
建設キャリアアップシステムとは?CCUSの仕組みや登録方法から活用ポイントまで解説
2025/06/24
建設業界では、技能者の資格や就業履歴を適正に評価し、労務管理を効率化するための仕組みが求められています。その解決策として導入が進んでいるのが「建設キャリアアップシステム(CCUS)」 です。
CCUSは、技能者の就業履歴や資格情報をデータ化し、技能や経験に応じた適切な評価を受けられる仕組みです。CCUSにより、技能者は自身のキャリアを証明しやすくなり、企業も人材管理を効率化できます。
本記事では、CCUSの概要や導入目的、登録方法、企業が活用するポイントまで詳しく解説します。CCUSについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
建設キャリアアップシステム
(CCUS)とは?
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設業界における技能者の資格や就業履歴を一元管理し、公正な評価や処遇改善を目的としたシステムです。
国土交通省と建設業団体が連携して普及を推進しており、建設業界全体の働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として導入が進んでいます。
従来、建設業界では技能者の経験や資格が適正に評価されにくい課題がありました。CCUSを導入すれば、技能者が自身のキャリアを明確に証明できるようになり、企業側も適切な人材配置や評価が可能になります。
技能者のキャリアパスの明確化を図ることで若年層の建設業界への参入を促進し、将来的な人材不足の解消にもつながると期待されています。
CCUSを導入する主な目的
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設業界の課題を解決し、技能者の処遇改善や業界全体の発展を促進するために導入されました。主な目的は以下の通りです。
技能者の適正評価と処遇改善 |
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建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進 |
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若年層の建設業界への参入促進 |
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不適切な労働環境の是正 |
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CCUSの導入により、技能者のキャリアアップが可能となるだけではなく、企業の人材管理の効率化や建設業界全体の活性化にもつながります。
CCUSの主な仕組み
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格や就業履歴をデータ化し、業界全体で共有・活用できる仕組みです。これにより、技能者は自分の経験やスキルを正しく証明でき、企業側も適切な人材管理が可能になります。
国土交通省と建設業団体が連携して普及を進めており、建設業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する役割を担っています。
CCUSの主な仕組みは、以下の4つの要素で構成されています。
技能者情報の登録・管理 |
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就業履歴の蓄積 |
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能力評価(レベル判定) |
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事業者情報の登録・管理 |
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上記の仕組みにより、技能者は自身のキャリアを証明しやすくなり、企業も人材の適正な評価と管理が可能になります。ICカードによる就業履歴のデータ化は、労務管理の効率化や不適切な雇用形態の改善にもつながるでしょう。
CCUSの普及が進むことで建設業界の透明性が向上し、技能者の処遇改善や働きやすい環境づくりが加速していくことが期待されています。
今後、さらに多くの企業や技能者が活用すれば、建設業界全体のデジタル化と生産性向上に貢献するシステムとなるでしょう。
建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録方法と手順
CCUSを活用するには、技能者(個人)と事業者(企業)のそれぞれが登録を行う必要があります。登録すれば、技能者は自身の資格や就業履歴をデータとして管理でき、企業側も適切な人材管理が可能になります。
登録の流れは、技能者(個人)と事業者(企業)で異なる手順があるため、それぞれのステップを確認しておきましょう。
技能者(個人)の登録手順
CCUSに登録すれば、自身の就業履歴や資格情報を公式に記録でき、正当な評価を受けられるようになります。これにより、技能や経験が客観的に証明され、キャリアの継続性が確保されます。
企業側も技能者のスキルを把握しやすくなり、適正な人材配置や評価が可能になるでしょう。
登録方法はインターネット申請と認定登録機関申請の2つがあり、それぞれの手順を確認しておきましょう。
必要書類を準備 |
全員が必ず添付するもの
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申請方法を選択し、 登録手続きを行う |
申請方法は以下の2種類あります。
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登録料を支払う |
技術者登録料は、申請方法によって異なります。
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技能者ID・キャリアアップ カードの発行 |
申請が完了すると、技能者IDが発行されます。 |
参考資料:建設キャリアアップシステム「技能者情報登録申請書の手引」
CCUSへの登録を完了すれば、技能者のスキルや経験が正しく評価され、適正な処遇を受けやすくなります。
建設業界全体でのデータ活用が進むことで、技能者にとっても働きやすい環境が整備されていくことが期待されます。今後のキャリアを考えるうえでも、登録を検討してみましょう。
事業者(企業)の登録手順
CCUSに事業者として登録すれば、技能者の就業履歴や資格情報を適切に管理し、現場ごとの労務管理の透明性を高めることができます。
特に、元請事業者はCCUSを活用すれば、現場ごとの作業状況を正確に把握し適切な人材配置を行うことが可能になります。
それぞれの手順を確認しておきましょう。
申請方法を選択し、 登録手続きを行う |
申請方法は以下の2種類
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登録料を支払う | 事業者の登録料は資本金に応じて異なり、5年ごとの更新制です。 詳細は、次章をご確認ください。 |
事業者IDの発行 | 申請が完了すると、事業者IDが発行されます。 |
参考資料:建設キャリアアップシステム「事業者情報登録申請書の手引」
CCUSに登録すれば、企業は技能者のデータを効率的に管理し、現場での適正な労務環境を整えることができます。
特に元請事業者にとっては、現場ごとの作業状況の把握や人材管理の合理化につながる重要なシステムです。業界全体の生産性向上や透明性の確保にも貢献するため、早めの登録・導入を検討してみましょう。
登録にかかる費用と注意点
CCUSの登録には、技能者(個人)と事業者(企業)それぞれに登録料が必要です。さらに、登録後のシステム利用に関しても、管理料や現場利用料が発生します。
申請方法 | 登録料(税込) |
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インターネット申請 (簡略型) |
2,500円 |
インターネット申請 (詳細型) |
4,900円 |
認定登録機関申請 (詳細型) |
4,900円 |
注意点は以下の通りです。
- 建設キャリアアップカードの有効期限は、発行後9年経過後の最初の誕生日まで
- 60歳以上の場合は、14年目の誕生日まで有効
- 本人確認書類未提出者は、有効期限が短縮され、カード発行から2年目の誕生日までとなる
- カード再発行料は1,000円
- 技能者は自身で申請するほか、所属する事業者の担当者による代行申請も可能
事業者の登録料は、資本金額に応じて決定され、5年ごとの更新制です。
資本金額 | 登録料(税込) |
---|---|
一人親方 | 0円 |
500万円未満 (個人事業主含む) |
6,000円 |
500万円以上 1,000万円未満 |
12,000円 |
1,000万円以上 2,000万円未満 |
24,000円 |
2,000万円以上 5,000万円未満 |
48,000円 |
5,000万円以上 1億円未満 |
60,000円 |
1億円以上 3億円未満 |
120,000円 |
3億円以上 10億円未満 |
240,000円 |
10億円以上 50億円未満 |
480,000円 |
50億円以上 100億円未満 |
600,000円 |
注意点は、以下のとおりです。
- 事業者の登録は、自社の担当者が行うほか、元請け・上位下請けの担当者による代行申請も可能
- 登録の有効期限は5年間で、更新が必要
- 詳細な登録申請方法や必要書類に関しては「事業者情報登録申請書の手引」を参照
事業者は、CCUSを利用するために以下の追加費用も発生します。
管理者ID管理料 (事業者情報を管理するための利用料) |
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現場利用料 (現場システム利用時に発生する費用) |
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CCUSへの登録には、技能者・事業者ともに登録料がかかり、利用時にも管理料や現場利用料が発生します。
特に事業者は資本金によって登録料が大きく異なるため、事前にしっかり確認しておくことが必要です。また、登録の有効期限や更新の必要性にも注意し、適切に運用できるよう準備を進めましょう。
企業がCCUSを活用するポイント
CCUSは、技能者の就業履歴や資格情報を管理するだけではなく、企業の労務管理や業務効率の向上にも役立つシステムです。
CCUSを適切に活用すれば、労働環境の透明性が向上し、コンプライアンスの強化にもつながります。近年、公共工事や大規模プロジェクトでは、CCUSの導入が求められるケースも増えており、建設業界全体での普及が進んでいます。
企業がCCUSを効果的に活用するためのポイントを確認していきましょう。
CCUSカードを活用した現場管理のポイント
CCUSカードは、技能者の就業履歴や資格情報をデータ化し、現場での労務管理を効率化するためのシステムです。
特に、ICカードを活用すれば、現場の入退場管理や適正な人材配置がスムーズに行えるようになります。CCUSを活用した現場管理のポイントは、以下のとおりです。
ICカードによる 正確な入退場管理 |
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資格情報のデータ化で 適切な人材配置を実現 |
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現場管理の効率化と トレーサビリティの向上 |
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CCUSカードを活用すれば、現場の入退場管理・人材配置・コンプライアンス対応が効率化し、企業全体の労務管理レベルが向上します。
大規模な建設現場では、人手不足の解消や安全管理の強化にもつながるため、積極的な導入と運用の最適化が求められます。
CCUSとクラウド管理システムを連携するメリット
CCUSは単体でも技能者の就業履歴や資格を管理できますが、クラウド管理システムと連携すれば、データの一元化や業務の効率化がさらに進みます。
具体的なメリットは、以下のとおりです。
- リアルタイムで就業履歴を確認できる
- 現場ごとの作業状況を一元管理
- スムーズなデータ共有で管理負担を削減
- コンプライアンス強化とリスク管理の向上
クラウド管理システムとCCUSを連携すれば、技能者の労務管理の効率化・コンプライアンス強化・データ共有の最適化が実現できます。
今後、建設業界のデジタル化が進む中で、CCUSとクラウドの併用は、企業の競争力向上に欠かせない仕組みとなるでしょう。
CCUSに対応するなら、KENTEM-CareerLogの活用がおすすめ
CCUSを導入する企業にとって、よりスムーズな管理を実現するためには、クラウド型の労務管理システムとの連携が必要です。
そこでおすすめなのが、KENTEM(株式会社建設システム)が提供する「KENTEM-CareerLog(ケンテム キャリアログ)」です。
KENTEM-CareerLogは、CCUSと連携し、現場の就業履歴や技能者情報を効率的に管理できるWEBアプリケーションです。
KENTEM-CareerLogを活用するメリットは、以下のとおりです。
- CCUSとの完全連携でデータ入力の手間を削減
- リアルタイムで現場の就業履歴を確認可能
- クラウド対応でどこでもアクセス可能
- 複数の現場を一元管理し、業務効率を向上
- 適正な労務環境の維持が可能
- 行政対応や監査時に必要なデータを即座に提出可能
KENTEM-CareerLogは、こんな企業におすすめ! |
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KENTEM-CareerLogを導入すれば、CCUSの活用がより簡単かつスムーズになり、業務の効率化とコンプライアンス強化を両立できます。
建設業界のデジタル化が進む中、CCUSとKENTEM-CareerLogを組み合わせれば、企業の生産性向上につながる環境を整えられるでしょう。
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まとめ
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の就業履歴や資格情報をデータ化し、適正な評価や労務管理を実現する仕組みです。技能者は自身のキャリアを証明しやすくなり、企業は労務管理の効率化やコンプライアンスの強化が可能になります。
CCUSカードを活用した現場管理や、クラウド管理システムとの連携によるデータの一元化は、企業の業務効率を向上させられます。
さらに、「KENTEM-CareerLog」のようなクラウド型管理システムを導入すれば、CCUSの活用がよりスムーズになり、デジタル化が加速します。
建設業界のDXが進む中、CCUSの導入と活用は企業の競争力向上や働きやすい環境づくりに不可欠な要素となっています。まだ導入していない企業や、より効率的な管理を目指す企業は、CCUSとクラウド管理システムを組み合わせた活用を検討してみましょう。
CCUSの登録を検討している人は、ぜひ「KENTEM-CareerLog」の導入も検討してみてください。
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