サイト内検索
【技能者を大切にする!】職人いきいき宣言の申請方法と内容を解説

【技能者を大切にする!】職人いきいき宣言の申請方法と内容を解説

2026/01/19

土木

建設業界では技能者の高齢化と人手不足が深刻化しており、将来の担い手確保が喫緊の課題となっています。
こうした状況を受け、国土交通省は「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」制度を創設しました。
この制度は、処遇改善に積極的な企業が公式に宣言し、その内容をポータルサイトで公開することで「選ばれる企業」としての姿勢を可視化する仕組みです。
本記事では、職人いきいき宣言とも呼ばれるこの自主宣言の申請方法と内容について、元請・下請・発注者の立場別に解説します。

職人いきいき宣言の申請には、CCUSの活用が求められます。
KENTEM-CareerLog」のようなクラウド型管理システムを導入することで、CCUSの活用がよりスムーズになり、デジタル化が加速します。
CCUSを攻略するための道しるべとなる資料もご用意しておりますので、ぜひご活用ください。

職人いきいき宣言
(建設技能者を大切にする企業の自主宣言)とは

職人いきいき宣言とは、建設技能者を大切にし、処遇改善に積極的に取り組む意思を企業が公式に表明する制度です。
正式名称は「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」であり、企業名・代表者名とともに具体的な行動項目が国土交通省のポータルサイトで公開されます。
単なる理念表明ではなく、必須項目と任意項目で構成された実効性のある取組であり、建設業界全体の処遇改善を持続的に推進する枠組みです。

制度の基本概要と目的

職人いきいき宣言は、建設技能者の処遇改善に取り組む企業を可視化し、就業者から「選ばれる企業」として認知されることを主な目的としています。

この制度では、宣言内容が企業名・代表者名とともにポータルサイトで公開されるため、対外的な信頼性と透明性が確保されます。
宣言には必須項目と任意項目があり、必須項目では労務費の適切な確保やCCUSの活用、宣言企業との取引優先といった具体的な行動が求められます。
任意項目では、処遇改善や女性活躍、外国人活躍など企業独自の取組を最大5項目まで記載できます。

制度の目的は、処遇改善の取組を一過性のものとせず、継続的かつ組織的に実施する環境を業界全体で整備することにあります。
これにより、建設技能者が安心して長く働ける業界づくりを目指しています。

創設の背景にある建設業界の課題

建設業界は技能者の高齢化や長時間労働といった構造的課題を抱えており、将来的な人手不足が懸念されています。

現在、建設技能者の年齢構成では55歳以上が大きな割合を占めており、高齢層の大量退職により将来的に技能者が不足するリスクが高まっています。
また、建設業の労働環境は他産業と比較して実労働時間が長く、休日が少ない状況です。
具体的には「4週6休程度」が最多で、週休2日(4週8休)を確保できない現場が多数存在します。

こうした技能者不足が進行すると、国民生活や社会経済活動を支える建設業の機能が維持できなくなる恐れがあります。
国土交通省は「建設キャリアアップシステム(CCUS)利用拡大に向けた3か年計画(令和6年7月)」を策定し、改正建設業法とCCUS活用を一体で進める方向性を明確化しました。
職人いきいき宣言は、この方針を実行する装置として創設されたものです。

自主宣言による効果とメリット

自主宣言を行うことで、採用・人材確保の面で優位性が生まれ、取引先や発注者からも評価されやすくなります。

処遇改善に取り組む企業として公式に宣言することで、就業者からは「働きやすい企業」として選ばれやすくなり、必要な技能者を安定的に確保しやすくなります。
特に若年層や高卒採用においては、労働環境や処遇が企業選びの判断材料となるため、自主宣言は採用活動のアピール材料として有効です。

また、取引面では発注者・元請・下請・エンドユーザーまで、サプライチェーン全体で「技能者を大切にする企業」という姿勢が評価されます。
必須項目に「宣言企業との取引優先」が含まれているため、宣言企業同士のネットワークが形成され、受注機会の拡大にもつながる可能性があります。

職人いきいき宣言の申請方法

職人いきいき宣言の申請方法は、立場(元請・下請・発注者)によって必須項目の内容が異なるため、事前に自社の該当する立場を明確にし、必要な取組内容を整理しておくことが重要です。
申請は企業代表者名で行われ、宣言内容は公開されるため、組織全体での合意形成と実行体制の構築が求められます。
ここでは、申請前の前提条件、全体フロー、取組開始日の設定ルールについて具体的に解説します。

申請前の前提条件とチェック項目

職人いきいき宣言の申請にあたっては、企業代表者名での宣言が必須であり、宣言内容がポータルサイトで公開されることを理解しておく必要があります。

申請前には、必須項目をすべて遵守できる体制が整っているかを確認します。
必須項目には、労務費の適切な確保、CCUSの活用、宣言企業との取引優先といった具体的な行動が含まれます。
また、「申請できない事業者」に該当しないかもチェックが必要です。
該当条件には、過去に重大な法令違反があった場合や、処遇改善の取組実績が著しく不足している場合などが含まれます。

さらに、任意項目についても事前に検討しておくことで、申請時にスムーズに記載できます。
任意項目は最大5項目まで記載可能であり、企業独自の取組や強みを対外的にアピールする重要な機会となります。

申請の全体フローと立場の選択

申請フローは「事前準備」「申請」の2つのフェーズ構成です。
申請時には元請・下請・発注者のいずれか1つの立場を選択します。

フェーズ0の事前準備では、必須項目と任意項目の内容を検討し、組織内での合意を形成します。
フェーズ1の申請では、ポータルサイトから申請画面にアクセスし、宣言の立場(元請・下請・発注者)を選択します。
立場は重複して選択できないため、自社の主たる事業内容に基づいて適切に判断する必要があります。

申請画面では、推奨項目がチェック形式で表示されるほか、自由記載欄(120字以内)も用意されています。
ただし、制度の主旨と異なる内容を記載した場合は申請が受理されない可能性があるため、注意が必要です。
申請後、内容が審査され、承認されると企業名・代表者名・宣言内容がポータルサイトで公開されます。

取組開始日の設定ルール

取組開始日は申請時に設定する必要があり、将来実施予定の取組も宣言できますが、申請日から1年以内が上限となります。

取組開始日の設定では、既に実施している取組であれば過去の日付を設定することも可能ですが、将来実施予定の取組の場合は申請日から1年以内の日付を設定する必要があります。
これにより、宣言内容の実効性を担保し、一過性の取組ではなく継続的な改善を促す仕組みとなっています。

取組開始日を設定する際は、組織内での実施体制や予算、スケジュールを十分に検討し、確実に実行できる計画を立てることが重要です。
宣言後は取組状況の報告や更新が求められる場合もあるため、進捗管理の体制も整えておく必要があります。

職人いきいき宣言の必須項目であるCCUSの活用を確実に実践するには、日々の就業履歴蓄積や施工体制の適切な管理が欠かせません。
KENTEM-CareerLog」なら、煩雑になりがちなCCUS登録業務を一元管理できるほか、QRコードを活用したスマートな就業履歴登録により、宣言内容の実効性を高める運用体制をスムーズに構築できます。

職人いきいき宣言の申請内容の詳細

職人いきいき宣言の申請内容の核となるのが必須項目です。
必須項目は「労務費確保・賃金支払いに関する取組」「建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用」「宣言企業との取引優先」の3つの大カテゴリで構成されており、元請・下請・発注者それぞれの立場によって具体的な要件が異なります。
ここでは、各カテゴリの詳細と立場別の申請方法の違いについて解説します。

労務費確保・賃金支払いに関する取組

労務費確保に関する必須項目では、内訳を明示した見積書の作成と、下請からの見積の尊重が求められます。

元請事業者および下請事業者は、労務費・材料費などの内訳を明示した見積書を作成する必要があります。
また、下請から提出される内訳付き見積を適切に反映し、技能者の適切な処遇を確保することが求められます。
さらに、担い手育成への取組や国の調査への協力も必須項目に含まれます。

発注者の場合は、元請が提出する内訳明示見積を十分に考慮することが必須となります。
これにより、サプライチェーン全体で適切な労務費が確保され、技能者の賃金水準が向上する仕組みが構築されます。
内訳明示見積の作成は、単なる書類作成ではなく、技能者の処遇改善に直結する重要な取組です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)活用の要件

CCUS活用の必須項目は、元請と下請で要件が異なり、元請は現場での就業履歴蓄積環境の整備、下請は雇用技能者の詳細型登録が求められます。

元請事業者は、以下のいずれかを選択して実施する必要があります。

①全現場で就業履歴を蓄積できる環境整備・促進
②CCUSを使う技能者が履歴を蓄積できる環境整備
③雇用する全技能者の「詳細型登録」(雇用がある場合は必須)

このうち、①または②のいずれかを必ず実施し、③は雇用技能者がいる場合に追加で必須となります。

下請事業者は、雇用する全技能者の詳細型登録が必須です。
詳細型登録では、技能者の資格や経験年数、保有技能などの情報を詳細に登録することで、技能者のキャリア形成を支援し、適切な評価と処遇につなげることができます。
CCUS活用は、技能者の「見える化」を実現し、業界全体の処遇改善を推進する基盤です。

宣言企業との取引優先に関する事項

宣言企業との取引優先は、元請・下請・発注者すべての立場で共通の必須項目であり、取引先選定時に自主宣言の有無を考慮することが求められます。

この項目により、自主宣言を行った企業同士のネットワークが形成され、処遇改善に取り組む企業が優先的に選ばれる環境が整備されます。
元請は協力会社を選定する際、下請は取引先を選ぶ際、発注者は元請を選定する際に、それぞれ「自主宣言を行っているか」を考慮します。

この仕組みは、処遇改善に取り組む企業が競争上の優位性を得られるインセンティブとなり、業界全体で処遇改善の取組が加速することが期待されています。
宣言企業との取引優先を実践することで、サプライチェーン全体で技能者を大切にする文化が醸成されます。

元請・下請・発注者別の申請方法の違い

職人いきいき宣言の申請方法は、元請・下請・発注者の立場によって必須項目の具体的内容と選択肢が異なるため、自社の立場に応じた要件を正確に把握する必要があります。

元請事業者は、労務費確保、CCUS活用(複数の選択肢から選択)、宣言企業との取引優先のすべてを実施する必要があります。
下請事業者は、労務費確保、雇用技能者の詳細型登録、宣言企業との取引優先が必須です。
発注者は、内訳明示見積の尊重と宣言企業との取引優先が必須となります。

申請画面では、立場に応じて推奨項目がチェック形式で表示されるほか、自由記載欄(120字以内)も用意されています。
自由記載では、推奨項目以外の独自の取組を記載できますが、制度の主旨と異なる内容は申請が受理されない可能性があるため注意が必要です。
立場別の要件を正確に理解し、自社の取組内容を適切に記載することが、申請成功の鍵となります。

職人いきいき宣言の差別化戦略

職人いきいき宣言の任意項目は、必須項目に加えて企業独自の処遇改善の取組を対外的にアピールできる重要な機会です。
任意項目には9つのカテゴリが用意されており、最大5項目まで記載できます。
必須項目だけでは伝えきれない企業の強みや姿勢を明確に示すことで、採用活動や取引先選定において差別化を図ることができます。
ここでは、任意項目の位置づけ、具体的なカテゴリと取組例、効果的な選び方について解説します。

任意項目の位置づけと記載可能数

任意項目は必須項目ではありませんが、企業の処遇改善への姿勢を示す要素であり、最大5項目まで記載できます。

任意項目は、必須項目で求められる取組に加えて、企業が独自に実施している処遇改善の取組を自由に記載できる欄です。
必須項目との重複は不要であり、必須項目以外の取組を記載します。
最大5項目まで記載可能ですが、無理に5項目を埋める必要はなく、実際に取り組んでいる内容を誠実に記載することが重要です。

任意項目を充実させることで、就業者や取引先に対して「技能者を大切にする企業」としての姿勢をより強く印象づけることができます。
特に若年層や高卒採用においては、働きやすさや成長機会を重視する傾向が強いため、任意項目の内容が採用活動の成否を左右する場合もあります。

9つのカテゴリと具体的な取組例

任意項目は9つのカテゴリに分類されており、処遇改善、適正な請負契約、スキルアップ、労働安全衛生、生産性向上、戦略的広報・若者育成、女性活躍、外国人活躍、その他が含まれます。

具体的なカテゴリと取組例を以下に示します。

  • 処遇改善:長時間労働の是正、男性の育児休業支援、福利厚生の充実など。
  • 適正な請負契約:契約内容の明確化、適正な工期設定など。
  • スキルアップ:キャリアアッププラン策定、資格取得支援、研修制度の充実など。
  • 労働安全衛生:安全教育の実施、健康診断の徹底、熱中症対策など。
  • 生産性向上:ICT化(事務・現場)、業務効率化ツールの導入、デジタル技術の活用など。
  • 戦略的広報・若者育成:現場見学会・インターン、中高生向けイベント、SNSでの情報発信など。
  • 女性活躍:女性技能者の採用促進、託児所の設置、多様な働き方の実現など。
  • 外国人活躍:外国人就労者の共生支援、多言語対応、文化理解の促進など。
  • その他:上記に該当しない独自の取組。

企業姿勢を効果的に示す任意項目の選び方

任意項目は、自社の強みや特色を反映し、ターゲットとする技能者層に響く内容を選ぶことで、採用活動や取引先評価において効果的に差別化できます。

任意項目を選ぶ際は、まず自社が実際に取り組んでいる内容を棚卸しし、技能者や取引先にとって魅力的な取組を優先的に記載します。
例えば、若年層の採用を強化したい場合は、キャリアアッププラン策定やICT化による働きやすさのアピールが効果的です。
女性技能者の採用を進めたい場合は、女性活躍に関する取組を詳しく記載します。

また、任意項目は単なる羅列ではなく、具体的な実施内容や成果を簡潔に記載することで、信頼性と説得力が高まります。
例えば「長時間労働の是正」であれば、「週休2日制の導入により年間休日を110日に増加」といった具体的な数値を示すと効果的です。
任意項目を戦略的に活用することで、職人いきいき宣言を採用活動や企業ブランディングの有効な手段とすることができます。

まとめ

職人いきいき宣言(建設技能者を大切にする企業の自主宣言)は、建設業界の人手不足と処遇改善の課題に対応するため、企業が処遇改善への取組を公式に表明し、業界全体で技能者を大切にする文化を醸成する制度です。
申請方法は元請・下請・発注者の立場によって必須項目が異なり、労務費確保、CCUS活用、宣言企業との取引優先が主な柱となります。
任意項目では、処遇改善、スキルアップ、女性活躍、外国人活躍など9つのカテゴリから最大5項目を選択し、企業独自の強みをアピールできます。

自主宣言を行うことで、就業者から「選ばれる企業」として認知され、採用活動や取引先評価において優位性を得られます。
特に若年層や高卒採用においては、労働環境や処遇改善の取組が企業選びの重要な判断材料となるため、職人いきいき宣言は強力なアピール材料となります。

職人いきいき宣言の実践において重要な柱となるCCUSの活用は、KENTEM(株式会社建設システム)が提供する「KENTEM-CareerLog」でサポート可能です。
QRコードを用いたスマートな就業履歴の登録や、ダッシュボードによる登録状況の可視化機能により、宣言の裏付けとなる日々の運用負担を大幅に軽減します。
効率よくCCUSを活用していきたい、とご興味をお持ちの方はぜひ詳細をご確認ください。