建設業の技能実習生とは?|外国人材を活用するポイントを解説
2025/12/25
建設業界では深刻な人手不足が続いており、外国人技能実習生の受け入れが注目を集めています。
技能実習制度は、日本の技術・技能を開発途上国等の外国人に移転し、母国での産業発展に寄与することを目的とした制度ですが、結果として日本の建設業界の労働力確保にも貢献しています。
本記事では、建設業における技能実習生の受け入れについて、制度の概要から要件、従事可能な職種まで詳しく解説します。
適切な受け入れ体制を構築することで、企業の成長と外国人材の技能向上を両立できる環境を整備しましょう。
外国人材の受け入れ体制を強化し、現場へのスムーズな配属を実現したい企業様に、KENTEM Global Academyは最適です。
来日前の期間を活用して、現場で必須となる安全教育や専門用語をeラーニングで効率的に学習できるため、教育コストを抑えながら、安心して現場に迎え入れることができます。
建設業における技能実習生とは
建設業における技能実習生は、日本の優れた建設技術や技能を習得し、将来の国際協力に貢献することを目的として来日する外国人です。
この制度は国際協力と人材育成を目的としていますが、結果として日本の建設業界における人手不足緩和にも大きく寄与しています。
ここでは技能実習制度の基本的な仕組みと建設業界での位置づけについて詳しく解説します。
技能実習制度の目的と概要
技能実習制度は、1993年に創設された制度で、開発途上国等の外国人労働者が日本で技能・技術・知識を習得し、母国の経済発展に活かすことを主たる目的としています。
建設業の技能実習生は、この制度の枠組みの中で、日本の建設現場において実践的な技能を身に付けながら、将来の国際協力に貢献する人材として育成されます。
制度の運営は外国人技能実習機構(OTIT)が監督し、適正な実習環境の確保と実習生の保護を図っています。
実習実施者である建設会社は、単純な労働力として技能実習生を受け入れるのではなく、技能移転という国際協力の観点から指導と環境整備を行う責任があります。
建設業界では22職種33作業において技能実習生の受け入れが可能で、各職種で習得すべき技能内容が定められています。
在留期間と区分(第1号から第3号まで)
建設業の技能実習生は、技能習得レベルに応じて第1号から第3号まで3つの区分に分類されます。
各区分での在留期間と実習内容は法令で明確に定められており、段階的な技能向上を図る仕組みとなっています。
| 区分 | 在留期間 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 第1号技能実習(1年目) | 1年以内 | 基礎的な技能習得・日本語学習 |
| 第2号技能実習(2年目・3年目) | 2年以内 | 実践的な技能習得・技能検定基礎2級相当 |
| 第3号技能実習(4年目・5年目) | 2年以内 | 高度技能習得・技能検定3級相当 |
第2号から第3号への移行には、技能検定等の合格が必要となります。
また、第3号技能実習では一時帰国が義務付けられており、その期間に、日本で習得した技能を母国で活用することが求められています。
建設業の技能実習生は5年間の実習期間を通じて、基礎から応用まで体系的な技能習得が可能となっています。
建設業における期待される
役割とメリット
建設業界では技能実習生に対して、単なる労働力補完ではなく、将来的な技術継承者としての役割が期待されています。
特に熟練技能者の高齢化が進む中、若い技能実習生が日本の伝統的な建設技能を学び、母国で活用することで国際的な技術普及に貢献することが重要視されています。
企業側のメリットとしては、計画的な人材確保と育成が可能になる点が挙げられます。
技能実習生の受け入れは監理団体を通じた長期的なプロセスとなるため、企業は6~7か月前から採用計画を立て、安定した人員配置を実現できます。
また、実習期間終了後は特定技能制度への移行も可能で、人材の長期確保にもつながります。
技能実習生自身にとっても、日本の高度な建設技術を習得できることは大きなメリットとなります。
建設業キャリアアップシステムへの登録により、習得した技能の客観的な証明も可能になり、帰国後の就職や起業において有利な条件を得ることができます。
建設業における
技能実習生の受け入れ要件
建設業の技能実習生を受け入れるためには、実習生側と受け入れ企業側の両方が満たすべき要件があります。
これらの要件は技能実習法や出入国管理法で詳細に定められており、適正な実習環境の確保と実習生の保護を目的としています。
ここでは受け入れに必要な要件と手続きの流れについて解説します。
実習生側の要件と必要な手続き
建設業の技能実習生として来日するためには、年齢や経歴、語学力など複数の要件を満たす必要があります。
基本的な要件として、18歳以上であることと、習得予定の技能が母国では習得困難であることが挙げられます。
具体的な要件は以下の通りです。
まず、専門的技能を習得する明確な目的を持っていることが必要で、単純労働を目的とした来日は認められていません。
また、帰国後に習得した技能を活かす意思があることを証明する必要があります。
送出国の公的機関からの推薦を受けていることも必須要件となっており、適切な選考プロセスを経た人材のみが技能実習生として認定されます。
団体監理型での受け入れの場合、実習生には同業種での職歴があることが望ましいとされています。
また、基本的な日本語能力も求められ、来日前に一定期間の日本語研修を受けることが一般的です。
健康状態についても医師による診断書の提出が必要となります。
実習実施者の要件と配置すべき体制
建設業で技能実習生を受け入れる企業(実習実施者)は、法令遵守体制の整備と指導体制の構築が求められます。
技能実習法等の関連法令を遵守し、暴力団等の反社会的勢力との関係がないことが前提条件となります。
人員配置については、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員の配置が義務付けられています。
技能実習責任者は実習計画の作成・管理を担当し、技能実習指導員は直接的な技能指導を行います。
生活指導員は実習生の日常生活面でのサポートを担当し、文化的適応を支援します。
これらの責任者・指導員には一定の経験年数と講習受講が求められており、指導体制の確保が図られています。
住居については、1人あたり4.5m²以上のプライベート空間を確保する必要があります。
また、日本人と同等以上の賃金支払いと社会保険への加入、実習関連の帳簿保存も法的義務となっています。
建設業特有の要件として、建設キャリアアップシステムへの登録と月給制の導入も必要です。
監理団体の役割と選び方
監理団体は技能実習生と受け入れ企業をつなぐ重要な役割を担い、実習の適正な実施を監督・支援します。
一般監理事業許可を受けた監理団体のみが第2号・第3号技能実習生の受け入れを取り扱うことができ、特定監理事業許可の団体は第1号のみの取り扱いとなります。
監理団体の主な業務には、実習生の募集・選考、実習計画の作成支援、定期的な監査・指導、生活相談対応などがあります。
建設業界に精通した監理団体を選ぶことで、業界特有の要件への対応や適切な実習生のマッチングが期待できます。
監理団体は送出国での日本語教育や技能研修にも力を入れており、質の高い実習生の確保につながります。
監理団体選びのポイントとして、建設業での実績、監理手数料の透明性、アフターフォロー体制の充実度を確認することが重要です。
また、実習生の母国語に対応できるスタッフがいるかどうかも、トラブル防止の観点から重要な要素となります。
受け入れの流れと提出書類
建設業の技能実習生受け入れは、監理団体への求人依頼から実習生の入国まで約6~7か月を要する長期プロセスです。
計画的な進行管理と必要書類の適切な準備が成功の鍵となります。
受け入れの基本的な流れは以下の通りです。
まず、監理団体に求人票を提出し、実習生の募集・選考を依頼します。
その後、技能実習計画認定申請を外国人技能実習機構に提出し、在留資格認定証明書交付申請を出入国在留管理局に行います。
これらの申請には実習内容の記載と適正な実習環境の証明が必要で、不備があると承認まで時間を要する場合があります。
主要な提出書類には、技能実習計画書、実習実施者概要書、監理団体概要書、雇用契約書(雇用条件書)、住居に関する書類などがあります。
建設業特有の書類として、建設業許可証や建設キャリアアップシステム登録証明書の提出も求められます。
書類の準備には専門知識が必要な場合も多く、監理団体や行政書士との連携が重要になります。
欠格事由や違反時の対応方法
技能実習制度では、実習生および受け入れ企業に対して厳格な欠格事由が定められており、違反した場合は重大な措置が取られます。
適正な制度運用のためには、これらの欠格事由を理解し、予防体制を構築することが不可欠です。
実習実施者の主な欠格事由として、技能実習法等の違反、労働関係法令の重大な違反、暴力団関係者の関与などがあります。
建設業界では特に、労働基準法違反や安全衛生法違反が欠格事由となりやすく、日頃からのコンプライアンス体制整備が重要です。
違反が発覚した場合、新規受け入れ停止、実習認定取消し、改善命令等の措置が取られ、企業経営に影響を与える可能性があります。
違反防止のための対策として、定期的な法令研修の実施、労働条件の点検、実習計画の遵守状況確認が必要です。
また、監理団体との緊密な連携により、問題の早期発見と是正を図ることが重要です。
万が一問題が生じた場合は、迅速な報告と改善措置の実施により、重大な処分を避けることが可能になります。
建設業の技能実習生が従事できる職種
建設業における技能実習生の受け入れは、22職種33作業において可能となっており、各職種で習得すべき技能内容が明確に定められています。
実習生は指定された職種の範囲内でのみ業務に従事でき、実習計画に基づいた体系的な技能習得が求められます。
ここでは受け入れ可能な職種の詳細と実習における注意点について詳しく解説します。
主要職種一覧
建設業で技能実習生が従事できる職種は、建設作業全般をカバーする幅広い分野にわたっています。
各職種は日本標準職業分類に基づいて分類されており、習得すべき技能レベルも明確に設定されています。
| 職種分類 | 主要職種 | 作業内容 |
|---|---|---|
| 基礎・構造工事 | 型枠施工、鉄筋施工、とび | コンクリート構造物の基礎工事 |
| 仕上げ工事 | 左官、タイル張り、内装仕上げ施工 | 建物の内外装仕上げ工事 |
| 設備工事 | 配管、電気工事 | 上下水道・電気設備の施工 |
| 専門工事 | 屋根ふき、防水施工、熱絶縁施工 | 専門技術を要する特殊工事 |
代表的な職種として、型枠施工では鉄筋コンクリート構造物の型枠組立・解体技術を習得し、左官では壁面の下地調整からしっくい塗り、吹付け作業までの技能を身に付けます。
また、とび職種では建設現場での足場組立・解体、重量物の運搬・据付などの高所作業技能を習得します。
これらの職種はいずれも日本の建設業界で重要な技能であり、実習生にとって母国での就労に直結する価値の高い技術となっています。
職種別の具体的作業と習得目標
各職種では必須業務、関連業務、周辺業務の3つに業務が分類され、実習生は段階的に技能を習得していきます。
必須業務はその職種の中核となる技能で、実習期間中の大部分を占める重要な内容です。
例えば型枠施工職種では、必須業務として型枠の組立て・解体、型枠材料の選定・加工が含まれます。
関連業務では鉄筋の配筋確認や生コンクリートの打設補助、周辺業務では現場清掃や材料運搬などが含まれます。
実習生は第1号から第3号へと進むにつれて、より高度で複雑な作業を習得していきます。
第3号技能実習では、作業の段取りから品質管理まで、リーダーレベルの技能習得が目標となります。
習得目標は技能検定の等級に準拠して設定されており、第2号修了時に基礎2級相当、第3号修了時に3級相当の技能レベルを目指します。
これらの目標達成により、実習生は母国で中核的な技術者として活躍できる能力を身に付けることができます。
業務における
時間配分と実習計画の作り方
技能実習生の実習計画では、年間総実習時間に対する各業務の時間配分が法令で詳細に定められています。
適正な実習環境を確保し、実習生の技能向上を図るため、計画的な時間配分と進捗管理が重要になります。
基本的な時間配分として、必須業務が総実習時間の50%以上、関連業務が30%程度、周辺業務が20%程度となっています。
また、安全衛生業務については総実習時間の10%以上を確保することが義務付けられています。
実習計画の作成では、現場の施工スケジュールと実習内容の整合性を図りながら、段階的な技能習得が可能な構成とする必要があります。
月別・季節別の工事内容の変動も考慮し、年間を通じて偏りのない実習機会の提供が求められます。
実習計画書には、使用する機械・工具、材料、実習方法、評価基準なども詳細に記載する必要があります。
また、定期的な実習状況の記録と評価を行い、必要に応じて計画の見直しを実施することで、実習生の技能向上と制度の適正運用を両立できます。
安全衛生管理と教育訓練の必須ポイント
建設現場は高所作業や重機操作など危険を伴う作業が多いため、技能実習生の安全衛生管理は特に重要な課題となります。
言語や文化の違いによるコミュニケーション不足が事故につながるリスクもあり、十分な安全教育と管理体制の構築が不可欠です。
安全教育の基本として、入場時の安全衛生教育、作業別安全教育、定期的な安全ミーティングの実施が必要です。
特に技能実習生に対しては、図解や実演を活用した視覚的な教育方法が効果的で、危険箇所や注意事項を明確に理解させることが重要です。
また、緊急時の対応手順や連絡方法についても、母国語でのマニュアル作成や通訳を活用した確実な周知が必要になります。
安全標識や警告表示についても多言語対応や図記号の活用により、危険を認識できる環境整備が求められます。
健康管理面では、定期健康診断の実施に加えて、熱中症対策や食事指導、適切な休息確保が重要です。
建設現場特有の環境変化に対応できるよう、季節別の注意事項や体調管理方法についても継続的な指導を行います。
万が一の事故や体調不良時には、迅速な対応と適切な医療機関への連絡体制を整備しておくことが必要です。
現場でよくあるトラブル事例と対策
建設業の技能実習生受け入れでは、言語の壁、文化の違い、技能レベルのばらつきなどが原因でさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
これらの問題を事前に把握し、適切な対策を講じることで、円滑な実習運営と安全な作業環境の確保が可能になります。
頻繁に発生するトラブルとして、日本語能力不足による指示伝達の問題があります。
作業指示が正確に伝わらず、施工ミスや安全上の問題が生じるケースも少なくありません。
対策として、重要な指示事項については文書化し、通訳を活用した確認を行うことが有効です。
また、基本的な建設用語や安全用語については、実習開始前に集中的な学習機会を設けることも重要です。
現場でのペア制度導入により、日本人職員とのコミュニケーションを図り、技術指導と同時に日本語能力向上を支援することも効果的な対策となります。
文化的な違いから生じるトラブルとして、時間管理や規律に関する問題も発生します。
母国の働き方と日本の建設現場での慣習に違いがあることを理解し、丁寧な説明と継続的な指導により改善を図ることが重要です。
また、住環境や食事、宗教的配慮などの生活面でのサポートも、実習生の定着と技能習得に大きく影響するため、総合的な支援体制の構築が必要になります。
建設現場で発生するこれらのトラブル、特に日本語能力不足による指示伝達の問題や、文化の違いによる規律の問題への対策は、外国人技術者の教育が鍵となります。
建設業に特化したKENTEM Global Academyは、安全教育や土木専門用語の学習支援など、本記事で解説したトラブルの根本的な解決を直接サポートする育成プログラムを提供しています。
まとめ
建設業の技能実習生は、深刻な人手不足に悩む業界にとって重要な戦力となる一方で、適正な受け入れ体制の構築と継続的な支援が成功の鍵となります。
制度の目的を理解し、法令遵守と指導体制を整備することで、実習生の技能向上と企業の成長を両立できる環境を作ることができます。
受け入れ可能な22職種33作業において、それぞれに定められた実習計画に基づく段階的な技能習得を支援し、安全衛生管理を徹底することが企業の責務です。
また、言語や文化の違いを理解し、適切なコミュニケーション体制を構築することで、現場でのトラブルを防止し、円滑な実習運営が可能になります。
外国人技能実習生を重要な戦力とするためには、記事で言及している法令遵守と指導体制の整備、段階的な技能習得の支援、そして安全衛生管理の徹底といった教育プロセスが不可欠です。
KENTEM(株式会社建設システム)が提供するKENTEM Global Academyの外国人技術者育成プログラムは、基礎知識・安全教育や専門用語の学習支援など、これらの教育プロセスを効率化し、教育コストの削減と即戦力の確保を直接的にサポートします。




