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率先避難者とは?|災害時に命を守る「逃げる勇気」と避難3原則を紹介

率先避難者とは?|災害時に命を守る「逃げる勇気」と避難3原則を紹介

2026/01/30

防災

大規模な災害が発生したとき、多くの人が「まだ大丈夫だろう」「みんなが逃げていないから様子を見よう」と考え、避難行動を躊躇しがちです。
この心理的なブレーキを打破し、周囲の人々の命を救うカギとなるのが「率先避難者」の存在です。
本記事では、率先避難者の定義や災害時における重要性、企業や組織での育成方法を「避難3原則」とともに解説します。
東日本大震災における「釜石の奇跡」の事例も交え、逃げる勇気が多くの命を守る理由を紐解きます。

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率先避難者とは何か

率先避難者とは、災害時に周囲の様子を伺わず、自ら率先して避難行動を開始する人のことを指します。
この存在が、多くの命を救う避難行動の起点となります。

率先避難者の定義

率先避難者とは、緊急事態が発生した際に、他人の行動を待たずに自ら判断して避難を始める人のことです。
この行動は、周囲に避難の必要性を認識させ、集団全体の避難行動を促進します。

災害時、人間は本能的に周囲の行動を参考にする傾向があります。
誰も動かなければ「まだ安全だ」と判断し、誰かが動けば「自分も逃げなければ」と感じます。
率先避難者は、この集団心理のスイッチを入れる役割を果たします。

東日本大震災では、率先して避難を開始した中学生たちの行動が、小学生や地域住民の避難行動を誘発し、多くの命を救いました。
このように、率先避難者の存在は災害時の生存率に大きく関わる重要な要素です。

災害時に起きる心理的ブレーキ

災害発生時、多くの人が避難行動を躊躇する背景には、いくつかの心理的要因があります。
これらの心理的ブレーキを理解することで、率先避難の重要性がより明確になります。

まず挙げられるのが「正常性バイアス」です。
これは、危険が迫っていても「何とかなるだろう」「ここまでは来ないだろう」と楽観視してしまう心理状態を指します。
日常生活では役立つこの心理が、災害時には避難の遅れを招く原因となります。

次に「同調バイアス」があります。
周囲が避難していないと、自分も避難しなくて良いと判断してしまう心理です。
特に日本人は集団行動を重視する傾向が強く、この心理的ブレーキが強く働くといわれます。

さらに「情報待ち」の心理も避難を遅らせる要因です。
公式な避難指示や詳細な情報を待ってから行動しようとする姿勢は、一見合理的に見えますが、災害時には致命的な遅れとなり得ます。
これらの心理的ブレーキを打破するのが、率先避難者の役割なのです。

率先避難者が重要な理由

率先避難者が災害時に極めて重要な理由は、個人の避難行動が集団全体の避難行動を引き起こす起点となるからです。
1人が率先して避難を開始することで、周囲の人々が「自分も逃げなければ」という判断に至りやすくなります。

災害時の避難行動に関する研究では、周囲の他者の行動が自身の避難開始の意思決定に影響を与えることが確認されています。

つまり、率先避難者が一定数存在すれば、組織や地域全体の避難行動が大きく改善されるのです。

また、率先避難者の行動は避難開始のタイミングを早めます。
災害時には1分1秒が生死を分けることも珍しくありません。
津波警報発令から津波到達までの時間が短い場合、早期の避難開始が生存率に直結します。
率先避難者がいることで、この貴重な時間を有効に活用できるのです。

さらに、率先避難者の存在は組織の防災文化を定着させるきっかけになります。
日頃から「危険を感じたらすぐに行動する」という姿勢を示す人がいることで、組織全体に避難を躊躇しない文化が根付いていきます。
これは訓練や研修だけでは得られない、実践的な防災力の向上につながります。

出典:Kobe University Repository : Kernel「豪雨災害時の避難開始選択における他者避難と人的ネットワークの影響評価」

企業が率先避難者を育てる意義

企業が組織内に率先避難者を育成することには、大きな意義があります。
まず、従業員の生命を守るという最も基本的な責務を果たすことができます。
企業には従業員の安全を確保する安全配慮義務があり、率先避難者の育成はこの義務を実現する具体的な手段となります。

次に、事業継続の観点からも重要です。
災害時に従業員が迅速に避難し、被害を最小限に抑えることができれば、事業復旧に必要な人員を確保できます。
率先避難者がいることで避難開始が早まり、結果として従業員の被災リスクが低減されるのです。

また、率先避難者の育成は組織全体の防災意識を高めます。
管理職やリーダー層が率先避難者としての役割を果たすことで、組織全体に「危険を感じたらすぐに行動する」という文化が浸透します。
これは訓練や研修の効果を高め、実際の災害時に機能する防災体制の構築につながります。

さらに、地域社会への貢献という側面もあります。
企業の従業員が率先避難者となることで、顧客や近隣住民の避難行動も促進されます。
企業が地域の防災力向上に貢献することは、社会的責任を果たすことにもなり、企業価値の向上にもつながります。

率先避難者に求められる災害時の避難3原則

災害時の避難行動を効果的に行うために、3つの重要な原則があります。
これらの原則は、率先避難者が実践すべき基本であり、組織全体で共有することで避難行動の質を高められます。

原則1:想定にとらわれるな

第1の原則は「想定にとらわれるな」です。
ハザードマップや過去の災害データはあくまで参考情報であり、実際の災害は想定を超える可能性が常にあると認識することが重要です。

ハザードマップは過去のデータや地形条件に基づいて作成されますが、気象条件や都市開発の状況によって実際の被害範囲は変わります。
「ここは浸水想定区域ではないから安全だ」という思い込みが、避難の遅れを招くことがあるのです。

東日本大震災では、多くの地域で津波の浸水範囲が想定を大きく上回りました。
「ここまでは来ないだろう」という判断で避難を遅らせた方々の中には、残念ながら命を落とされた方もいらっしゃいます。
想定を絶対視せず、常に最悪の事態を想定して行動することが、率先避難者に求められる姿勢です。

企業においても、BCP(事業継続計画)で想定したシナリオ通りに災害が発生するとは限りません。
想定外の事態が発生しても、柔軟に判断して避難行動を取れる文化を育てることが重要です。
「計画にない事態だから動けない」ではなく、「想定外だからこそ早く動く」という姿勢が求められます。

原則2:最善を尽くせ

第2の原則は「最善を尽くせ」です。
これは、一度避難したからといって安心せず、状況に応じてより安全な場所へ移動し続けるという姿勢を意味します。

災害発生時、最初に避難した場所が必ずしも最も安全な場所とは限りません。
状況の変化に応じて、さらに高い場所、より安全な場所へと移動する柔軟性が生存率を高めます。
一時避難で満足せず、常により良い選択肢を探し続けることが重要なのです。

東日本大震災における釜石の事例では、小中学生は最初の避難場所に留まらず、津波の状況を見て更に高台へと移動しました。
この判断が彼らの命を救ったのです。
避難先で「ここまでくれば大丈夫だろう」と油断せず、最善の安全確保を追求する姿勢が求められます。

企業の防災対策においても、この原則は重要です。
社内の一時避難場所に集まった後も、建物の安全性や周辺の被害状況を確認し、必要に応じて別の場所へ移動する判断が必要になることがあります。
マニュアル通りに動くだけでなく、現場で最善の判断を下す力を従業員に身につけさせることが、率先避難文化の育成につながります。

原則3:率先避難者たれ

第3の原則が、本記事の中心テーマである「率先避難者たれ」です。
周囲が迷っていても、まず自分が避難を開始し、その姿を見せることで周りの避難行動を引き起こすという行動原則です。

この原則が最も重要な理由は、前述した心理的ブレーキを打ち破る有効な手段だからです。
正常性バイアスや同調バイアスによって避難を躊躇している人々に対して、理屈で説得するよりも、実際に避難する姿を見せる方が効果的なのです。

釜石東中学校の生徒たちは、地震発生直後に大声で「逃げろ!」と叫びながら避難を開始しました。
その姿を見た小学生たちや地域住民も避難を開始し、多くの命が救われました。
声をかけることも重要ですが、何よりも「逃げる姿を見せる」ことが、周囲の避難行動を強く促します。

企業においては、管理職やリーダー層が率先避難者となることが特に重要です。
部下は上司の行動を見て判断します。上司が避難を躊躇していれば、部下も動きません。
逆に、上司が率先して避難を始めれば、部下も迷わず後に続きます。組織のリーダーこそが、率先避難者としての役割を果たすべきなのです。

この3つの原則は相互に関連しています。
想定にとらわれず、最善を尽くし、率先して行動する。
これらを実践することで、個人と組織の防災力は大きく向上します。
特に「率先避難者たれ」という原則は、他の2つの原則を実現するための基盤となる、最も重要な行動指針なのです。

率先避難者の具体的な行動モデル

率先避難者になるためには、具体的にどのような行動を取るべきなのでしょうか。
災害時の混乱した状況でも実践できる、4つの行動ステップを紹介します。

危険信号を感じたら迷わず行動する

率先避難者の第1のステップは、危険の兆候を感じた瞬間に、他人の判断を待たずに避難を開始することです。
迷いや躊躇が避難の遅れを招き、生存率を下げる最大の要因となります。

具体的な危険信号としては、以下のようなものが挙げられます。
大きな揺れを感じた時、異常な音(地鳴り、ゴーという音)が聞こえた時、津波警報や避難指示が発令された時などです。
これらの信号を感知したら、周囲の様子をうかがわず、すぐに避難行動を開始することが重要です。

「まだ大丈夫かもしれない」「もう少し様子を見てから」という思考は、正常性バイアスの典型的な現れです。
率先避難者は、このような思考を排除し、危険信号=即避難という条件反射的な行動を取ります。
避難後に「何もなかった」としても、それは避難訓練になったと前向きに捉えることが大切です。

企業においては、従業員が危険を感じた時に躊躇なく避難できる環境を整えることが欠かせません。
「勝手に持ち場を離れてはいけない」「上司の指示がなければ動けない」といった組織文化は、率先避難を阻害します。
危険を感じたら誰でもすぐに避難できる、そしてその判断が評価される文化を育てることが、率先避難者を増やす第一歩です。

周囲に声をかけて避難を誘発する

第2のステップは、避難を開始する際に周囲の人々に声をかけ、避難行動を誘発することです。
「逃げます!一緒に行きましょう」という明確なメッセージが、迷っている人々の背中を押します。

声かけは簡潔で力強いものが効果的です。
長い説明や理由の説明は不要で、「逃げます」「危険です」「一緒に来てください」といった短いフレーズで十分です。
重要なのは、声をかけながら実際に避難する姿を見せることです。
言葉だけでなく、行動で示すことが周囲の避難行動を強く促します。

また、声をかける対象は同僚や家族だけでなく、周囲にいるすべての人々を含みます。
オフィスビルであれば、同じフロアにいる他社の従業員や来客者にも声をかけるべきです。
率先避難者は、自分だけが助かればいいのではなく、周囲の人々も含めて避難させる役割を担っているのです。

企業の防災訓練では、この「声かけ」を明確に組み込むことが重要です。
訓練の際に実際に声を出して避難を呼びかける練習をしておくことで、本番でもスムーズに実行できます。
また、管理職には平時から「いざという時は自分が先頭に立つ」という意識の定着が求められます。

安全確保を継続する

第3のステップは、避難後も安全を確保し続けることです。
これは前述した「最善を尽くせ」の原則を実践するステップでもあります。

一時避難場所に到着した後も、状況を継続的に観察し、必要に応じてさらに安全な場所へ移動する判断が求められます。
避難は「ゴール」ではなく「プロセス」であり、常により安全な状態を追求し続けることが重要なのです。

具体的には、避難先の建物の安全性、周辺の被害状況、二次災害の可能性などを確認します。
津波の場合は、第一波だけでなく第二波、第三波の可能性も考慮し、警報が解除されるまで高台に留まることが重要です。
地震の場合は、余震による建物の倒壊リスクや火災の発生状況を確認する必要があります。

また、避難後は周囲の人々の安全確認も行います。
負傷者や助けが必要な人がいないかを確認し、必要に応じて救助や応急手当を行います。
ただし、自分の安全を確保できていない状態での救助活動は二次災害を招くため、まずは自分の安全を確保できてから他者の支援を行うという原則を守ることが重要です。

企業のリーダー層こそ率先避難者に

第4のステップとして、企業においては特にリーダー層が率先避難者の役割を果たすことが重要です。
管理職や現場責任者の行動が、組織全体の避難行動を左右するからです。

多くの組織では、災害時に管理職が「指示を出す役割」として現場に留まる傾向があります。
しかし、これは率先避難の観点から見ると逆効果です。
リーダーが率先して避難することで、部下は迷わず避難できるのです。

リーダー層が率先避難者となるためには、平時から「危険を感じたら自分が真っ先に逃げる」という意識を持つことが重要です。
「部下を置いて逃げるのは無責任だ」という考えは、実は部下の避難を遅らせる結果につながります。
リーダーが逃げる姿を見せることで、部下も安心して避難できるのです。

また、リーダー層は日頃から避難訓練に積極的に参加し、率先避難者としての行動を実践する姿を見せることが重要です。
訓練の際に真剣に取り組む姿勢を示すことで、組織全体の防災意識が高まります。
リーダーの行動が組織文化を作るという原則は、防災においても同様に当てはまるのです。

率先避難を実践するためには、危険の兆候をいち早く察知し、避難経路や安全な場所を即座に把握することが不可欠です。
総合防災アプリ「クロスゼロ」は、気象庁と連携した地震・津波情報の自動通知や、リスクを可視化するハザードマップ機能を搭載しており、迷いのない避難判断と行動開始を強力にサポートします。

組織で率先避難文化を育てる6つのポイント

率先避難者を組織内に育成するためには、個人の意識だけでなく、組織全体の仕組みや文化を整備することが重要です。
ここでは、企業が取り組むべき6つの重要ポイントを紹介します。

危険を感じたらすぐ避難する文化づくり

率先避難文化を育てる最も基本的なポイントは、「危険を感じたらすぐに避難する」という行動を推奨し、評価する組織文化を作ることです。
躊躇が命取りとなることを、組織全体で共有する必要があります。

多くの企業では、無断で持ち場を離れることや、上司の指示なく行動することが否定的に評価される傾向があります。
しかし、災害時にこの文化が残っていると、従業員は避難を躊躇してしまいます。
平時の業務ルールと災害時の行動ルールを明確に区別し、緊急時には個人の判断で避難してよいことを明文化することが重要です。

また、早期避難が救助率を大きく高めることを、データで示すことも効果的です。
災害発生から24時間以内に救助された場合の生存率は90%以上ですが、72時間を超えると20%程度まで低下します。
早く逃げることが生存率を高めるという事実を、研修や訓練を通じて繰り返し伝えることが、率先避難文化の定着につながります。

さらに、訓練や避難ドリルの際に、早く避難した人を表彰するなど、率先避難を肯定的に評価する仕組みを導入することも有効です。
「逃げる勇気」を褒める文化を育てることで、実際の災害時にも躊躇なく避難できる組織風土が形成されます。

レスキュー3原則を徹底する

率先避難者が安全に避難するためには、避難経路の安全性を確保することが重要です。
そのために徹底すべきなのが「レスキュー3原則」です。

レスキュー3原則とは、「打たない(落下物に当たらない)」「切らない(ガラスなどで怪我をしない)」「挟まれない(倒壊物や家具に挟まれない)」という3つの基本原則です。
これらのリスクを最小化する環境整備が、率先避難を実現する前提条件となります。

具体的な対策としては、オフィス内の棚や機器の固定、ガラスへの飛散防止フィルムの貼付、避難経路への物品の放置禁止などが挙げられます。
特に避難経路となる通路や階段には、倒れやすい物や落下しやすい物を置かないことが重要です。
率先避難者が安全に移動できる環境を整えることで、躊躇なく避難できる条件が整います。

また、従業員に対してレスキュー3原則を教育し、避難時にこれらのリスクを回避する行動を身につけさせることも重要です。
頭を守りながら移動する、ガラスの多い場所を避ける、倒壊の危険がある場所から素早く離れるといった基本動作を、訓練で繰り返し練習することが効果的です。

防災備蓄を整備する

率先避難後、救助が来るまでの間、従業員が安全に待機できる環境を整えることも重要です。
そのために不可欠なのが、適切な防災備蓄の整備です。

東京都の条例では、企業に対して従業員の3日分の備蓄を求めていますが、大規模災害時には救助や支援物資の到着がそれ以上遅れる可能性もあります。

保存水、非常食、毛布、簡易トイレなどの基本的な備蓄品を、従業員数に応じて十分に確保することが求められます。

備蓄品の管理においては、消費期限・賞味期限の管理が重要です。
保存水は通常5年、非常食は3〜5年の保存期間がありますが、期限が切れた備蓄品は役に立ちません。
定期的に在庫を確認し、期限が近づいたものは入れ替える仕組みを構築することが必要です。

また、備蓄品の保管場所も重要なポイントです。
本社の倉庫にまとめて保管するのではなく、各フロアや各拠点に分散配置することで、災害時にアクセスしやすくなります。
率先避難した後、避難先で備蓄品を利用できる環境を整えることが、安全な避難生活を支えます。

出典: 東京都防災ホームページ「東京都帰宅困難者対策条例」

BCPを策定する

率先避難者が避難した後、次に何をすべきかを明確にするために、BCP(事業継続計画)の策定が重要です。
BCPは、災害発生後の行動手順を定めたもので、率先避難後の対応をルール化する役割を果たします。

BCPでは、まず優先的に継続・復旧すべき業務を特定します。
すべての業務を同時に再開することは不可能なため、事業への影響度や顧客への影響度を考慮して優先順位をつけます。
この優先順位が明確であれば、率先避難後に何に注力すべきかが明確になり、効率的な事業復旧が可能になります。

また、BCPには代替拠点の設定、重要データのバックアップ、サプライチェーンの代替計画なども含まれます。
これらを事前に準備しておくことで、災害時の混乱を最小限に抑え、迅速な事業再開が可能になります。
率先避難で従業員の安全を確保した後、速やかに事業復旧に移行できる体制を整えることが、BCPの本質です。

さらに、BCPは定期的に見直し、訓練を通じて実効性を確認することが重要です。
計画を作っただけで満足せず、実際に機能するかを検証し、改善を続けることで、真に役立つBCPが完成します。
率先避難文化とBCPは両輪であり、両方を整備することで組織の防災力が高まります。

複数の連絡手段を確保する

率先避難後、従業員の安否確認や状況共有を行うためには、複数の連絡手段を確保することが不可欠です。
大規模災害時には、電話やメールがほとんど使えなくなることを前提に対策を立てる必要があります。

東日本大震災では、電話回線が混線し、音声通話がほとんどつながらない状態が数日間続きました。

一方で、SNSやメッセージアプリ、IP無線などのインターネットベースの通信手段は比較的つながりやすい傾向がありました。
このような複数の通信手段を準備しておくことが重要です。

具体的には、安否確認システム、LINE、X(旧Twitter)などのSNS、IP無線、衛星電話など、複数のチャネルを用意しておくことが推奨されます。
特に安否確認システムは、災害発生時に自動で従業員に安否確認メッセージを送信し、回答を集計する機能を持つため、管理者の負担を大きく軽減できます。

また、これらの連絡手段を実際に使えるように、平時から訓練しておくことが重要です。
災害時に初めて使おうとしても、操作方法が分からずに使えないことがあります。
定期的に安否確認訓練を実施し、全従業員が複数の連絡手段を使いこなせるようにしておくことが、率先避難後の迅速な状況把握につながります。

出典:総務省 「平成23年版情報通信白書」

インターネット回線を活用する

災害時の情報収集と情報発信において、インターネット回線の活用は極めて重要です。
大規模災害時でも、インターネット回線は電話回線よりも比較的つながりやすい特性があります。

災害発生直後は、正確な情報を迅速に入手することが被害軽減の鍵となります。
気象庁の地震速報や津波警報、自治体の避難情報などは、インターネットを通じてリアルタイムで配信されます。
また、X(旧Twitter)やLINEなどのSNSでは、被災地の現場情報がいち早く共有されることもあります。

企業においては、災害時に従業員がインターネットにアクセスできる環境を整備することが重要です。
スマートフォンのモバイル回線だけでなく、Wi-Fiルーターの複数設置や、緊急時用のモバイルWi-Fiの準備なども検討すべきです。
率先避難後、従業員が情報を収集し、適切な判断を下せる環境を整えることが、安全確保の継続につながります。

また、企業から従業員への情報発信においても、インターネットが重要な役割を果たします。
避難指示の発令、安全確認の呼びかけ、事業再開の連絡などを、インターネットベースの複数チャネルで配信することで、確実に情報を届けることができます。
率先避難文化を支える情報インフラとして、インターネット回線の活用は不可欠な要素なのです。

安否確認システムが率先避難を支える

率先避難文化を組織に定着させ、災害時の迅速な対応を実現するためには、適切なツールの活用が重要です。
中でも安否確認システムは、率先避難を支える重要な役割を果たします。

自動配信で早期避難を促す

安否確認システムの最も重要な機能の1つが、災害発生時の自動配信機能です。
気象庁の地震情報や津波警報と連携し、一定規模以上の災害が発生すると、自動的に全従業員に安否確認メッセージを送信します。

この自動配信機能が率先避難を促進する理由は、従業員に対して「避難が必要な事態である」ことを明確に伝えるからです。
正常性バイアスにより「まだ大丈夫だろう」と考えている従業員に対して、会社からの安否確認メッセージは「これは重大な事態だ」という認識を促し、避難行動の開始を後押しします。

また、自動配信により管理者の負担が大幅に軽減されます。
災害発生時、管理者自身も被災している可能性があり、手動で安否確認を開始することが困難な場合があります。
自動配信機能があれば、管理者の状況に関わらず、確実に安否確認が開始され、従業員の避難行動を促せるのです。

複数チャネルで迅速な状況共有

現代の安否確認システムは、メール、SMS、LINE、専用アプリなど、複数のチャネルで情報を配信できます。
この複数チャネル配信が、率先避難後の迅速な状況共有を可能にします。

災害時、すべての通信手段が均等に利用できるとは限りません。
メールはつながるがSMSは届かない、あるいはその逆といった状況が発生します。
複数のチャネルで情報を配信することで、少なくとも1つのチャネルで従業員に情報が届く可能性が高まります。

また、従業員からの安否報告も、複数のチャネルから行えることが重要です。
スマートフォンが使えなくてもパソコンから報告できる、あるいは電話回線が混んでいてもLINEで報告できるといった柔軟性が、迅速な状況把握を可能にします。
率先避難者が避難後に自身の状況を報告しやすい環境を整えることが、組織全体の状況把握につながります。

事業復旧を早める情報基盤

安否確認システムは、単に従業員の無事を確認するだけでなく、事業復旧を早めるための情報基盤としても機能します。
多くのシステムには、掲示板機能や動画共有機能が搭載されており、全従業員に向けて統一したメッセージを配信できます。

率先避難後、従業員は「次に何をすべきか」「いつ出社すべきか」「どの業務を優先すべきか」といった情報を必要とします。
安否確認システムの掲示板機能を使えば、これらの情報を一斉に配信し、全従業員の行動を統一できます。
迅速な情報共有が、事業復旧のスピードを大きく左右するのです。

また、従業員の安否状況や居場所が把握できることで、事業継続に必要な人員配置を適切に計画できます。
どの拠点にどれだけの従業員が出社可能かを把握することで、限られたリソースを最も効果的に配分し、優先業務から順に再開していくことが可能になります。
率先避難で従業員の安全を確保した後、速やかに事業を再開するための情報基盤として、安否確認システムは重要な役割を果たします。

管理者不在でも運用可能

災害時、管理者自身が被災したり、避難中で対応できない状況が発生する可能性があります。
安否確認システムの自動運用機能は、管理者不在でもシステムが継続的に機能することを保証します。

自動配信、自動集計、未回答者への自動再送といった機能により、管理者が何もしなくても安否確認のプロセスが進行します。
これにより、管理者は自身の安全確保や避難行動に集中でき、その後の状況が落ち着いてからシステムにアクセスして結果を確認することができます。

また、複数の管理者を設定できるシステムであれば、特定の管理者が対応できない場合でも、他の管理者が対応できます。
権限の分散と自動化の組み合わせにより、どのような状況でも安否確認システムが機能し続けることができます。
率先避難を促進するためには、管理者に過度な負担をかけず、自動化されたシステムで支援することが重要なのです。

まとめ

率先避難者とは、災害時に周囲の様子を伺わず、自ら率先して避難行動を開始する人です。
この存在は、正常性バイアスや同調バイアスといった心理的ブレーキを打ち破り、多くの命を救う起点となります。

避難3原則である「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」は、相互に関連し合い、効果的な避難行動を実現します。
特に「率先避難者たれ」は、他の2つの原則を実践するための基盤となる重要な行動指針です。

企業が率先避難文化を育てるためには、危険を感じたらすぐ避難する文化づくり、レスキュー3原則の徹底、防災備蓄の整備、BCPの策定、複数の連絡手段の確保、インターネット回線の活用という6つのポイントに取り組むことが重要です。
これらを組み合わせることで、従業員が躊躇なく避難でき、避難後も安全を確保し続けられる環境が整います。

東日本大震災における「釜石の奇跡」は、率先避難の実践が多くの命を救うことを証明しました。
日頃の訓練と率先避難の行動が、災害時の生存率を高める最も確実な方法なのです。

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