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START法によるトリアージとは?|手順や4色タグの優先順位を紹介

START法によるトリアージとは?|手順や4色タグの優先順位を紹介

2026/02/18

防災

災害現場では、限られた医療資源の中で一人でも多くの命を救うために、傷病者の治療優先順位を迅速に決定する必要があります。
この判断を行う手法が「トリアージ」であり、その中でも一次トリアージとして広く活用されているのが「START法(START法)」です。

START法は、自力歩行・呼吸・脈拍・意識という4つの生理学的指標をもとに、わずか30秒から1分程度で傷病者を緑・黄・赤・黒の4色に分類する手法です。
医療従事者だけでなく、企業の防災担当者や一般市民でも理解しやすい仕組みとなっており、災害時の初動対応において重要な役割を果たします。

本記事では、START法によるトリアージの基本概念から具体的な判断手順、4色タグの優先順位、さらに企業防災への活用方法まで詳しく解説します。
BCP(事業継続計画)の実効性を高めたい企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

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START法によるトリアージとは

災害現場では、医療従事者や救助隊員が限られた時間と資源の中で、多数の傷病者に対応しなければなりません。
このような状況で「救える命を最大化する」ために用いられるのがトリアージという手法であり、START法はその代表的な方法の一つです。

ここでは、トリアージの基本的な定義と災害医療における役割、START法の開発背景、そして一次トリアージと二次トリアージの違いについて詳しく解説します。

トリアージの定義と災害医療における役割

トリアージとは、災害や事故などで多数の傷病者が発生した際に、治療や搬送の優先順位を決定するための選別作業です。
フランス語の「trier(選別する)」を語源とし、もともとは戦場医療で発展した概念です。

通常の医療現場では「すべての患者を平等に治療する」ことが原則ですが、災害時には医療資源(医師・看護師・医薬品・搬送手段など)が圧倒的に不足します。
そのため、「全員を助ける」のではなく「助けられる可能性が高い人を優先的に救う」という判断が求められます。

トリアージの目的は、限られたリソースを最も効果的に配分し、結果として救命できる人数を最大化することにあります。
この考え方は、企業の防災対応においても、初期救助の判断基準として理解しておくべき重要な知識です。

START法が開発された背景と特徴

START法は「Simple Triage And Rapid Treatment」の略称で、1983年にアメリカ・カリフォルニア州のニューポートビーチ消防局と医療機関によって開発されました。

大規模災害時に、医療従事者以外の救助者でも迅速にトリアージを行えるよう設計された手法です。

START法の最大の特徴は、複雑な医学的知識を必要とせず、シンプルな4つの指標(歩行・呼吸・脈拍・意識)だけで判定できる点にあります。
一人あたり30秒から1分程度で評価が完了するため、多数傷病者対応(Mass Casualty Incident)において非常に有効です。

日本においても、消防機関や自治体の防災訓練でSTART法が採用されており、企業の防災教育でも基礎知識として取り入れられるケースが増えています。
医療判断は専門家に委ねることが前提ですが、概念を理解しているだけで応急対応の質は大きく向上します。

一次トリアージと二次トリアージの違い

災害現場のトリアージは、実施場所と目的によって一次トリアージと二次トリアージの2段階に分けられます。
それぞれの違いを理解することで、トリアージの全体像を把握できます。

以下の表は、一次トリアージと二次トリアージの主な違いをまとめたものです。

区分 一次トリアージ 二次トリアージ
実施場所 救出現場・被災現場 救護所・避難所・医療施設
目的 短時間で大まかに選別 精度の高い再評価
代表的手法 START法 PAT法(生理学的・解剖学的評価)
所要時間 30秒〜1分程度 数分〜十数分
実施者 救助者・初期対応者 医療従事者

一次トリアージは現場での迅速な選別を目的とし、二次トリアージはより正確な重症度判定を行います。
傷病者の状態は時間とともに変化するため、トリアージは一度きりではなく繰り返し実施されることが前提です。

START法トリアージの
4色タグの判断基準

START法では、傷病者の状態を赤・黄・緑・黒の4色に分類します。
この色分けは国際的に標準化されており、災害現場で視覚的に優先順位を伝達するためにトリアージタグとして使用されます。

各色が示す意味と判断基準を正確に理解することで、緊急時の適切な対応が可能になります。
以下では、それぞれのタグの判断基準を詳しく解説します。

赤タグ(最優先治療群)の判断基準

赤タグは「Ⅰ(最優先)」を意味し、直ちに治療・搬送を行わなければ生命に関わる傷病者を示します。
START法の判定フローにおいて、呼吸異常・脈拍異常・意識障害のいずれかに該当した場合に赤タグが付与されます。

具体的には、呼吸数が毎分10回未満または30回以上、脈拍が触知できない、または毎分120回以上、簡単な命令に反応しない場合が該当します。
これらの状態は、重度の出血・ショック・呼吸不全などを示唆しており、数分から数十分以内の処置が生死を分けます。

赤タグの傷病者は、医療資源が確保でき次第、最優先で治療と搬送の対象となります。
企業の災害対応においても、赤タグ相当の重傷者を発見した場合は、直ちに救急要請を行うことが求められます。

黄タグ(待機的治療群)の判断基準

黄タグは「Ⅱ(待機的治療)」を意味し、治療が必要だが、ある程度の時間は待機可能な傷病者を示します。
START法の判定フローで、呼吸・脈拍・意識のすべてが基準内であった場合に黄タグが付与されます。

黄タグに該当する傷病者は、骨折・中等度の外傷・軽度のショック症状などを呈していることが多いです。
直ちに生命の危険はないものの、放置すれば状態が悪化する可能性があるため、赤タグの傷病者への対応が完了次第、速やかに治療を行います。

黄タグの傷病者に対しては、止血・固定・保温などの応急処置を行いながら待機してもらうことが基本的な対応となります。
状態が悪化した場合は再評価を行い、必要に応じて赤タグへ変更することも重要です。

緑タグ(保留群)の判断基準

緑タグは「Ⅲ(保留・軽症)」を意味し、軽症で自力行動が可能な傷病者を示します。
START法の最初の判定項目である「自力歩行が可能か」で「はい」と判定された場合、即座に緑タグが付与されます。

緑タグの傷病者は、擦り傷・軽度の打撲・精神的動揺などを呈していることが多く、医療処置の優先度は低くなります。
ただし、軽症とはいえ不安を抱えていることが多いため、適切な声かけと待機場所への誘導が必要です。

緑タグの傷病者は、「歩ける負傷者エリア」などに集合してもらい、他の傷病者の搬送や救護活動を妨げないように配慮します。
企業の防災訓練では、緑タグ相当の軽傷者の集合場所と誘導方法を事前に決めておくことが重要です。

黒タグ(死亡群)の判断基準

黒タグは「0(死亡・救命困難)」を意味し、すでに死亡している、または現場で救命の見込みがないと判断された傷病者を示します。
START法の判定フローでは、呼吸がなく気道確保を行っても呼吸が再開しない場合に黒タグが付与されます。

黒タグの判定は、精神的に非常に辛い決断を伴いますが、限られた医療資源を救命可能な傷病者に集中させるために必要な判断です。
この判定は一度きりではなく、状況が許せば再評価を行うこともあります。

黒タグの傷病者に対しては、尊厳を守りながら適切な場所に安置します。
企業の防災対応においては、黒タグの判定を行う場面は極めて稀ですが、概念として理解しておくことで冷静な判断につながります。

以下の表は、START法における4色タグの判断基準をまとめたものです。

区分 優先度 状態の目安
最優先 緊急治療・搬送が必要
次点 治療必要だが待機可能
軽症・自力行動可能
0 対象外 死亡・救命困難

この4色分類を理解しておくことで、災害時に救助者間で迅速かつ正確な情報共有が可能になります。

参考:東京都保健医療局「トリアージ|災害時の医療」

START法トリアージの
具体的な手順

START法によるトリアージは、定められた順序に従って傷病者を評価することで、短時間で正確な判定を行います。
判定フローは「歩行→呼吸→脈拍→意識」の順で進み、各ステップで該当する色が決まります。

ここでは、START法の具体的な判定手順を4つのステップに分けて詳しく解説します。
実際の災害対応や防災訓練で活用できるよう、各ステップの判断基準を明確にします。

ステップ1:自力歩行の確認

START法の最初のステップは「自力で歩けるかどうか」の確認です。
このステップの目的は、軽症者を迅速に選別し、重症者への対応に集中できる環境を作ることです。この「ふるい分け」がSTART法の効率性を支える重要な要素です。

負傷のある方へ「歩ける方はこちらに来てください」と声をかけ、自力で歩行できる傷病者を一括で緑タグに分類します。自力歩行が可能な傷病者は骨折や内臓損傷などの重大な問題がない可能性が高いと判断され、入院治療の必要性がない軽症者に区分されます。
まずは歩行可能な傷病者を緑タグとして分離することで、残りの傷病者に対して詳細な評価を行う時間を確保できます。

ステップ2:呼吸の有無と呼吸数の評価

自力歩行ができない傷病者に対しては、まず呼吸の有無を確認します。
胸部の上下動を観察し、呼気を感じ取ることで呼吸の有無を判定します。

呼吸がない場合は、気道確保(頭部後屈顎先挙上法など)を行います。
気道確保後も呼吸が再開しない場合は黒タグ、呼吸が再開した場合は赤タグとなります。

呼吸がある場合は、呼吸数をカウントします。
10秒間の呼吸回数を6倍して1分間の呼吸数を算出し、10〜29回/分であれば次のステップへ進みます。
30回/分以上または9回/分以下の場合は赤タグとなります。

ステップ3:脈拍の確認と循環状態の評価

呼吸数が正常範囲内であった傷病者に対しては、次に脈拍を確認して循環状態を評価します。
橈骨動脈(手首の親指側)または頸動脈(首)で脈拍を触知し、その有無と速さを判定します。

脈拍が触知できない場合は、ショック状態や重度の循環不全を示唆するため赤タグとなります。
脈拍が触知できる場合は、その速さ(1分間の脈拍数)を評価します。

脈拍数が120回/分以上の場合は頻脈であり、出血性ショックなどの可能性があるため赤タグとなります。
120回/分未満であれば、循環状態は比較的安定していると判断し、次のステップへ進みます。

ステップ4:意識レベルの確認と最終判定

最後のステップでは、簡単な命令に対する反応で意識レベルを確認します。
「手を握ってください」「目を開けてください」などの指示に従えるかどうかを観察します。

命令に従える反応があれば、意識は保たれていると判断し黄タグとなります。
反応がない、または不適切な反応しかない場合は、意識障害があると判断し赤タグとなります。

以下は、START法の判定フローをまとめたものです。

  • 自力歩行が可能 → 緑タグ
  • 呼吸なし → 気道確保 → 呼吸再開なし → 黒タグ / 呼吸再開 → 赤タグ
  • 呼吸数30回/分以上または9回/分以下 → 赤タグ
  • 脈拍触知不能または120回/分以上 → 赤タグ
  • 命令に反応なし → 赤タグ
  • 命令に反応あり → 黄タグ

このフローを覚えておくことで、災害現場での迅速な判断が可能になります。
防災訓練では、このフローに沿った模擬トリアージを繰り返し実施することが効果的です。

災害時の初動対応をより迅速にするためには、トリアージと併せて組織全体の被害状況を即座に把握することも欠かせません。
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START法トリアージを
企業防災に活かす方法

トリアージは医療従事者だけのものではありません。
企業の防災担当者がSTART法の概念を理解しておくことで、災害時の初期対応の質が大きく向上します。

ここでは、企業防災やBCP(事業継続計画)にトリアージの知識をどのように活かせるか、具体的な方法を解説します。
防災訓練への組み込み方や、救護用品・安否確認体制の整備についても詳しく説明します。

企業の防災担当者がトリアージ知識を持つ意義

企業の災害対応では、救急隊や医療従事者が到着するまでの間、従業員自身が初期対応を行う可能性が高くなります。
特に大規模災害時には、公的救助が遅れることも想定されるため、自助・共助の体制が重要です。

医療判断は専門家に委ねることが前提ですが、トリアージの基本概念を知っているだけで対応の質は変わります。
例えば、「誰を優先して応急処置すべきか」「どの傷病者を先に救急搬送すべきか」という判断に役立ちます。

また、トリアージの知識は従業員の心理的準備にもつながります。
災害時に冷静な判断ができるよう、平時から教育を行っておくことが企業の責任といえます。

防災訓練へのトリアージ概念の組み込み方

企業の防災訓練にトリアージの概念を組み込むことで、より実践的な初期対応力を養うことができます。
START法の4つの着眼点(歩行・呼吸・脈拍・意識)は、応急手当や救助優先順位の判断材料として有効です。

訓練では、模擬傷病者を用いたトリアージ演習を実施することが効果的です。
傷病者役に症状カードを持たせ、判定者がSTART法のフローに沿って色を判定する形式が一般的です。

また、机上訓練として、想定シナリオに基づいてトリアージの判断を議論する方法もあります。
複数の傷病者がいる状況で「誰を優先すべきか」を考えることで、実践的な判断力が身につきます。

救護用品と安否確認体制の事前整備

トリアージの知識を活かすためには、救護用品の備蓄と安否確認体制の整備が不可欠です。
どれだけ判断力があっても、道具や情報がなければ適切な対応はできません。

救護用品としては、以下のものを備蓄しておくことが推奨されます。

  • 応急手当用品(包帯・ガーゼ・三角巾・副木など)
  • 止血用品(止血帯・止血パッドなど)
  • AED(自動体外式除細動器)
  • 担架・搬送用具
  • トリアージタグ

備蓄するだけでなく、使い方の周知と定期的な訓練も重要です。
保管場所を従業員全員が把握し、いつでも取り出せる状態にしておきましょう。

また、災害発生時には従業員の安否確認を迅速に行う必要があります。
安否情報を一元管理できるシステムを導入することで、救助活動の優先順位付けにも役立ちます。

BCP(事業継続計画)においては、災害発生時の行動指針を明確化し、防災マニュアルを整備することが基本です。
従業員安否確認体制の構築と、それを支えるツールの導入・運用検討を進めることで、トリアージの知識を実務に活かせる環境が整います。

企業が災害に備えるためには、従業員の生命・安全確保と事業継続の両立が求められます。
トリアージの概念を防災教育やBCPの一部として取り入れることで、組織全体の防災対応力を高めることができます。

まとめ

START法によるトリアージは、災害現場で限られた医療資源を有効活用し、救える命を最大化するための重要な手法です。
自力歩行・呼吸・脈拍・意識という4つのシンプルな指標で、傷病者を赤・黄・緑・黒の4色に分類します。

企業の防災担当者がこの概念を理解しておくことで、災害時の初期対応や救助優先順位の判断に役立ちます。
防災訓練にトリアージの要素を取り入れ、救護用品の備蓄と安否確認体制を整備することが、BCPの実効性向上につながります。

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