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介護業界のBCP対策とは?作り方やメリットを解説

介護事業所のBCP策定が義務化|作り方や策定のメリット、おすすめの運用ツールまで詳しく紹介

2023/08/23

2023/11/10

防災

介護事業所のBCPとは、災害やテロなどの事件が起こった場合でも事業を継続させるための対策を記したマニュアルのことです。
2021年から介護事業所にBCPの策定や運用が義務化されました。
義務化に伴い、多くの介護事業者がBCPの策定に頭を悩ませているかもしれません。

今回は、義務化された介護事業所のBCPに関して、作り方や運用するメリット、効率的にBCPを運用するツールについて紹介します。
BCPの策定や運用がまだできていない介護事業所や、BCPの運用に不安のある人はぜひ参考にしてください。

介護事業所のBCP(事業継続計画)とは

BCPとは、「Business Continuity Plan」の略で、事業継続計画のことです。
内閣府の「事業継続計画ガイドライン」によると事業継続計画とは、下記のように定義されています。

大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のこと

引用:内閣府 事業継続計画ガイドライン-あらゆる危機的事象を乗り越えるための戦略と対応-

つまり、事業継続計画とは、災害やテロなどの事件が起こった場合でも事業を継続させるための対策や行動指針が示されたマニュアルということです。
会社を運営する人は、会社を守るため、従業員の安全を確保するために事業継続計画の作成が必須といえるでしょう。

介護事業所のBCP(事業継続計画)に
記載すべき項目は2種類

介護事業所のBCP(事業継続計画)に記載すべき項目は、以下の2種類です。

それぞれ詳しく説明します。

自然災害への対策

自然災害が発生した場合、一時的に事業を停止させる必要が出てきます。

業務量の時間的経過に伴う変化
引用:厚生労働省 介護事業者における業務継続計画(BCP)について 業務量の時間的経過に伴う変化(自然災害)

ただ、事業を継続させるには、緊急対応後は徐々に優先度の高い業務を復活させていく必要があるため、業務内容の把握や優先順位の決定が必要です。

さらに、災害の場合は施設自体が倒壊して復旧が必要になる場合もあるため、自然災害に対するBCPには、インフラ対策も導入する必要があるでしょう。

感染症への対策

感染症への対策は、正しい情報の判断や素早い行動が鍵を握ります。

入所施設(自施設で感染者が発生した場合)
引用:厚生労働省 介護事業者における業務継続計画(BCP)について 業務量の時間的経過に伴う変化(感染症:入所系)

なぜなら、感染症が発生した場合でも介護事業は適切な判断のもと、事業を継続させる必要があるためです。
イレギュラーな対応により業務が増える可能性があるため、どの業務をどう進めるかをBCPに組み込む必要があるでしょう。

介護事業所にBCP(事業継続計画)を導入する
3つのメリット

介護事業所にBCP(事業継続計画)を導入すると、以下の3つのメリットが得られます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

補助金や助成金を受けられる

BCPを策定すると、自治体や関連機関からの補助金や助成金を受けられます。
安全対策の実施や備蓄品の購入費用を賄えるかもしれないため、自分の地域にどのような補助金があるかを確認しましょう。

税制優遇や金融支援が受けられる

BCPの策定によって、税制優遇や金融支援が受けられるかもしれません。

税制優遇の例 内容 対象者
中小企業防災・減災投資促進税制 事前対策を強化するために必要な防災・減災設備に対する特別償却が適用される(20%) 事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業・小規模事業者

BCPを取り入れることで、事業の促進につながるのであれば、積極的に導入・運用を進めた方が良いでしょう。

感染症まん延時にワクチンの優先接種が受けられる

BCPを取り入れている介護事業所では、感染症まん延時にワクチンの優先接種が受けられます。
優遇措置が行われることで従業員や利用者の健康を守れるため、感染症まん延の拡大リスクを軽減できます。
優先的にワクチン接種ができる点から、施設の利用を求める人が増えるかもしれません。

事業拡大という点からも、BCPの導入は効果的です。

2021年に介護事業所のBCP・BCMが義務化

厚生労働省は、令和3年度の介護報酬改定において、BCPの策定を義務付けました。

改定によって義務付けられた項目は以下のとおりです。

対象者 項目
介護サービス事業者
  • 現行の委員会の開催
  • 指針の整備
  • 研修の実施
  • 訓練(シミュレーション)の実施

引用:厚生労働省 令和3年度の介護報酬改定

なお、この省令改定では、3年間の経過措置期間が設けられています。
つまり、2024年までにBCPの策定や運用を実施する必要があるということです。
BCPは策定後も運用する中で常に改善を進めていく必要があり、従業員全体へ訓練したり、知識を共有するのにも時間がかかります。
介護事業所は、経過措置期間が終了する2024年までにできるだけ早くBCPの策定、運用が求められるでしょう。

介護事業所のBCP義務化に従わないことで発生するリスク

介護事業所のBCP義務化に従わないと、以下のリスクが発生するかもしれません。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護報酬が減算されるかもしれない

介護事業所のBCP義務化に従わないと、介護報酬が減算されるかもしれません。
なぜなら、令和3年度の介護報酬改定では、介護報酬が0.70%上がる改定がされているためです。
介護報酬の内訳のうち、0.05%が感染症対策への評価です。

つまり、介護事業所のBCP義務化ができていなければ、最大3%の加算の割合が減ってしまうかもしれません。

安全配慮義務違反に対して損害賠償責任を問われるかもしれない

介護事業所のBCP義務化に従わないことで、罰金が発生することはありません。
しかし、BCPがないことで介護施設の入所者や職員の人命、健康に被害が出た場合、安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われるかもしれません。

損害賠償責任を問われれば、会社としての信用もなくなります。
会社を守るためにも、介護事業所のBCPの導入を急ぎましょう。

BCPのマニュアルの周知不足によって起こった事件とは

ここからはBCPのマニュアルの周知不足によって起こった事件を紹介します。
今回は介護事業所が関わった内容ではありませんが、一歩間違えば介護事業所でも発生の可能性がある事例です。
事例が発生した原因や対策を参考に、事業所のBCPのマニュアルの作成、周知に役立ててください。

事件の概要は以下のとおりです。

事件名 日和幼稚園バス津波被災事件
概要 災害対策マニュアルに従った避難を行わず園児5名が死亡。
幼稚園に対して法的責任が争われた。
判決結果 園児1人につき4000万円以上の損害賠償が認められた。
(最終的に、高裁にて和解)

引用:最高裁判所 日和幼稚園バス津波被災事件

上記の事例は、BCPが作成されているにも関わらず、従業員に周知できていなかったことで発生しました。
BCPは作成するだけではなく、避難訓練や研修などを通して、従業員全体に共有しておく大切さが分かる事例のひとつです。

介護事業所のBCPの作り方を5ステップで紹介

ここからは、介護事業所のBCPの作り方を5ステップで紹介します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 基本方針を固める

まずは基本方針を固めましょう。
決めるべき項目は下記のとおりです。

  • 各事業所の責任者
  • 連絡フローや連絡方法
  • 事例ごとの行動フロー

誰が、どこで、何をするかが決まっていれば、初動で遅れることはなくなるでしょう。
まずは基本的にやるべきことをまとめ、そこから細かな作業を決めていくのがおすすめです。

2. 平常時・緊急時の対応内容を決める

平常時と緊急時の対応内容を決めておくのも有効的です。
平常時と緊急時の業務内容をそれぞれ把握しておけば、緊急時に平常時のどの業務を無くして優先度をあげるかを決められます。
業務ごとの担当者まで把握できていれば、必要な人員を素早く把握できますし、引き継ぎもしやすくなるメリットもあるため、定期的に対応内容は見直しましょう。

3. 連絡先を共有する

従業員や施設利用者の連絡先を会社全体で共有しておきましょう。
災害時に特に大切になるのが、素早い情報共有です。

誰に何を伝えたか、情報が重複していないかなど確認できるように、情報をひとつの場所にまとめておくのがおすすめです。

4. 必要物資を揃えて定期的に確認する

災害時に備えて、非常食や防災グッズを備蓄しておきましょう。
非常食は消費期限や使用期限があるため、定期的に見直し、過不足があれば補充しておくことが重要です。
複数の事業所がある場合は、どの事業所にどの程度の備蓄があるかを把握できれば、災害時にも役立つでしょう。

5. 災害時に対応できるように訓練を実施する

災害時は、誰もがパニックになり、いつも通りの行動ができません。
しかし、定期的に訓練をしておくだけで、会社全体のBCPに対する理解も深まり、緊急時の行動に差が出ます。
災害時にできるだけスムーズな対応をするためにも、従業員全体で訓練を定期的に行いましょう。

「クロスゼロ」では、実際の画面を見ながら操作を確認できる「無料オンラインデモ」をご用意しております。

介護事業所のBCPの作成はツールを活用するのがおすすめ

介護事業所のBCP対策における支援や自然災害への対応は、 備災支援サービスツール「クロスゼロ」を活用するのがおすすめです。
「クロスゼロ」は、株式会社建設システム(KENTEM)が運営するサービスで、会社の防災・備災支援サービスとして活用できます。

「クロスゼロ」では、下記の項目がひとつのツールで完結します。

  • BCP策定後の資料・ファイルの共有と管理
  • 気象情報・避難所情報など災害リスクの情報共有
  • 従業員の連絡先の共有
  • チャット機能
  • 必要物資の確保・在庫確認

「クロスゼロ」は、介護事業所のBCP対策における支援や自然災害への対応をサポートします。
BCPは策定後、従業員全体への共有と、いざという時にすぐ利用できるかが重要です。

「クロスゼロ」を利用して、もしもの時に備えましょう。

「クロスゼロ」は、災害発生時はもちろん、防災に役立つ様々な機能を備えた総合防災アプリです。
「クロスゼロ」の詳しい資料をお求めの方は、こちらからカタログ(PDF)をご請求ください。

まとめ

今回は介護事業所のBCPについて、2021年に義務化された内容やBCPのメリット、作り方や義務違反によるリスクについて紹介しました。
介護事業所のBCPは、施設を利用する入居者や従業員、その家族を守るために重要な指針です。
効率的に運用するには、ツールを活用するのがおすすめです。
「クロスゼロ」は介護事業所のBCP策定後の運用をサポートします。

2024年までの経過措置期間が終わるまであと少し。
できるだけ早くBCPを導入したい介護事業所のご検討中の方は、30日間無料で体験できるので、ぜひお試しください。

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