BCP対策に補助金は利用できる?|対象と必要な手続きを解説
2025/08/28
自然災害や感染症拡大などの緊急事態に備えて、BCP(事業継続計画)の策定は現代の企業経営において必要不可欠な取り組みとなっています。
しかし、BCP対策には設備投資や専門家への相談費用など、相応のコストが発生するのも事実です。
そこで注目したいのが、BCP対策を支援する補助金や助成金制度です。
これらの制度を活用することで、費用負担を大幅に軽減しながら効果的なBCP対策を実現できます。
本記事では、BCP対策に利用できる補助金・助成金制度の詳細から、申請手続きの流れ、活用のポイントまでを詳しく解説します。
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BCP対策における
補助金・助成金の概要
企業の事業継続を脅かすリスクが多様化する現代において、BCP対策への投資は避けて通れない経営課題となっています。
しかし、限られた予算の中でどのように効果的なBCP対策を実現するかは、多くの企業にとって悩ましい問題です。
そこで重要な役割を果たすのが、国や地方自治体が提供する補助金・助成金制度です。
これらの制度を理解し、適切に活用することで、費用負担を抑えながら包括的なBCP対策を構築できます。
BCPとは何か
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害、火災、感染症拡大、テロ攻撃などの緊急事態が発生した際に、事業活動を継続し、または早期に復旧するための計画です。
単なる災害対策ではなく、企業の中核事業を守り、ステークホルダーへの影響を最小限に抑える包括的な戦略と言えます。
具体的には、リスク分析、重要業務の特定、代替手段の確保、復旧手順の明文化、従業員への教育・訓練などが含まれます。
これらの取り組みは、企業の生存率を大幅に向上させることが各種調査で明らかになっています。
補助金・助成金活用の意義
BCP対策には、設備投資、システム導入、専門家への相談費用など、相当な経費が発生します。
補助金・助成金を活用することで、これらの費用負担を大幅に軽減し、より充実したBCP対策を実現できるのが最大のメリットです。
さらに、補助金の申請過程で自社のリスク分析や事業継続戦略を深く検討することになるため、BCP策定そのものの質も向上します。
また、公的機関からの支援を受けることで、取引先や金融機関からの信頼度向上も期待できます。
支援制度の全体像
BCP対策に関する支援制度は、大きく分けて国レベル、都道府県レベル、市町村レベルの3階層で展開されています。
国レベルでは事業継続力強化計画認定制度や各種融資制度、都道府県レベルでは東京都のBCP実践促進助成金などの独自制度、市町村レベルでは地域特性に応じた細やかな支援制度が設けられています。
これらの制度は相互に補完し合う関係にあり、複数の制度を組み合わせることで、より効果的なBCP対策を低コストで実現できる構造となっています。
BCP実践促進助成金の詳細解説
公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施するBCP実践促進助成金は、中小企業のBCP策定と防災力向上を支援する代表的な制度です。
助成率の高さと対象範囲の広さで、多くの企業から注目を集めています。
この制度を効果的に活用するためには、助成内容の詳細、申請要件、手続きの流れを正確に理解することが重要です。
助成金の基本内容
BCP実践促進助成金の基本的な枠組みは以下の通りです。
中小企業者は対象経費の1/2以内、小規模企業者は2/3以内という高い助成率が設定されており、上限額は1,500万円(うち基幹システムクラウド化は上限450万円)、下限額は10万円となっています。
申請タイプは単独型(1事業者)と連携型(複数事業者・中小企業のみ)の2種類があり、企業の規模や連携状況に応じて選択できます。
実施主体は公益財団法人東京都中小企業振興公社で、豊富な支援実績を持つ信頼できる機関です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成率 | 中小企業者:1/2以内、小規模企業者:2/3以内 |
| 限度額 | 1,500万円(うち基幹システムクラウド化は上限450万円) |
| 下限額 | 10万円 |
| 申請タイプ | 単独型(1事業者)、連携型(複数事業者・中小企業のみ) |
申請要件と対象エリア
申請にあたっては、共通条件と類型別条件の両方を満たす必要があります。
共通条件では、過去に同助成金を受給していない、同一内容で他の助成金・補助金を受けない、金融業・保険業・農林水産業・風俗・ギャンブル業以外の業種であることなどが定められています。
東京都や公社への支払い滞納がなく、不正受給歴がないことも重要な要件となっています。
また、報告書類提出実績があり、助成事業継続の確実性が高く、休眠会社でないことも求められます。
類型別条件については、単独型では都内で1年以上事業を継続し、「BCP策定支援事業」または「事業継続力強化計画」に基づきBCPを策定していることが必要です。
連携型では、代表者と過半数の参加者が都内で1年以上事業を行い、全員が関東エリア(1都6県+山梨)で営業していることが条件となります。
対象エリアは単独型が東京都内、連携型が東京都、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬、山梨となっており、代表者は東京都内に本店または支店が必要です。
申請スケジュールと手続きフロー
この助成金は例年、年に数回募集されます。
例えば令和6年度は年3回実施されました。
令和7年度も同様のスケジュールが予定されています。
申請期間は5日間程度と非常に短いため、事前準備が成功の鍵となります。
申請受付期間以前に必要な認定取得やBCP策定を完了させておく必要があります。
申請フローは以下の通りです。
まず「連携事業継続力強化計画」等の認定取得またはBCP策定支援事業を利用し、BCPを策定します。
その後、助成金申請をJGrants電子申請システムで行い、審査を経て交付決定を受けます。
事業実施後は完了報告を提出し、完了検査を受けた後、助成金の確定・請求・支払いという流れになります。
各段階で必要な書類や手続きが異なるため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。
助成対象となる具体的な事業例
2025年度の助成対象事業例として、自家発電装置・蓄電池、安否確認システム、感染症対策物品、従業員備蓄品、土のう・止水板、転倒防止装置などのハード面の整備が挙げられています。
データバックアップ用サーバー・クラウドサービス、基幹システムのクラウド化などのIT関連投資も対象となっており、現代のBCP対策に不可欠なデジタル化も支援されています。
また、耐震診断などの専門的な調査・診断費用も対象となっており、幅広いBCP対策に活用できる制度設計となっています。
これらの具体例を参考に、自社のリスク分析結果と照らし合わせて、最も効果的な投資先を検討することが重要です。
KENTEM(株式会社建設システム)が提供するクロスゼロのような統合型の安否確認・災害対策システムも、この助成金の対象となる可能性があります。
詳細な対象可否については、申請前に公社に確認することをお勧めします。
その他の地域・国レベルの
BCPの支援制度
BCP対策への支援制度は東京都だけでなく、全国各地の自治体や国レベルでも展開されています。
地域の特性や企業のニーズに応じて、多様な支援メニューが用意されており、企業所在地や事業規模に関わらず活用できる制度が存在します。
これらの制度を組み合わせることで、より包括的なBCP対策を効率的に実現できます。
以下、代表的な制度について詳しく解説します。
地方自治体の独自制度
東京都江戸川区では「BCP策定にかかる助成金」を実施しており、上限20万円で講師派遣費・外部研修費も対象となっています。
BCP策定の初期段階から専門家のサポートを受けられるため、質の高いBCP構築が可能です。
新潟県長岡市では「BCP・事業承継・経営改善補助金」として、市内中小企業を対象にM&A・経営改善も含む幅広い支援を行っています。
これは単なるBCP策定支援を超えて、企業の持続的成長を総合的に支援する先進的な取り組みです。
各自治体の制度は、地域の災害リスクや産業構造を反映した独自性があります。
例えば、沿岸部では津波対策、内陸部では土砂災害対策、都市部では帰宅困難者対策などに重点を置いた支援内容となっています。
自社の所在地や関連地域の自治体ホームページを定期的にチェックし、新たな支援制度の情報収集を行うことが重要です。
国の事業承継・M&A補助金
中小企業庁が実施する「事業承継・M&A補助金」は、補助率2/3または1/2、上限800万円で専門家活用費用を補助する制度です。
事業承継やM&Aの過程でBCP策定が必要となるケースが多く、間接的にBCP対策を支援する効果があります。
この補助金は、単独でのBCP策定費用は対象外ですが、事業承継計画の一環としてBCP策定を行う場合には活用できる可能性があります。
特に後継者問題を抱える企業にとっては、事業継続と事業承継の両面から有効な支援制度です。
申請にあたっては、事業承継やM&Aの計画と併せてBCP策定の必要性を明確に示すことが重要です。
専門家の活用により、より実効性の高いBCP構築が可能になります。
また、この補助金を活用する場合は、事業承継・M&Aの専門家とBCPの専門家の連携が不可欠となるため、適切なパートナー選びが成功の鍵となります。
融資制度との組み合わせ
補助金・助成金と並行して活用できるのが、BCP策定支援融資制度です。
自治体・金融機関が防災対策資金を融資するもので、日本政策金融公庫の「BCP資金」は全国で利用可能です。
融資制度は補助金・助成金と併用可能で、より大規模なBCP対策投資を実現できるメリットがあります。
特に設備投資が多額になる場合は、補助金・助成金で自己負担を軽減し、不足分を融資で賄うという戦略が有効です。
融資制度の活用にあたっては、返済計画の策定が重要です。
BCP対策による事業継続性向上効果を定量的に示し、投資回収の見通しを明確にすることで、金融機関からの理解を得やすくなります。
また、融資申請時にBCPの策定状況や実施予定を詳細に説明することで、金融機関からの評価向上にもつながります。
これにより、通常の融資よりも有利な条件での資金調達が可能になる場合があります。
BCP策定に活用できる支援制度
BCP対策では設備投資と併せて、計画策定そのものへの支援も重要です。
国や関連機関では、中小企業のBCP策定を促進するため、様々な支援制度を用意しています。
これらの制度を活用することで、専門知識がなくても体系的なBCPを策定でき、さらに認定を受けることで様々な優遇措置も受けられます。
以下、主要な支援制度について詳しく説明します。
事業継続力強化計画認定制度
経済産業省が実施する事業継続力強化計画認定制度は、中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経産省が認定する制度です。
認定を受けることで税制措置・金融支援・補助金加点などの様々なメリットを受けられます。
この制度の特徴は、自然災害等による事業活動への影響を軽減するための事前対策を重視している点です。
単なる事後復旧計画ではなく、災害を想定した予防的な取り組みを評価する仕組みとなっています。
認定のメリットとしては、防災・減災設備への税制措置(特別償却20%または税額控除4%)、政府系金融機関による低利融資、各種補助金申請時の加点評価などがあります。
特に補助金申請時の加点は実質的に採択率向上につながるため、BCP実践促進助成金などの申請を検討する企業にとって大きなアドバンテージとなります。
中小企業庁の策定支援
中小企業庁では、BCP策定のためのテンプレートや記載例を提供し、中小企業のBCP策定をサポートしています。
専門知識がなくても、提供されたテンプレートとサポート体制により、スムーズなBCP策定が可能です。
テンプレートは業種や企業規模に応じて複数用意されており、自社の状況に最も適したものを選択できます。
また、記載例も豊富に提供されているため、具体的な記述方法に迷うことなく策定を進められます。
さらに、中小企業庁では定期的にBCP策定セミナーや相談会も開催しており、専門家から直接アドバイスを受けることも可能です。
これらの支援を組み合わせることで、外部コンサルタントを活用せずとも実用的なBCPを策定できます。
策定したBCPは定期的な見直しと改善が必要ですが、中小企業庁のサポートは継続的に利用可能なため、PDCAサイクルを回しながらBCPの実効性を高めていけます。
BCP補助金の申請を
成功させるポイント
補助金・助成金制度を効果的に活用するためには、制度の理解だけでなく、申請手続きでの戦略的なアプローチが重要です。
申請競争が激しい制度では、準備の質が採択を左右します。
成功率を高めるためには、事前準備の徹底、申請書の質向上、審査基準の理解など、複数の要素を総合的に管理する必要があります。
以下、具体的なポイントを解説します。
事前準備の重要性
補助金申請の成否は、事前準備の質で大きく左右されます。
申請期間は短期間に設定されることが多く、期間内に質の高い申請書を作成するには十分な準備時間が必要です。
まず、自社のリスク分析を徹底的に行い、想定される災害や事故のシナリオ、それらが事業に与える影響度を定量的に把握することが基本となります。
この分析結果に基づいて、必要な対策と優先順位を明確にします。
次に、対策に必要な設備や物品、システムなどの仕様と費用を詳細に調査し、複数の業者から見積もりを取得します。
価格の妥当性を示すためにも、最低3社以上からの見積もりは必須です。
さらに、BCP策定が前提条件となっている助成金の場合は、策定作業を早期に完了させておく必要があります。
必要に応じて専門家のサポートを受けながら、実効性の高いBCPを作成しましょう。
申請書作成のコツ
申請書の質は採択率に直結する重要な要素です。
審査員が理解しやすく、かつ説得力のある内容を心がける必要があります。
現状分析、課題の特定、対策の妥当性、期待される効果を論理的に整理して記述することが基本です。
現状分析では、自社を取り巻くリスク環境を客観的なデータとともに説明します。
過去の災害事例、業界特有のリスク、地域の災害履歴などを具体的に示し、BCP対策の必要性を明確にします。
対策内容の説明では、選択した設備や物品の仕様、導入効果、他の対策との連携について詳細に記述します。
単なる設備導入ではなく、包括的なBCP戦略の一環であることを示すことが重要です。
また、事業継続における重要性や緊急度を数値化して示すことで、投資対効果の妥当性をアピールできます。
従業員数、売上高、取引先数などの基本情報とともに、災害発生時の影響度を定量的に説明しましょう。
採択率向上のための戦略
採択率を向上させるためには、審査基準の理解と戦略的なアプローチが必要です。
多くの補助金制度では、事業の必要性、実現可能性、効果の持続性、地域への貢献度などが評価されます。
これらの評価項目それぞれについて、具体的なエビデンスとともに説明することで説得力を高めることができます。
事業継続力強化計画の認定を事前に取得しておくことも有効な戦略です。
認定を受けることで、BCP策定への取り組み姿勢と計画の妥当性が公的に認められたことになり、審査での加点要素となります。
また、地域の商工会議所や中小企業診断士などの専門家と連携し、申請書の客観的なチェックを受けることも重要です。
第三者の視点から見た改善点を反映することで、申請書の完成度を高められます。
さらに、複数回の申請機会がある制度では、一度不採択となっても諦めずに改善を図り、再申請に挑戦することも大切です。
不採択理由を分析し、指摘された点を改善することで、次回の採択可能性を高められます。
KENTEM(株式会社建設システム)のクロスゼロのような実績のある災害対策システムを導入する場合、導入実績や効果測定データなどの客観的な情報を活用することで、申請書の説得力をさらに向上させることができます。
まとめ
BCP対策における補助金・助成金制度は、費用負担を大幅に軽減しながら効果的な事業継続体制を構築するための重要な支援ツールです。
東京都のBCP実践促進助成金をはじめとする各種制度を理解し、適切に活用することで、限られた予算でも包括的なBCP対策を実現できます。
申請の成功には事前準備の徹底と戦略的なアプローチが不可欠であり、自社のリスク分析から始まり、適切な対策の選択、申請書の質向上まで、総合的な取り組みが求められます。
各種認定制度や融資制度との組み合わせにより、さらに効果的なBCP対策投資が可能となります。
KENTEM(株式会社建設システム)では、安否確認から災害対策まで包括的に対応できるクロスゼロシステムを提供しており、BCP対策の中核となるソリューションとして多くの企業に選ばれています。
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