初期消火の正しい方法は?|手順や成功のポイントを解説
2026/02/18
火災が発生した際、最も重要なのは発生から2分以内に行う初期消火です。
消防車が現場に到着するまでには平均6〜8分かかるため、その間に火が天井まで燃え広がってしまうと、自力での消火は困難になります。
オフィスや店舗、工場などの事業所では、従業員一人ひとりが初期消火の正しい方法を理解し、いざというときに迅速に行動できる体制を整えておくことが不可欠です。
本記事では、初期消火の定義や時間的な限界、消火器の使い方から出火原因別の対処法、そして避難判断のタイミングまで、企業の防災担当者が押さえておくべきポイントを解説します。
災害発生時は“最初の1分”で差がつきます。
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初期消火とは
初期消火とは、火災が発生した直後の段階で、火が小さいうちに鎮火を目指して行う消火活動のことです。
消防隊が到着する前に現場にいる人が自ら行動することで、被害を最小限に抑えられる可能性が高まります。
ここでは、初期消火の時間的な目安や目的、どのような火災に有効なのか、そして初期消火によってどのような効果が期待できるのかについて詳しく解説します。
火災対応の基本を正しく理解することが、企業のBCP対策において重要な第一歩となります。
初期消火の時間目安と目的
初期消火において最も重要なのは、火災発生から2分以内に行動を開始することです。
この2分という時間は、火が天井に燃え移るまでの平均的な猶予時間に基づいています。
火災が発生すると、炎は周囲の可燃物を次々と燃やしながら急速に拡大します。
出火から約3分が経過すると、多くの場合で火は天井に到達し、その時点で初期消火は難しくなります。
消防車が119番通報を受けてから現場に到着するまでには、平均で6〜8分かかります。
つまり、消防隊の到着を待っているだけでは、初期消火の機会を逃してしまう可能性が高いのです。
初期消火の目的は、火災を完全に鎮火させることだけではありません。
火の勢いを弱めて延焼を遅らせ、避難時間を確保することも重要な役割です。
企業においては、従業員の安全を確保しながら、建物や設備、重要なデータや資産を守るために、初期消火の体制を整えておくことが求められます。
防災訓練を通じて、実際に消火器を使用する経験を積んでおくことが、いざというときの迅速な行動につながります。
初期消火が有効な火災の例と限界
初期消火が有効なのは、火がまだ小さく、天井に燃え移っていない段階の火災です。
たとえば、ゴミ箱や書類、カーテンの一部などが燃えている程度であれば、消火器や水で対処できる可能性があります。
オフィスでは、こうした「小さな火」がさまざまな原因で発生します。
タバコの不始末、電気機器の故障やショート、コンセントのたこ足配線による発熱などが代表的です。
さらに、見落とされがちなのが、窓際に置かれた水晶玉やペットボトルによる収斂火災(しゅうれんかさい)です。
太陽光が集まることで発火するこの現象は、特に夏場の日差しが強い時期に注意が必要です。
窓際には光を集める可能性のある物を置かないよう、日頃から整理整頓を心がけることが予防につながります。
一方で、初期消火には明確な限界があります。
天井に火が燃え移った段階では、煙や熱気が充満し、人命へのリスクが急激に高まります。
このような状況では、無理に消火を続けようとせず、速やかに避難することが最優先となります。
初期消火はあくまでも「安全が確保できる範囲内」で行うものであり、自分の身を危険にさらしてまで続けるべきではありません。
初期消火で期待できる効果
初期消火に成功すれば、火災による被害を最小限に抑え、事業継続への影響を軽減できます。
火災が全焼に至った場合と比較すると、復旧にかかる時間やコストは大幅に異なります。
消防庁の調査では、初期消火の有無によって被害に明確な差が出ることが示されています。
初期消火を実施した火災と、初期消火が実施しなかった火災(自然鎮火したものを除く)について、火災100件当たりの死者数、火災1件当たりの損害額及び焼損床面積で比較すると、全ての項目で初期消火を実施した方が被害は少なくなっている
早期に火を消し止めることで、煙や水損による二次被害も軽減されます。
また、初期消火の体制が整っている企業は、取引先や顧客からの信頼を得やすくなります。
BCP対策の一環として防災体制を強化していることは、企業の社会的責任を果たしている証となるからです。
従業員にとっても、初期消火の訓練を受けていることは安心感につながります。
「いざというときに何をすべきかわかっている」という自信が、冷静な判断と行動を可能にします。
さらに、火災保険の観点からも、初期消火の重要性は見逃せません。
被害を最小限に抑えることで、保険金の請求額を低く抑えられるだけでなく、翌年以降の保険料への影響も軽減できる可能性があります。
初期消火の正しい消火方法
火災が発生した際には、慌てずに正しい手順で行動することが重要です。
初期消火には「知らせる」「消火する」「逃げる」という3つの基本アクションがあり、これらを状況に応じて適切に判断しながら実行する必要があります。
ここでは、安全確認と通報の優先順位から、消火器の基本操作、出火原因別の対処法、そして避難判断のタイミングまで、実践的な知識を詳しく解説します。
いざというときに迷わず行動できるよう、正しい方法をしっかりと理解しておきましょう。
安全確認と通報の優先順位
火災を発見したら、まず「火事だ!」と大声で周囲に知らせ、非常ベルを鳴らすことが最優先です。
一人で消火しようとするのではなく、周囲の人に協力を求めることで、より効果的な初期消火が可能になります。
119番通報は、火の大小に関係なく速やかに行う義務があります。
消防法では「最も迅速に到達する方法」で通報することが求められており、「自分たちで消せそうだから」と通報を遅らせることは避けなければなりません。
実務上のポイントとして、消火担当者と通報担当者は別の人が担うべきです。
消火活動に集中している間に、別の担当者が正確な情報を消防に伝えることで、万が一の際にも迅速な対応が可能になります。
通報時には、火災の発生場所、燃えているものの種類、けが人の有無などを簡潔に伝えます。
事前に住所や目印となる建物などを確認しておくと、緊急時にもスムーズに伝達できます。
これらの役割分担は、防災訓練の際に実際に確認しておくことが重要です。
誰が何をするかを明確にしておくことで、本番でも混乱なく行動できるようになります。
消火器の基本操作と扱い方
消火器の操作は「ピン・ホース・レバー」の3ステップで覚えておくと、緊急時にも迷わず使用できます。
まず安全ピンを抜き、次にホースを火元に向け、最後にレバーを強く握って消火剤を噴射します。
消火器を使用する際の重要なポイントは、火の根元を狙うことです。
炎の上部に向けて噴射しても効果は薄く、可燃物が燃えている根元部分に消火剤を当てることで、効率的に消火できます。
また、消火器の使用可能時間は10〜20秒程度と非常に短いことを認識しておく必要があります。
限られた時間で確実に火を消すために、落ち着いて火元を狙い続けることが大切です。
消火器を使用する際は、避難経路を背にして構えることも重要です。
万が一、消火に失敗した場合でも、すぐに避難できる位置関係を保つことで、自身の安全を確保できます。
消火後も油断は禁物です。
見た目には火が消えていても、内部でくすぶっている可能性があるため、温度が十分に下がってから水をかけて完全に消火を確認することが推奨されます。
出火原因別の消火方法
火災は原因によって適切な消火方法が異なり、間違った対処は逆に被害を拡大させる恐れがあります。
火災の種類は大きく「普通火災」「油火災」「電気火災」の3つに分類されます。
普通火災は、木材、紙、繊維などが燃える一般的な火災です。
この場合は水や粉末消火器で対応できますが、大量の水を使用できない場所では消火器が有効です。
油火災は、石油類や食用油などが燃える火災で、絶対に水をかけてはいけません。
水をかけると油が飛び散り、火災が一気に拡大する危険があります。
油火災に対しては、粉末消火器や泡消火器を使用するか、消火器がない場合は濡らしたタオルやシーツで覆って空気を遮断する方法が有効です。
油鍋の火災では、蓋をして空気を遮断することも効果的です。
電気火災は、電気機器やコンセントからの出火で、感電の危険があります。
まずブレーカーを落として通電を遮断してから消火活動を行うことが鉄則です。
通電中の電気機器に水をかけると感電する恐れがあるため、必ず電源を切ってから対処します。
粉末消火器やガス系消火器は電気火災にも対応していますが、水系消火器は使用できない点に注意が必要です。
避難と撤退の判断とタイミング
初期消火を継続するか避難するかの判断は、天井への延焼を目安にすることが基本です。
火が天井に燃え移った時点で、初期消火は打ち切り、速やかに避難を開始しなければなりません。
天井に火が回ると、煙や有毒ガスが急速に充満し、視界が遮られるとともに呼吸も困難になります。
この状態で消火を続けることは、自らの命を危険にさらすことになります。
また、消火器を使い切っても火が消えない場合も、撤退の判断をすべきタイミングです。
一般的な消火器の放射時間は10〜20秒程度であり、それでも消火できなければ火の勢いが強すぎると判断できます。
避難する際は、姿勢を低くして煙を吸わないように注意します。
煙は上方に溜まるため、床に近い位置では比較的空気が澄んでいます。
避難時には、後から来る人のために扉を閉めることも重要です。
扉を閉めることで、火や煙の拡散を遅らせ、他の人の避難時間を確保できます。
初期消火の成功・失敗に関わらず、全員の安否確認を行うことを忘れてはいけません。
事前に定めた集合場所に全員が揃っているかを確認し、不明者がいれば消防隊に伝えます。
火災などの緊急時には、迅速な安否確認と従業員への正確な情報伝達が被害を最小限に抑える鍵となります。
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初期消火で気をつけるべきポイント
初期消火を成功させるためには、正しい知識を持っているだけでなく、日頃からの準備と訓練が欠かせません。
適切な消火器の選定と定期点検、避けるべき危険行為の理解、そして実践的な防災訓練の実施が、いざというときの対応力を高めます。
ここでは、企業の防災担当者が押さえておくべき消火器の選び方や点検方法、初期消火時に避けるべき行動、そして効果的な訓練方法について詳しく解説します。
事前の備えが、万が一の火災から企業と従業員を守る力になります。
消火器の選び方と定期点検の方法
オフィスに設置する消火器は、すべての火災種別に対応できる粉末消火器(ABC消火器)が最も汎用的です。
普通火災、油火災、電気火災のすべてに使用できるため、さまざまな出火原因に対応できます。
消火器を選ぶ際には、本体に表示されている「適応火災」のマークを確認することが重要です。
「普通」「油」「電気」の3種類のマークがあり、自社の環境で想定される火災に対応した消火器を選定します。
消火器には使用期限があり、一般的な業務用消火器の場合は製造から10年が目安とされています。
使用期限を過ぎた消火器は、いざというときに正常に作動しない可能性があるため、計画的な交換が必要です。
定期点検としては、消火器本体の錆や腐食、安全ピンの状態、圧力ゲージの針が適正範囲内にあるかなどを確認します。
消防法では、事業所に設置された消火器は年2回の点検が義務付けられています。
点検は専門業者に依頼することも可能ですが、日常的なセルフチェックも重要です。
月に1回程度、消火器の設置場所と状態を確認する習慣をつけることで、いざというときに確実に使用できる状態を維持できます。
消火器の設置場所についても、適切な配置が求められます。
各階の通路や階段付近、火気を使用する場所の近くなど、誰でもすぐに手に取れる位置に設置し、物で塞がないよう注意が必要です。
避けるべき危険行為と安全確保の目安
初期消火において最も避けるべきなのは、自分の安全を顧みずに無理な消火を続けることです。
火災現場では、煙や熱によって判断力が低下しやすく、危険な状況に気づきにくくなります。
具体的に避けるべき行為として、天井に火が燃え移った後も消火を続けることが挙げられます。
この段階では煙による窒息や、急激な延焼によるやけどのリスクが非常に高くなります。
また、油火災に水をかけることは絶対に避けなければなりません。
前述の通り、水をかけると燃えている油が飛び散り、火災が一気に拡大します。
電気火災の際に通電状態のまま水をかけることも危険です。
感電の恐れがあるため、必ずブレーカーを落としてから消火活動を行います。
安全確保の目安として、「自分の腰より高い位置まで火が上がったら避難」という基準を覚えておくと判断しやすくなります。
また、消火器を1本使い切っても消火できない場合も、避難のサインと考えるべきです。
初期消火は「安全が確保できる範囲内」で行うものであり、英雄的な行動を求められているわけではありません。
人命が最優先であることを、全従業員が共通認識として持っておくことが重要です。
家庭や職場での事前準備と訓練の方法
初期消火の知識は、実際の訓練を通じて体で覚えることで、いざというときに正しく行動できるようになります。
頭で理解しているだけでは、緊急時のパニック状態で適切な判断ができない可能性があります。
企業における防災訓練では、消火器の実際の操作体験を取り入れることが効果的です。
訓練用の消火器や水消火器を使用して、安全ピンを抜く、ホースを向ける、レバーを握るという一連の動作を体験させます。
役割分担の確認も訓練の重要な要素です。
火災発見者、通報担当者、初期消火担当者、避難誘導担当者などの役割を事前に決めておき、訓練で実際に動いてみることで、本番でもスムーズに連携できるようになります。
訓練の頻度としては、少なくとも年に2回は実施することが推奨されます。
また、新入社員が入社するタイミングや、オフィスのレイアウト変更後などにも、追加の訓練を行うと効果的です。
日頃からできる準備として、消火器の設置場所を全員が把握しておくこと、避難経路を確認しておくこと、非常口の前に物を置かないことなどが挙げられます。
これらの基本的な事項を徹底することで、いざというときの初動対応が格段に向上します。
家庭においても、住宅用消火器の設置や、火災報知器の定期的な動作確認を行うことが重要です。
家族で避難経路を確認し、集合場所を決めておくことも、被害を最小限に抑えるための有効な準備です。
まとめ
初期消火は、火災発生から2分以内という限られた時間の中で行う、被害を最小限に抑えるための重要な行動です。
消火器の正しい使い方、出火原因に応じた適切な対処法、そして避難判断のタイミングを理解しておくことが、企業と従業員を守ることにつながります。
初期消火の成功には、正しい知識だけでなく、日頃からの準備と実践的な訓練が欠かせません。
消火器の定期点検、役割分担の明確化、定期的な防災訓練の実施を通じて、いざというときに全員が迷わず行動できる体制を整えておきましょう。
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