防災担当必見!|緊急連絡網の作り方と運用ルールを徹底解説
2025/08/08
企業における緊急連絡網は、災害や事故などの有事の際に従業員の安全を確保し、事業継続を図るための重要な仕組みです。
しかし、いざ作成しようとすると「どのような手順で進めればよいのか」「どの連絡手段が最適なのか」と悩む防災担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、効果的な緊急連絡網の作り方から運用ルールまで、実践的なポイントを詳しく解説します。
企業規模に応じた連絡手段の選び方や、個人情報保護の注意点なども含めて、すぐに活用できる内容をお届けします。
緊急時に確実に機能する連絡網を構築し、従業員の安全と事業の継続性を確保しましょう。
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緊急連絡網とは?基本的な役割と目的
緊急連絡網とは、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、組織内で迅速かつ確実に情報伝達を行うための仕組みです。
「誰が・誰に・どの手段で・どの順番で連絡を行うか」を事前に明確に定めておくことで、混乱を避けながら効率的な対応を可能にします。
企業における緊急連絡網の主な目的は以下の5つです。
まず第一に従業員の安否確認があり、災害時に全従業員の無事を迅速に把握することで、必要に応じて救助や支援を手配できます。
次に緊急対応の周知により、避難指示や在宅勤務への切り替えなど、状況に応じた行動指針を全社員に伝達します。
さらに、指示伝達の速やかな実行では、経営陣の判断を現場まで確実に届けることで統一された対応を実現します。
事業継続(BCP)支援の観点では、業務の継続や復旧に必要な情報共有を円滑に行い、事業への影響を最小限に抑えます。
最後に情報の集約と意思決定の迅速化により、現場からの報告を本部に集約し、経営判断に必要な情報を整理します。
これらの目的を達成するためには、平常時から緊急連絡網を整備し、定期的な訓練を通じて実効性を確保することが重要です。
適切に機能する緊急連絡網は、従業員の安全確保と事業継続の両面で企業を支える重要なインフラとなります。
緊急連絡網の作成手順|6つのステップで解説
効果的な緊急連絡網を構築するには、体系的なアプローチが必要です。
ここでは、実際の作成手順を6つのステップに分けて詳しく説明します。
各ステップを順序立てて進めることで、漏れのない緊急連絡網を作成できます。
ステップ1:発動条件の明確化
緊急連絡網の第一歩は、どのような状況で連絡網を発動するかを明確に定めることです。
発動条件を曖昧にしておくと、緊急時に判断に迷い、初動対応が遅れる可能性があります。
発動条件は大きく「外部要因による発動」と「自発的発動」の2つに分類されます。
外部要因による発動では、地震(震度5弱以上)、特別警報の発令、避難指示の発出、大規模停電、交通機関の全面運休などが該当します。
これらは客観的な基準があるため、判断に迷うことが少なく、自動的な発動も設定しやすい条件です。
一方、自発的発動には、社内システムの大規模障害、工場や事業所での火災・事故、不審者の侵入、重要な取引先での事故、サイバー攻撃による情報漏洩などがあります。
これらは状況の重要度を総合的に判断する必要があるため、発動権限者を明確にし、判断基準を具体的に定めておくことが重要です。
ステップ2:連絡フローの設計
連絡フローの設計では、情報がどのような経路で伝達されるかを明確にします。
企業の組織構造や緊急事態の性質に応じて、最適なフローパターンを選択することが重要です。
縦割り連絡は、本部から部門、部門から課、課からメンバーへと階層順に情報を伝達する方式です。
組織の指揮命令系統に沿った伝達が可能で、責任の所在が明確になる一方、伝達に時間がかかり、途中で情報が止まるリスクがあります。
一斉連絡は、本部から全社員に同時に情報を送信する方式で、メールやSNS、安否確認システムを活用します。
迅速な情報共有が可能で、情報の抜け漏れのリスクが低い反面、双方向のコミュニケーションが困難で、受信確認が取りにくいという特徴があります。
安否収集のフローでは、メンバーから課、課から部門、部門から本部へと情報を集約します。
現場の詳細な状況を把握できる利点がある一方、情報の集約に時間がかかり、集計作業の負担が大きくなる可能性があります。
ステップ3:役割分担の決定
緊急連絡網を効果的に運用するには、各部署や個人の役割を明確に定める必要があります。
責任の所在を曖昧にしておくと、緊急時に対応が遅れたり、重要な連絡が漏れたりする可能性があります。
各部署では、連絡・集計担当者を指定します。
多くの場合、管理職がこの役割を担いますが、不在時に備えて副担当者決めておくと安心です。
担当者は部署内の従業員への連絡と安否確認、上位組織への報告、必要に応じた現場対応の指示などを行います。
全社レベルでは、情報集約・報告を担う危機管理担当者を明確化します。
各部署からの報告を取りまとめ、経営陣への報告資料を作成し、全社的な対応方針の伝達を行います。
また、緊急連絡網自体の管理者も設定し、連絡先情報の更新や閲覧制限の管理を行います。
ステップ4:連絡手段の選定
連絡手段の選定は、緊急連絡網の実効性を左右する重要なポイントです
各手段にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、企業の規模や特性に応じて最適な組み合わせを選択する必要があります。
| 連絡手段 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 電話 | 通知に気づきやすい、特別なインフラ整備不要 | 一斉連絡不可、通信規制に弱い、記録が残らない |
| SMS | 到達率が高い、通信が軽い | 文字数制限あり、一斉送信が困難 |
| メール | 一斉送信・添付可能、柔軟性がある | 迷惑フォルダに入りやすい、返信の粒度が不均一 |
| ビジネスチャット SNS |
既存業務ツールとして活用可能、リアクション確認が容易 | 私用携帯導入の必要性、情報集計が困難 |
| 安否確認システム | 自動通知・集計、多経路通知、テンプレート活用 | 導入コスト、教育が必要 |
電話は最も確実性の高い連絡手段の一つですが、一対一でのやり取りに限られるため、大人数への連絡には不向きです。
SMSは災害時にも比較的つながりやすく、開封率も高いため、重要な連絡に適していますが、文字数の制限があります。
メールは詳細な情報を一斉に送信できる優れた手段ですが、迷惑メールフィルターに引っかかったり、大量のメールに埋もれたりするリスクがあります。
複数の連絡手段を組み合わせることで、それぞれの弱点を補完し、確実な情報伝達を実現できます。
ステップ5:連絡先の収集と記載
緊急連絡網に記載する連絡先情報の収集には、慎重な配慮が必要です。
個人情報保護法に基づき、従業員から適切な同意を得た上で、必要最小限の情報を収集することが重要です。
収集すべき情報として、PCやスマホのメールアドレス、居住エリアや所属部署などの属性情報があります。
緊急時に確実に連絡を取るためには、複数の連絡手段を確保しておくことが不可欠です。
連絡先情報の収集時には、必ず本人の同意を得ることが法的に要求されます。
同意書には、情報の利用目的、保管方法、第三者への提供の有無、保管期間などを明記し、従業員が納得した上で提供してもらうことが重要です。
また、情報の変更があった場合の更新手続きについても事前に説明しておきます。
ステップ6:従業員への周知と訓練
緊急連絡網を作成しても、従業員がその存在や使い方を知らなければ意味がありません。
効果的な周知と定期的な訓練により、緊急時に確実に機能する体制を構築します。
周知方法として、安否確認アプリの登録依頼、発信元番号やメールアドレスの事前通知、緊急連絡網の構造や自分の役割の説明などがあります。
特に安否確認システムを導入する場合は、アプリのインストール方法や基本的な操作方法を全従業員に説明する必要があります。
定期的な訓練では、実際の緊急事態を想定したシナリオを用いて、連絡網の動作確認を行います。
訓練を通じて発見される課題や改善点を記録し、継続的に緊急連絡網をブラッシュアップしていくことが重要です。
訓練の頻度は年2回程度が目安ですが、新入社員の入社時期や組織変更のタイミングに合わせて実施することも効果的です。
緊急連絡網の運用における重要なポイント
緊急連絡網を作成した後は、適切な運用管理が不可欠です。
情報セキュリティの確保、個人情報の保護、想定外の事態への対応など、運用面での重要なポイントを理解し、継続的に改善していくことが求められます。
適切な保管方法と情報セキュリティ
緊急連絡網に含まれる個人情報は、適切に保管し、不正アクセスや情報漏洩から守る必要があります。
オンラインとオフラインの両方で保管することで、災害時にシステムが使用できない場合でも連絡網を活用できます。
オンラインでの保管において、クラウドサービスやサーバーにデータを保存しますが、アクセス権限の設定、パスワードによる保護、定期的なバックアップが重要です。
また、ウイルス対策ソフトの導入や、不正アクセス監視システムの活用により、セキュリティを強化します。
オフライン保管では、印刷した連絡網を金庫や施錠可能なキャビネットに保管し、USBメモリなどの外部記憶媒体は暗号化して管理します。
これらの物理媒体は、本社だけでなく支社や自宅など複数の場所に分散して保管することで、災害時のリスクを軽減できます。
情報の更新管理も重要です。
人事異動や連絡先変更があった場合には、速やかに緊急連絡網を更新し、関係者に変更内容を通知します。
更新作業は権限を持つ管理者のみが行い、変更履歴を記録として残すことで、トレーサビリティを確保します。
個人情報保護と漏洩対策
緊急連絡網には従業員の個人情報が多数含まれているため、個人情報保護法に基づく適切な管理が法的に要求されます。
情報の取得、利用、保管、廃棄の各段階で、適切な措置を講じる必要があります。
情報取得時には、利用目的の明示と本人同意の取得が必須です。
緊急時の連絡以外の目的で使用しないことを明確に説明し、同意書に記録として残します。
また、情報の第三者提供については、緊急時の救助活動など、生命に関わる場合を除き、原則として本人の同意が必要です。
情報の利用・保管では、必要最小限の情報のみを取り扱い、アクセス可能な人員を制限します。
閲覧権限は役職や業務上の必要性に応じて段階的に設定し、定期的に権限の見直しを行います。
また、情報を取り扱う担当者には、個人情報保護に関する研修を実施し、適切な取り扱い方法を徹底します。
万が一、情報漏洩が発生した場合には、速やかに個人情報保護委員会への報告、該当する従業員への通知、再発防止策の策定と実施を行います。
漏洩の原因を詳細に調査し、システム面と運用面の両方から対策を講じることが重要です。
想定外の事態への対応準備
緊急時には予期しない事態が発生する可能性があるため、様々なシナリオを想定した対応策を準備しておくことが重要です。
連絡網の一部が機能しない場合でも、業務を継続できる体制を構築します。
連絡不能時の対応として、各従業員に代替連絡者を設定してもらいます。
家族や親族、近隣の同僚など、緊急時に安否確認を依頼できる人物の連絡先を事前に把握しておくことで、本人と直接連絡が取れない場合でも状況を把握できます。
組織面での対応として、各部署に代理責任者を選任し、担当者が対応できない場合でも連絡網を運用できるようにします。
代理責任者には、担当者と同等の権限と情報アクセス権を付与し、定期的に業務内容を共有しておくことが重要です。
シナリオ型対応マニュアルの作成では、地震、火災、システム障害、パンデミックなど、想定される緊急事態ごとに具体的な対応手順を明文化します。
各シナリオでは、初動対応、情報収集、意思決定、復旧作業の流れを詳細に記載し、担当者が迷わずに行動できるようにします。
企業規模別おすすめ連絡手段の選び方
企業の規模によって、最適な緊急連絡手段は異なります。
従業員数や組織構造、予算、ITリテラシーなどを考慮して、最も効果的な連絡手段を選択することが重要です。
ここでは、企業規模別におすすめの連絡手段を詳しく解説します。
小規模企業(従業員数50名以下)
小規模企業では、組織がフラットで従業員同士の関係が密接なため、シンプルな連絡手段でも効果的に運用できます。
新しいツールの導入に対する従業員の抵抗も少なく、比較的短期間で浸透させることが可能です。
推奨される連絡手段として、まず電話による直接連絡があります。
社長や管理者が従業員全員の連絡先を把握しやすく、一人ひとりと直接会話することで詳細な状況確認が可能です。
ただし、同時に多数の従業員に連絡する場合は時間がかかるため、緊急度に応じて連絡の優先順位を設定しておきます。
メールによる一斉連絡も有効な手段です。
PCメールとモバイルメール両方のアドレスを取得し、重要な情報は両方に送信することで確実性を高めます。
また、従業員が日常的に使用しているLINEやSlackなどのツールがあれば、それらを緊急連絡にも活用することで、新たなツール導入のコストと時間を削減できます。
小規模企業では、複数の連絡先を確保することが特に重要です。
各従業員の携帯電話番号、自宅電話番号、メールアドレス、家族の連絡先などを収集し、様々な状況に対応できる体制を整えます。
情報の管理は社長や総務担当者が一元的に行い、定期的な更新を徹底します。
中規模企業(従業員数51~300名)
中規模企業では、部署や階層が明確になってくるため、組織構造に応じた連絡網の設計が必要です。
全員に直接連絡することが困難になるため、効率的な情報伝達と集約の仕組みが求められます。
この規模の企業には、安否確認システムの導入を強く推奨します。
システムを活用することで、自動的な一斉送信、回答状況の自動集計、未回答者への再送信などが可能になり、管理者の負担を大幅に軽減できます。
部門別の連絡手段も併用します。
各部署内では電話やビジネスチャットを活用し、詳細な状況確認や指示伝達を行います。
部署間の連絡は管理職が担当し、本部への報告は定型フォーマットを使用して効率化を図ります。
個人情報保護の体制強化も重要です。
緊急連絡網の管理者を明確に指定し、アクセス権限を適切に設定します。
また、情報の取り扱いに関する社内規程を整備し、全従業員への教育を実施します。
定期的な情報セキュリティ監査を通じて、適切な管理が行われていることを確認します。
大規模企業(従業員数301名以上)
大規模企業では、迅速な初動対応と高い到達率の確保が最も重要な課題となります。
多数の従業員への同時連絡、複雑な組織階層での情報伝達、地理的に分散した事業所の管理など、高度な連絡システムが必要です。
安否確認システムは必須のツールとなります。
自動送信・自動集計機能に加えて、階層管理機能、多拠点管理機能、詳細な分析レポート機能などが搭載されたシステムを選択します。
また、システムの冗長化により、一つのシステムに障害が発生しても業務を継続できる体制を構築します。
組織階層に応じた段階的な連絡体制を確立します。
第一段階では経営陣と部門長への緊急連絡、第二段階では各部門内での詳細な安否確認、第三段階では全社的な状況把握と対応方針の決定という流れで進めます。
各段階の担当者と代理者を明確に指定し、責任の所在を明確化します。
地理的に分散した事業所を持つ場合は、拠点ごとの連絡責任者を設置し、本社との連絡体制を確立します。
各拠点の状況を迅速に把握し、必要に応じて支援を送ることができる体制を整備します。
また、海外拠点がある場合は、時差や通信インフラの違いを考慮した連絡計画を策定します。
まとめ
効果的な緊急連絡網の構築は、企業の危機管理体制の根幹を担う重要な取り組みです。
発動条件の明確化から連絡フローの設計、役割分担の決定、適切な連絡手段の選定まで、6つのステップを体系的に進めることで、確実に機能する緊急連絡網を作成できます。
運用面では、情報セキュリティの確保と個人情報保護への配慮が不可欠です。
適切な保管方法の実施、アクセス権限の管理、想定外事態への対応準備により、継続的に改善していく体制を構築することが重要です。
企業規模に応じた連絡手段の選択と、安否確認システムの活用により、より効率的で確実な緊急対応を実現できます。
緊急連絡網は作成して終わりではなく、定期的な訓練と見直しを通じて実効性を高めていくことが求められます。
従業員の安全確保と事業継続の両面で企業を支える重要なインフラとして、継続的な改善に取り組んでいきましょう。
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