建設業界の今後は?現状や2024問題から課題まで徹底解説
2024/09/27
2025/07/07
建設業界を取り巻く環境は大きく変化しています。
労働力不足やデジタル化の遅れ、高齢化など、多くの課題を抱えています。
2024年は、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響がさらに深刻化し、建設業界は大きな転換期を迎えるでしょう。
人手不足やデジタル化の遅れ、高齢化など、これらの問題が、業界の未来を左右するかもしれません。
しかし、同時に、DX化や労働環境改善といった新しい取り組みも進んでいます。
本記事では、建設業界が抱える現状の問題点から、2024年に起こりうる変化、そして今後の課題と解決策までを徹底解説します。
建設業界の現状を理解すれば、どのような対策が必要なのか、見えてくるはずです。
現状や今後の課題を把握した上で、適切な対策を講じるために、ぜひ参考にしてください。
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建設業界の現状
建設業界は、私たちの生活を支えるインフラ整備や、都市開発で不可欠な役割を担っています。
しかし近年、深刻な課題を抱えています。
建設業界が現状抱える問題には、以下のようなものが挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
労働力不足
建設業界の労働力不足は深刻な問題となっています。
高齢化が進む一方で、若手の入職率が低下し、人手不足が加速しているのが現状です。
2023年の建設業就業者数は479万人で、そのうち55歳以上が約35%を占めています。
(参照:国土交通省「建設業を巡る現状と課題」)
デジタル化の遅れ
建設業界は、他の産業と比較してデジタル化の進みが遅いとされています。
多くの建設現場では、依然として紙の図面や手作業による作業管理が主流であり、最新のIT技術の導入が遅れているのが現状です。
デジタル化が遅れている主な原因としては、以下のような点が挙げられます。
- 既存システムとの連携の難しさ
- ネット環境の整備不足
- 従業員のデジタルリテラシー不足
デジタル化の遅れは、生産性の低下やコスト増、品質管理の難しさなど、さまざまな問題を引き起こしています。
倒産件数の増加
建設業界は、近年倒産件数の増加が深刻な問題となっています。
帝国データバンクの「建設業」倒産動向調査(2023年)によると、2023年の建設業の倒産件数は1,671件となり、前年比38.8%と大幅に増加しました。
これは2000年以降で最大の増加率であり、リーマン・ショック期よりも高い水準です。
(参照:帝国データバンク「建設業倒産動向調査(2023年))
倒産件数の増加は、主に以下の要因が考えられます。
- 新型コロナウイルス感染症の影響
- 資材価格の高騰
- 下請け企業の経営難
倒産件数の増加は、建設業界全体の安定性を脅かすだけではなく、地域経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。
建設業の2024年問題
建設業の2024年問題は、働き方改革関連法の完全施行に伴う大きな課題です。
2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されます。
月45時間・年360時間が原則となり、特別な事情があっても月100時間未満・年720時間以内に収めなければいけません。(復旧・復興に関わる業務は除きます。)
現在、建設業の労働時間は全産業平均より年間360時間以上長く、週休2日制の導入も遅れているのが現状です。
長時間労働の常態化や休日の少なさは、若手の業界離れを加速させる要因につながっています。
また、深刻な人手不足も相まって、現場の負担は増大しています。
2024年までに、労働環境の改善や生産性向上、人材確保などの対策を講じなければいけません。
2024年問題が引き起こす
3つの変化
時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」は、単に労働時間が短くなるだけの話ではありません。この規制は、建設業界のビジネスモデルそのものに構造的な変化をもたらす可能性があります。
具体的には、以下の3つの変化です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コストの変化
2024年問題によって、建設業界は深刻なコスト構造の変化に直面します。
なぜなら、時間外労働が厳しく制限されることで、従来の工期を守るためにはより多くの人員を投入する必要が生じるからです。
その結果、人件費の総額いわゆる労務単価が実質的に上昇します。
これまで見過ごされがちだった「見えないコスト」の増加も無視できません。
見えないコストには、以下のようなものが挙げられます。
- 社会保険料の負担増
- 安全管理コストの増加
- 外注費の高騰
2024年問題は直接的な人件費だけではなく、それに付随するさまざまなコストを押し上げる要因となります。
特に、元請け企業がこれらのコスト増を下請け価格に適切に転嫁できなければ、資金力の乏しい中小企業の経営を直撃する深刻な事態に繋がりかねません。
受注の変化
2024年問題は、建設会社が受注できる仕事の種類や条件にも変化をもたらします。
なぜなら、時間外労働の上限を守るためには、無理な工期設定の工事を引き受けることが物理的に不可能になるからです。
これまでの業界の常識であった「短納期・低価格」の案件は、今後、淘汰されていく可能性が高いです。
建設会社は、自社の労働力で対応できる、余裕を持った工期の案件を優先的に選ばざるを得なくなります。
この変化は、業界全体に以下のような影響を及ぼすと考えられます。
- 適正な工期と価格設定への移行
- 発注者側の意識改革の必要性
2024年問題は、建設会社にとって受注戦略の大きな見直しを迫られる転換点となります。
これからの建設業界には、無理な受注を減らし、一件あたりの利益率を高める経営へのシフトが求められます。
評価の変化
2024年問題への対応は、企業の社会的な評価にも直結し、それが新たな競争力となります。
なぜなら、求職者、特に行政や金融機関は、企業の法令遵守(コンプライアンス)体制を厳しく見るようになるからです。
これからの時代、企業の「働きやすさ」が、人材獲得や受注機会を左右する指標になるでしょう。
法律を守れない企業は、社会的な信用を失い、事業の継続そのものが困難になる可能性があります。 具体的には、以下のような点で企業の評価が変わってきます。
- 採用市場での評価
- 公共工事入札での評価
- 金融機関からの評価
働き方改革への取り組みは、もはや単なるコストや義務ではありません。
従業員の健康と安全を守る「健康経営」を実践する企業こそが、優秀な人材に選ばれる企業になるでしょう。
コスト増、受注環境の変化、そして働き方改革への対応は、待ったなしの経営課題です。
これらの課題を乗り越える鍵は、現場の生産性をいかに向上させるかにかかっています。
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建設業界の今後の課題
建設業界は、急速に変化する市場環境と新たな規制に対応しなければならない重要な局面にあります。
具体的には、以下のような課題を解決していかなければいけません。
それぞれの問題点を詳しく見ていきましょう。
人材不足
建設業界の人材不足は深刻な課題となっています。
高齢化の進行と若手の入職率低下により、労働力の確保が困難になっています。
国土交通省の調査によると、建設業就業者の約35%が55歳以上である一方、29歳以下は約11%です。
(参照:国土交通省_建設業就業者の現状)
人材不足は工期の遅延や受注機会の損失につながり、業界全体の生産性低下を招いています。
また、熟練工の減少により技術継承が難しくなり、品質管理にも影響を及ぼしています。
対策として、外国人労働者の活用や女性の雇用促進が進められていますが、十分な効果を上げるには至っていません。
建設業界の魅力向上や労働環境の改善、デジタル技術の導入による省人化など、多角的なアプローチが求められています。
人材確保と育成は、建設業界の持続可能な発展のために早急に取り組むべき課題です。
環境規制の厳格化
建設業界は環境規制の厳格化に直面しています。
政府が掲げる2050年カーボンニュートラル目標達成に向け、建設現場でのCO2排出削減が強く求められています。
具体的な内容は、以下のとおりです。
- 重機の電動化
- 燃料電池化
- 建材の低炭素化
- 省エネ設計の義務化
例えば、2025年度以降に新築される全ての建築物に対して、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)基準への適合が義務付けられる見込みです。
また、建設廃棄物の削減や再利用も重要課題となっており、循環型社会への対応が急務とされています。
環境規制に対応するため、建設会社は新技術の導入や工法の見直しを迫られています。
資材の高騰
建設業界は、資材の高騰が深刻な問題になっています。
この高騰は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行、ウクライナ情勢の悪化、そしてサプライチェーンの混乱などが複合的に影響した結果です。
具体的には、木材や鉄鋼、非鉄金属などの主要な建設資材の価格が大幅に上昇しています。
特に、木材は世界的な需要の増加と供給不足により、価格が暴騰する「ウッドショック」と呼ばれる現象が発生しました。
また、鉄鋼も、原料となる鉄鉱石や石炭の価格上昇に加え、世界的な需要の回復に伴い価格が上昇しています。
資材の高騰は、建設コストの増大に直結し、建設プロジェクトの遅延や中止、さらには企業の経営を圧迫するなどの深刻な影響をもたらしています。
働き方改革
2019年から順次施行された「働き方改革関連法」により、建設業界でも時間外労働の上限が厳しく規制されるようになり、働き方改革が求められています。
2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、月45時間・年360時間が原則となります。
特別な事情がある場合でも、月100時間未満・年720時間以内に収めなければいけません。
現状では、建設業の労働時間は全産業平均より年間360時間以上長く、週休2日制の導入も遅れています。
この状況を改善するため、ICTやAIを活用した生産性向上、工程管理の効率化、現場と事務所の情報共有の迅速化などが進められています。
働き方改革の推進は、人材確保や業界イメージの向上にもつながる重要な課題です。
新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症は建設業界に大きな影響を与えています。
感染拡大防止のため、現場での密集を避ける必要があり、作業効率の低下が避けられません。
具体的には、作業員の分散配置や時差出勤の導入、打ち合わせのオンライン化などが実施されています。
また、資材の調達難や納期遅延も発生し、民間工事の延期や中止も見られ、受注の減少につながっています。
建設業界の課題が深刻化する中、業務の効率化と生産性向上が求められています。
DXの導入は、人材不足の解消や労働環境の改善につながる施策です。PRODOUGUなら、施工管理のデジタル化により、現場の負担を軽減しながら業務をスムーズに進められます。
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今後実施される政府の施策
建設業界が抱える課題を解決するため、政府はさまざまな施策を打ち出しています。
具体的な施策には、以下のようなものがあります。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進策
建設業界では、生産性の向上や人手不足の解消を目的に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が進められています。
国土交通省は「i-Construction」をはじめとする施策を展開し、ICT技術の活用を促進しています。
従来の建設業界では、紙ベースの業務や手作業による工程管理が主流でした。
しかし、この方法では業務の非効率性が課題となり、長時間労働が常態化する要因のひとつとされています。
他にも、高齢化の進行により、熟練技術の継承が難しくなっています。
若手技術者の減少も影響し、労働力の確保が建設業界全体の課題の一つです。
こうした状況を踏まえ、政府は建設業の生産性向上に向けて、ICT技術の導入を推進する施策を打ち出しています。
現在、建設業界のDX推進に関して、以下のような施策が進められています。
| i-Constructionの推進 |
|
|---|---|
| BIM/CIMの原則適用 |
|
| 建設機械の自動化・ 遠隔操作の導入 |
|
| AI・IoT活用による 生産性向上 |
|
DXの導入が進むことで、建設現場の業務効率が向上し、長時間労働の削減や人手不足の解消につながることが期待されています。
環境規制の強化
建設業界では、脱炭素社会の実現に向けた環境規制が強化されています。
特に、2050年カーボンニュートラルの達成、ZEB(ゼロエネルギービル)の義務化、再生可能エネルギーの活用推進などが、企業の経営や施工方法に影響を与えます。
環境規制の強化に対応するため、建設業界では以下のポイントに注意する必要があります。
| 項目 | 対策 |
|---|---|
| 施工時のCO₂排出量の管理 |
|
| 建材の環境負荷を考慮する |
|
| ZEB(ゼロエネルギービル) への対応 |
|
| 環境規制の変化に対応 するための情報収集 |
|
建設業界では、施工の省エネ化や建材の選定、再生可能エネルギーの活用など、さまざまな対応が求められます。
労働環境改革
建設業界では、2024年4月からの時間外労働上限規制適用により、労働環境の改善が求められています。週休2日制の推進や適切な工期設定もポイントです。
具体的に決められた内容は、以下のとおりです。
| 主な施策 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 時間外労働の上限規制 | 月45時間・年360時間が原則(特別な事情があっても年720時間以内) | 違反時は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
| 週休2日制の推進 | 労働環境の改善と人材確保を目的に導入を促進 | 4週8閉所(4週間で8日の休日)を推奨 |
| 適切な工期設定 | 長時間労働を防ぐため、現場の実情に応じた工期を設定 | 無理のないスケジュール管理が必要 |
| 労働時間の適切な管理 | 時間外労働の記録・監視を強化 | デジタル管理システムの活用が推奨 |
参照:「厚生労働省「はたらきかたススメ-建設業」
労働環境の改善は、労働者の健康維持や人材確保に直結します。
特に、時間外労働の規制や罰則の適用が厳格化されているため、企業は適切な対策を講じる必要があります。
建設業の問題解決への3つの対策
建設業界は、労働力不足や資材の高騰、環境規制の厳格化など、さまざまな課題に直面しています。
これらの問題を解決するためには、以下の3つの対策が必要です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
DX化による業務効率化
DX化による業務効率化は、建設業界の課題解決に大きな役割を果たします。
具体的には、以下のようなDX化が進んでいます。
- BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入
- AI搭載のドローンを活用した測量や進捗管理
- ウェアラブルデバイスの活用
- クラウドシステムの導入
- VR・AR技術を用いた施工シミュレーション
DX化は人手不足の解消や働き方改革の推進にもつながるため、建設業界の生産性向上に不可欠な取り組みとなっています。
労働環境改善
建設業界の労働環境改善は、人材確保や生産性向上に直結する重要な課題です。
長時間労働や過酷な労働環境は、若年層の離職率を高め、慢性的な人手不足を招いています。
労働環境改善に向けた具体的な取り組みには、以下のようなものが挙げられます。
- 長時間労働の是正
- 安全対策の強化
- 労働者の待遇改善
- キャリアアップ支援
- 多様な働き方の推進
これらの取り組みが、若い世代の建設業への関心を引き戻し、業界全体の成長促進につながります。
女性・外国人技能者の採用
建設業界では深刻な労働力不足が続いているため、その解決策の一つとして女性や外国人技能者の積極的な採用が求められています。
具体的には、以下のような取り組みが行われています。
| 女性の採用促進 |
|
|---|---|
| 外国人技能者の採用 |
|
多様な人材の採用により、建設業界は新たな視点や技術の導入が可能となり、業務の効率化や品質向上につながると期待されています。
これからの建設業界では、女性や外国人技能者の活躍が一層重要な課題となり、その採用と定着を進めることが、業界全体の発展に不可欠な要素となるでしょう。
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まとめ
建設業界は、労働力不足やデジタル化の遅れなど、深刻な課題を抱えているのが現状です。
2024年は、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響がさらに深刻化し、建設業界は大きな転換期を迎えています。
この問題を解決するために、DX化による業務効率化、労働環境改善、女性・外国人技能者の採用など、さまざまな対策が講じられています。
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