地震で断水したらどうする?|事前にできる備えと断水時の対処法ガイド
2026/07/21
地震や豪雨などの災害が発生すると、ライフラインの中でも特に大きな影響が出るのが「水道」です。
実際に過去の大規模地震では、数十万戸規模で断水が発生し、復旧までに数ヶ月を要したケースもあります。
断水は飲み水だけでなく、トイレや衛生面、企業活動にも深刻な影響を及ぼすため、平時からの備えが欠かせません。
本記事では、地震による断水の原因や生活への影響、過去の災害事例を踏まえ、家庭・企業・自治体それぞれで実践できる断水対策をわかりやすく解説します。
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計画断水と緊急断水の違い
断水とは、水道が機能を停止し、家庭や事業所に水が届かなくなる状態を指します。
地震による断水を考える前提として、まずは「断水とは何か」という基本と、計画断水・緊急断水の違いを整理しておきましょう。
断水の定義と水道法上の位置づけ
断水とは、水道事業者が水の供給を停止し、蛇口から水が出なくなる状態のことです。
水道法では水道を「導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体」と定義しています。
つまり水道は、浄水場・配水池・水道管といった一連の施設で構成されており、そのどこか一部が機能停止しただけでも断水につながる可能性があります。
計画断水の特徴と事前周知
計画断水とは、水道管の新設工事や老朽管の更新工事などに伴い、事前に予定して水を止める断水のことです。
実施日時や地域は自治体や水道局から事前に周知されるため、住民や事業者はあらかじめ水を汲み置きするなど備えができます。
生活インフラの維持に必要な作業であり、影響を最小化するよう短時間で計画されるのが一般的です。
緊急断水の特徴と災害との関係
一方の緊急断水は、地震・豪雨・停電・水道管の突発的破損など、予期せぬ事態によって発生する断水を指します。
緊急断水は発生時期も復旧時期も読みにくく、特に地震では数週間〜数ヶ月に及ぶケースも珍しくありません。
BCP対策を考えるうえでは、この緊急断水をいかに想定し、平時から備えるかが大きな鍵となります。
地震や停電による断水の原因
地震による断水を防ぐ・備えるためには、原因を正しく理解しておくことが大切です。
ここでは地震・老朽化・凍結・停電という4つの典型的な原因を整理します。
地震による水道管・配水池の破損
地震による断水の主因は、強い揺れによる水道管の破損や継手の外れです。
津波が発生した場合は、住宅と水道管の接続部が壊れたり、浄水場や配水池、基幹管路そのものが被害を受けたりすることもあります。
結果として、水が地上に噴出する漏水や、広域の供給停止が発生し、復旧には膨大な時間と人員が必要になります。
水道管の老朽化による断水リスク
水道管の法定耐用年数はおおむね40年とされており、高度経済成長期に整備された管路の更新が十分に進んでいない地域もあります。
老朽化した水道管は、地震の揺れに耐えられず破損するリスクが高く、平常時にも漏水や道路陥没の原因になります。
地震発生時に被害が拡大するかどうかは、地域の管路更新状況にも大きく左右されます。
凍結による断水
寒冷地や寒波襲来時には、水道管内部の水が凍ることによる断水も発生します。
一般的に、外気温がマイナス約4度を下回る日が続いたり、長期間水道を使わなかったりすると凍結リスクが高まります。
凍結防止ヒーターや保温材の活用、屋外配管の水抜きなど、地域特性に合わせた事前対策が欠かせません。
停電に伴う送水停止
水道施設では送水ポンプなどに電力を使用しているため、停電が長引くと送水できず断水につながります。
マンションの高置水槽方式でも、ポンプが止まれば上階から順に水が出なくなる可能性があります。
非常用発電機を備える施設もありますが、大規模停電時は「停電=断水」も想定して備える必要があります。
地震による断水が及ぼす生活や
企業活動への影響
地震による断水は、単に「飲み水が出ない」だけでは終わりません。
生活、衛生、移動の負担まで多方面に影響が及び、企業活動にも大きなダメージを与えます。
飲料水・生活用水の不足
東京都水道局によると、家庭で1人が1日に使う水の量は平均約221Lにのぼります。
飲用、洗面、手洗い、炊事、洗濯、入浴、トイレ、掃除など、生活のほぼ全場面で水が必要です。
断水時は飲料水だけでなく、調理・衛生・トイレなどに使う「生活用水」も同時に不足することを前提に備える必要があります。
衛生環境の悪化と健康リスク
水が使えなくなると、手洗いや入浴、洗面、トイレ、キッチンの使用が制限され、衛生環境が急速に悪化します。
避難所のような集団生活下では、感染症や食中毒のリスクも高まります。
花粉症やアレルギー、皮膚トラブルなどの体調不良も悪化しやすく、長期化するほど身体的・精神的ストレスは増大します。
給水所までの移動と運搬の負担
広域災害では、自治体が対策本部を設置し、給水車による応急給水を行います。
しかし給水所には長時間並ぶ必要があり、ポリタンクを自分で持参して運ばなければなりません。
高齢者や車を持たない世帯、小さな子どもがいる家庭にとっては大きな負担となり、企業でも従業員の安全確保と業務継続の両立が課題になります。
地震による断水時には、従業員や家族の安否確認、被災状況の共有が業務継続の鍵となります。
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過去の地震・災害における
断水被害の実態
地震による断水がどの程度の規模と期間で発生するかを知ることは、現実的な備えを考えるうえで非常に重要です。
ここでは過去の代表的な災害における断水被害を整理します。
大規模地震による長期断水の事例
過去の大規模地震では、断水戸数も復旧期間も極めて大きな規模となっています。
下表は、代表的な地震における断水戸数と期間をまとめたものです。
| 災害名 | 断水戸数 | 断水期間 |
|---|---|---|
| 阪神・淡路大震災 | 約130万戸 | 約3か月 |
| 新潟県中越地震 | 約13万戸 | 約1か月 |
| 東日本大震災 | 約256.7万戸 | 約5か月 |
| 平成28年熊本地震 | 約44.6万戸 | 約3か月半 |
| 大阪府北部地震 | 約9.4万戸 | 約2日 |
| 平成30年北海道胆振東部地震 | 約6.8万戸 | 約34日 |
特に東日本大震災では19都道府県で断水が発生し、津波により基幹管路や水道施設が広範囲に被害を受けました。
本震から1か月程度で大部分が復旧したものの、4月に発生した強い余震により約38.7万戸(新規および再断水)の断水が新たに発生しました。
豪雨・寒波・台風による断水事例
地震以外でも、豪雨・寒波・台風による断水被害は繰り返し発生しています。
地震対策とあわせて、複合的なリスクとして把握することが大切です。
| 災害名 | 断水戸数 | 断水期間 |
|---|---|---|
| 平成23年7月新潟・福島豪雨 | 約5万戸 | 約68日 |
| 平成27年9月関東・東北豪雨 | 約2.7万戸 | 約12日 |
| 平成28年1月寒波 | 約50.4万戸 | 約7日 |
| 平成30年7月豪雨 | 約26.3万戸 | 約38日 |
| 令和元年東日本台風 | 約4.5万戸 | 約16日 |
| 令和4年台風15号 | 約6.3万戸 | 約12日 |
西日本豪雨では18都道府県で断水が発生し、土砂災害による取水井被害、水質低下、ダムや浄化水槽の被害、送水停止などが確認されています。
水害は地震と異なり、水質悪化を伴う長期断水になりやすい点が特徴です。
能登半島地震における断水と復旧
令和6年1月1日に発生した能登半島地震では、最大震度7を観測し、石川県を中心に最大約11.3万戸が断水しました。
浄水場の機能停止や水道管の大規模破損が同時に発生し、輪島市や珠洲市などで断水が長期化し、早期復旧困難地区が発生しました。
可搬式浄水装置による応急対応などが行われ、早期復旧困難地域を除き、5月末までに水道本管が復旧しました。
地震による断水に備える
実践的な対策
地震による断水被害は規模も期間も大きくなりがちです。
だからこそ、家庭・自治体・企業それぞれで「事前にできる備え」を整えておくことが重要です。
家庭でできる断水対策と備蓄
まずは家庭レベルでできる断水対策を整理します。
飲料用・調理用として1人1日3L、3日分で1人9Lを目安に保存水を確保することが基本です。
あわせて取り組みたい対策は次のとおりです。
- 水道水を清潔なふた付きポリタンクで汲み置きし、直射日光と高温を避けて定期的に入れ替える
- 5〜10年保存できる長期保存水を、家族人数分まとめて備蓄する
- 風呂の残り湯をためておき、トイレ排水・洗濯・掃除など生活用水として活用する(飲用不可)
- 非常用トイレ、凝固剤、防臭袋、ドライシャンプー、ウェットティッシュ、水不要の備蓄食料を用意する
- 市区町村の給水所と徒歩ルート、ポリタンクや台車などの運搬手段を事前に確認しておく
特にトイレ問題は断水時に深刻化しやすく、非常用トイレは飲料水と同じくらい優先度の高い備蓄品です。
「断水後に調べる」のではなく「平時に決めておく」ことが、安心につながります。
断水発生時と復旧後の注意点
マンションなど受水槽方式の建物では、タンク内の水を使い切るまでは水が出る場合があります。
ただし、断水中に無理に水を使うと設備故障につながる可能性があるため、使用は最小限に抑えることが望まれます。
復旧直後は、水道管に空気や濁り水が入り、給湯器やトイレに異物が混入するおそれがあります。
まずは外水栓を少しずつ開き、水がきれいになってから屋内設備を使うようにしましょう。
自治体・企業向けの給水タンク活用
自治体・上下水道局・企業・学校・病院・避難所・福祉施設などでは、給水タンクの整備が重要な断水対策となります。
給水タンクは、給水車から水を受け入れ、一時的に貯水し、必要な人へ効率よく給水するための設備です。
組み立て式給水タンクや可搬型・備蓄型の災害用給水タンクを導入することで、給水所の混雑緩和や応急給水の効率化が期待できます。
給水タンクなどのハード面の備えに加え、「誰が・いつ・どう動くか」というソフト面の仕組みづくりも欠かせません。
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まとめ
地震による断水は、飲み水だけでなく衛生・トイレ・業務継続まで広く影響し、復旧までに数週間〜数ヶ月かかる可能性があります。
だからこそ、保存水や非常用トイレなどの家庭備蓄、給水タンクなどの組織的な備え、そして停電・凍結など複合リスクへの目配りが欠かせません。
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