工程表とは?作成方法からおすすめアプリまで徹底解説
2025/06/03
- 工程表を作っても、うまく活用できていない気がする
- いろいろな種類の工程表があるが、違いがいまいちわからない
このような疑問を持つプロジェクト管理者も多いでしょう。
工程表は効果的ですが、その正しい理解と活用には経験が必要です。
本記事では、工程表の概要から建設業での役割、各種工程表の特徴と違い、工程表の作成や管理におすすめのツールをご紹介します。
記事内容を理解すれば、複雑なプロジェクトでもリソースを効率的に管理し、潜在的な遅延リスクを低減できるようになります。
それではまず、工程表の基本から確認していきましょう。
工程表の概要
工程表は、複雑な建設プロジェクトを効率的に管理するためのツールです。
定義や役割、専門用語、作成ルール、他の工程表との違いを理解すれば、プロジェクト管理の効率を向上させられるでしょう。
ここでは、工程表への理解を深めるために、以下の項目に関して解説します。
それぞれ詳しく説明します。
工程表とは?
建設プロジェクトでは、多数の工程が並行して進行します。
従来の棒グラフ式やガントチャートでは管理が難しい複雑なプロジェクトでは、工程表は全体像を可視化し、作業の効率化を図る重要な役割を担っています。
工程表の主な特徴には、以下のとおりです。
- 図形や矢印を用いて作業の流れを表現
- 先行作業と後続作業の関係を明示
- プロジェクト全体の所要時間を決定する経路を識別
- 作業の余裕時間を算出し、効率的なリソースを配分可能
工程表を使えば、管理者は全体の進捗状況を一目で把握でき、潜在的な遅延リスクを早期に発見できます。さらに、リソースの配分を最適化し、予期せぬ問題が発生した際には迅速に対応できるようになるでしょう。
例えば、どの工程で遅れが出る可能性があるかを把握し、必要に応じて人員や資材を再配置し、プロジェクトの円滑な進行を維持できます。
ただし、工程表を効果的に活用するためには、専門的な知識とスキルが求められます。
建設業界での工程表の役割
建設業界では、プロジェクトの大規模化と複雑化が進んでいます。
多数の工程が相互に関連し、さまざまな制約条件が存在し、従来の棒グラフ式の工程表では管理が困難になってきたからです。
そのため、工程表を採用する企業が増えています。
工程表は、複雑な建設プロジェクトの全体像を明確に示し、効率的な管理を可能にする工程表で、各作業の順序と依存関係を矢印で表現します。
例えば「基礎工事」「鉄骨建て方」「内装工事」といった工程の関係性が一目で分かります。
200以上の工程がある大規模建築プロジェクトでも、全体の流れを把握しやすくなるでしょう。
工程表が果たす具体的な役割には、以下のようなものが挙げられます。
| 工程の可視化 |
プロジェクトの全体像を図式化し、関係者全員で共有 並行作業の可能性を探り、工期短縮案を提示 |
|---|---|
| リソース配分の効率化 | 人材、機材、資材の必要量と時期を明確化 各作業の余裕時間を算出し、人員を効率的に配置 |
| リスク管理 |
工程間の依存関係を明示し、遅延の影響を数値化 天候不順や資材調達遅延の影響を予測 |
工程表は、複雑な建設プロジェクトを多角的に管理するために役立ちます。
工程表で使用される専門用語
工程表を理解し活用するには、いくつかの専門用語を知っておく必要があります。
工程表で使用される主な専門用語は、以下のとおりです。
| イベント |
〇印で表され、数字が書き込まれる 作業の結合点を示し、左から右に向かって数字が大きくなる 番号の重複は避ける |
|---|---|
| アクティビティ |
〇と〇をつなぐ「→」で表される 作業の開始から終了までを表す 矢印の上に作業番号、下に作業日数を記入 |
| ダミー |
「-->」で表される 作業の順序を規制するために使用 |
| 最早開始時刻 |
タスクに着手できる最も早い時刻 複数タスクがある場合、所要日数が大きい方を採用 |
| 最遅終了時刻 |
タスクを終えるべき最も遅い時刻 複数タスクがある場合、所要日数が小さい方を採用 |
| トータルフロート | タスクが遅れても工期に影響を与えない日数 |
| フリーフロート |
タスクが遅れても次のタスクに影響が出ない日数 トータルフロート以下の値になる |
| クリティカルパス |
開始点から最終結合点まで、最も日数がかかる経路 最重要管理経路であり、慎重な管理が必要 複数存在する場合もある |
各用語の意味と役割を把握し、実際の工程管理に活用しましょう。
各種工程表の特徴と違い
工程表にはさまざまな種類が存在し、それぞれ特徴や得意な表現があります。
ここでは、代表的な工程表の特徴を紹介します。
| ネットワーク工程表 |
作業間の依存関係を矢印で表現 複雑なプロジェクトの全体像を把握しやすい |
|---|---|
| バーチャート工程表 |
縦軸にタスク、横軸に作業日付を記入 全体のスケジュールやタスクの所要日数を視覚化しやすい 単純なプロジェクトに適している |
| ガントチャート工程表 |
縦軸にタスク、横軸に作業の進捗率を記入 進捗とスケジュールが可視化され、スケジュール管理に役立つ 中規模プロジェクトに適している |
| グラフ式工程表 |
縦軸に進捗、横軸に日時を記入し、曲線で進捗具合を表現 進捗率と作業予定日時を把握できる 全体の進捗傾向を把握しやすい |
| 曲線式工程表 |
縦軸に出来高率、横軸に日時を記入し、曲線で表現 工事の全体的な進捗状況やスケジュールの遅れを把握しやすい プロジェクト全体の進捗管理に適している |
プロジェクトの規模や複雑さ、管理の目的に応じて、適切な工程表を選択する必要があります。
複数の工程表を組み合わせて使用すれば、より効率的なプロジェクト管理が可能になるでしょう。
建設業がかかえる
3つの工程管理の課題
建設現場では、日々さまざまな問題が発生します。
天候による作業の遅れや資材の納期遅延、人手不足など、予期せぬ事態が次々と起こります。これらの問題に対処しながら、工期内に品質の高い建築物を完成させるには、効果的な工程管理が求められます。
ここでは、建設業がかかえる3つの工程管理の課題を解説します。
主な課題には、以下のようなものが挙げられます。
各課題の内容を具体的に確認していきましょう。
複雑な工程の可視化と管理
建設プロジェクトでは、数百もの工程が連続的かつ並行的に進行します。
高層ビル建設を例にとると、基礎工事や鉄骨工事、設備工事、内装工事など、多様な作業がそれぞれに影響し合いながら進んでいきます。各工程の開始時期や完了時期が他の工程の進行に直接的な影響を与えるため、全体を適切に管理することは非常に困難です。
工程管理の具体的な課題には、以下のようなものが挙げられます。
- 一つの工程遅れが、後続の多くの工程に遅延を引き起こす可能性
- 同時進行する作業が多く、リソースの配分や作業間の干渉を調整する必要がある
- 設計変更や予期せぬ問題が発生した際、全体の工程への影響を即座に把握しなければいけない
建設プロジェクトをスムーズに進行させるためには、工程全体を可視化し、各作業の関連性を明確にする必要があります。
工程表は、複雑な工程を視覚的に表現し、管理するための効果的な工程表です。
最適な人材・資材配置
建設プロジェクトでは、限られた人材と資材を効率よく活用する必要があります。
しかし、以下のような要因があるため、最適な配置を実現するのは簡単ではありません。
- 雨天や酷暑時には作業が制限される
- 電気工事や設備工事など、特定の専門技術を持つ作業員が不足しがち
- 必要な資材が適時に到着しない可能性
- 過剰な人員配置や資材の無駄は、プロジェクトの収益性を低下させる
それぞれの課題に対処するには、各工程の所要時間と必要な人材や資材を正確に把握し、状況に応じて柔軟に調整できる仕組みが必要です。
工程表を用いれば、各工程の余裕時間(フロート)を把握し、リソースの最適な配分を計画できるでしょう。
リアルタイムでの進捗把握と共有
大規模な建設プロジェクトでは、多くの関係者が関与しているため、進捗状況をリアルタイムで把握し、情報を共有する必要があります。
しかし、以下のような課題があります。
- 現場監督、各作業班、下請け業者がそれぞれ独自の方法で進捗を管理するため情報が分散し、全体像の把握が困難
- 紙ベースの報告では、情報の更新と共有に時間がかかる
- 関係者間で情報共有の方法や頻度が統一されていないと、認識の食い違いや重要情報の見落としが発生する
それぞれの課題に対処するためには、統一された進捗管理システムと関係者全員が簡単にアクセスできる共有プラットフォームが必要です。
デジタル化された工程表とクラウドベースの管理ツールを組み合わせれば、リアルタイムの進捗把握と迅速な情報共有が可能になるでしょう。
工程表の作成手順
工程表を作成するには、体系的なアプローチが必要です。
ここでは、具体的な手順を紹介します。
それぞれ詳しく説明します。
工事に必要な工程のリストアップ
工程表を作成する前に、必要な工程をリストアップする必要があります。
リストアップする際は、以下のポイントに注意してください。
| 工事内容の詳細な把握 | プロジェクトの設計図や仕様書を綿密に確認し、実施すべき全ての作業を洗い出す |
|---|---|
| 専門分野ごとの整理 | 大規模プロジェクトでは、建築や電気、設備など、専門分野ごとに作業を分類する |
| 関係者との協議 | 元請けや下請け、専門業者など、全ての関係者と協議し、それぞれの担当範囲の作業を確認する |
| チェックリストの活用 | チェックリストを作成して使用すると、タスクの漏れを防げる |
最初の段階で、作業の漏れや誤りがあると、工程表全体の精度に影響します。そのため、十分な時間をかけて慎重に作業を進める必要があるため注意してください。
タスク間の関係性把握と
所要日数の計算
タスクをリストアップした後は、タスク間の関係性を明確にし、各タスクの所要日数を算出する必要があります。
関係性把握や所要日数を計算する際には、以下のポイントに注意してください。
| タスク間の依存関係の確認 |
各タスクがどの順序で実施されるべきか、どのタスクが他のタスクの前提条件となるかを特定 依存関係のあるタスク同士をアクティビティー(→)で結ぶ |
|---|---|
| 並行作業の表現 |
同時進行可能な複数のタスクがある場合、その関係性を正確に表現 特定のタスクの完了が他のタスクの開始条件となる場合、イベント間をダミー(-->)でつなぐ |
| 所要日数の算出 |
各タスクの標準的な所要日数を算出 タスク間の関連性を十分に考慮し、現実的な日数を設定 算出した所要日数は、アクティビティー(→)の下に記入 |
| クリティカルパスの特定 | 最も長い所要日数を要するルートをクリティカルパスとして特定 |
| 全体の所要日数の調整 | プロジェクト全体の所要日数を算出 |
この段階をしっかり行うことで、プロジェクト全体の流れや各タスクの重要性が明確になります。遅れが起こりそうな部分を早めに見つけて、対策を考えられるでしょう。
人員配置と進捗に応じた
フォローアップ
工程表は、作成して終わりではありません。
作成した後は、適切な人員配置とプロジェクトの進行に合わせたフォローアップが必要です。
具体的には、以下のようなポイントを意識しましょう。
| 効率的な人材・機材の配置 | 工事内容や所要日数、工事原価を考慮し、人材と機材を過不足なく配置 |
|---|---|
| 人員配置の主な手法 |
|
| 進捗に応じたフォローアップ |
各アクティビティの所要日数の見直し 作業順序の変更 |
工程表は静的なものではなく、プロジェクトの進行に合わせて常に更新する必要があります。
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まとめ
本記事では、工程表の基本概念と特徴、建設業界での役割、様々な種類のある工程表ごとの違いに関して詳しく解説しました。
また、建設業が抱える3つの主要な工程管理課題とその解決方法にも触れ、工程表がこれらの課題にどのように対応できるかも説明しています。
工程表は、複雑な建設プロジェクトを効率的に管理するために必要なツールです。適切に活用すれば、プロジェクトの可視化、リソースの最適化、リスク管理が可能になります。
ただし、工程表は作成して終わりではありません。プロジェクトの進行に合わせて常に更新し、調整する必要があります。
工程表の基本を理解し、実践すればプロジェクト管理はより効率的にできるでしょう。
また、専門的な工程表作成に悩んでいる場合や、より効率的な管理を検討している方には「PROSHARE(プロシェア)」がおすすめです。
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