCP(Business Continuity Plan)の整備が欠かせません。
特に、地域住民の安全と生活を守る立場にある自治体にとって、BCPは「備え」ではなく「責任」です。
ここでは、自治体のBCPの定義や目的、民間企業との違いを整理しながら、その社会的な役割を明確にしていきます。
自治体におけるBCPとは何か?その意味と目的
BCP(業務継続計画)は、自治体が災害や緊急事態発生時にも行政サービスを中断させず、迅速かつ的確に住民対応を行うための「事前準備」の仕組みです。
なぜなら、災害時には避難所の開設、物資の供給、医療支援、情報提供などが、通常の業務よりも優先されるからです。
緊急時の局面で、事前に体制・役割・優先業務を明確にしておくことで、混乱や業務の停滞を最小限に抑えることができます。
例えば、実際の多くの自治体では、職員の参集体制や代替庁舎の確保、非常用物資の備蓄、ICTの活用までを含めたBCPを策定しています。
総務省の調査によると、令和3年度の時点で97.2%の自治体がBCPを策定済と報告しており、今や標準的な備えとして社会的にも位置づけられています。
BCPは単なる防災マニュアルではなく、「行政機能の維持によって住民を守る」ための基本計画です。
住民の命と生活を守るため
自治体のBCPにおける最大の目的は、非常時でも住民の命と生活を守る体制の確保です。
災害や感染症が発生すると、避難誘導・安否確認・医療支援・生活物資の配布など、自治体の担う役割は一気に膨れ上がります。
緊急の状況で職員が混乱せずに動けるよう、BCPには「優先業務の明確化」「職員参集体制」「避難所運営フロー」などが盛り込まれている必要があります。
例えば、2024年元旦に発生した能登半島地震では、被災地の自治体が避難所の即時開設や、住民の安全確保に向けた調整に追われました。こうした場面では、BCPで事前に整理された体制や連絡ルールが実行力を発揮します。
BCPは、災害時に「何を・誰が・いつ・どう対応するか」をあらかじめ明確にし、住民に必要な行政サービスを中断なく提供し続けるための実務的な支えにもつながります。
法令・ガイドライン・社会的責任への対応
自治体のBCPには、法律やガイドラインの遵守と、公共機関としての社会的責任に応える役割があります。
災害や感染症といった緊急時でも、住民の生活を守るために行政機能を維持し続けることが、法的にも社会的にも求められているからです。
例えば、内閣府が策定した「市町村のための業務継続計画作成ガイド」では、首長や各部門が担うべき役割、優先業務の明確化、代替手段の準備など、BCPに盛り込むべき要素が詳細に定められています。
災害対策基本法や地方自治法などにもとづき、自治体は住民の安全確保や災害対応の指揮を担う立場にあります。
BCPの策定は単なる業務マニュアルではなく、法令を履行し、住民の信頼を守るための必須プロセスです。
民間企業とのBCPとの違い
自治体のBCPは、民間企業のBCPと比べて目的・体制・求められる範囲に大きな違いがあります。
なぜなら、自治体は営利目的ではなく、公的責任のもとで災害時も地域住民の命や生活を守ることが求められているからです。
民間企業との主な違いをまとめると、以下のとおりです。
| 項目 | 自治体BCP | 民間企業BCP |
|---|---|---|
| 目的 |
|
|
| 優先業務の性質 |
|
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| 利用者 |
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|
| 指揮命令体制 |
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| 公開性・説明責任 |
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上記のように自治体のBCPは、公共性の高さゆえに、民間企業とは異なる設計と対応が必要です。
ガイドラインや法令に沿って策定・見直しを行い、災害発生時に確実に機能する体制を構築する必要があります。
BCPに盛り込むべき主要要素
自治体のBCPでは、災害や緊急事態が発生しても行政機能を維持し、住民の命と生活を守るために、「何を優先し、どう対応するか」をあらかじめ明文化しておく必要があります。
特に、首長や職員の参集体制・代替庁舎の確保・非常用物資やインフラの整備・情報のバックアップ体制など、災害時でも機能を保つための要素を具体的に盛り込んでおかなければなりません。
ここでは、自治体のBCPに盛り込むべき主要な要素を紹介していきます。
参照:内閣府「市町村のための業務継続計画作成ガイド」
首長不在時の対応と職員参集体制の明確化
BCPには、首長不在時の職務代行順位と職員の参集体制を明確に定めておく必要があります。
なぜなら、災害発生時は、意思決定のスピードと正確さが初動対応の成否を左右するからです。
首長が不在の場合に備え、職務代行者の順位や運用ルールをあらかじめ定めておかなければなりません。
例えば、以下のような対応が推奨されています。
- 職務代行者を第3順位まで明記し、出張スケジュールなどで重複がないよう調整
- 地域防災計画やBCP本文に記載し、全職員に文書で周知
- 年1回の人事異動にあわせて参集体制を見直す
職員の参集体制も災害の規模や状況に応じて段階的に整備しておかなければなりません。
地震や台風などの災害発生時には、フェーズごとの対応ルールの明記が必要です。
- 震度5強や津波警報 → 警戒体制(特定部署が参集)
- 震度6弱以上や大雨特別警報 → 非常体制(全課・全職員が参集)
職務代行と参集体制は、BCPのなかでも初動対応の重要な要素です。災害時に「誰が指揮を執り」「どの部署が動くか」を迷わず実行できるよう、平時から備えておきましょう。
代替庁舎の確保と可用性の検討
本庁舎が使用できない事態に備え代替庁舎をあらかじめ特定しておくことは、自治体BCPでは重要な備えの一つです。
なぜなら、大規模災害では、地震による建物の損壊だけではなく、津波や火災、液状化などによって庁舎内での業務遂行が困難になるケースが多く見られるからです。
特に、耐震基準を満たしていても業務継続に支障が出る場合があることが、過去の災害で明らかになっています。
そのため、BCPでは以下のような観点から代替庁舎を選定・検討しておくことが求められます。
- 被害想定やインフラ状況を加味して候補を絞り込む
- 候補ごとに、可用性(耐震性・非常用発電機・燃料・備蓄体制など)を確認・整理しておく
- 本庁舎と同時被災の可能性が低い場所を優先
- 複数の代替候補を持ち、災害の状況に応じて柔軟に使い分けられる体制を構築
庁舎の被災を想定した災害対策本部設置訓練などを行い、現実的に代替庁舎が機能するかも事前に確認しておくと、実効性の高いBCPにつながります。
災害は想定外の事象を伴うことが多いため、庁舎自体を使えないものとして想定したうえでの準備が、行政機能を維持するうえで極めて大切です。
非常用物資とインフラの確保
災害時でも行政サービスを継続するためには、電気・水・食料・トイレなどの非常用物資と、これらを支えるインフラを平時から確保しておく必要があります。
災害により外部からの供給が途絶えたり、庁舎の設備が使用不能になる事態が十分に想定されたりするからです。
たとえ非常用発電機があっても、燃料の備蓄がなければ機能せず、職員の生活を支える物資が不足すれば、災害対応にも深刻な支障が出るおそれがあります。
そのため、以下のような備えが推奨されています。
- 非常用発電機の整備と、最低3日〜1週間分の燃料備蓄
- 電力供給先の明確化(災害対策本部・通信機器・ネットワーク機器など)
- 全職員分の水・食料・仮設トイレ(簡易・携帯)の備蓄
- 消耗品(コピー用紙・トナーなど)の必要量の確認と平時からの在庫管理
- 燃料や物資は事業者との協定締結により、災害時の供給体制を確保
電力供給に関しては重要機器に限られる場合が多いため、優先順位や切り替え体制を定めておくことも必要です。
非常時に必要な物資とインフラを事前にリストアップし、備蓄状況や調達手段を整えておくことで、発災後の混乱を最小限に抑え、職員の安全と行政機能の維持につなげることができます。
通信手段の多重化で情報断絶を防ぐ
災害時に情報伝達が途絶えないよう、複数の通信手段の確保も必要です。
地震・水害・停電などの影響により、固定電話や携帯電話が使用できなくなる場合があるからです。
通信手段が一元化されていると、断線や通信の混雑(輻輳)により連絡不能となり、迅速な災害対応が困難になります。
そのため、以下のような多重的な通信手段の確保が求められています。
- 衛星携帯電話、防災行政無線(移動系)、災害時優先電話などの導入
- MCA無線、アマチュア無線、公衆電話の活用も検討
- ネット環境が生きていれば、SNSやメール、専用クラウドシステムも連絡手段に活用可能
- 通信機器の使用訓練や、定期的な機器点検の実施
- 電源供給対策として、ポータブル発電機やUPS(無停電電源装置)の整備も重要
連絡体制図や緊急連絡先リストの更新も必要です。誰がどの手段で、どの優先順位で連絡をとるのかを明文化し、庁内で共有しておくことが、災害時の混乱を防ぐことにつながります。
多様な通信手段を平時から準備・訓練しておくことで「伝わらない・つながらない」状況を回避し、迅速で確実な災害対応につなげることが可能になります。
重要な行政データのバックアップと復旧体制
災害時でも行政業務を止めないためには、重要な行政データのバックアップと迅速な復旧体制の整備が欠かせません。
なぜなら、自治体の持つ住民基本台帳や介護・福祉関連データなどは、災害対応や復旧活動に直結する情報であり、失われた場合の影響が大きいからです。
内閣府の「市町村のための業務継続計画作成ガイド」では、次のような対応が求められています。
| バックアップ対象の明確化 | 住民基本台帳、外国人登録、介護・障害者情報、契約・支払い記録など |
|---|---|
| 媒体と保管場所の分散 | 紙と電子の両方でバックアップし、同一建物内に集中しない場所に保管 |
| 定期的な複製と訓練 | 月1回のデータ複製と、代替PCでの復旧訓練の実施 |
| クラウドサービスの活用も検討 | データ復旧に必要な仕様書や図面の保管も忘れずに |
例えば、バックアップデータを庁内金庫に保管しているだけでは、建物倒壊や立入制限時にアクセスできなくなるリスクがあります。庁外・別拠点への保管や、クラウドへの自動バックアップの導入も、実効性を高める工夫です。
行政データの保全は、自治体の「機能」を守る対策です。適切なバックアップと復旧体制が整っていれば、被災直後でも住民支援や復旧業務をスムーズに進められるでしょう。
非常時優先業務の整理と役割の明確化
災害時にも行政機能を維持するためには、あらかじめ優先すべき業務と、その役割分担を明確にしておく必要があります。
なぜなら、大規模災害の発生直後は通常業務が困難になる中で、限られた人員・設備で対応しなければならず「今すぐやるべき業務」を誰が担うかが曖昧だと、混乱や遅れが生じてしまうからです。
実際、「市町村のための業務継続計画作成ガイド」では次のような整理が推奨されています。
| 優先業務をフェーズ別に 分類 |
A:発災直後(避難指示・庁舎被害確認・災害対本部設置など) B:概ね3日目まで(罹災証明準備・応援職員受入・廃棄物対応など) C:1週間まで(住民台帳・復旧業務・生活再建支援など) |
|---|---|
| 業務ごとの担当部署や 対応内容を具体的に記載 |
各課や班の名称とともに、必要な人員・連携体制も併せて整理 |
| 実施可能性の検証 | 参集可能な職員数に見合った業務量かを時間帯ごとに試算・調整 |
例えば、災害対策本部の立ち上げや避難所開設などは初動で必須の業務ですが「誰が指示し、誰が動くのか」が事前に整理されていなければ、実際には動けないケースも少なくありません。
優先業務と役割分担を時系列で可視化し、関係者が共通認識を持っておくことで、被災直後の混乱を最小限に抑え、住民対応の精度とスピードを高めることができます。
自治体のBCP策定の主な流れ
BCPは、策定して終わりではなく、「実効性」と「継続性」が問われる計画です。特に自治体の場合は、災害時にも行政機能を維持し、住民の命や生活を守るため、あらゆる状況を想定した現実的な設計が求められます。
ここでは、自治体のBCPを実効性の高いものとするための、基本的な策定ステップを紹介します。
リスクと被害想定の洗い出しから始める
BCPを作成するためには、自治体の業務に影響を及ぼすリスクを洗い出し、被害の想定を明確にする必要があります。
どのような被害が発生しうるかを正確に把握しなければ、実効性のある対策や優先順位を決めることができないからです。
具体的には以下のようなリスクの整理が求められます。
- 地震、風水害、津波、火災、感染症などの自然災害や公衆衛生リスク
- 停電や通信障害、庁舎の使用不能などインフラ系のリスク
- 首長や職員の不在、参集困難による指揮系統の混乱
- 行政データの喪失や復旧遅延による業務停止
- 優先業務を明確化する
さまざまなリスクに対し「どのような影響が出るか」「どの資源が不足するか」「業務継続が困難になるのはどの部門か」など、被害の具体的なシナリオを想定し、可視化しておきましょう。
あらかじめリスクと被害を想定しておけば、平時の備えだけではなく、発災直後の判断や行動にも迷いがなくなり、被害の最小化につながります。
指揮命令系統と代行体制を整備する
BCP策定の際は、災害発生時でも意思決定が滞らないよう、指揮命令系統と職務の代行体制を明確に定めておかなければなりません。
災害時には首長や幹部職員が不在・参集困難になるケースも想定され、迅速な対応が遅れると被害拡大につながってしまうからです。
具体的には、次のような体制整備が求められます。
- 首長不在時の代行順位の明確化(第1順位〜第3順位まで)
- 災害ごとの参集基準(震度・警報レベルごとの非常体制・警戒体制)
- 参集体制の周知と定期的な見直し(人事異動時など)
- 出張や不在時の代行ルール運用の整備
BCPにおける指揮命令体制の明文化は、発災直後の混乱を抑え自治体の機能停止を防ぐ重要なポイントです。想定されるシナリオをもとに、複数の代行パターンを設け、確実に運用できる体制を整えておくことが求められます。
庁舎・システムの代替手段とICT活用を検討する
災害時に本庁舎や基幹システムが使用不能になる事態に備え、代替手段とICTの活用をあらかじめ検討しておく必要があります。
自治体自体が被災した場合、行政機能が完全に停止してしまうと、避難所運営や物資配布や住民対応などの基盤業務が行えなくなるからです。
具体的には、次のような備えが必要とされています。
| 庁舎が使用できない場合の 代替庁舎候補の明確化 |
|
|---|---|
| 災害時でも運用可能な 通信・情報システムのバックアップ体制 |
|
| 庁舎の被災を前提とした 仮設対策本部や業務継続手段の検討 |
|
「市町村のための業務継続計画作成ガイド」でも「本庁舎が新耐震基準であっても使用継続が保証されるものではない」とされており、津波や火災、停電など複合的な被害を想定した計画が求められます。
庁舎とICTの「代替性」と「冗長性」を確保しておくことで、発災時にも主要業務を止めない自治体BCPが実現できます。
訓練・検証で実効性を高める
BCPは策定して終わりではなく、定期的な訓練と検証を通じて実効性を高めていかなければなりません。
災害発生時に計画通りに動けるかどうかは、日頃からの習熟と実地での確認にかかっているからです。
「市町村のための業務継続計画作成ガイド」でも「BCPは計画と実行の繰り返し(PDCAサイクル)によってこそ機能する」とされており、以下のような訓練・点検が推奨されています。
| 実効性向上のために行うべき訓練・検証の具体例 |
|---|
|
訓練を継続的に行うことで、職員の対応力と組織全体のBCP運用力が強化され、実際の災害時にも混乱を最小限に抑えることができます。
BCPを定期的に見直と継続的に改善する
自治体のBCPは、定期的な見直しと改善によって、常に実効性を保つ必要があります。
災害リスクや体制・設備などの環境は年々変化し、策定時の前提条件が陳腐化する可能性があるからです。
例えば、次のようなタイミングでの見直しが必要です。
- 大規模災害や感染症発生直後
- 新施設の導入や庁舎の改修
- ICT機器・通信手段の更新時
- 国や都道府県のガイドライン・制度改定時
上記のようなタイミングで実施内容の効果検証・新たな課題の抽出・対策のアップデートを行うことで、BCPの現実適応性が維持されていきます。
一度策定したBCPも「使える状態」に保ち続けることが、自治体の持続的な災害対応力を支えるためには必要です。
参考になる自治体のBCP事例
自治体のBCPは、理論だけではなく「どう実行するか」が問われる実務計画です。
とはいえ、ゼロから計画を練り上げるのは難しいと感じる自治体職員の方も多いのではないでしょうか。
そこで参考になるのが、実際に災害対応や体制構築を進めた自治体の先行事例です。
ここでは、内閣府が紹介するBCP実践例の中から、他自治体でも応用しやすい事例を紹介していきます。
参照:内閣府「大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き|事例集(対策準備編)」
堺市の「災害タイムライン」整理による業務可視化
堺市では、災害対応を「大規模・中規模・小規模」の3段階で想定し、それぞれの状況における非常時優先業務を整理しています。
この業務の選定にあたっては、平常時の業務を、A(継続)・B(縮小継続)・C(休止)の3ランクに分類し、「中断が可能かどうか」の基準で優先業務の選定を実施しています。
さらに、各局・各区の総務課とのヒアリングを通じて連携を図りながら、「災害対応タイムライン・シナリオ」として統一フォーマットで情報を整理しました。
このタイムライン・シナリオは危機管理室で一元管理されており、災害フェーズごとの全庁的な対応状況を把握しやすくなっています。
また、人事異動や組織改正のタイミングで見直しを行うことで、職員の意識向上や組織内での定着にもつながっています。
多摩市の「テレワーク時代の参集基準」再設計
多摩市では、感染症拡大により在宅勤務者が増加したことを受け、災害発生時における参集体制の見直しを実施しました。
特にテレワーク実施者に関しては、震度ごとの基準に応じた参集するルールをあらかじめ確認・整理し、非常時の対応を明確化しています。
合わせて、非常時優先業務の見直しも進め、在宅勤務で担っていた業務の多くが緊急時には停止可能であることを明確化しました。
これにより、業務継続の観点からも合理的な人員配置と優先順位づけが可能となり、災害対応体制の強化につながった事例です。
浦安市の「民間コールセンター活用」事例
浦安市では、災害時の市民からの問い合わせ対応を民間の災害コールセンターに委託しています。
発災直後には地震や避難所に関する情報を、復旧フェーズではライフラインや交通機関に関する情報を、24時間体制で提供しています。
住民からの問い合わせの一次対応を民間が担うことで、市職員は初動対応や避難所運営といった優先業務に専念できる体制が整いました。
この取り組みにより、情報提供のスピードと正確性を担保しながら、行政内部のリソース配分を保ちつつ、民間との役割分担による新たな災害対応のモデルが示されました。
まとめ
自治体のBCPは、災害や感染症といった緊急時にも行政機能を維持し、住民の命と生活を守るための重要な仕組みです。策定自体が目的ではなく「実際に使えるかどうか」が問われます。
そのためには、非常時の優先業務や指揮系統、物資・庁舎・通信手段・データ復旧の体制までを現実的に整備し、定期的な訓練や見直しを通じて継続的に改善していかなければなりません。
ただし、通常業務に加えてBCPを常に改善していくことは簡単ではありません。
限られた人員の中で、情報共有・安否確認・訓練状況の管理までを手作業で行うには無理が生じやすく、BCPが形骸化してしまうケースも少なくありません。
そんなときに役立つのが、総合防災アプリ「クロスゼロ」です。
クロスゼロなら、安否確認や連絡網、災害時の状況共有、訓練履歴の記録など、BCP運用に必要な要素を一元的に管理できます。
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