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情報Ⅰとは?2022年度から必修化された内容と学習対策をやさしく解説

情報Ⅰとは?2022年度から必修化された内容と学習対策をやさしく解説

2025/07/18

その他

2025年から大学入学共通テストに新たに加わる教科「情報Ⅰ」について「結局どんな内容を学ぶの?」「将来にどう関係するの?」と疑問を持っている方も多いかもしれません。

情報Ⅰは、単なるパソコン操作を学ぶ教科ではなく、情報社会を生きるうえで必要な思考力や問題解決力を育てることを目的としています。

高校ではすでに必修化されており、進路選択や将来のキャリアにも大きく関わってくる重要な教科です。

この記事では、「情報Ⅰ(1)とは何か?」の基本から、学ぶ4つの項目、つまずきやすいポイント、共通テストへの備え方まで、初めてでもわかりやすく丁寧に解説していきます。

情報Ⅰの内容や学習方法などを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

情報Ⅰ(1)とは?

「情報Ⅰ」は、2022年度から全国の高校で必修化された情報科目で、2025年度からは大学入学共通テストにも導入されました。

情報社会に必要なリテラシーを育む基礎的かつ重要な教科として注目されています。

この科目では、次のような内容をバランスよく学びます。

学習項目 内容
情報社会の問題解決 情報技術を活用して社会課題の解決策を考える力を育てる
コミュニケーションと
情報デザイン
情報の整理・発信や視覚デザインのスキルを習得する
コンピュータと
プログラミング
アルゴリズムや基礎的なプログラミングを通じて論理的思考を鍛える
情報通信ネットワークと
データの活用
ネットワークの仕組みやデータの利活用方法を学ぶ

「情報Ⅰ」は、単なるパソコン操作にとどまらず、情報を正しく扱い、他者と円滑に意思疎通を図りながら、課題を主体的に解決していく“考える力”を育てることが最大の目的とされています。

「情報Ⅰ」が必修科目になった背景

近年、AIやIoTの導入が急速に進み、社会全体で仕事のあり方が大きく変わりつつあります。

総務省の調査(2016年)では、AIの導入によって定型的な業務が自動化され、逆にシステム開発や運用などの新たな業務が増加すると示されています。

総務省「ICTの進化によるこれからのしごと」
引用:総務省「平成30年版 情報通信白書|職業の変化」

つまり、すでにある仕事の一部が機械に置き換わる一方で、人間にしかできない役割や職業が今後ますます重要になると考えられているのです。

時代に対応するためには、情報を正しく扱い、自分の頭で考え、課題を解決できる「情報活用能力」が必要不可欠です。

そのため、情報リテラシーをすべての高校生が基礎から身につけられるよう、2022年度から「情報Ⅰ」が必修科目として導入されました。

背景には、以下のような社会的なニーズがあります。

  • 情報化社会の進展に対応できる基礎的な素養を育てるため
  • AIやIoTに代替されにくい「考える力」や「伝える力」の強化
  • Society 5.0の実現に向けた人材育成の一環として
  • IT人材不足の解消を見据えた長期的な教育施策として

情報Ⅰは、将来の仕事や進路選択に直結する現代の基礎教養として位置づけられています。

変化の激しい社会において、情報を見極め、活用し、自ら課題を解決する力は、すべての高校生にとって必要不可欠です。

情報Ⅰの学びは、これからの時代を生き抜くうえで欠かせない教育の土台といえるでしょう。

2025年から共通テストにも導入

2025年度の大学入学共通テストから、「情報Ⅰ」が新たな出題科目として正式に導入されました。

新学習指導要領に基づき、2022年度から高校で「情報Ⅰ」が必修化されました。
この流れを受けて、大学入試センターも情報リテラシーやプログラミング能力の評価を反映した試験を実施するようになりました。

2025年以降の共通テストにおける「情報Ⅰ」の基本情報は、以下のとおりです。

実施開始 2025年1月18日・19日の試験から
試験時間と配点 60分・100点満点
出題範囲 情報リテラシー、問題解決、ネットワーク、プログラミングなど
問題傾向 情報通信機器と人との関わり、実生活に根差した応用問題
各大学の対応 国公立大学を中心に、受験科目として配点設定が進められている

今後は「情報Ⅰ」が大学入試における重要科目の一つとして位置づけられていきます。

高校在学中から着実に基礎を固めることで、入試対策と将来の進路選択の両方に備えることが可能になります。

「情報Ⅰ」で学ぶ4つの項目

情報Ⅰでは、情報社会で主体的に行動するための基礎的な知識と技術を、4つの観点から体系的に学ぶ構成となっています。

これは単なるITスキルの習得にとどまらず、情報を分析し、伝え、活用する力を総合的な育成を目的としているからです。

特に以下の4項目は、授業内容の中心として扱われます。

各項目を通して情報技術を正しく理解し、実社会の中で自ら考えて行動できる力を養うことが期待されています。

上記の学習内容は高校教育における「現代的な教養」として位置づけられており、今後の進学や就職にもつながる重要なスキルとして注目されています。

情報社会の問題解決

「情報社会の問題解決」は、「情報Ⅰ」において最初に学ぶ重要な単元です。 情報や情報技術を活用して課題に取り組む力を養うとともに、情報モラルや法制度など、現代社会で必須となるリテラシーを身につけられるからです。

具体的には、以下のような力の習得を目指します。

  • 情報や情報技術を活用し、問題を発見・解決する力
  • 情報技術が人や社会に与える影響への理解
  • 情報に関する法律・制度・マナーの基礎知識
  • 情報モラルの実践力

単元では生徒が主体的に考え、他者と協働しながらより良い解決策を探る活動が重視されます。そのため「学びに向かう力」を育む出発点としても、他の3つの学習項目に取り組む動機付けの役割を果たします。

情報社会の課題に向き合い、自ら行動を起こす姿勢は「情報Ⅰ」の学び全体に通じる土台です。

最初にこの単元への深い理解が、将来的な応用力や判断力にもつながっていきます。

コミュニケーションと情報デザイン

情報を正確に伝え、相手に理解してもらうためには、内容だけではなく「どう伝えるか」が重要です。
情報技術が発展した現代では、誰もが情報の送り手・受け手になる機会が増え、適切な手段を選んで伝える力が求められているからです。

その力を育むのが、「コミュニケーションと情報デザイン」の学習です。
文章や画像、音声、動画など、状況に応じた表現方法を選ぶ判断力と設計力は、将来のあらゆる場面で活用できます。

具体的には、以下のような力の育成を目指します。

  • メディアの特性やコミュニケーション手段に関する科学的な理解
  • 情報デザインの考え方や表現方法
  • コンテンツの設計・評価・改善を行う力
  • 情報技術を活用し、状況に応じて最適な伝達手段を選ぶ姿勢
  • 情報社会において他者と協調し、主体的に行動する態度

上記スキルは、単なる情報の見せ方だけにとどまらず、チームでの協働やプレゼンテーション、さらにはSNSでの発信などにも直結します。

多様な表現手段を使いこなし、他者との円滑な意思疎通を図る力は、社会で求められる実践的なスキルとして今後さらに重要性を増していくでしょう。

コンピュータとプログラミング

コンピュータを正しく理解し、目的に応じて使いこなす力は、これからの時代に欠かせない基本スキルです。
社会のさまざまな分野で情報処理や自動化が進む中、問題解決の手段としてコンピュータを活用できる能力が求められているからです。

その力を身につけるために、「コンピュータとプログラミング」の学習が導入されています。
単なる操作方法だけではなく、仕組みや限界を理解したうえで、適切なアルゴリズムを設計・実装できることが重視されます。

この学習では、以下のような知識やスキルの習得を目指します。

  • コンピュータの基本構造や、情報の内部表現、処理における限界の理解
  • アルゴリズムを図やフローチャートなどで表現する力
  • プログラミング言語を用いて、アプリケーションの動作やネットワーク機能を制御するスキル
  • 目的に応じて、適切にコンピュータの能力を引き出す判断力

上記のようなスキルや知識は、実際の課題解決に直結するだけではなく、論理的思考力や試行錯誤を繰り返す力も養います。

「コンピュータとプログラミング」は、単なる技術の習得ではなく、情報社会に対応する柔軟な思考力を育むための学びと言えるでしょう。

情報通信ネットワークとデータの活用

情報社会で適切な判断を下すには、ネットワークやデータを使いこなす力が求められます。
なぜなら、あらゆる分野で情報の収集・分析・共有が当たり前になるなか、安全で効率的に情報技術を活用できる力は、社会参加の土台になるからです。

その力を養うために「情報通信ネットワークとデータの活用」の単元が設けられています。

この単元では、以下のような知識やスキルを身につけていきます。

  • ネットワークや情報システムの基本的な仕組み
  • データを蓄積・整理・分析・提供する方法
  • 情報セキュリティに関する理解とその実践方法
  • 提供される情報サービスの安全かつ効率的な活用方法
  • 多様なデータを活用して課題の発見・解決につなげる力
  • データを多面的に精査しようとする姿勢や、情報社会に主体的に関わる態度

例えば、気温や人口動態などのデータをグラフ化し、その変化から傾向を読み取るような活動を通じて、統計的な思考や課題発見の力を育てることができます。

この学びは、将来どのような分野に進むとしても、情報を根拠に考え行動する姿勢を支える重要な基盤となります。

「情報Ⅰ」を学ぶ上での主な課題

「情報Ⅰ」は、現代社会を生きるうえで必要不可欠な力を育む重要な科目ですが、生徒の中には内容の難しさや学習環境の違いから、つまずきを感じるケースも少なくありません。

特にプログラミングやデータの扱いといった新しい領域に対しては、これまでの学習経験ではカバーしきれない壁に直面しやすい傾向があります。

ここでは、「情報Ⅰ」の学習で多くの生徒が直面しやすい課題を、以下の3つの観点から整理していきます。

これらのポイントを踏まえながら、次の見出しではそれぞれの課題を具体的に見ていきましょう。

プログラミングにつまずく

プログラミングは、「情報Ⅰ」の中でも特につまずきやすい内容の一つです。

なぜなら、これまでの授業であまり触れることのなかった論理的思考やアルゴリズムといった考え方が求められるため、多くの生徒にとっては初めて直面する「思考プロセス」だからです。

例えば、以下のような場面でつまずきやすくなります。

手順を正確に考える力が
求められる
「正しく命令しないと動かない」経験が重なることで、混乱しやすくなる
エラーの原因が分からないまま
放置しがち
ミスの理由を探す過程が省略され、理解が浅くなる
失敗体験が苦手意識につながる 「自分は向いていない」と早期に判断してしまうケースもある

上記のような課題を放置すると、情報Ⅰ全体への苦手意識が広がりかねません。

だからこそ、プログラミングはつまずいたときに早めに立ち止まり「なぜ動かないのか」「どうすれば修正できるのか」を一緒に考える学習環境が求められます。

用語や概念が抽象的でわかりづらい

情報Ⅰでは、聞き慣れない専門用語や概念が多く、生徒が内容を抽象的に感じやすいのが実情です。

「アルゴリズム」「モデル化」「情報の構造化」など、日常生活ではほとんど使われない言葉が多く登場するため、イメージしにくく、理解に時間がかかるからです。

例えば、以下のような状況で、理解がつまずきやすくなります。

  • 「アルゴリズム」や「変数」といった単語の定義を暗記するだけで終わり、実際にどう使うのかがわからない
  • データの構造やネットワークの仕組みなど、目に見えないものを図や例で説明されないまま進んでしまう
  • 意味が曖昧なまま次の単元に進むことで、内容が積み重ならず応用が効かない

上記のように、用語や概念の理解が曖昧なままだと、学習全体への自信を失いかねません。

そのため、授業では抽象的な内容をできるだけ具体的な例や図で示し「何のために学ぶのか」を意識させる工夫が求められます。

復習の時間が取れない

授業内容を定着させるには、日々の復習が欠かせません。

なぜなら、「情報Ⅰ」は短期間で広範な内容をカバーするため、一度の授業で理解しきれない部分が多くなるからです。

例えば以下のような理由で、復習の時間が取りにくいケースが見られます。

  • 他教科の課題や部活動で時間が不足しがち
  • 授業スピードが早く、理解が追いつかないまま進行してしまう
  • 復習のやり方がわからず、後回しにしてしまう
  • そもそも「どこがわからなかったのか」が把握できていない

上記のような状況を放置してしまうと、情報Ⅰへの苦手意識が強まり、学習意欲そのものの低下につながるおそれがあります。

復習の重要性を意識し、無理のない学習習慣を取り入れる工夫が求められます。

「情報Ⅰ」の授業に
ついていけないときの対策

「情報Ⅰ」は、これまでになかった学習内容を多く含むため、授業についていけないと感じる生徒も少なくありません。

特にプログラミングや情報デザイン、データ活用といった内容は、慣れていないと理解に時間がかかる傾向があります。
つまずきを放置してしまうと、学習の遅れが広がり、やがて進路選択にも影響しかねません。

ここでは、授業内容に不安を感じたときに実践できる具体的な対策方法を紹介します。

教科書と授業ノートを見直す

「情報Ⅰ」の内容が理解しにくいと感じたときは、まず教科書と授業ノートの見直しから始めることが効果的です。

教科書やノートには、授業で扱われた重要なポイントや教師の解説が整理されており、内容を体系的に振り返ることができます。
特に情報Ⅰでは、新しい概念や用語が多いため、反復して読むことで理解が深まります。

具体的には、以下のような工夫が効果的です。

  • 単元ごとの見出しや図解に注目し、概要をつかむ
  • 授業中にメモした補足説明を確認し、つまずいた箇所を再チェック
  • キーワードや重要な操作手順にマーカーや付箋を使って整理

まずは教科書とノートを丁寧に見直すことで、自分の理解度を確認しやすくなり、次の学習への足がかりがつかめます。

焦らず、基本に立ち返ることが理解定着への第一歩です。

動画教材や参考書を活用する

授業だけで理解しきれないと感じたときは、動画教材や参考書を活用するのがおすすめです。

情報Ⅰでは、抽象的な概念や実践的なスキルが求められるため、視覚的な補助や自分のペースで学べる教材が有効です。

動画教材や参考書を使うことで、以下のような効果的な学習が可能になります。

  • プログラミングやネットワークの仕組みは、図解や実演付きの動画で理解が深まりやすい
  • 自宅学習用に使える「カラー図解」や「図表中心」の参考書は、復習にも活用しやすい
  • 保護者と一緒に見られる教材なら、家庭での学習サポートにも役立つ

難しい単元につまずいたときでも、動画教材や参考書をうまく取り入れることで、理解の定着や苦手克服につなげることができます。

学習アプリなどで学ぶ

「情報Ⅰ」の理解を深めたいときは、学習アプリを活用するのも有効な手段です。

授業や参考書だけではピンとこない内容も、動画やインタラクティブな問題演習を通じて視覚的・体験的に学べるからです。

学習アプリを活用すれば、以下のような効果が期待できます。

  • スキマ時間に動画でポイントを復習できる
  • クイズ形式で理解度をその場で確認できる
  • 苦手分野をブックマークして重点的に対策できる

最近では、こうした学習をサポートするアプリも増えています。

例えば「情報1 Labo」は、3〜5分の短い授業動画と確認問題で構成されており、定着度を高めながら効率よく学べる設計が特徴です。

ブックマーク機能や学習進捗の見える化なども充実しており、苦手分野の克服にも役立ちます。

教科書や授業だけではカバーしきれない部分を補う手段として、取り入れてみてもよいでしょう。

まとめ

「情報Ⅰ」は、これからの情報社会を生きるうえで不可欠な力を養う教科として、高校で必修化されただけではなく、2025年からは大学入学共通テストにも導入されました。
これにより、これまで以上に「情報Ⅰ」への理解と対策が必要です。

とはいえ、初めて触れる用語や抽象的な概念、プログラミングの難しさなど、つまずきやすいポイントも多くあります。
授業内容を着実に理解するには、教科書やノートの復習に加えて、動画教材やアプリなどを活用し、自分に合った学習スタイルを見つけていくことが大切です。

「情報Ⅰ」は、単なる知識の習得にとどまらず、今後の進路や職業選択にも関わる基礎力を育てる科目です。
早めの対策を進めることで、情報社会に対応できる実践的なスキルを身につけていきましょう。

なお、短時間で学べる動画と確認問題で構成された「情報1 Labo」アプリは、スキマ時間での理解促進や苦手克服にも役立ちます。

授業の補助教材として、こうしたツールを上手に取り入れてみるのも一つの方法です。
情報1 Laboにご興味のある方はぜひ詳細ページをご確認ください。