高齢者が災害時に困ることとは?知っておきたい問題点と備え・対策
2026/03/09
高齢者は災害時、身体機能の低下や持病、認知機能の状態など、さまざまな要因により避難の遅れや健康状態の悪化を招くリスクがあります。
東日本大震災では、犠牲者の多くが65歳以上の高齢者であったことからも、災害時における脆弱性が課題となっています。
高齢者の災害対策は、住まいの安全確保、非常用持ち出し品の準備、備蓄品の確保、複数の連絡手段を確保すること、そして地域や家族による支援体制づくりを総合的に進めることが重要です。
自助・共助・公助を前提に、周囲と協力して環境を整える必要があります。
この記事では、高齢者が災害時に直面する具体的な課題と、それに対応するための備えや対策を解説します。
ご本人だけでなく、ご家族や介護に携わる方々もぜひ参考にしてください。
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高齢者が災害時に困る原因となる
身体的・環境的な6つの要因
高齢者が災害時に直面する課題は多岐にわたります。
身体的な制約や情報取得の難しさ、社会的な孤立など、複数の要因が重なり被害を拡大させる傾向にあります。
内閣府の資料によると、東日本大震災では、被災地全体の死者のうち65歳以上の高齢者が大きな割合を占め、約6割に達していました。
このデータからは、高齢者が災害時にさまざまな影響を受けやすいことが分かります。
ここでは、具体的な要因を6つの観点から解説します。
身体機能の低下による避難の困難さ
加齢に伴う視力・聴力・運動能力の低下は、災害時の避難行動を妨げる一因です。
障害物の回避が困難になったり、階段移動に時間を要したりすることで、避難が遅れるリスクが高まります。
特に停電時はエレベーターが停止するため、高層階に住む高齢者にとって階段移動が大きな負担となります。
転倒による骨折は、寝たきり状態につながる可能性もあるため、日頃からの対策が重要です。
持病がある場合の医療継続リスク
高血圧や糖尿病、心臓病などの持病を抱える高齢者にとって、災害時の医療継続は生命に関わる問題です。
薬の供給が途絶えたり、かかりつけ医への受診ができなくなったりすることで、病状が急激に悪化する恐れがあります。
また、避難所での環境変化やストレスは、持病の悪化を招きやすい要因となります。
だからこそ、最低でも3日分、できれば1週間分の薬を常備し、お薬手帳のコピーを携帯しておくことが重要です。
認知機能の低下が招く判断の遅れ
認知症や軽度認知障害のある高齢者は、災害情報の理解や適切な判断が困難になることがあります。
避難指示が出ても理解できずにその場に留まってしまったり、避難経路や避難場所を忘れてしまったりするケースが報告されています。
このような状況を防ぐためには、家族や近隣住民との連携が欠かせません。
日頃から避難経路を一緒に確認したり、緊急時の連絡方法を複数準備しておくことが大切です。
情報伝達が届きにくい・理解しづらい
高齢者はスマートフォンやインターネットの操作に不慣れな方が多く、災害情報の入手手段が限られがちです。
難聴や視覚障害がある場合、テレビやラジオからの情報取得も難しくなり、重要な避難情報を取りこぼすリスクが高まります。
情報源が限られることで判断が遅れ、結果として避難行動の開始が遅れてしまいます。
複数の情報入手手段を確保し、家族や地域の方がサポートできる体制を整えておくことが必要です。
要介護状態における避難の課題
要介護認定を受けている高齢者は、自力での避難が困難なケースがほとんどです。
介護者の有無や介護者自身の体力・健康状態によって、避難の成否が大きく左右されます。
介護者も高齢である「老老介護」の場合、共倒れのリスクも懸念されます。
地域の見守りネットワークや自治体の避難行動要支援者名簿への登録など、事前の備えが命を守ることにつながります。
単身世帯の高齢者が抱える孤立リスク
独居高齢者は、災害時に支援者が周囲にいないという課題を抱えています。
内閣府の推計では65歳以上の単身世帯は増えているとされています。
一人暮らしの場合、災害時に周囲とつながりにくくなることがあり、孤立しやすい点が課題です。家族が遠方に住んでいる場合、支援が届くまでに時間を要します。
日頃から近隣との関係を築き、緊急時に声をかけ合える環境を整えておくことが、生存率を高めるポイントです。
災害時に高齢者が困ることのない
安全な住まいづくり
災害が発生したとき、最初に身を守るべき場所は自宅です。
特に高齢者にとって、住まいの安全対策は避難行動よりも前に取り組むべき最優先事項といえます。
地震による家具の転倒や落下物は、高齢者にとって致命傷となりかねません。
事前に適切な対策を施しておくことで、被害を最小限に抑え、安全に避難できる可能性が高まります。
家具の固定で転倒・落下を防ぐ
地震発生時、家具の転倒や落下物による負傷は非常に多く報告されています。
高齢者は転倒を避ける動作が遅れがちなため、家具の固定は命を守る基本的な対策です。
固定器具にはさまざまな種類があり、設置場所や家具の特性に応じて選択する必要があります。
以下の表で主な固定器具の特徴と注意点を確認してください。
| 固定器具 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| L字金具 | 壁と家具を固定する最も効果的な方法 | 石膏ボード壁の場合はあて板が必要 |
| 突っ張り棒 | 工事不要で設置が比較的簡単 | 天井・家具の強度確認が必要、ストッパー併用推奨 |
| 耐震マット | 小型家具や家電の固定に有効 | 大型家具には効果が限定的 |
| 扉開放防止器具 | 食器棚などの扉が開くのを防止 | 重い家具にはネジ式を選択 |
| ガラス飛散防止 フィルム |
ガラスの飛散による負傷を防止 | 窓は内側、家具は外側に貼り分け |
高齢者本人だけでは設置が難しいケースも多いため、家族や専門業者の支援を前提に計画することをおすすめします。
自治体によっては、家具固定の助成金制度を設けているところもあります。
室内での転倒防止対策
高齢者にとって室内での転倒は、骨折や打撲につながり、その後の寝たきり状態を招く深刻なリスクです。
段差の解消、床に物を置かない習慣、動線の確保が転倒防止の基本となります。
具体的な対策として、滑り止めマットの設置、手すりの取り付け、玄関や浴室へのスロープ設置などがあります。
手すりは握りやすい形状と適切な高さを選ぶことが重要です。
要介護認定を受けている場合、住宅改修費が介護保険の給付対象となる可能性があります。
詳しくはケアマネジャーや自治体の窓口に相談してください。
感震ブレーカーによる電気火災予防
地震後の電気火災は、通電火災とも呼ばれ、停電から復旧した際に発生することがあります。
感震ブレーカーは一定の震度を感知すると自動的に電気を遮断するため、不在時や避難時の火災リスクを軽減できます。
ただし、感震ブレーカーが作動すると照明を含むすべての電気機器が停止します。
人工呼吸器など医療機器を使用している場合は、必ずバッテリー電源を確保しておく必要があります。
工事が必要なタイプと簡易設置タイプがあり、自治体によっては設置費用の助成金制度を設けているところもあります。
お住まいの自治体に確認することをおすすめします。
寝室の安全対策と日頃の整理整頓
就寝中の地震は、逃げる準備ができていない状態で被災するため、特に危険です。
寝室には大きな家具を置かないこと、置く場合は倒れても寝床にかからない配置にすることが重要です。
また、日頃から出入口や通路に物を置かない習慣をつけることで、避難の妨げを防ぐことができます。
家具を減らしてクローゼットや押入れを活用することで、転倒・落下・避難阻害のリスクをまとめて軽減できます。
自治体によっては、高齢者向けの見守りサービスや緊急通報機器の貸与制度を設けているところもあります。
「お住まいの自治体名+防災+高齢者支援」で検索し、利用できるサービスを確認しておきましょう。
高齢者の災害対策では、こうした事前の安全対策と併せて、緊急時の情報伝達や安否確認の仕組みを整えておくことが大切です。
総合防災アプリ「クロスゼロ」は、ハザードマップの確認や家族との安否確認機能を備えており、高齢者のいるご家庭の防災対策をサポートします。
高齢者が災害時に困ることのない
非常用持ち出し袋の作り方
災害発生時にすぐ持ち出せる非常用持ち出し袋は、避難生活の初期段階を乗り切るために欠かせません。
高齢者の場合は、一般的な備えに加えて、持病や身体状況に応じた「個別最適」の準備が特に重要です。
市販の防災セットをそのまま使うのではなく、本人の状況に合わせてカスタマイズすることで、いざというときに本当に役立つ備えとなります。
家族が一緒に準備し、保管場所や使い方を共有しておくことも大切です。
0次品から3次品までの備えの整理
防災の備えは、携帯から長期備蓄まで段階的に整理すると分かりやすくなります。
0次品(常に携帯)、1次品(すぐ持ち出す)、2次品(3日〜7日分)、3次品(約30日分)という枠組みで考えましょう。
非常用持ち出し袋は主に1次品に該当し、避難所までの移動中や避難直後に必要なものを入れます。
リュック型かキャリー型かは体力に合わせて選び、玄関や寝室など「すぐ持てる場所」に置いておきます。
家族全員で保管場所と中身、使い方を共有しておくことで、「どこにある?」という混乱を防ぐことができます。
定期的に内容を確認し、消費期限の近いものは入れ替えましょう。
高齢者ならではの追加物リスト
高齢者の非常用持ち出し袋には、一般的な防災用品に加えて、個人の状況に応じた物品を追加する必要があります。
持病の薬、お薬手帳のコピー、老眼鏡、補聴器、介護用品などは命を守るために欠かせません。
以下に、高齢者に特に必要な追加物品をまとめました。
| 品目 | 備考 |
|---|---|
| 持病の薬 | 最低3日分、できれば1週間分を準備 |
| お薬手帳コピー | スマートフォンでの写真保存も有効 |
| 老眼鏡 | 予備も含めて準備 |
| 大人用紙パンツ・吸水パッド | 処理用袋も一緒に |
| 補聴器・電池 | 予備電池を多めに |
| 入れ歯・洗浄剤 | 口腔ケア不足は誤嚥性肺炎のリスクに |
| 介護食 | 嚥下・咀嚼に配慮した食品を選択 |
| 清潔保持用品 | 体拭き、ウェットティッシュ、手指消毒液、マスク |
| 折りたたみ杖 | 予備として準備 |
| 着替え | 最低3日分、冬は防寒着とルームシューズも |
| 医療機器の電源・物品 | 主治医に確認し、家族も把握しておく |
補聴器を使用している方は、自治体の避難行動要支援者名簿への登録も検討してください。
医療機器を使用している場合は、バッテリー電源の確保と主治医への相談を忘れずに行いましょう。
季節に応じた備えのポイント
高齢者は体温調節機能が低下しているため、季節に応じた備えが特に重要です。
夏は熱中症・脱水対策として冷却シートや経口補水液を、冬は低体温対策として防寒着やカイロを追加しましょう。
高齢者は「喉の渇きを感じにくい」という特性があるため、夏場は意識的に水分補給ができる準備が必要です。
経口補水液や塩分タブレットなども有効です。
冬の着替えで荷物が増える場合は、重ね着できる多用途服を選ぶことで圧縮できます。
薬の有効期限は特に見落としやすいため、家族と一緒に定期点検を行いましょう。
高齢者が災害時に困ることを
防ぐための計画的な備蓄
大規模災害ではライフラインの復旧に時間がかかり、避難生活が長期化することがあります。
高齢者は持病や体調面の不安を抱えているため、十分な備蓄が特に重要です。
非常用持ち出し袋(1次品)だけでなく、自宅での生活を支える2次品・3次品の備蓄を計画的に準備しておきましょう。
内閣府の防災情報ページでも、最低3日分、できれば1週間分の備蓄が推奨されています。
2次品・3次品の備蓄リスト
2次品は3日〜7日間を乗り切るための備蓄、3次品は約30日間を快適に過ごすための備蓄です。
水、食料、衛生用品、医療関連物品を中心に、高齢者特有のニーズを加えて準備しましょう。
以下に、一般的な備蓄品と高齢者向けの補足をまとめました。
| カテゴリ | 一般的な備蓄品 | 高齢者向け補足 |
|---|---|---|
| 水 | 1人1日3リットル×日数分 | 経口補水液も追加 |
| 食料 | アルファ米、缶詰、レトルト食品 | 介護食、とろみ剤、高カロリー食品 |
| 衛生用品 | トイレットペーパー、ティッシュ | 大人用紙パンツ、清拭タオル、口腔ケア用品 |
| 医療関連 | 救急箱、常備薬 | 持病の薬1週間分以上、医療機器の予備電源 |
| 生活用品 | カセットコンロ、ランタン | 老眼鏡予備、補聴器電池、杖 |
備蓄品は揃えて終わりではなく、消費期限や季節への適合を定期的に見直すことが大切です。
家族が一緒に点検することで、見落としを防ぐことができます。
ローリングストック法による管理
ローリングストック法とは、普段から少し多めに食料や日用品を買い置きし、使った分だけ買い足す備蓄方法です。
消費期限切れを防ぎながら、常に一定量の備蓄を維持できるため、高齢者世帯にも取り入れやすい方法です。
普段から食べ慣れた食品を備蓄できるため、災害時のストレスを軽減する効果もあります。
介護食やとろみ剤なども同様の方法で管理することで、いざというときに困ることを減らせます。
高齢者本人だけでは管理が難しい場合もあるため、家族が定期的に訪問して一緒に点検する習慣をつけましょう。
遠方に住んでいる場合は、電話やビデオ通話で確認するのも一つの方法です。
災害時に高齢者が連絡や安否確認で
困ることを解消する方法
災害時は電話が繋がりにくくなり、家族との連絡が取れなくなることがあります。
高齢者の安否を確認するためには、複数の連絡手段を事前に準備しておくことが重要です。
同居・別居に関わらず、離ればなれになることを前提に準備しましょう。
停電や通信規制で使えなくなる手段もあるため、「複線化」が基本となります。
災害用伝言ダイヤル(171)の活用
災害用伝言ダイヤル(171)は、災害時に電話が繋がりにくい状況でも音声メッセージを残せるサービスです。
NTTが提供するこのサービスは、毎月1日と15日に体験利用ができるため、事前に家族全員で練習しておくことをおすすめします。
使い方は簡単で、「171」に電話をかけ、ガイダンスに従って伝言を録音または再生します。
高齢者にとって操作しやすい電話ベースのサービスである点が大きなメリットです。
SNSや自治体サービスの併用
電話回線が混雑していても、データ通信(メールやLINEなど)は繋がりやすい場合があります。
LINEの安否確認機能や、SNSプラットフォームの災害対応機能も活用しましょう。
自治体によっては、自動安否確認システムや見守り名簿、介護事業所との連携など独自のサービスを提供しているところもあります。
事前登録が必要なケースが多いため、平時に確認しておくことが重要です。
緊急連絡カード(病歴・服薬・連絡先を記載したカード)を携帯しておくと、本人が意識を失った場合でも周囲の人が対応しやすくなります。
GPS端末やAIを活用した見守りサービスも、独居高齢者の安全確保に有効です。
高齢者のスマートフォン導入支援
スマートフォンは災害時の情報収集や安否確認に非常に有効なツールです。
高齢者でも使いやすいシンプルな端末や機能に絞った設定を行うことで、防災アプリや家族との連絡に活用できます。
防災アプリをインストールしておけば、ハザードマップの確認や避難所情報の入手がスムーズになります。
ただし、導入しただけでは使いこなせないケースも多いため、家族が操作練習を支援することが大切です。
171や各種SNSの使い方も含めて、家族全員で体験利用日に練習することで、いざというときに慌てず対応できます。
「ひとりで何でもできる」と思わず、頼れるものには頼る姿勢が重要です。
まとめ
高齢者の防災対策は、身体機能の低下、持病、認知機能、情報取得の困難さ、介護状態、単身世帯など、多くの要因を考慮して行う必要があります。
本人だけでは対応が難しいケースが多いため、家族・友人・地域のサポートと自治体サービスの活用が欠かせません。
「自助+共助」を厚くしておくことが、災害時に命を守る最大のポイントです。
今日からできる第一歩として、家具固定と寝室配置の見直し、1次品への薬・介護用品の追加、災害用伝言ダイヤル(171)の体験、避難経路を家族と一緒に歩いてみること、そして自治体の支援制度への登録を進めてみてください。
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