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建設業界における設計DXのメリットとは?具体的な課題と解決法も解説

3次元(3D)測量で建設業はどう変わる?測量方法の種類やメリット・デメリットを詳しく解説

2024/05/27

2025/07/24

土木

3次元(3D)測量技術が進化したことで、従来の平面測量では把握できなかった立体的な形状データを取得できるようになりました。
ドローンや機材を使った3次元(3D)測量技術を活用することで、建設業の業務効率化が進み、働き方改革にも効果的に作用しています。

3次元(3D)測量技術についてある程度の理解はあるけれど、実際にどのような手法で測量しているのか、注意点やポイントはあるのか気になる人もいるかもしれません。

本記事では3次元測量の種類や特徴、i-Constructionが建設業界にもたらした変化、3次元測量のメリット・デメリットを解説します。
建設業のICT化や3次元(3D)測量技術について興味がある人はぜひ参考にしてください。

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3次元(3D)測量の種類を解説

3次元(3D)測量には、利用する機材や目的によって、いくつかの種類に分かれます。
どの範囲でデータを収集するか、以下の図で種類別に分類できるでしょう。

3次元測量手法の点密度と適用範囲
引用:3次元測量手法の選定について

ここからは3次元(3D)測量の種類やそれぞれの特徴を解説します。

それぞれについて詳しく解説します。

空中写真測量|ドローンを活用して複数の写真を撮影

空中写真測量は、航空機やドローン(UAV)を使って航空機から地上の対象物を複数の角度から撮影し、空中写真を取得する手法です

具体的な撮影手順の一例は以下のとおりです。

  • 地表の垂直写真を飛行コースに沿って60〜80%重複させながら撮影
  • 地上の位置関係を詳細に計測
  • 写真上での像の違いを立体的に細かく測定
  • 正確な3次元計測、地形図を作成

空中写真測量では重複する空中写真から、対象地点の3次元位置座標を出力して、対象物の3次元点群データを求めます。
空中写真測量の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
1回の測定で広範囲を対応可能
計測時間が短い
人が入れない場所の測定が可能
天候の影響を受ける(強風時など)
地表に草がある場合は下処理が必要
GNSS測位ができないエリアは測量できない
航空法に基づく手続きが必要

たとえば災害発生時現場の状況を把握する際に、空中写真測量を活用します。
人が入れない箇所でも、航空機やドローン(UAV)を使って上空から撮影することで、安全に素早く道路状況を把握できる点が魅力です。

航空レーザ測量|レーザ光の反射を活用した測量

航空レーザ測量とは、航空機に搭載したレーザースキャナーから地表面に向けてレーザ光を照射し、反射してくる時間から距離を計測する手法です。

具体的な測量方法のイメージは以下のとおりです。

航空レーザ測量の計測イメージ
引用:国土交通省 国土地理院_航空レーザ測量の仕組み

航空機の位置を把握するGNSS(汎地球測位航法衛星システム)受信機やGPS測位に、飛行機の姿勢や加速を測定するIMU(慣性計測装置)のデータを組み合わせると、より高密度な3次元点群データを取得できます。
たとえば、森林地帯の上空を飛行しながらレーザ測量を行うと、木々の間から地表面までの距離が分かり、その下の微地形を詳細に捉えることができます。

航空レーザ測量のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット デメリット
地上から撮影できないエリアの測定が可能
広範囲の測定が可能
樹木があっても地表面の計測が可能
レーザ光を反射しない場所(濡れた地表面等)には不向き
市街地での測定では欠測が出る可能性がある

市街地の上空を撮影する場合、屋根の色などでレーザ光が反射しにくくなる可能性があります。
反射したデータを活用して数値表層モデル(DSM)と数値標高モデル(DEM)を作成できるため、目的によってデータ解析を使い分けられる点も特徴です。

車載写真レーザ測量|運転しながらスキャンデータを分析

車載写真レーザ測量とは、車両に搭載したレーザースキャナーと360度カメラで、走行しながら周辺の3次元データと写真を同時に取得する手法です。

レーザースキャナーと360度カメラで取得したデータに、GNSS(汎地球測位航法衛星システム)のデータを組み合わせることで、正確な3次元情報を作成できます。

たとえばレーザースキャナーと360度カメラを搭載した車両で走行すれば、航空レーザ測量などでは取得が難しい、トンネル内や建物内部のデータも計測可能です。

メリット デメリット
人が立ち入れない場所のデータ取得が得意
トンネル内部のデータ取得が可能
計測調査で交通規制が不要
広範囲の計測は時間がかかる
GNSS受信状況が悪い区域の測定が難しい(山間部など)
未舗装道路は走行が困難

エリアが限られた箇所の測定や、トンネルや建物内部のデータも求められる工事で、手軽に測量できる方法といえるでしょう。

3D測量が活用される建設現場の
具体的なシーン

3D測量技術は、建設現場のさまざまなフェーズで活用され、作業の効率化と精度向上に貢献しています。

従来の測量方法では時間と手間がかかっていた作業も、3D測量なら短時間で正確なデータが得られます。

具体的な活用例は以下のとおりです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

現場着工前の地形把握

建設現場では、3D測量は現場着工前の地形把握に活用できます。

ドローンや航空レーザを活用することで、広大な敷地の起伏や既存の構造物、障害物などを高精度で把握できるからです。

具体的には、以下のような場面で活用できます。

  • 人力では困難な広範囲や複雑な地形も短時間で測量
  • 取得した3D点群データで、設計通りの地形か、予期せぬ高低差がないかを確認
  • 計画との差異を早期に発見し、設計調整が可能

3D測量は、着工前の精密な現状把握により、後の工程でのトラブルを未然に防ぎ、プロジェクト全体の効率化につながります。

施工中の進捗確認・出来形管理

建設現場では、3D測量は施工中の進捗確認と出来形管理に活用できます。

リアルタイムで土量や進捗を把握し、従来の検尺作業を効率化できるからです。

具体的には、以下のような場面で活用できます。

  • ドローンや地上型レーザースキャナーで現在の地形を定期的に測量
  • 取得データと設計データを比較し、掘削や盛土の進捗状況をリアルタイムで把握
  • 計画との差異を素早く特定し、必要な調整をタイムリーに実施

3D測量により、施工中の手戻りを減らし、作業効率化につながるでしょう。

トンネル・橋梁など構造物の詳細測量

建設現場では、3D測量はトンネルや橋梁といった複雑な構造物の詳細測量に活用できます。

人が立ち入りにくい場所や、複雑に入り組んだ部分の3Dデータを効率的に取得できるからです。

具体的には、以下のような場面で活用できます。

  • 車載レーザースキャナーや地上型レーザースキャナーで緻密な3Dデータを取得
  • 構造物の現状把握と経年変化の正確な記録
  • 取得データに基づき、的確な補修箇所や方法を検討

3D測量により、設計と施工の精度が高まり、構造物の正確な測量ができるでしょう。

工事後の検査・納品書類作成

建設現場では、3D測量は工事完了後の検査や納品書類作成に活用できます。

取得した点群データから出来形図を自動的に作成し、従来の測量データを用いた手作業での図面作成にかかる手間を省けるからです。

具体的には、以下のような場面で活用できます。

  • 取得した点群データから、工事完成後の出来形図を自動的に生成
  • 高精度な3Dデータを活用し、工事品質を客観的かつ視覚的に証明
  • 正確なデータに基づくことで、検査官との認識の齟齬を減らし、検収作業を円滑化

3D測量は、工事完了時の負担を軽減し、確実なデータに基づいた透明性の高い報告体制を確立しやすくなるでしょう。

3D測量技術は、建設現場に大きな変化をもたらします。

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i-Constructionにより建設業界の
3次元(3D)測量が促進されている

3次元(3D)測量は政府の取り組みの一つであるi-Constructionにて、積極的に利用を促進されています。
i-Constructionとは、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上させることを目指す政府の方針です。
建設業の各工程でICT技術を使った業務効率化を目指しており、工程別の取り組みは以下のとおりです。

測量 3次元測量(ドローン・人工衛星)
設計 BIM・CIM
施工 ICT建機(AIロボット・施工管理アプリ)
検査 クラウドシステム・ドローン

建設業の中で測量の工程を効率化するために促進されているのが、3次元(3D)測量です。

従来までは検尺テープなどを使って出来形を計測していましたが、3次元(3D)測量を取り入れ、地上型レーザースキャナーやドローンを活用することで、点群データを取得することができ、測量作業が短縮できるようになりました。

3次元(3D)測量を
進める際の注意点

3次元(3D)測量は利用するツールによっていくつかの注意点があります。

たとえば、3Dレーザースキャナーには以下の弱点があります。

  • 水に当たると計測できない
  • 鏡や光沢のある金属は反射してデータ計測ができない
  • 黒い物体はレーザーの光を吸収する
  • 透明の建物は測定が難しい
  • レーザースキャナーが熱くなりすぎると測定できない

弱点を踏まえて、雨の日は測定を避ける・黒い建物の箇所の測定は、写真データを組み合わせて分析するなど、特徴を踏まえて必要な対策をとりましょう。

手作業と比較して、3次元(3D)測量は広範囲を効率的に計測できるようになっています。
業務効率化の手段の一つとして、ツールを使いこなしながら測量作業を進めましょう。

3次元(3D)測量にはいくつかの注意点があるものの、適切な対策を講じればそのメリットを最大限に引き出せます。

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3次元(3D)測量なら
「INNOSiTEシリーズ」がおすすめ

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株式会社建設システム(KENTEM)が提供している「INNOSiTE」シリーズはBIM/CIMに対応した土木業向けの3D施工データ作成とその活用に特化したアプリケーション・ソフトウェアのシリーズで、現在は以下の4つの製品が提供されています。

  • [3D施工データ作成ソフト]SiTECH 3D
  • [点群処理ソフト]SiTE-Scope
  • [BIM/CIM統合モデル作成ソフト]SiTE-NEXUS
  • [3D構造物モデル作成ソフト]SiTE-STRUCTURE

施工段階において3Dをフル活用すれば、これまで作業にかかっていた時間を削減することができ、効率的に質の高いデータを作成することができます。
建設業のICT化や3次元(3D)測量技術について興味がある人はぜひ「INNOSiTEシリーズ」の導入をご検討ください。

まとめ

今回は3次元(3D)測量について、測量の種類やそれぞれの手法のメリット・デメリット、なぜ3次元(3D)測量が促進されているのかなどを詳しく紹介しました。

3次元(3D)測量は、ドローン(UAV)や自動車、航空機などを活用して人が入れない場所まで広範囲の測量を行う手法です。

建設業の働き方改革のひとつであるi-Constructionによって、3次元(3D)測量は積極的に活用されることが増えました。
建設業の人材不足の解消のためにも、今後幅広い場面で3次元(3D)測量が活躍することが期待されています。

「INNOSiTE」シリーズを導入することで、現況の取得や設計・施工計画段階から土木分野の施工CIMを支援し、施工段階のあらゆるシーンで3Dモデルを活用いただけるようになります。

業務効率化を進め、3次元測量を活用しやすい環境を整備しましょう。