サイト内検索

危機管理とは?リスク管理の違いや企業が取り組むべき具体的な対策、おすすめツールを解説

危機管理とは?リスク管理の違いや企業が取り組むべき具体的な対策、おすすめツールを解説

2024/02/27

2024/06/11

防災

危機管理とは災害が発生した場合の対処方法のことを指します。
企業における危機管理には、災害発生までの準備や発生直後の対策、復興に向けた対策まで幅広く検討すべき項目があります。
危機管理は、リスクマネジメントという言葉と勘違いされることが多いのですが、どういう違いがあるか説明できますか?

今回は、危機管理とリスクマネジメントの違いの解説や、危機管理が求められている理由、どのように準備を進めるべきか具体的な方法を紹介します。

会社の危機管理として何か対策を取りたいと思っている人や、BCP以外にどんな危機管理があるか気になる人はぜひ参考にしてください。

危機管理とは?
リスクマネジメントとの違いを解説

企業における危機管理とは、自然災害や人的災害が発生した際に、会社に与える影響を最小限にしつつ、いち早く危機状態から脱出し回復するまでの対策を用意しておくことです。
危機管理はリスクマネジメントとよく混同されやすい言葉ですが、この2つは目的や対象範囲が異なります。

ここでは、危機管理とリスクマネジメントの違いを以下の項目から解説します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

目的の違い

危機管理とリスクマネジメントの目的の違いは以下のとおりです。

危機管理 発生した災害に対して、どう対処すべきかを考える、いち早く回復・復旧するための手段を考える
リスクマネジメント 災害を発生させないために、起こりうるさまざまなリスクに対処する

つまり危機管理とリスクマネジメントは、対処を目的としている箇所が、災害の前か後かという違いがあるということです。

たとえば、地震を例に挙げて危機管理とリスクマネジメントを比較すると、対処すべき内容は以下のように分かれるでしょう。

危機管理 地震が発生時の従業員の安全な避難経路の確保
災害発生時の避難経路・備蓄の確保
事業を継続させるための取引先への連絡手段の確認
リスクマネジメント 耐震工事の実施
地震が発生しても事業が継続できるように拠点を分ける

情報漏洩や炎上などの人的災害であれば、リスクマネジメントを徹底することである程度の被害を抑えられるかもしれません。
しかし地震などの自然災害であれば、いつ災害が発生するか分からない・どのくらいの被害が出るか分からないため、リスクマネジメントだけでは足りない可能性もあります。

対象範囲の違い

危機管理とリスクマネジメントは、対象範囲が異なります。
分かりやすく説明すると、リスクマネジメントは危機管理の一部ということです。

危機管理とリスク管理の関係図
引用:[「危機管理」と「リスク管理」の違い、分かりますか?|JTB総合研究所]

リスクマネジメントの対象範囲は、あくまでも「自然災害や人的災害などが発生しないように備えておく、もしくは発生したとしても被害を抑えるために取り組むべきこと」です。

一方で、危機管理はリスクマネジメントで対策している範囲に加えて、トラブル発生直後の対策が完了した後に、どのようにして元通りの状態に戻していくかという「復興」の過程も含めた計画を作成する必要があります。

危機管理の重要性

複雑化とグローバル化が進む現代社会において、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。
自然災害やテロ、情報漏洩、製品事故など、さまざまな危機が発生する可能性が高まっています。

危機管理は、このような危機が発生した場合に、迅速かつ適切に対応し、被害を最小限に抑え、企業活動を早期に復旧させるための重要な活動です。

危機管理を怠ると、企業活動の停滞、顧客や取引先との信頼関係の喪失、株価の下落、さらには倒産などの事態を招きかねません。

危機管理は、単に危機が発生した後に対応するだけではなく、事前に危機を予測し、発生を予防するための対策を講じることも重要です。

危機管理の重要性を理解する上で、以下の点も把握しておきましょう。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

危機管理の種類

危機管理は、その対象や目的によってさまざまな種類に分類できます。代表的な種類は以下のとおりです。

緊急事態対応 火災や地震、テロなどの緊急事態が発生した場合に、迅速かつ適切な対応をするための活動
事業継続計画 (BCP) 危機が発生した場合でも、事業活動を継続するための計画
レピュテーションマネジメント 危機発生時に企業の評判を維持するための活動
情報セキュリティマネジメント 情報漏洩などの情報セキュリティ事故が発生した場合に、被害を最小限に抑えるための活動

これらの種類は、互いに関連し合っており、一貫した危機管理体制の構築が重要です。
企業は、自らの事業内容やリスク特性を踏まえ、適切な危機管理の種類を組み合わせる必要があります。

危機管理の対象となる危機

危機管理の対象となる危機は、大きく分けて以下の3つに分類できます。

自然災害 地震、洪水、台風、津波、竜巻、火山噴火、雪害など
人災 テロ、事故、事件、火災、情報漏洩、製品事故、風評被害など
組織内部の危機 経営不振、不正会計、労使紛争、訴訟、ハラスメントなど

これらの危機は、単独で発生するだけではなく、複合的に発生する場合もあります。
企業は、さまざまな種類の危機を想定し、それぞれに対応するための対策を講じる必要があります。

危機管理の5つのフェーズ

危機管理は、単一の活動ではなく、一連のプロセスとして捉えることが重要です。
危機管理は以下の5つのフェーズに分けられます。

1. 予防
  • 危機が発生する前に、潜在的なリスクを特定し、その発生をできる限り防ぐための活動
  • リスクアセスメントの実施、危機管理体制の構築、従業員への教育訓練など
2. 準備
  • 危機が発生した場合に、迅速かつ適切な対応ができるように、計画を策定し、準備しておくための活動
  • 危機対応マニュアルの作成、緊急連絡体制の整備、必要な物資の備蓄など
3. 対応
  • 危機が発生した際に、迅速かつ適切な対応をするための活動
  • 情報収集、意思決定、関係者との連携、被害拡大の防止など
4. 復旧
  • 事業活動をできるだけ早く復旧するための活動
  • 設備の復旧、業務の再開、顧客や取引先への対応など
5. 事後分析
  • 危機発生後の状況を分析し、教訓を抽出し、今後の危機管理に活かすための活動
  • 発生原因の調査、対応の評価、再発防止策の策定など

5つのフェーズは、密接に関連しており、一連の流れの中で進めていくことが重要です。

企業に危機管理が求められている理由

企業にとっては危機管理とリスクマネジメントは同じくらい大切な要素といえるでしょう。
リスクマネジメントだけに対応していた場合、災害が起こりにくいというメリットはありますが、実際に発生してしまった場合に対処が間に合わなくなるリスクもあります。

ここでは企業に危機管理が求められている理由を3つ解説します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自然災害や感染症などのトラブルから従業員を守るため

地震などの自然災害が発生した場合、会社がまず守るべきは従業員の身の安全です。
危機管理の対策の中には、災害発生時の避難経路の確保や備蓄の準備などがあります。
事前に危機管理対策として、避難訓練の実施や備蓄の確保を徹底しておけば、災害発生時も従業員の身を守ることができるでしょう。

就業中以外の時間に災害が発生した際も、従業員の安否確認は重要な要素の一つです。

災害時にも活用できるクラウドツールなどを活用して、トラブル発生時もこまめにコミュニケーションを取れる手段を確保しておくことが大切です。

会社の信頼を低下させないため

近年では、SNSなどを通じて会社の管理体制や対応の悪さが指摘され、炎上するケースも増えています。

会社の信頼を低下させる要因の一つは、トラブルが発生した後の対応の内容や時間です。
事前にトラブルを想定し、どのような対策を取るかシミュレーションしておけば、対応の遅さや準備不足を指摘されることは無くなるでしょう。

会社の評判が落ちると、取引先との関係性が悪化し、最悪の場合は倒産するリスクもあります。
トラブルを起こさないための対策を行うのはもちろんですが、トラブルが発生した後の対策についても、他の事例を踏まえて事前に決めておくと良いでしょう。

事業を継続させるため

人的災害や自然災害に限らず、トラブルが発生した時の対処によって、事業が継続できるかが決まります。
危機管理の目的は、「発生した災害に対して、どう対処すべきか、いち早く回復・復旧するための手段を考える」と説明しました。
災害が発生した場合、いち早く復旧しなければ取引が止まり、事業の継続が難しくなってしまいます。
しかし、危機管理対策を実施している企業であれば、従業員の安全確認が出来次第、すぐに復旧に向けた対策に取り組めます。

従業員に危機管理の内容が周知できていれば、会社全体で早急に事業の復旧に取り組めるため、復旧までのスピードを上げられるでしょう。

企業が直面する代表的な危機と具体例

企業活動をする上で、危機を完全に避けることは困難です。
情報化社会の進展やグローバル化の加速により、危機の発生リスクはますます高まっており、その影響も拡大しています。

企業が直面する代表的な危機としては、以下のようなものが挙げられます。

項目 概要 具体例
経済危機 景気後退や金融危機などによる経済情勢の悪化
  • 2008年のリーマンショックによる世界的な金融危機
  • 2011年の東日本大震災による経済活動の停滞
商品・サービスの品質問題 商品・サービスの品質問題
  • 2023年に米国で発覚したトヨタ自動車のエアバッグ問題
  • 2022年に発覚した日清食品の冷凍たこ焼に異物混入
情報漏洩 顧客情報や機密情報が漏洩
  • 2024年に発生したLINEの利用者の大規模な情報漏えい問題
  • 2014年に発生したベネッセホールディングスによる大規模個人情報流出事件

これらの危機は、企業の存続を脅かすだけではなく、企業イメージの悪化や顧客離れ、株価の下落など、さまざまな損失を招きます。

企業は、危機を未然に防ぐために、リスクマネジメントと危機管理の両方の対策を講じることが重要です。

危機管理計画に必要な5つの要素

危機発生時に迅速かつ適切に対応するためには、事前に危機管理計画を策定しておくことが重要です。
危機管理計画にはさまざまな要素がありますが、特に重要なのは以下の5つの要素です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

計画範囲を明確化

計画範囲の明確化は、関係者全員が同じ認識を持ち、計画を効果的に実行するために不可欠です。
具体的には、以下の点を明確にする必要があります。

対象となる危機の種類 自然災害、サイバー攻撃、財務危機、公衆衛生危機など、計画で対象となる危機の種類を明確化
計画の適用対象 本社のみなのか、海外拠点も含まれるのか、関連企業も対象となるのかなど適用される組織の部門や機能を明確化
計画の責任者 計画策定、実行、維持管理の責任者を定義

計画範囲の明確化は、関係者が自分の役割と責任を理解し、危機発生時に迅速かつ効果的に対応できるようにするのに役立ちます。

危機レベルの設定および被害予測

危機レベルとは、危機の深刻度や影響範囲を段階的に示した指標です。
一般的には、5段階から7段階程度に分類されます。

具体的なレベル設定は、企業規模や業種、危機の種類によって異なりますが、以下のような要素を考慮する必要があります。

人的被害 負傷者や死亡者数
経済損失 売上減少額、設備損壊費、賠償金など
社会的影響 企業イメージの毀損、顧客離れ、風評被害など
事業継続 事業停止期間、生産量減少など

被害には、経済的損失や人的被害、ブランドイメージの毀損、法的な責任など、さまざまなものが考えられます。
レベルごとに想定される被害規模や影響範囲を具体的に定め、関係者間で共有する必要があります。
また、過去の類似事例などを参考に、最悪の事態を想定した被害予測を行うことも有効です。

対応手順

危機発生時には、適切な対応が求められます。しかし、誰が何をすべきか曖昧な状況では、混乱が生じ、事態の悪化を招きかねません。

そのため、事前に各関係者の対応手順を決めておくことが大切です。
具体的には、以下の点を決めておく必要があります。

  • 誰がどのような情報を収集するのか
  • 誰が意思決定を行うのか
  • 誰が情報発信を行うのか

危機発生時の混乱を最小限に抑え、迅速な復旧を実現するためには、明確な役割と責任の分担が不可欠です。

危機発生時の業務指示項目

危機発生時、関係者全員が迅速かつ適切な行動を取れるよう、具体的な業務指示項目を事前に準備しておくことが重要です。

業務指示項目には、以下のような内容を盛り込むことが重要です。

状況把握 危機の種類、発生場所、被害状況などを迅速かつ正確に把握する
被害拡大の防止 人命や財産、環境などの被害拡大を防止するための措置を講じる
情報共有 情報共有の手段を事前に定め、混乱を防止する
関係者への指示 関係者それぞれに具体的な指示を行い、役割と責任を明確にする

業務指示項目は、危機の種類や規模に応じて作成する必要があります。
また、定期的に見直しを行い、最新の情報に更新しておくことも重要です。

緊急連絡網

危機発生時には、通常の連絡手段が利用できない場合があります。
そこで重要となるのが、緊急連絡網です。

具体的には、以下のような情報を事前に共有しておくことが重要です。

  • 連絡先(氏名、電話番号、メールアドレスなどをリストアップしておく)
  • 連絡方法(電話やメール、SNSなど、複数の連絡手段を確保しておく)
  • 連絡順序(連絡する順番を明記しておく)
  • 連絡内容(伝えるべき内容を事前に決めておく)

緊急連絡網は、紙ベースとデジタルベースの両方で作成しておくことをおすすめします。

紙ベースの緊急連絡網は、停電時でも利用可能ですが、紛失や破損のリスクがあります。
一方、デジタルベースの緊急連絡網は、更新が容易で、関係者全員が常に最新の情報にアクセスできますが、サイバー攻撃のリスクがあります。

紙ベースとデジタルベースの緊急連絡網を併用すれば、それぞれのメリットを活かし、リスクを軽減できます。

具体的な危機管理対策の取り組み方法を
5ステップで解説

ここからは、企業が取り組むべき危機管理の対策を具体的に解説します。
下記のステップに従って進めてください。

それぞれ詳しく解説します。

危機管理プラン(CMP)を作成する

危機管理プラン(CMP)とは、危機管理の内容を具体的に記載した計画のことです。
危機管理プラン(CMP)で決めておくべき主な内容は以下のとおりです。

  • 災害の規模・レベルに合わせた対応範囲
  • 連絡フロー・責任者
  • 従業員との連絡手段
  • 社外に向けたコミュニケーション手段

特に災害の規模やレベルに合わせた対応範囲の確定は重要です。

たとえば、会社全体での報告やマスコミ対応が必要になる大規模な災害と、部署内での解決ができそうな小規模な災害では、連絡手段や連絡フローは大きく変わってきます。
レベル1〜5くらいに分けた想定を作っておくことで、トラブル発生時の対応に迷うことがなくなるでしょう。

エスカレーションルールを策定する

エスカレーションルールとは、トラブルが発生した際の報告先や責任者に関するルールのことです。

エスカレーションルールを設定して、アルバイトを含めた全ての従業員に共有しておくことで、トラブルが発生した際の報告の漏れや遅れを防ぐ事ができます。

経済産業省のテキストには、レベルに合わせた責任者やトラブルの規模を以下のようにまとめています。

消費財製造業の緊急時対応レベルの設定一覧
引用:[エスカレーション・ルール|リスクマネジメント協会]

図の内容は、あくまでも一例で、すべての従業員が一瞬で理解できるように、数値や時間を踏まえて分かりやすくレベル分けをする必要があるでしょう。

自社の起こりうるトラブルに置き換えて、エスカレーションルールを策定してみてください。

マニュアルや準備物を管理するツールを準備する

防災マニュアルや危機管理プラン、備蓄などの準備ができたらそれらの情報をまとめるツールを用意するのがおすすめです。
なぜなら、マニュアルや備品情報を紙のファイルにまとめていては、保管や維持が大変なだけでなく、いざという時に確認するのが難しいからです。

クラウド上で書類やデータを管理して、複数人がリアルタイムで確認できるようにしておけば、災害時にも情報共有がスムーズになり、被害を最小限に抑えられるでしょう。

マニュアルをはじめとしたデータ管理や、従業員のコミュニケーションツールの導入を検討している人は、クロスゼロがおすすめです。
クロスゼロの主な機能は以下のとおりです。

  • 安否確認の自動配信
  • 安否確認で使用する回答フォームの作成
  • 組織・拠点管理
  • ファイル管理共有
  • チャット機能

災害時の連絡手段として活用できるだけでなく、マニュアルや備品情報をいつでも確認できる機能も備わっています。

詳しいツールや導入事例が気になる人は、公式サイトからご確認ください。
クロスゼロ サービスサイト

訓練を実施する

危機管理プランを策定した後に大切なのは、実際に災害が発生した想定をしながら訓練を実施することです。
訓練を実施することで、従業員が実際の動きを目と体で覚えることができるため、書類だけで内容を共有するよりも理解を深められます。
避難訓練の実施と同じく、年に1回以上の実施がおすすめです。

まずは訓練を実施する場合はどういった流れが必要か、シナリオを考えてみましょう。

定期的な見直し・共有を行う

危機管理プランは、一度作って終わりではありません。
日々の生活で取り上げられる企業のトラブルやニュースなどを参考に、改善点を加えていくことが重要です。
災害が起こるまでに何度もシミュレーションできている状態の方が、初動が早くなり、復旧までのスピードを維持できるでしょう。

定期的に見直した後は、従業員全体への共有も忘れずに行ってください。

まとめ

今回は危機管理とリスクマネジメントの違い、危機管理の重要性や企業が取り組むべき具体的な対策を解説しました。

危機管理は、リスクマネジメントに加えて、災害発生後の復旧までの広い範囲に対する対策です。
日頃から、他社の事例を参考にトラブルの内容や解決策、効果などを調査し、自社に置き換えた対策を検討しておくことが重要です。
また、従業員にも会社の危機管理の取り組みを共有しておくことも大切です。

クロスゼロを活用すれば、災害発生時のコミュニケーションはもちろん、会社が設定した危機管理プラン(CMP)や事業継続計画(BCP)をクラウド上でいつでも確認できるようになります。
日頃から会社全体で防災意識を高めておくことで、いざという時の行動に差が出るでしょう。
まずは会社の中での仕組みづくりから始めるのがおすすめです。

クロスゼロの詳しい機能が気になる人は、30日間の無料体験をお試しください。

×
安否確認・防災・備災サービス クロスゼロ

災害から大切な社員を守り、事業を継続する総合防災サービスです。各種機能やプランはこちらでご確認ください。 サービスサイトを見る