フェーズフリー「備えない防災」のススメ|非常時に役立つ考え方を解説
2023/10/30
2025/07/29
日本は、地震や台風などの自然災害が多い国です。そのため、防災に関する情報や備え方については、昔からさまざまな議論が重ねられてきました。
しかし、それらがすべて役に立っているとは言い切れないのが現実です。実際に、毎年のように起こる自然災害では、いくつもの被害と犠牲者が出ています。
そんな中で、近年注目されているのがフェーズフリーという「備えない防災」という考え方です。
フェーズフリーは、災害に対して固定的な対策や準備をするのではなく、状況に応じて柔軟に対応することを重視します。
このフェーズフリーには、アイデアに富んださまざまな商品やサービスと、多くのメリットがあるのが特徴です。
そこで今回は、フェーズフリーという「備えない防災」の非常時に役立つ考え方を解説します。企業の防災対策にお悩みの方は、ぜひこの記事を参考に、日頃からできる準備にお役立てください。
災害が多い日本では、従来の「備える防災」だけでは対応しきれない場面も少なくありません。
フェーズフリーの柔軟な視点を取り入れることで、日常生活と非常時の境界をなくし、より実効性のある防災対策が可能になります。
とはいえ「実際に何から始めればいいか」「どんな形で現場に取り入れられるか」といった課題を感じる方も多いのではないでしょうか。
総合防災アプリ「クロスゼロ」は、そうした課題を解消するための多機能ツールです。
安否確認やBCP資料の共有、備蓄品の管理などを日常業務に組み込むことで、フェーズフリーな防災を実現しやすくなるでしょう。
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フェーズフリーとは?
言葉の意味と考え方を解説
フェーズフリーとは、日常時と非常時という2つのフェーズ(局面)を取払い、フリーにするという考え方です。防災の観点に立ったフェーズフリーとは、普段使っている商品やサービスが、災害時にも役立つようにデザインされていることを意味します。
フェーズフリーは、防災の専門家である佐藤唯行さんが提唱した理論で、災害に対して柔軟に対応できる社会を目指すものです。
フェーズフリーで重要な5つの原則
フェーズフリーには、次の5つの原則があります。
- 常活性:どのような状況においても利用できること
- 日常性:日常から使えること。日常の感性に合っていること
- 直感性:使い方、使用限界、利用限界が分かりやすいこと
- 触発性:気づき、意識、災害に対するイメージを生むこと
- 普及性:参加でき、広めたりできること
例えば、地震や台風などで停電しても電気が使えるソーラーパネルや蓄電池は、フェーズフリーの代表的な商品と言えるでしょう。
フェーズフリーは、防災に関する新しい価値観を提供するものです。そのため、災害が多い日本においては、非常に重要な考え方と言えるのではないでしょうか。
フェーズフリーはなぜ注目されているのか?
災害に備える方法として、フェーズフリーの考え方が注目を集めています。
非常時だけではなく日常生活の中でも活用できるように備えることで、より現実的で継続しやすい防災を目指すものです。
従来の備えでは対応しきれない課題がある中で、フェーズフリーは多くの企業や自治体にとって有効な選択肢となりつつあります。
ここでは、なぜフェーズフリーが注目されているのか、具体的な理由を見ていきましょう。
従来の防災対策では限界があるから
従来の防災対策だけでは、すべての状況に対応するのは難しい状況です。
なぜなら、これまでの防災対策は「非常時専用」として設計されており、日常生活との接点がほとんどありません。
備蓄していても存在を忘れてしまったり、使い方が分からなかったりと、現実には使いこなせないケースが多く見られます。
自然災害の多様化により、事前に決められたマニュアルだけでは対応しきれない場面が増えています。
例えば、保存食や水を備蓄していても、賞味期限切れに気づかないまま放置されたり、非常時に取り出せない場所に保管されていたりするケースも少なくありません。
非常用のライトやバッテリーが普段使われていないために、肝心なときに電源が入らないといった事態も起こり得ます。
こうした背景を踏まえると、柔軟性や実用性を重視したフェーズフリーの考え方は、現代の災害対策において有効な選択肢と言えるでしょう。
日常に取り入れることで実効性が高まるから
防災対策は、日常生活に取り入れることでこそ、実効性が大きく高まります。
なぜなら、非常時にしか使わないものは、場所が分からなかったり、使い方を忘れていたりと、実際に活用されないまま終わってしまう可能性が高いからです。
日常で使い慣れているものなら、緊急時でも迷わず使用でき、必要な場面での即応性が確保されます。
例えば、日頃から使っているLEDライトやモバイルバッテリーが、停電時にも役立つフェーズフリーグッズとして機能します。
缶詰やレトルト食品も、日常の食事に取り入れておくことで、賞味期限切れの防止にもつながりやすくなるでしょう。
日常と非常時の境界をなくすことで、備えを「使える状態」に保ちやすくなり、結果として防災対策の実効性が確実に向上していきます。
誰でも始めやすく防災のハードルを下げられるから
フェーズフリーが注目されている理由の一つは、誰でも気軽に始められ、防災のハードルを大きく下げられる点です。
従来の「防災=特別な準備」のイメージは、どうしても身構えてしまい、実践に移しにくい傾向がありました。
しかしフェーズフリーは、すでに持っている日用品や、普段使いのアイテムを活用する考え方です。
新たな負担なく、できるところから始められるため、防災への第一歩として取り入れやすくなります。
例えば、日常的に使っているペットボトルの水を多めに買っておく、常備しているレトルト食品を少し意識的にストックしておくなどの行動もフェーズフリーの一環です。
無理なく続けられることで、防災対策が「特別なこと」ではなく「当たり前の習慣」へと変わっていきます。
防災への構え方を変えるだけで、誰もが無理なく備えを進められるのがフェーズフリーの大きな魅力と言えるでしょう。
普段からフェーズフリーを
意識するメリット
前述したように、フェーズフリーとは日常時と非常時の区別をなくし、普段の生活にも災害にも役立つ備え方のことです。
フェーズフリーのメリットは、以下のようにまとめられます。
災害時でも自由でストレスの少ない生活を作れる
普段からフェーズフリーを意識することで、災害時にも自由な食事のメニューや生活を送ることが可能です。
フェーズフリーの食品や商品を普段から使うことで、食べ慣れた味や好みのアイテムを使えます。その結果、強いストレスを感じがちな災害時でも、自身のストレスを軽減できるでしょう。
例えば、缶詰や乾パンなどのフェーズフリー食品は、水や牛乳などで戻して食べたり、スープやカレーなどの具材として使ったりできます。また、電気自動車やソーラーパネルなどのフェーズフリー商品を使用することにより、災害などによる停電時でも、電気や暖房を確保できます。
防災用品や備蓄品を別に用意する必要がない
普段からフェーズフリーを意識することで、防災用品や備蓄品を別に用意する必要がなくなります。
フェーズフリーの生活では、普段から使っているものを災害時に活用できるため、コストやスペースを節約できるのがメリットです。
例えば、ランウォークシューズは、防水性と通気性に優れたウォーキングシューズで、雨や雪の日でも快適に歩けるのが特徴です。
また、チョコレートなどの高カロリーなおやつも立派なフェーズフリー商品で、日常時はおやつとして、非常時には貴重なエネルギー源として活躍します。
食品ロスやエネルギーロスを減らすことができる
普段からフェーズフリーを意識することで、食品ロスやエネルギーロスの減少につながります。それは、ローリングストックや省エネ製品などを使うことで、環境にも配慮できるからです。
例えば、ローリングストックは、消費期限が近いものから順に使っていく方法です。これにより、食品ロスを防ぎながら、常に新鮮な食品を備蓄することができます。
また、省エネ製品は、電気やガスなどのエネルギー消費量が少ない製品です。これにより、エネルギーロスを防ぎながら、停電時にも長く使える製品を備えることができます。
フェーズフリーとローリングストックの違いとは?
防災への取り組みとして「フェーズフリー」と「ローリングストック」はよく比較されますが、その目的や使い方には明確な違いがあります。
両者はどちらも日常からの備えを重視している点で共通していますが、備える対象や管理方法、実現する生活のイメージは異なります。
例えば、フェーズフリーは防災専用品を用意するのではなく、普段から使っているアイテムを非常時にも使えるようにする考え方です。
一方、ローリングストックは非常時専用の備蓄を、日常的に消費しながら循環させていく手法です。
それぞれの主な違いをまとめると、以下のとおりです。
| 比較項目 | フェーズフリー | ローリングストック |
|---|---|---|
| 考え方 | 日常のものが非常時にもそのまま使える | 日常的に使いながら、消費した分を補充して備える |
| 対象となるグッズ | 日用品・家電・サービスなども含む | 主に非常食や日用品 |
| 管理の仕方 | 日常生活で使用 | 使用・消費と補充のサイクルが必要 |
| 備えの目的 | 災害時でも日常と変わらない生活を送ることを重視 | 常に新しい備蓄を保ち、災害時に困らないようにする |
| メリット | ストレス軽減・費用対効果が高い | 常に備蓄が新鮮で安心 |
| デメリット(補足) | 災害専用の備えが足りなくなる場合がある | 補充を忘れると備蓄切れのリスクあり |
両者には明確な役割の違いがあります。
防災対策としては、目的や自社の運用体制に応じて両方をバランスよく取り入れるのが理想です。
災害に対する想像力や対応力を高めることができる
普段からフェーズフリーを意識することで、災害に対する想像力や対応力を高めることができ、自分や家族の安全を確保できます。
例えば、フェーズフリー教育では、子どもたちにフェーズフリーな商品やサービスを使ってもらうことで、災害に対する知識やスキルを身につけさせることができます。これにより、子どもたちの災害に対する想像力や対応力を高めることができます。
また、フェーズフリービジネスでは、日常生活にも価値がある商品やサービスを提供することで、災害に対するニーズに応えることが可能です。これにより、企業の災害時に対する貢献度や競争力を高めることができます。
このように、フェーズフリーは防災だけでなく、教育やビジネス、公共サービスなどにも応用できる考え方です。日常時にも非常時にも価値がある商品やサービスを提供することで、より前向きな防災への取り組みが可能となります。
フェーズフリーの考え方を取り入れることで、日常の延長線上にある防災が実現し、企業や施設でも無理なく継続的に取り組むことができます。
とはいえ、実際の災害対応では「仕組み」だけではなく「現場でどう運用するか」も大切な視点です。
クロスゼロは、安否確認や備蓄管理、BCP資料の共有など、災害対応に必要な機能を一元化した総合防災アプリです。
施設の状況に合わせて、普段から無理なく使える仕組みを整えることができます。
機能や操作感を詳しく知りたい方は、リモートでの製品デモをご活用ください。
フェーズフリーの具体的な実践例を
種類別に紹介
以下では、フェーズフリーの具体的な実践例を商品、食品、サービス、施設の4つの種類に分けて解説します。
フェーズフリー商品
フェーズフリー商品とは、日常時にも非常時にも使える商品のことで、以下のような商品が例として挙げられます。
フェーズフリー紙コップ
フェーズフリー紙コップとは、内側にアルミ箔が貼られた、熱を逃さずに燃焼させることがでる紙コップです。
そのため、普段は飲み物を入れるための紙コップとして利用しますが、非常時には水を入れて火をつけることで暖を取ることもできます。
Post-it® Extreme Notes
Post-it® Extreme Notesは、耐水性や耐久性に優れた付箋です。
非常時にはメッセージやサインを残すことで、救助隊員や家族と連絡を取ることができます。
また、日常時には水回りや屋外などでも使える便利なアイテムです。
フェーズフリー食品
フェーズフリー食品とは、日常時にも非常時にも食べられる食品のことです。例えば、以下のような食品があります。
缶詰
保存期間が長く、栄養価が高い缶詰は、非常食としても有効です。
また、缶詰の液体や油は火起こしや調理にも使えますし、日常時には缶詰を使ったレシピで楽しむことができるでしょう。
乾パン
乾燥させたパンは保存性が高く、水分を加えるだけで食べられます。
非常時には水や牛乳などで戻して食べたり、スープやカレーなどの具材として使ったりできます。
日常時には、お菓子作りの材料やおやつとして楽しむことができます。
チョコレート
カロリーが高くエネルギー源となるチョコレートは、非常食としても適しています。また、チョコレートは気分を上げる効果もあります。
日常時にはおやつやデザートとして楽しむことができます。
フェーズフリーサービス
フェーズフリーサービスとは、日常時にも非常時にも利用できるサービスのことで、以下のようなサービスがあります。
今治市クリーンセンター バリクリーン
今治市クリーンセンター バリクリーンは、ごみの処理や発電を行う施設ですが、非常時には避難所や給水所としても機能します。
この施設は、災害時の生活を支えるだけでなく、日常時には環境教育や観光の拠点としても活用されています。
フェーズフリー施設
フェーズフリー施設とは、日常時にも非常時にも利用できる施設のことです。例えば、以下のような施設があります。
学校
普段の学校は子どもたちの教育や生活の場ですが、非常時には避難所や救護所としても使われます。
災害時には安全を確保するだけでなく、日常時にはフェーズフリーな教育や活動を通して子どもたちの生きる力を高める役割を果たします。
公園
公園は市民の憩いの場ですが、非常時にはヘリポートや物資集積所としても使われます。
災害時に救援を促進するだけでなく、日常時にはフェーズフリーなレクリエーションやイベントを通して市民の交流を深める役割を果たします。
コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは、日用品や食品を販売する店舗ですが、非常時には情報提供や給水などの支援活動を行います。
災害時に被災者の生活を助けるだけでなく、日常時にはフェーズフリーな商品やサービスを通して社会のニーズに応えています。
フェーズフリーの実践は、商品や食品、施設、サービスなど、あらゆる場面で取り入れられる考え方です。
普段の暮らしの延長線上で防災を整えることができれば、非常時の対応力が格段に高まります。
とはいえ、企業や団体で導入を進めるには「どこから始めるか」「どう仕組み化するか」といった具体的なイメージを持つことが欠かせません。
クロスゼロでは、日常時にも活用できる防災の仕組みや、導入・運用のポイントを分かりやすくまとめた資料を提供しています。 安否確認や備蓄管理の整備を検討している方は、ぜひ一度ご覧ください。
フェーズフリーのまとめ
このように、フェーズフリーとは、日常時と非常時の区別をなくし、普段の生活にも災害にも役立つ備え方のことです。
現代では、このようなフェーズフリーの考えに沿った防災アプリが誕生し、注目されています。その中でもおすすめなのが、防災ツール「クロスゼロ」です。
クロスゼロは、連絡先の共有や災害情報の確保、データ共有機能、防災グッズや備蓄品の管理など、企業の災害対策と事業継続に必要な対策がまとまっています。
しかし、その一方で、普段から業務のチャットツールやデータ管理ツールとしても活用できるのが特徴です。
日本では、近い将来にも大災害の発生が予測されており、いつ大地震や大噴火が起きても不思議ではない状態にあります。
そこで、企業においても、このフェーズフリーに対応した総合防災アプリ「クロスゼロ」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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