建設業の離職率はどれぐらい?離職の原因と人材定着に向けた対策
2026/05/11
「建設業は離職率が高い」というイメージを持つ方は多いかもしれません。
しかし最新の統計データによると、建設業全体の離職率は全産業平均を下回る水準で推移しています。
では、なぜ建設業界では深刻な人手不足が続いているのでしょうか。
その背景には「若年層の早期離職率の高さ」と「入職率の低さ」という2つの構造的課題があります。
本記事では、建設業の離職率に関する最新データを踏まえ、若手が離職する7つの構造的原因を詳しく解説します。
さらに、人材定着に向けた具体的な対策や成功事例も紹介しますので、採用や定着に課題を感じている経営者・人事担当者の方はぜひ参考にしてください。
建設業界で人材定着を図るためには、自社の魅力を効果的に発信することが欠かせません。
採用力強化に向けた情報発信の方法について、以下の資料で詳しくご紹介しています。
建設業の離職率の実態とは
建設業の離職率について、まずは最新の統計データから実態を確認していきましょう。
「建設業=離職率が高い」という一般的なイメージと、実際のデータとの間には大きなギャップがあります。
ここでは、全産業との比較や他業種との違いを踏まえながら、建設業が抱える人材課題の本質に迫ります。
建設業全体の離職率は全産業平均より低い
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」によると、建設業の離職率は10.1%であり、全産業平均の15.4%を下回っています。
他業種と比較すると、宿泊業・飲食サービス業は26.6%、生活関連サービス業・娯楽業は28.1%と高い水準にあります。
この数値から、建設業は他産業と比較して人材が定着しやすい傾向にあることがわかります。
しかし、この数値だけを見て「建設業は人材の心配がない」と判断するのは早計です。
全体の離職率が低いにもかかわらず、なぜ建設業界では深刻な人手不足が続いているのでしょうか。
本当の課題は若手離職率と入職率の低さ
建設業の人材問題の本質は、若年層の高い早期離職率と、そもそも建設業に入職する人が少ないという二重の課題にあります。
厚生労働省の調査によると、新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は、建設業で高卒41.4%、大卒30.5%となっており、いずれも高い水準にあります。
一方、製造業では高卒28.6%、大卒21.2%です。
建設業と比較すると、建設業の離職率は製造業を高卒で13.8ポイント、大卒で9.3ポイント上回っており、若手人材の定着が大きな課題であることがうかがえます。
「全体の離職率は低い」「若手が定着しない」「入職者が少ない」という3つの要因が、業界全体の高齢化と人手不足を加速させています。
建設業で若手が辞めてしまう
7つの構造的原因
若手社員が建設業を離れてしまう背景には、複数の構造的な問題が存在します。
これらの原因を正しく理解することが、効果的な対策を講じるための第一歩となります。
ここでは、若手が離職に至りやすい7つの主要な原因を詳しく解説していきます。
長時間労働と休日の少なさ
建設業では、工期遵守のプレッシャーにより長時間労働が発生しやすい傾向があります。
4週4休や4週6休など、週休2日制が十分に定着していない現場も存在します。
プライベート時間を重視する若年層にとって、この労働環境は大きな負担となります。
ワークライフバランスが取りにくい状況が続くことで、心身の疲弊につながることで、早期離職の一因となっています。
身体的負担と安全への懸念
建設現場では、猛暑や極寒の中での屋外作業を伴うことがあります。
常に危険と隣り合わせの環境で、高い体力と集中力が求められる場面もあります。
特に経験の浅い若手ほど、こうした身体的負担の影響を受けやすく、長く働き続けることへの不安を感じやすい傾向があります。
安全面への不安も相まって、他業種への転職を考えるきっかけになることも少なくありません。
給与体系と将来性への不安
建設業では日給月給制を採用している企業が多く、収入が安定しにくい面があります。
天候や現場状況によって稼働日数が左右され、月々の収入に変動が生じることもあります。
また、昇給やキャリアアップの仕組みが不透明な企業も存在します。
現在の給与水準だけでなく、将来の見通しが立てにくいことが若手の離職要因となっています。
旧来の厳しい人間関係
建設業界には、徒弟制度的な「見て覚えろ」という文化が残っている職場もあります。
厳しい上下関係の中で、十分な指導やフォローを受けられないケースも見受けられます
こうした環境は若手に精神的なストレスを与え、孤立感を生みやすくなります。
相談相手がいない状態が続くと、離職という選択につながりやすくなります。
キャリアパスの不透明さ
一人前になるまでの道筋や、その後のキャリア選択肢が明確に示されていない企業も少なくありません。
目標となる役職や職位、必要なスキル、取得すべき資格などが見えにくい状態です。
将来像を描けないと、日々の仕事へのモチベーションを維持することが難しくなります。
「この会社で成長できるのか」という不安が、若手の離職を後押ししています。
「3K」のネガティブイメージ
「きつい」「汚い」「危険」という3Kのイメージは、現在も建設業界に根強く残っています。
実際にはICT技術の導入などにより、現場環境は大きく改善されている企業も増えています。
しかし、そうした取り組みが若者に十分に伝わっていないことが問題です。
ネガティブなイメージが入職の障壁となり、入社後の期待とのギャップから早期離職につながることもあります。
重層下請構造による条件悪化
建設業界特有の重層下請構造も、若手の離職に影響を与える要因の一つです。
元請から一次、二次、三次下請へと発注が流れる中で、下層の企業ほど条件が厳しくなりやすい傾向があります。
その結果、厳しい予算のしわ寄せや、短工期による長時間労働が発生しやすくなります。
個社の努力だけでは変えにくい業界構造が、若手の将来不安を生む要因となっています。
建設業の2024年問題からの
離職率への影響
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、働き方改革への対応が本格化しました。
施行から1年が経過した今、各企業の対応状況とその影響について振り返ります。
表面的な対応にとどまった企業と、本質的な改革を進めた企業では、人材定着率に明確な差が生まれ始めています。
表面的な対応と実態の乖離
多くの企業で、時間外労働の上限規制への対応が進んでいます。
しかし、勤怠記録上は適正であっても、実態として早出や持ち帰り業務が発生しているケースも見受けられます。
DXや工程改善を伴わないまま残業だけを制限すると、「給料が減った」「短時間で同じ成果を求められて、かえって負担が増した」という不満が生まれます。
こうした状況は従業員の不信感や失望感につながり、離職リスクを高める要因となります。
対応の差が定着率の差を生む
2024年問題への対応には、企業間で大きな差が生じています。
単なる数字合わせの働き方改革では、人材は定着しません。
実質的な生産性向上と労働環境改善を両立させた企業では、従業員のエンゲージメントが向上し、定着率も改善しています。
一方、形式的な対応にとどまった企業では、むしろ離職率が上昇するリスクがあります。
建設業の離職率を改善する
人材定着対策7選
建設業で若手人材を定着させるためには、複数の施策を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。
ここでは、実践的で効果の高い7つの人材定着対策を紹介します。
自社の状況に合わせて、取り組みやすいものから検討してみてください。
週休2日制の導入と徹底した勤怠管理
人材定着の第一歩は、「安心して休める職場環境」になることです。
班編成やローテーションを工夫して休日を確保し、勤怠管理システムで労働時間を可視化しましょう。
受注段階で無理のない工期設定を交渉することも重要です。
完全週休2日制への移行を目標に、段階的に休日を増やしていくことが若手定着につながります。
DX推進による生産性向上と負担軽減
2024年問題への対応は、DXとセットで進める必要があります。
ICT建機やドローン、施工管理アプリ、情報共有ツールの導入により、作業効率の向上が期待できます。
直行直帰の実現など、働き方の柔軟性を高めることも効果的です。
労働時間の短縮と身体的・精神的負担の軽減を同時に実現することで、若手が長く働きたいと思える環境が整います。
明確な評価制度とキャリアパスの提示
若手は「今」だけでなく「将来」に納得できる会社を選ぶ傾向があります。
何を頑張れば評価されるのか、どのように成長・昇進できるのかを明確に示すことが重要です。
キャリアプラン申告制度や上司との定期面談を通じて、社員主体のキャリア形成を支援しましょう。
将来の見通しが立つことで、日々の仕事へのモチベーションが高まります。
若手への投資(教育・研修制度の充実)
現場任せの教育ではなく、会社として育てる姿勢を見せることが重要です。
体系的な教育制度や研修プログラムを整備し、若手の成長を支援しましょう。
社内アカデミーや階層別研修の導入も効果的です。
不安の軽減と成長実感の向上により、若手の定着率が改善します。
心理的安全性を高めるコミュニケーション
若手定着には、厳しさだけでなく安心して意見を伝えられる環境づくりが重要です。
1on1ミーティングや役員と若手の対話機会を設け、縦横のコミュニケーションを活性化させましょう。
相談しやすい環境を整えることで、孤立を防ぎ、働きがいの向上につながります。
問題を早期に発見・解決できる体制が、離職防止に効果を発揮します。
福利厚生の充実と働きやすさの追求
給与や休日だけでなく、生活全体を支える制度が定着を後押しします。
法定以上の育児・介護制度や家賃補助、子の看護休暇などの充実を検討しましょう。
ライフステージの変化に対応できる制度があることで、長期就業への意欲が高まります。
「この会社なら安心して働き続けられる」という信頼感が、人材定着の基盤となります。
企業イメージ向上のための積極的な情報発信
良い取り組みは、社内外に伝えて初めて価値になります。
最新技術を導入した現場や若手社員の活躍、働き方改革の実例などを積極的に発信しましょう。
3Kイメージの払拭により採用力が強化され、社員の誇りやエンゲージメントも向上します。
自社ホームページやSNSを活用した情報発信が、「選ばれる会社」への第一歩となります。
建設業界で採用力を高めるためには、自社の魅力を効果的に伝えるホームページの活用が欠かせません。
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専門知識がなくても簡単に更新でき、採用情報や現場の様子を効果的に発信できます。
建設業の離職率に関するQ&A
建設業の離職率や人材定着について、よくある疑問にお答えします。
実務上のヒントとして参考にしてください。
職種によって離職率は違いますか?
はい、職種によって離職率や離職理由は異なります。
技能労働者は身体的負担や収入の不安定さが大きな離職要因となりやすい傾向があります。
一方、技術者は長時間労働や責任の重さが離職につながりやすいとされています。
離職率の分析や対策は、職種別に行うことが効果的です。
人材定着を目的とした情報発信に利用できる助成金はありますか?
はい、人材定着に向けた情報発信を支援する助成金や補助金は、実際に活用できるケースがあります。
自社の魅力を伝えるための採用サイト制作やPR動画の作成が、国や自治体の支援対象となる場合があるためです。
特に各都道府県などの自治体では、特定の産業の人材確保を目的として、ホームページ制作費の一部を補助する独自の制度を設けていることがあります。
実際に「TsunaguWeb」のお客様でも、地域の就労環境改善に関する助成制度を利用してサイト構築を実現された事例がございます。
ただし、制度の有無や要件は地域・年度ごとに異なり、多くの場合は事業着手前の申請が必要です。
まずは自社の所在する自治体や労働局の公式サイトなどで、最新の募集状況を確認されることをお勧めいたします。
中小企業でもすぐ始められる対策はありますか?
大規模な投資がなくても始められる対策は多くあります。
まずは定期的な個人面談の実施や、感謝を伝える文化の醸成から始めてみましょう。
社内イベントで交流を深めることも効果的です。
コミュニケーションの改善は、コストをかけずにすぐ取り組める人材定着施策の一つです。
まとめ
建設業の離職率は全産業平均を下回っていますが、若年層の早期離職率の高さと入職率の低さが大きな課題です。
離職の背景には、長時間労働や将来への不安、人間関係、キャリアパスの不透明さなど、複数の構造的要因が重なっています。
人材定着を実現するためには、週休2日制の導入やDX推進、評価制度の整備、教育体制の充実など、総合的なアプローチが必要です。
また、こうした取り組みを社内外に発信し、「選ばれる会社」としてのブランドを構築することも欠かせません。
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自社の魅力を効果的に伝え、若手人材から選ばれる会社づくりを目指しましょう。



