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防災担当者必見!BCP発動の条件は?基準や発動フローを紹介

防災担当者必見!BCP発動の条件は?基準や発動フローを紹介

2025/10/08

防災

企業にとって事業継続計画(BCP)の策定は必須の取り組みとなっていますが、策定したBCPが実際の緊急時に適切に発動されなければ、その効果は期待できません。
特に自然災害や人為災害、感染症の拡大など、さまざまなリスクが想定される現代において、BCP発動の判断基準と実行フローの明確化は企業の生存に直結する重要な課題です。

本記事では、防災担当者が押さえておくべきBCP発動の条件や基準、そして実際の発動フローについて詳しく解説します。
正確な発動判断により事業継続を実現するための実践的な知識をお伝えしますので、ぜひ自社のBCP運用にお役立てください。

BCP発動を確実に実行するためには、事前の計画策定と合わせて、実際の運用をサポートするシステムの活用が効果的です。
安否確認から情報共有まで一元管理できるツールを導入することで、緊急時の初動対応をスムーズに進めることができます。

BCP発動とは?

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)発動とは、自然災害やテロ、感染症の拡大などの緊急事態が発生した際に、事前に策定した事業継続計画を実際に実行に移すことです。
単にBCPを策定するだけでなく、適切なタイミングで発動し、実効性のある対応を行うことが企業の事業継続にとって極めて重要です。

BCP発動の本質は、緊急事態による事業への影響を最小限に抑え、可能な限り迅速に事業を復旧・継続させることにあります。
そのため、発動の判断が遅れるほど、被害は拡大し、復旧にかかる時間とコストも増大してしまいます。

事業継続計画と事業継続管理(BCM:Business Continuity Management)の違いも理解しておく必要があります。
BCPは計画書そのものを指し、BCMはBCPの策定から運用、見直しまでの一連の管理プロセスを指します。
BCP発動は、BCMの重要な構成要素の一つとして位置づけられます。

発動の効果を最大化するためには、平常時からの準備が不可欠です。
発動基準の明確化、責任者の選任、連絡体制の整備、必要な資源の確保など、多岐にわたる準備作業を計画的に進めておくことが求められます。

BCP発動の条件と判断基準

BCP発動を適切に判断するためには、明確な条件と基準を事前に設定しておくことが重要です。
中小企業庁の「BCP策定運用指針」をはじめ、各種ガイドラインに示された基準を参考に、自社の事業特性に応じた発動条件を定めましょう。

中小企業庁が示すBCP発動の基本条件

中小企業庁が公表している「BCP策定運用指針」では、BCP発動の基本条件として「自社の中核事業の重要な構成要素に影響があった場合」と「早期対応しなければ目標時間内に中核事業を復旧できない場合」の2点が挙げられています。

中核事業とは、企業の売上や利益の大部分を占める主力事業や、顧客との信頼関係の維持に直結する重要な事業を指します。
このような事業に影響を与えるボトルネック、つまり重要な経営資源(人材、設備、情報、資金など)に被害が及んだ場合は、迅速なBCP発動が必要となります。

また、復旧目標時間(RTO:Recovery Time Objective)の概念も重要です。
RTOは、事業停止から復旧までの許容可能な時間を設定したもので、この時間内に復旧できない可能性が高い場合は、早期のBCP発動が求められます。

自然災害発生時の発動基準

自然災害については、災害の種類や規模に応じて具体的な発動基準を設定することが重要です。
特に地震については、震度5強から6弱以上を一つの目安として、BCP発動を検討する企業が多く見られます。

地震発生時のBCP発動では、まず従業員と家族の安否確認を最優先に実施し、続いて建物・設備の損壊確認、インフラ停止状況の把握を行います。
これらの初期対応と並行して、中核事業への影響分析を実施し、事業継続の可否を判断することが重要です。

台風や豪雨などの風水害については、気象庁が発表する警戒レベルを参考に発動基準を設定できます。
警戒レベル4(避難指示)が発令された段階で、BCP発動の検討を開始し、レベル5に達した場合は原則として発動するといった基準が考えられます。

その他の自然災害として、津波、地すべり、火山噴火、豪雪なども想定し、それぞれに応じた発動基準を設けることが望ましいでしょう。
地域の災害リスクを踏まえ、優先度の高い災害から順に基準を整備していくことが実用的です。

人為災害・IT災害における発動判断

人為災害には、従業員のヒューマンエラー、内部不正、バイトテロ、情報漏洩、産業スパイ活動などが含まれます。
これらの災害は自然災害と異なり、被害の範囲や影響度の予測が困難な場合が多いため、初期対応の段階で慎重な判断が必要です。

IT災害については、サイバー攻撃、ウイルス感染、システム障害、データ消失などが主な対象となり、事業への影響度と復旧見込み時間を総合的に判断してBCP発動を決定します。
特にランサムウェア攻撃を受けた場合は、システム全体への影響が甚大になる可能性が高いため、迅速な発動判断が求められます。

火災については、自社施設での発生はもちろん、近隣での大規模火災により事業所へのアクセスが困難になった場合や、重要な取引先が被災した場合も発動対象となります。
火災の規模、延焼の可能性、消火活動の状況などを総合的に判断し、事業継続への影響を評価することが重要です。

感染症拡大時の発動条件

新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、感染症拡大時のBCP発動基準の重要性が広く認識されるようになりました。
感染症に関する発動条件は、政府の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令を一つの基準とすることができます。

感染症対策では、従業員の健康確保を最優先としつつ、事業継続の両立を図ることが重要な課題となります。
出社制限により人手不足が発生した場合や、重要な取引先が操業停止になった場合は、BCP発動による代替手段の実施を検討する必要があります。

社内で感染者が発生した場合の対応も事前に定めておくことが重要です。
感染者数や濃厚接触者数に応じて、部分的な業務停止から全面的な在宅勤務への移行まで、段階的な対応計画を策定しておくことで、適切なタイミングでのBCP発動が可能になります。

BCP発動の具体的なフロー

BCP発動時には、事前に定められた手順に従って迅速かつ組織的な対応を行う必要があります。
混乱を最小限に抑え、効果的な事業継続を実現するため、以下の5つの段階に分けて発動フローを構築することが重要です。

緊急事態対策本部の設置

BCP発動の第一段階として、緊急事態対策本部を迅速に設置し、指示系統を明確化することが重要です。
対策本部は、情報収集チーム、意思決定チーム、広報チームなどの機能別チームで構成し、各チームの役割と責任を明確に定めておく必要があります。

対策本部長は原則として社長や代表取締役が務めますが、不在の場合に備えて代行順位を事前に定めておくことが重要です。
また、本部設置の判断権限者や設置場所(代替場所を含む)、必要な設備・資材についても事前に決定し、関係者に周知しておく必要があります。

緊急時の意思決定プロセスも平常時とは異なる簡略化されたものとし、迅速な判断を可能にする体制を構築しておきましょう。
重要事項の判断基準や決裁の範囲も、事前にルール化しておくことが効果的です。

被害状況の確認と情報収集

対策本部設置後、直ちに被害状況の確認と情報収集を開始します。
最優先すべきは従業員の安否確認であり、全従業員の安全確保を第一に実施します。
安否確認システムの活用や、緊急連絡網による確認作業を組織的に行うことが重要です。

建物・設備の損壊状況、重要書類・データへの影響、取引先の被害状況など、事業継続に直結する情報を体系的に収集し、対策本部で一元管理することが効果的です。
情報収集の優先順位や担当者、報告フォーマットを事前に定めておくことで、混乱を防ぎ効率的な情報収集が可能になります。

外部からの情報収集も重要な要素です。
行政機関からの災害情報、インフラ事業者からの復旧見込みの情報、業界団体からの関連情報など、事業継続の判断に必要な外部情報を積極的に収集し、社内情報と合わせて総合的な状況把握を行います。

事業継続・復旧活動の開始

被害状況の把握に基づいて、事業継続・復旧活動を開始します。
設備の応急復旧作業や二次災害の防止措置を実施すると同時に、代替手段による事業継続の検討を行います。

従業員の出社が困難な場合は、在宅勤務(テレワーク)やサテライトオフィスの活用により業務継続を図ります。
完全な復旧が困難な状況であっても、部分的な事業再開や代替サービスの提供により、顧客との関係維持と収益確保を目指すことが重要です。

中核事業の優先的復旧を基本とし、限られた資源を効率的に配分することが求められます。
事前に策定した復旧の優先順位に従い、段階的な事業再開計画を実行に移していきます。
また、復旧作業の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて計画の修正を行う柔軟性も重要です。

社員支援と財務対策の実施

緊急事態下では、従業員への支援体制の充実が事業継続の基盤となります。
帰宅困難者への対応として、社内での宿泊設備の提供や食料・飲料水の確保、安全な帰宅ルートの情報提供などを実施します。

従業員とその家族の衣食住の確保、医療サービスへのアクセス支援、メンタルヘルスケアの提供など、包括的な支援策を展開することで、従業員の安心感を高め、事業復旧への協力を得ることができます。

財務対策については、復旧に必要な資金の確保が最優先となります。
損害保険の適用の可能性を早期に確認し、自治体の災害支援制度や政府系金融機関の緊急融資制度の活用を検討します。
また、取引銀行との緊急時融資に関する事前相談や、資金繰り計画の見直しも並行して実施します。

顧客・取引先への対応

事業継続において、顧客・取引先との信頼関係の維持は極めて重要です。
被害状況と今後の事業継続見込みについて、適切なタイミングで正確な情報を提供することが求められます。

納期遅延が避けられない場合は、遅延の理由と代替策を明確に説明し、顧客の理解と協力を求めます。
緊急事態だからこそ、平常時以上に丁寧で誠実な対応を心がけることで、長期的な信頼関係の維持・強化につなげることが可能です。

取引先との協力体制も重要な要素です。
原材料や部品の調達先の被災状況を確認し、代替調達先の確保や調達計画の見直しを実施します。
また、物流や配送に関する代替ルートの確保や、協力会社との連携強化により、供給網の早期復旧を図ります。

効果的なBCP発動のための
事前準備

BCP発動を成功させるためには、平常時からの周到な準備が不可欠です。
発動基準の明文化、定期的な訓練の実施、緊急連絡体制の構築など、多面的な準備作業を計画的に進めることが重要です。

発動基準の明文化と社内共有

BCP発動の成否は、適切なタイミングでの判断にかかっています。
そのため、発動基準を明文化し、判断権者や関係者に周知徹底することが極めて重要です。
曖昧な基準では判断が遅れ、結果として被害の拡大や復旧の長期化を招く恐れがあります。

発動基準の明文化では、災害の種類別・規模別に具体的な数値基準や状況基準を設定します。
例えば、地震については震度、風水害については警戒レベル、感染症については感染者数や政府の措置など、客観的で判断しやすい指標を採用することが効果的です。

基準の社内共有については、管理職層への研修実施、従業員向けの説明会開催、社内イントラネットでの情報公開など、複数のチャネルを活用して確実な周知を図ります。
また、新入社員研修や定期的な防災訓練の機会も活用し、継続的に防災意識を高める取り組みを行うことも大切です。

定期的な訓練とシミュレーション

BCP発動の実効性を高めるためには、定期的な訓練とシミュレーションの実施が不可欠です。
机上訓練では、様々なシナリオに基づいて発動判断から初期対応までの一連のプロセスを検証し、問題点や改善点を明確にします。

実践的な訓練では、実際の緊急時を想定した状況設定の下で、対策本部の設置、安否確認、情報収集、意思決定などの具体的な行動を実践し、計画の妥当性と実行可能性を検証します。

シナリオ訓練では、単一の災害だけでなく、複合災害や連続災害など、より複雑で困難な状況を想定した訓練も実施します。
また、平日・休日・夜間など、発生時間帯を変えた訓練により、様々な状況下での対応力を向上させることができます。

訓練結果の分析と改善も重要なプロセスです。
訓練で明らかになった課題や問題点について、原因分析を行い、BCPの見直しや追加的な準備措置の実施につなげることで、継続的な改善を図ります。

緊急連絡体制の構築

迅速なBCP発動のためには、確実で効率的な緊急連絡体制の構築が必要です。
連絡手段の多重化、連絡先情報の定期的な更新、代替連絡手段の確保など、通信インフラの被災も想定した体制整備を行います。

緊急連絡網は、通常の電話回線だけでなく、携帯電話、メール、SNS、防災無線など、複数の通信手段を組み合わせて構築します。
特に大規模災害時には通信網の混線が予想されるため、優先度の高い連絡については複数の手段で確実性を高めることが重要です。

緊急連絡先の管理では、従業員の連絡先情報を定期的に更新し、家族の連絡先や緊急時の避難先なども含めて包括的に管理します。
また、重要な取引先や協力会社の緊急連絡先についても同様に管理し、必要時に迅速な連絡が取れる体制を整備します。

現代では、総合防災アプリ「クロスゼロ」のような統合型システムの活用により、安否確認から情報共有、BCP資料の配布まで一元的に管理できる環境の構築が可能です。
平常時からこうしたシステムに慣れ親しむことで、緊急時の円滑な運用が期待できます。

まとめ

BCP発動は、策定した事業継続計画を実効性のあるものにするための重要なプロセスです。
中小企業庁が示す基本条件である「中核事業の重要な構成要素への影響」と「目標時間内での復旧困難性」を基準として、自然災害、人為災害、IT災害、感染症など、様々なリスクに応じた具体的な発動基準を設定することが重要です。

発動時の具体的なフローとして、緊急事態対策本部の設置から始まり、被害状況確認、事業継続・復旧活動、社員支援・財務対策、顧客・取引先対応という5つの段階を体系的に実施することで、混乱を最小限に抑えた効果的な対応が可能になります。
特に初期対応における安否確認と情報収集の迅速性が、その後の事業継続の成否を大きく左右します。

平常時からの準備として、発動基準の明文化と社内共有、定期的な訓練とシミュレーション、緊急連絡体制の構築が不可欠です。
これらの準備を怠ると、いざというときに適切な判断ができず、BCP本来の目的である事業継続を実現できません。

KENTEM(株式会社建設システム)が提供する総合防災アプリ「クロスゼロ」は、BCP発動時に必要となる安否確認、緊急連絡、BCP資料等の情報共有などの機能をサポートし、迅速で確実な初動対応を可能にします。
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