【現場必見】災害サイクルとは?5つのフェーズと取り組む際のポイント
2026/04/16
災害は突然発生し、人々の生活を一変させます。
特に介護現場では、利用者の命と健康を守るために、迅速かつ的確な対応が求められます。
災害発生直後から復興に至るまで、必要な支援の内容は時間とともに変化します。
この変化を「災害サイクル」として体系的に理解することで、各フェーズで優先すべき事項が明確になり、限られたリソースの中でも効果的な対応が可能となります。
本記事では、災害サイクルの5つのフェーズごとに介護現場の課題と対応策を解説し、平時の備えをチェックリスト形式で整理します。
BCP(事業継続計画)の策定や見直しを検討している方にも、役立つ実践的な内容です。
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災害サイクルとは
災害サイクルとは、災害発生から復興、そして次の災害への備えに至るまでの時間経過を段階的に捉える考え方です。
この概念を理解することで、介護現場においても「今、何を優先すべきか」を的確に判断できるようになります。
介護分野では、利用者一人ひとりの状態や生活環境が異なるため、画一的な対応では不十分です。
災害サイクルのフェーズに応じた柔軟な支援体制を構築することが、利用者の命と尊厳を守る鍵となります。
災害サイクルの基本的な考え方
災害サイクルとは、災害発生直後から次の災害までの時間経過を「サイクル」として捉え、フェーズごとに必要な支援が変わる前提で対応を計画する考え方です。
一般的に、超急性期・急性期・亜急性期・慢性期・平穏期の5つのフェーズに分類されます。
各フェーズでは、求められる医療・介護・生活支援の内容が変化します。
たとえば、発災直後は救命救急が中心ですが、時間の経過とともに慢性疾患の管理や心理的ケア、生活再建支援へと比重が移る傾向にあります。
時間軸に沿った支援の変化を事前に理解しておくことで、限られた人員や物資を適切に配分し、状況に応じた判断が可能となります。
介護分野で災害サイクルが重視される背景
介護分野では、医療ニーズに加えて食事・排泄・移動・見守り・服薬管理・認知症対応といった生活支援の比重が大きいことが特徴です。
災害時には、これら日常的なケアの継続が困難になり、利用者の健康状態が急速に悪化するリスクがあります。
時間経過により、利用者の状態や取り巻く環境は刻々と変化します。
脱水・褥瘡・感染症・せん妄・ADL(日常生活動作)低下・孤立など、フェーズごとに異なるリスクへの対策が必要です。
「いつも通りのケアができない」前提で優先順位を変え、その時々の状況に合わせた柔軟な対応を行うことが、災害関連死や重症化を防ぐうえで極めて重要となります。
災害サイクルの5つのフェーズ
災害サイクルは、時間軸に沿って5つのフェーズに分類されます。
各フェーズでは想定される状況・介護ニーズ・事業所の行動が異なるため、それぞれを正しく理解することが重要です。
ここでは、介護施設と在宅介護の両方の視点から、各フェーズで起きやすい課題と具体的な対応策を解説します。
事業所の状況に照らし合わせながら、対策の優先順位を検討してください。
超急性期(発災〜72時間):生命維持を最優先
超急性期は発災から72時間までの期間で、混乱が予想され、生命維持が最優先となるフェーズです。
建物の倒壊やライフラインの遮断により、通常の介護体制の維持が困難になる可能性があります。
介護現場では、服薬中断による持病の悪化、医療依存度の高い利用者(酸素・吸引・経管栄養・透析など)のケア継続、認知症利用者の不穏や徘徊といった課題が顕在化します。
在宅介護においては、安否確認が困難になるケースも想定されます。
施設では、まずスタッフの安全確保を行い、その後利用者の生命維持(呼吸・循環・体温・水分・薬)に注力します。
医療依存・脱水リスク・認知症重度の利用者を優先的にトリアージし、限られた資源の中で最適な対応を図ります。
在宅介護事業所では、安否確認の優先順位付けが重要です。
独居・寝たきり・医療依存度が高い利用者を優先的に確認し、連絡が取れない場合の代替手段や訪問計画を事前に準備しておく必要があります。
急性期(〜1週間):日常ケアへの移行準備
急性期は発災から約1週間までの期間で、混乱が徐々に収まり、被害状況が把握され始めるフェーズです。 地域によってはライフラインの復旧や支援物資の到着が始まります。
この時期の介護現場では、慢性疾患の悪化・服薬不足・脱水・便秘・栄養不良・口腔ケア不足といった課題が顕在化します。
また、避難所生活や活動低下によるADL低下、精神的ストレス、睡眠不足、家族介護者の疲弊も深刻な問題となります。
施設では、巡回診療チームとの連携を図りながら、感染兆候の早期発見に努めます。
活動量維持のための離床支援や、限られた環境下での口腔ケア・栄養管理を継続することが重要です。
在宅介護事業所では、移動制限下での訪問再開計画を策定し、薬・栄養・水分の確保支援を優先的に行います。 利用者の状態変化を細かく観察し、必要に応じて医療機関との連携を強化します。
亜急性期(〜1か月):災害関連死の予防
亜急性期は発災から約1か月までの期間で、避難所生活が続く中、災害関連死のリスクが高まるフェーズです。
避難所の統合・縮小が検討され始める一方、集団生活による免疫低下で感染症やストレス障害が増加します。
亜急性期は医療・看護の十分な提供が難しい状況が続き、災害関連死が増える時期として特に注意が必要です。
介護現場では、感染症(胃腸炎・インフルエンザ・新型コロナ等)・皮膚トラブル・褥瘡の発生リスクが高まります。 高齢者の活動低下によるサルコペニア(筋肉量減少)の進行や誤嚥リスクの増加、認知症の悪化・孤立・抑うつも懸念されます。
避難所や仮設住宅での「生活支援×健康維持」が重要な課題となります。
清潔保持・栄養管理・運動・口腔ケア・睡眠環境の改善に継続して取り組むことで、二次的な健康被害を予防します。
施設では面会制限や感染対策を継続しつつ、利用者の孤立を防ぐ工夫が求められます。
レクリエーションや声かけの頻度を意識的に増やし、心理的なケアにも配慮します。
慢性期(数か月〜数年):心身の二次被害防止
慢性期は発災から数か月〜数年に及ぶ期間で、多くの被災者が自宅や仮設住宅へ移り、外部支援が終了していくフェーズです。
ボランティアの撤退により孤独感・寂しさが増し、生活基盤の格差が広がることで不安が強まります。
介護現場では、孤立・フレイル進行・うつ・アルコール問題などの長期的な課題に直面します。
また、家族介護者の疲弊が長期化することで、虐待やネグレクトのリスクも高まります。
地域包括支援センターやケアマネジャーを中心に「見守りネットワーク」を再構築することが重要です。 心身の二次被害(フレイル・孤立)を予防するため、地域活動への参加促進や訪問頻度の最適化を図ります。
生活再建の格差により受療やサービス利用が断絶するケースもあるため、必要な支援につなげるためのアウトリーチ活動も欠かせません。
平穏期:次の災害に備える準備期間
平穏期は災害支援が落ち着き、次の災害に備える「準備期間」として位置づけられるフェーズです。
この時期にどれだけ準備を進められるかが、次の災害時の対応力を大きく左右します。
具体的には、災害への備え・必要各所とのネットワーク作り・被災経験者への生活指導・災害時訓練などが主な取り組みとなります。
介護現場では、介護BCPの更新や机上訓練・実動訓練(夜間・少人数想定含む)を定期的に実施することが重要です。
要配慮者名簿や個別支援計画の整備を自治体と連携して進め、停電・断水・通信断を前提にした運用(紙・オフライン含む)も検討しておく必要があります。
平穏期の取り組みが、災害サイクル全体を通じた対応力の底上げにつながります。
こうした災害サイクルを踏まえた事前準備や迅速な対応を支援するツールとして、総合防災アプリ「クロスゼロ」が活用されています。
安否確認機能や緊急連絡機能を備え、各フェーズでの対応をサポートします。
災害サイクルを通じた
継続的な取り組みポイント5選
災害サイクルの各フェーズに対応するためには、平時からの継続的な取り組みが欠かせません。 ここでは、介護現場で特に重要な5つのポイントをチェックリスト形式で解説します。
これらの取り組みは、単発で行うのではなく、定期的に見直し・更新を繰り返すことで実効性を高めていくことが重要です。
自事業所の現状と照らし合わせながら、優先的に取り組むべき項目を検討してください。
組織の体制整備とBCP策定
災害時は予測不能な状況が連続するため、「誰が何を担当するか」を明確化し、事前に周知しておくことが初動の速さを決定づけます。
体制に不備がある場合、初動が遅れて人命に関わる危険が生じる恐れがあります。
BCP(事業継続計画)の策定は、災害時の行動・役割を明確化し、迅速な支援提供を可能にするために有効です。
施設では指揮命令系統・夜勤帯の代替要員・応援要請ルート・入所者の優先順位などを定めておきます。
在宅介護事業所では、訪問優先順位の基準(医療依存・独居・認知症・電源依存など)を明確にしておくことが重要です。
連絡手段が途絶える前提で、集合基準や代替となる連絡手段(SMS・掲示板・紙)も設計しておきます。
以下は、組織体制整備のチェックポイントです。
- 指揮命令系統と代行者の指定
- 夜間・休日の初動体制
- 応援要請先リストと連絡手段
- 利用者の優先対応基準
- BCPの年次見直しスケジュール
利用者情報のオフライン管理
災害後はインターネット接続が不安定になる恐れがあるため、利用者情報を「どこでも確認できる」状態にしておくことが重要です。
システムやクラウドだけでなく、紙・USB・オフライン閲覧も含めた複数の手段を準備します。
初動時に必要な情報がすぐに取り出せる状態であれば、適切な判断と対応が可能になります。
特に医療依存度の高い利用者の情報は、命に直結するため優先的に整備が必要です。
以下は、オフライン管理が必要な情報リストです。
- 利用者基本情報、緊急連絡先
- 既往歴・服薬・アレルギー
- 介護度、ADL、移動手段、嚥下状態、認知症状況
- 医療依存(酸素・吸引・経管・透析等)、必要物品
- 個別避難・支援の留意点(パニック、難聴、意思疎通)
- かかりつけ医・訪問看護・主治医・薬局
介護現場に必要な備蓄品と電源確保
発災直後は支援物資が届かないことを前提に、最低3日分、可能であれば7日分の備蓄を確保しておくことが推奨されます。
一般的な防災セットに加え、介護現場特有の備品が必要です。
電力確保は特に重要です。
医療機器や通信機器の稼働に必要な外部バッテリーや蓄電池を準備し、充電計画も含めて検討しておきます。
以下は、介護現場向け備蓄品のカテゴリ別リストです。
| カテゴリ | 主な備蓄品 |
|---|---|
| 生命維持 | 保存水・非常食(嚥下対応食含む)・保温用品 |
| 排泄 | おむつ・清拭シート・簡易トイレ・手袋 |
| 衛生 | 消毒液・マスク・感染対策用品 |
| 医療 | 常備薬の情報・処置材料 |
| 電源 | モバイルバッテリー・蓄電池 |
| 業務継続 | 紙記録・筆記具・名簿・連絡網 |
備蓄品は定期的に期限をチェックし、常に活用できる状態を維持することが重要です。
実践的な防災訓練と教育の実施
災害時にはスタッフ自身の安全確保が最優先ですが、利用者の命を守るためには日頃からの防災教育と実践的な訓練が欠かせません。
研修やセミナー、資格取得支援なども有効な取り組みです。
訓練は机上訓練だけでなく、実動訓練も組み合わせることで実効性が高まります。
特に夜間・少人数体制での避難誘導訓練は、実際の災害時に直面しやすい状況を想定した重要な訓練です。
以下は、介護現場向け訓練テーマの例です。
- 夜間・少人数の避難誘導(車椅子・寝たきり想定)
- 感染症同時流行時の対応(避難所・施設内クラスター予防)
- 認知症利用者の混乱・徘徊対応
- 断水下の口腔ケア・清潔保持
- 通信断での安否確認と情報共有
訓練後は必ず振り返りを行い、課題をBCPや業務マニュアルに反映させることで、継続的な改善につなげます。
地域との連携体制の構築
自治体や関係機関との連携体制があれば、情報共有がスムーズになり、支援提供が容易になります。
災害時は単独での対応に限界があるため、地域との協力体制が命綱となります。
平時から顔の見える関係を構築しておくことで、災害時の連携がスムーズに進みます。
定期的な会議や合同訓練への参加を通じて、関係性を深めておくことが重要です。
以下は、介護現場で連携を検討すべき主な関係先です。
- 自治体(福祉・防災担当)、社会福祉協議会、地域包括支援センター
- 医療機関、薬局、訪問看護ステーション、消防
- 近隣の介護施設(相互応援協定)、ライフライン事業者
- 避難所運営側(福祉避難所含む)
特に福祉避難所との連携は、災害時に自施設での受け入れが困難になった場合の代替手段として重要です。
要配慮者名簿の共有や個別支援計画の調整を、平時から進めておきます。
まとめ
災害サイクルは、災害発生から復興までの時間経過を5フェーズで捉え、各段階の支援を明確化する考え方です。
介護現場では、医療ニーズへの対応に加え、生活支援やADL維持、感染予防、孤立防止が重要です。
「現在のフェーズ」を正しく認識し、利用者に必要な支援と事業所の役割を的確に判断できる体制の構築が、介護現場における災害対応の鍵となります。
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