外水氾濫とは?原因と特徴、取るべき対策を分かりやすく解説
2025/12/05
近年、気候変動の影響により大雨や台風の大型化が進み、全国各地で深刻な水害が発生しています。
特に「外水氾濫」は、河川の堤防が決壊したり水が越流したりすることで発生し、広範囲に甚大な被害をもたらす災害です。
しかし、外水氾濫の正確な意味や発生メカニズム、具体的な対策方法について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、外水氾濫とは何か、どのような原因で発生するのか、どんな特徴があるのか、そして私たちが取るべき対策について分かりやすく解説します。
企業の防災担当者はもちろん、ご家庭での防災対策を検討されている方にも役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。
外水氾濫への備えには、正確な情報収集と迅速な対応が不可欠です。
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外水氾濫とは何か
外水氾濫は、河川の水が堤防を越えたり堤防が決壊したりして、河川の外の市街地や農地に水が流れ込む現象を指します。
内水氾濫とは異なり、河川の水位上昇が直接的な原因となるため、被害範囲が広く、範囲の広がる速度も速いという特徴があります。
ここでは、外水氾濫の定義、内水氾濫との違い、そして外水氾濫が近年注目される背景について詳しく解説します。
外水氾濫の定義
外水氾濫とは、河川の水位が上昇し、堤防の高さを超えて越水したり、堤防が決壊したりすることで、河川の水が外に溢れ出す現象です。
河川の水が直接市街地や農地に流れ込むため、一気に大量の水が広範囲に広がり、甚大な被害をもたらします。
外水氾濫は、主に大雨や台風による河川水位の急激な上昇、堤防の老朽化や構造的な弱点、河道の容量不足などが原因で発生します。
河川管理者や自治体は、堤防の整備や河道の掘削、洪水調節施設の運用などを通じて外水氾濫のリスク低減に努めていますが、近年の気候変動により想定を超える降雨が増加しており、対策の強化が求められています。
内水氾濫との違い
外水氾濫と混同されやすい用語に「内水氾濫」があります。
内水氾濫とは、河川の水位上昇により排水路や下水道からの排水ができなくなり、市街地に雨水が溜まって浸水する現象です。
外水氾濫は河川の水が直接溢れ出すのに対し、内水氾濫は排水不良により市街地内で水が溜まる点が大きな違いです。
以下の表で、外水氾濫と内水氾濫の主な違いを整理します。
| 項目 | 外水氾濫 | 内水氾濫 |
|---|---|---|
| 発生原因 | 河川の水位上昇による越水・決壊 | 排水不良による雨水の滞留 |
| 被害範囲 | 広範囲にわたる | 局所的(低地や排水不良地域) |
| 流れの速さ | 速い | 比較的遅い |
| 破壊力 | 高い(建物倒壊のリスクあり) | 低い(浸水が主) |
| 対策の主体 | 河川管理者(国・都道府県) | 自治体(下水道・排水施設管理) |
外水氾濫は内水氾濫よりも被害規模が大きく、人的被害や建物倒壊のリスクが高いため、早めの避難や事前の備えが特に重要です。
外水氾濫が注目される背景
近年、外水氾濫が注目される背景には、気候変動による大雨や台風の大型化、頻発化があります。
過去に経験したことのない規模の降雨が短時間で発生するケースが増えており、既存の河川整備や堤防の能力を超える事態が相次いでいます。
また、都市化の進展により流域の保水能力が低下し、雨水が一気に河川に集中することも外水氾濫のリスクを高める要因となっています。
国や自治体は、ハード対策(堤防整備、放水路の建設など)とソフト対策(ハザードマップの整備、避難計画の策定、防災教育など)を組み合わせた総合的な治水対策を推進していますが、住民一人ひとりの意識向上と備えも不可欠です。
外水氾濫が発生する原因
外水氾濫は、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。
主な原因としては、大雨や台風による河川水位の急上昇、堤防の決壊や越水、河道の容量不足、そして高潮や津波との複合要因が挙げられます。
ここでは、それぞれの原因について詳しく見ていきます。
大雨や台風による河川水位の急上昇
外水氾濫の最も一般的な原因は、大雨や台風による短時間での大量降雨です。
流域に降った雨が河川に集中し、河川の水位が急激に上昇することで、堤防の高さを超えたり堤防に大きな負荷がかかったりします。
特に、台風や前線の停滞による線状降水帯の発生は、局地的に記録的な降雨をもたらし、河川の計画高水位を超える事態を引き起こします。近年は気候変動の影響により、従来の想定を超える降雨が頻発しており、河川管理者も計画の見直しや施設の強化を進めています。
しかし、ハード対策には時間とコストがかかるため、住民自身が早めの避難や情報収集を行うことが重要です。
堤防の決壊や越水
河川の水位が堤防の高さを超えて越水したり、堤防の一部が決壊したりすることで、外水氾濫が発生します。
堤防の決壊は、水の勢いが強い場合や堤防の構造に弱点がある場合に起こりやすく、一度決壊すると大量の水が一気に流れ込むため、被害が甚大になります。
堤防の越水は水位が堤防の天端を超えることで発生し、越水が続くと堤防の裏側が侵食されて決壊につながることもあります。
堤防の老朽化や地震による損傷、動物が掘った穴なども堤防の弱点となり得るため、定期的な点検と補修が欠かせません。
河道の容量不足と河床の堆積
河道の容量が不足していたり、河床に土砂や流木が堆積していたりすると、河川が流せる水の量が減少し、水位が上昇しやすくなります。
河道の浚渫や樹木の伐採が適切に行われていない場合、河川の流下能力が低下し、外水氾濫のリスクが高まります。
また、上流域での開発や森林伐採により、流域の保水能力が低下し、雨水が一気に河川に流れ込むことも、河川水位の急上昇を招きます。
流域全体での治水対策や森林管理、土地利用規制などが、外水氾濫リスクの低減に寄与します。
高潮や津波との複合要因
河口部や沿岸地域では、台風による高潮や地震による津波と、河川の増水が重なることで、外水氾濫のリスクがさらに高まります。
高潮や津波により海面が上昇すると、河川からの排水が困難になり、河川の水位が上昇しやすくなるため、複合的な災害となります。
このような複合要因による外水氾濫は、被害範囲が広く、避難や救助活動も困難になるため、事前のハザードマップ確認や避難計画の策定が特に重要です。
外水氾濫の特徴
外水氾濫は、内水氾濫と比べて被害範囲が広く、流れの速さや破壊力が大きいという特徴があります。
そのため、人的被害や建物倒壊のリスクが高く、農地やインフラにも甚大な影響を及ぼします。
ここでは、外水氾濫の特徴と被害の範囲について詳しく解説します。
広範囲かつ深刻な浸水被害
外水氾濫は、河川から大量の水が一気に溢れ出すため、浸水範囲が広範囲に及びます。
堤防の決壊や越水が発生すると、河川沿いの市街地や農地が瞬く間に水没し、数十キロメートルにわたって浸水被害が発生することもあります。
浸水深も深くなりやすく、1階部分が完全に水没したり、場合によっては2階まで浸水したりするケースもあります。
浸水が長時間続くと、建物の構造や設備に大きなダメージを与え、復旧に長期間を要します。
流れの速さと破壊力
外水氾濫は、河川の水が勢いよく流れ込むため、流速が速く、破壊力が非常に大きいという特徴があります。
流速が速いと、建物や車、樹木などを押し流し、衝突や漂流物による二次被害も発生します。
また、流れの速い水の中では、大人でも立っていることが困難で、避難中に流されるリスクが高まります。
そのため、外水氾濫が発生する前に、早めに安全な場所へ避難することが極めて重要です。
人的被害と建物倒壊のリスク
外水氾濫は、流速の速さや浸水深の深さから、人的被害のリスクが高い災害です。
避難が遅れた場合、濁流に巻き込まれたり、建物の倒壊に巻き込まれたりする危険性があります。
また、木造家屋や老朽化した建物は、流れの勢いや水圧に耐えきれず倒壊することがあります。
過去の外水氾濫事例でも、多くの建物が倒壊や流失し、人的被害が発生しています。
早めの避難と、避難場所の安全性確認が命を守るために不可欠です。
農地やインフラへの影響
外水氾濫は、市街地だけでなく、農地やインフラにも甚大な被害をもたらします。
農地が冠水すると、農作物が全滅したり、土壌に泥や砂が堆積して耕作不能になったりします。
また、道路や鉄道、電気・水道・ガスなどのライフラインも寸断され、復旧に長期間を要します。
物流や交通の停滞は、地域経済にも大きな打撃を与えるため、外水氾濫の影響は広範囲かつ長期にわたります。
過去の主な外水氾濫事例
日本では、これまでに多くの外水氾濫が発生し、甚大な被害をもたらしてきました。
過去の事例を知ることで、外水氾濫のリスクを具体的に理解し、今後の備えに活かすことができます。
ここでは、近年発生した主な外水氾濫の事例を紹介します。
令和元年東日本台風(台風19号)
令和元年10月に発生した東日本台風(台風19号)は、記録的な大雨をもたらし、全国で多数の河川が氾濫しました。
国土交通省管理河川だけでも7水系12河川で堤防が決壊し、142箇所で越水が発生しました。
特に、千曲川(長野県)や阿武隈川(福島県)などでは、広範囲にわたる浸水被害が発生し、多くの住宅や農地が水没しました。
死者・行方不明者は100名を超え、住宅被害は9万棟以上に及びました。
この災害を受けて、国や自治体は流域治水の推進やハザードマップの見直し、避難体制の強化などを進めています。
平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
平成30年7月に発生した西日本豪雨は、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨をもたらしました。
岡山県の小田川や広島県の複数の河川で堤防が決壊し、広範囲にわたる浸水被害が発生しました。
死者・行方不明者は200名を超え、住宅被害は5万棟以上に及びました。
この災害では、避難情報の伝達や住民の避難行動に課題が残り、その後の防災体制の見直しにつながりました。
その他の主要事例
平成27年9月の関東・東北豪雨では、鬼怒川(茨城県)の堤防が決壊し、常総市を中心に広範囲が浸水しました。
また、平成29年7月の九州北部豪雨では、筑後川水系の複数の河川で氾濫が発生し、福岡県朝倉市などで甚大な被害が出ました。
これらの事例から、外水氾濫は全国どこでも発生する可能性があり、事前の備えと早めの避難が命を守るために不可欠であることが分かります。
外水氾濫への対策
外水氾濫から身を守るためには、日頃からの備えと、発生時の迅速な行動が重要です。
ハザードマップの確認、避難計画の策定、非常持出品の準備、家屋の浸水対策、保険加入など、多角的な対策が求められます。
ここでは、個人・家庭・地域・企業それぞれが取るべき具体的な対策について解説します。
ハザードマップの確認と避難計画の策定
外水氾濫への備えの第一歩は、自分の住む地域のハザードマップを確認することです。
ハザードマップには、浸水想定区域、浸水深、避難場所、避難経路などが記載されており、自宅や職場がどの程度のリスクにさらされているかを把握できます。ハザードマップは、各自治体のホームページや国土交通省のハザードマップポータルサイトで確認できます。
ハザードマップを確認したら、家族や職場で避難場所や避難経路、連絡方法を話し合い、避難計画を策定しましょう。避難場所は、浸水想定区域外の高台や頑丈な建物を選び、複数の避難経路を確認しておくことが重要です。
非常持出品と備蓄品の準備
外水氾濫が発生した際に、すぐに避難できるよう、非常持出品を準備しておくことが重要です。
非常持出品には、保存水、非常食、懐中電灯、携帯ラジオ、救急用品、モバイルバッテリー、貴重品、常備薬などを入れ、すぐに取り出せる場所に保管します。
また、自宅で避難生活を送る場合に備えて、最低3日分、できれば1週間分の備蓄品を用意しておきましょう。
保存水や非常食、簡易トイレ、カセットコンロ、毛布などを備蓄し、定期的に消費期限・賞味期限を確認して入れ替えることが大切です。
家屋の浸水対策と保険加入
浸水リスクの高い地域では、家屋の浸水対策を行うことで被害を軽減できます。
土のうや止水板を設置したり、重要な設備や家財を高い場所に移動したりすることで、浸水被害を抑えることができます。
また、万が一の被害に備えて、火災保険の水災補償や共済への加入を検討しましょう。
水災補償に加入していれば、浸水による建物や家財の損害を補償してもらえます。
保険内容を確認し、必要に応じて補償内容を見直すことも重要です。
地域や企業での連携と訓練
外水氾濫への備えは、個人や家庭だけでなく、地域や企業全体で取り組むことが重要です。
自治会や自主防災組織での避難訓練や防災学習会を通じて、地域全体の防災意識を高め、いざという時の連携体制を構築しましょう。
企業では、BCP(事業継続計画)の策定や防災訓練の実施、従業員の安否確認体制の整備などが求められます。
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外水氾濫発生時の適切な行動
外水氾濫が発生した際には、早めの避難と適切な情報収集が命を守るために不可欠です。
避難のタイミングを逃さず、家族や組織内での連絡を確実に行い、安全を最優先に行動しましょう。
ここでは、外水氾濫発生時の適切な行動について解説します。
早めの避難と情報収集
外水氾濫が発生する恐れがある場合、自治体から避難指示や避難勧告が発令されます。
避難指示が発令されたら、ためらわずに速やかに避難を開始しましょう。
夜間や豪雨の中での避難は危険なため、明るいうちに、できるだけ早く避難することが重要です。
避難の際には、テレビ、ラジオ、インターネット、防災アプリなどを活用して、最新の気象情報や河川水位情報、避難情報を確認しましょう。
また、自治体の防災無線やエリアメールなども重要な情報源です。
家族や組織内での連絡方法の確立
外水氾濫発生時には、家族や職場の仲間と連絡を取り合い、お互いの安全を確認することが重要です。
災害時には電話回線が混線しやすいため、事前にLINEなどのメッセージアプリや、災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を確認しておきましょう。
企業では、総合防災アプリ「クロスゼロ」を活用することで、従業員の安否確認を迅速に行い、緊急連絡を一斉配信できます。
組織内での連絡手段を複数確保し、いざという時に確実に連絡が取れる体制を整えましょう。
避難時の注意点と安全確保
避難する際には、以下の点に注意して安全を確保しましょう。
- 動きやすい服装と運動靴を着用する(長靴は水が入ると動きにくくなるため避ける)
- 両手が使えるようにリュックサックで荷物を持つ
- 浸水している道路では、マンホールや側溝に転落しないよう、棒などで足元を確認しながら歩く
- 車での避難は、浸水により車が動かなくなるリスクがあるため避ける
- 避難が困難な場合は、自宅や近くの頑丈な建物の2階以上に垂直避難する
避難中は、常に周囲の状況に注意を払い、危険を感じたら無理をせず、安全な場所で救助を待つことも選択肢の一つです。
まとめ
外水氾濫は、河川の堤防が決壊したり水が越流したりすることで発生し、広範囲に甚大な被害をもたらす災害です。
内水氾濫と比べて被害範囲が広く、流れの速さや破壊力が大きいため、人的被害や建物倒壊のリスクが高いという特徴があります。
近年の気候変動により、大雨や台風の大型化が進み、外水氾濫のリスクは年々高まっています。
ハザードマップの確認、避難計画の策定、非常持出品の準備、家屋の浸水対策、保険加入など、日頃からの備えが命を守るために不可欠です。
外水氾濫が発生した際には、早めの避難と迅速な情報収集が重要です。
避難指示が発令されたら、ためらわず速やかに避難を開始し、家族や職場の仲間と連絡を取り合いながら、安全を最優先に行動しましょう。
地域や企業全体で防災意識を高め、訓練や連携体制を整えることで、外水氾濫による被害を最小限に抑えることができます。
KENTEM(株式会社建設システム)は、総合防災アプリ「クロスゼロ」を通じて、企業や地域の防災力向上をサポートしています。
気象庁情報やハザード情報の一元管理、安否確認機能、緊急連絡機能など、外水氾濫を含む多様な災害への備えを強化する機能を提供しており、いざという時の迅速な対応を実現します。
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