土木工事のICT化とは?メリットや課題、活用事例やおすすめツールを詳しく紹介
2023/10/03
2025/07/30
土木工事のICT化とは、従来の土木工事が紙ベースの図面や手作業に依存していたのに対し、デジタル技術を駆使し設計や管理、施工を行うことで工事の効率化を実現する方法のことです。
建設業全体の少子高齢化や就職率の低下などの問題、働き方改革などの背景から、土木工事でもICT化が求められています。
今回は、土木工事のICT化メリットや課題、実際の活用事例、おすすめツールを詳しく解説します。
土木工事のICT化に関して対策を取らなければいけないが何から始めればいいか分からない人や、将来土木工事関係の仕事を目指している人はぜひ参考にしてください。
土木工事のICT化は、生産性向上や人手不足解消に不可欠ですが、何から始めるべきかわからない場合もあるでしょう。
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土木工事に求められるICT活用とは
ICT活用は土木工事に限らず、建設業界全体に求められています。
ICT化が進められている背景には、政府の取り組みや建設業界の深刻な問題点があります。
ここではそれぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
国土交通省によるi-Constructionの推進
国土交通省は「i-Construction」という建設業界のICT活用プログラムを推進しています。
i-Constructionは、デジタル技術を用いた3DモデリングやドローンやGPS、センサー技術などを土木工事現場に導入し、工事に関する作業の効率化を目指しています。
具体的なICT化の内容は記事の後半で紹介するので、参考にしてください。
ICT化の目的は建設業界の高齢化の対策として
ICTの導入が求められる背景には、建設業界における高齢化という課題があります。
人手不足が深刻化している建設業界では、ICTを活用することで、作業員の負担軽減を図り、作業の効率化や業界の就業率の向上を目指しています。
ICT化によって作業を自動化できるようになれば、作業時間が削減できるだけでなく建設現場の安全性向上も期待でき、建設業に関する「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージも改善できるでしょう。
ICT土木工事の種類と
各工程での役割
ICT土木工事では、各工程でデジタル技術が導入されます。
調査から設計、施工、そして検査に至るまで、一貫してデジタルデータを用いることで、手戻りの削減や精度の向上が期待できます。
ICT土木工事の主な種類は、以下のとおりです。
ここでは、それぞれの工程でICTがどのように活用され、従来の工法にどのような変化をもたらしているのかを詳しく解説します。
調査・測量
調査・測量の工程では、ドローンや地上型レーザースキャナーといったICT技術が活用されます。
従来、複数人の作業員が数日かけて行っていた測量作業が、これらの技術により短時間で完了できるのが特徴です。広範囲の地形情報を点群データとして正確に取得できるため、後続の設計工程へスムーズに移行できます。
この工程でICTが果たす主な役割は、以下の通りです。
- 危険な場所や立ち入り困難な場所でも安全に測量できる
- 広範囲の測量作業を短時間で完了させ工期を短縮する
- 取得した3次元データをそのまま設計に活用できる
人手と時間を要していた測量業務を大幅に効率化し、安全性も向上させることが、この工程におけるICT活用の大きな役割です。
設計・施工計画
設計・施工計画の工程では、測量で得た3次元データを使い立体的な設計図を作成できます。
立体的な設計図はクラウド上で関係者全員がリアルタイムに共有できるため、認識のズレや情報伝達のミスを防ぎやすくなります。事前に干渉チェックや施工シミュレーションを行えるため、手戻りのリスクも大幅に削減可能です。
この工程でICTが果たす主な役割は、以下のとおりです。
- クラウド上で設計データを共有し、関係者の認識を完全に統一する
- 立体的なモデルで完成形を可視化し、施工シミュレーションを行う
- 部材同士の干渉などを事前に発見し、現場での手戻りを防ぐ
作成された3次元設計データは、そのまま次のICT建機に活用され、一貫性のある施工管理を実現できるでしょう。
施工
施工の工程では、設計段階で作成した3次元設計データを搭載したICT建設機械が活躍します。
オペレーターはモニターで設計図と現在地を確認しながら操作するため、経験の浅い人材でも高精度な施工が可能になるからです。
建機が自動でブレードなどを制御し、設計データ通りに作業を進めることで、手戻りのない効率的な現場運営が実現できます。
この工程でICTが果たす主な役割は、以下のとおりです。
- 建機の刃先などを自動制御し、オペレーターの技量に左右されない品質を保つ
- モニターで施工状況をリアルタイムに確認し、作業の手戻りをなくす
- 従来工法に比べ、少ない人員で安全かつ迅速に作業を完了させる
ICT建機の活用は、建設現場の生産性を飛躍的に高め人手不足の解決にも役立てられます。
検査・維持管理
検査・維持管理の工程は、いわば工事全体の「答え合わせ」です。
ICT技術では、完成した現場をドローンなどで再度3Dスキャンし、元の「3D設計図」とパソコン上で重ね合わせます。従来のように人がメジャーで一点ずつ測る必要がなく、二つのデータを比較するだけで、設計図とズレている箇所を簡単に発見できるのが特徴です。
この工程でICTが果たす主な役割は、以下のとおりです。
- 設計図と違う部分を色分け表示させ、修正箇所をすぐに見つける
- 広範囲の検査を短時間で終わらせ、作業員の手間を大幅に削減する
- 検査結果をそのままデータとして保存し、報告書の作成を自動化する
面倒な検査作業を効率化できるだけではなく、完成した建物の正確な3Dデータは「カルテ」のように保存され修繕計画にも活用できます。
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土木工事のICT化のメリット3選
ここからは土木工事のICT化を進めるメリットを3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
工事現場の生産性が上がる
建設業界のICT化は、土木工事の生産性向上に役立ちます。
たとえばドローンやロボットを活用した測量が可能になれば、作業員の測量作業の時間を削減できますし、取得したデータを3Dモデリングできればデータ作成の手間が大幅に減ります。
施工管理ツールを導入すれば、設計から施工までの作業をスムーズに進められるだけでなく、設計変更や調整が必要になってもすぐに対応できるでしょう。
また、AIを搭載した機械やロボットの導入により危険な作業をロボットに任せれば、安全性を向上させることも可能です。
人手不足が解消できる
建設業界では人手不足が深刻な問題ですが、ICT化が進めば人手不足を解消できるかもしれません。
なぜなら、作業員が必要だった業務をロボットで代用できるようになるからです。
さらに、デジタル技術を駆使したリモート監視や操作が可能になれば、遠隔地からでも作業をサポートできるようになり、複数の人員配置が必要だった業務を1人の作業員で対応できるようになるかもしれません。
作業員の作業量が減り、残業時間が少なくなれば、働き方改革にも効果的でしょう。
工事現場の安全性が向上する
ICT化は工事現場の安全性の向上につながります。
たとえばセンサーやカメラを活用して作業環境をリアルタイムで監視し、危険を事前に検知することができれば、工事現場での事故発生率を抑えられるかもしれません。
また、作業員に対してリアルタイムの安全情報を提供し、危険な状況を回避する支援を行うことができれば、作業員の健康管理に役立ちます。
労働災害のリスクを最小限に抑え、作業員の健康と安全を守ることは会社のイメージアップにもつながるでしょう。
土木工事のICT化における
3つの課題と対策とは
土木工事のICT化を進める場合、以下の3つの課題を解消する必要があります。
それぞれの対策方法を含め、詳しく解説します。
ICT化の導入・運用コストが高い
ICT化の導入と運用には、一定のコストがかかります。
新しいハードウェアやソフトウェアの導入には初期投資が必要であり、システムの運用と保守にも費用がかかります。
中小企業や地方自治体などでは、コストが問題となってICT化の導入に遅れが出ているという問題点があります。
自社に合ったツールや技術を把握して適切な範囲でICT化を進めることが大切です。
ツールを導入することで削減できる費用や、空いた時間で受けられる工事の売り上げなどを計算して費用対効果のあるツールの導入を検討してください。
ICTを扱える人材の確保が難しい
ICT化には、専門的な知識やスキルを持つ人材が必要です。
そのため、土木工事業界ではICTを扱える人材の確保が難しい点が問題となっています。ICT化を進める場合、自社の人材だけでも扱えるツールから検討してみましょう。
たとえば施工管理ツールであれば、会社内の書類のデータ化やタブレットを活用した施工管理作業に移行するだけで施工管理者の作業量を大幅に削減できます。
現場でICTツールを活用できるか分からない
ICTツールを導入しても活用できるか分からないという不安を持っている会社もあるかもしれません。
従来の方法に慣れ親しんでいる作業員や現場監督は、新たなテクノロジーの導入に対する不安を抱くはずです。
ICTツールを導入する際に比較する点は、使いやすさです。
どんな作業員でも簡単に利用できる分かりやすい仕組みか、ひとつのツールで複数の機能を活用できるかなど、複数のツールを比較してみてください。
土木工事に取り組める
ICT化の事例5選
ここでは土木工事に取り入れられるICT化の事例を5つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ドローンを活用した3次元測量
ドローン技術は、土木工事の現場において3次元測量を実現します。
ドローンは正確な測量データを素早く計測するため、地形や建設現場の状況をリアルタイムで把握できます。
地形分析や設計の精度が向上し、測量作業を効率化できるでしょう。
3次元設計データの取得や施工計画の作成
ICTを活用すれば、3次元設計データを作成できるだけでなく、それを基に施工計画を簡単に作成できます。
工程の最適化や資材の適切な配置ができるようになれば、施工計画の作成時間が削減でき、コスト削減と品質向上が実現できるでしょう。
3次元設計データを搭載したICT建設機械での施工
ICT化によってAIを搭載した機械を導入すれば、3次元設計データを活用して半自動の施工作業ができるようになるかもしれません。
機械で行える作業が増えることで人手不足が解消されるだけでなく、土木工事の正確性が向上し、手作業に比べて迅速かつ効率的な施工が可能になるでしょう。
施工管理ツールを活用した施工管理
ICTを活用した施工管理ツールは、工事計画や資材管理、人員配置などをリアルタイムで追跡し、調整するのに役立ちます。
変更や調整箇所が発生してもすぐに対応できるため、トラブルの早期発見と対処が可能になります。
3次元データを活用した書類作成作業
ICTを活用することで、報告書や図面の作成の手間が削減されるでしょう。
なぜなら3次元データから必要な情報を簡単に抽出し、正確な書類を迅速に生成することができれば、書類の提出や管理が紙と比べて楽になるからです。
ツールを導入する際は、セキュリティ対策も実施しておきましょう。
土木工事のICT化には
「INNOSiTE」シリーズがおすすめ
土木工事のをICT化することのメリットは分かったものの、どんなツールを使用すればいいか悩んでしまわれた人は、「INNOSiTE」シリーズの導入をご検討ください。
「INNOSiTE」はBIM/CIMに対応した土木業向けの3D施工データ作成とその活用に特化したアプリケーション・ソフトウェアのシリーズで、現在は以下の4つの製品が提供されています。
- [3D施工データ作成ソフト]SiTECH 3D
- [点群処理ソフト]SiTE-Scope
- [BIM/CIM統合モデル作成ソフト]SiTE-NEXUS
- [3D構造物モデル作成ソフト]SiTE-STRUCTURE
各製品の詳しい説明はこちらをご覧ください。
まとめ
今回は土木工事のICT化について、メリットや課題、活用事例やおすすめのツールを紹介しました。
土木工事でICT化が進めば、作業の効率化につながるだけでなく、安全性の向上や作業員の労働環境の改善に役立ちます。
ICT化を進める際の注意点は、自社で活用できる使いやすいツールを検討することです。
せっかく導入しても会社で使いこなせなければ、無駄な投資になるリスクがあるからです。
株式会社建設システム(KENTEM)の「INNOSiTE」シリーズは、 BIM/CIMに対応した土木業向けの3D施工データ作成とその活用に特化したアプリケーション・ソフトウェアです。
- 3D施工データを作成できる「SiTECH 3D」
- 間引きされた3次元点群データと3次元設計データから土量の集計を行ったり、出来形集計をヒートマップでわかりやすく表現できる「SiTE-Scope」
- BIM/CIM統合モデルが簡単に作成できる「SiTE-NEXUS」
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