
企業が行うべき地震への備えとは?対策が大切な理由や具体的な取り組み内容を詳しく解説
2024/02/20
2024/12/18
地震大国である日本では、事業を営むうえでの地震への備えは重要な要素の一つです。
地震が発生した際に、避難経路の確保や備蓄の準備、システム対策ができていなければ、事業の継続が難しくなり、倒産に追い込まれるリスクがあります。
企業として長く事業を続けるには、日頃から地震に備えた対策を行うことが大切です。
具体的にはどのような対策が必要なのでしょうか。
今回は、企業に地震対策が求められる理由や、今すぐできる地震への備え、おすすめの防災ツールを紹介します。
会社の防災意識を高めたい人や、地震対策や防災ツールの導入を検討している人はぜひ参考にしてください。
日本の地震発生率はどのくらい?
日本は地震が多い国と言われていますが、実際のところどのくらい地震が発生していると思いますか?
全世界を対象に、2003年から2013年までの10年間の期間で、マグニチュード6.0以上の地震回数について調査した結果がこちらです。

データを見ると、10年間のうち世界で発生したマグニチュード6.0以上の地震は1,758回で、その中の326回は日本で発生していることが分かります。
つまり、単純に計算すると1年間に30回程度の大規模地震が発生しているということです。
さらに、活火山の数を比較しても、世界中に1,551個あるうちの110個が日本にあるという結果が出ています。
データを比較するだけでも、日本の地震の多さが理解できるでしょう。
地震に対する備えに大切な考え方
「企業防災」
企業防災は、災害から従業員と会社を守る大切な取り組みです。企業防災には「防災」と「事業継続」の2つの側面があります。
防災面では、従業員の安全確保が最優先です。定期的な防災訓練の実施やオフィスの耐震補強、非常食の備蓄などが具体的な対策です。
防災対策は、災害時の人的・物的被害を最小限に抑えるために欠かせません。
一方、事業継続面では、災害発生後も企業活動を維持するための準備が必要です。
バックアップ体制の整備や復旧手順のマニュアル化などが含まれます。
継続対策をまとめた事業継続計画(BCP)の策定は、企業の存続にとって大切です。
企業防災が必要な理由
企業防災は、従業員や顧客の安全を守り、事業の継続性を確保するために不可欠な取り組みです。企業には、人命を守る責任と地域社会への貢献責任があります。
企業防災が必要とされる主な理由には、以下のようなものが挙げられます。
- 従業員と顧客の安全確保
- 地域社会への貢献
- 事業の継続性維持
- 取引先への影響の最小化
- 倒産リスクの軽減
企業防災を適切に行うことで、災害時の被害を最小限に抑え、速やかな復旧を可能にします。
企業が防災対策をしっかり行うと、災害による被害を減らし、早期に事業を再開できます。
地震に備えた安全配慮義務
企業には、従業員の安全を守るための「安全配慮義務」があります。地震発生時も例外ではありません。安全配慮義務を果たさなければ、高額の賠償金を請求される可能性もあります。
安全配慮義務を果たすために、企業が取るべき対策には、以下のようなものが挙げられます。
- 地震リスクの事前評価
- 避難計画の策定と周知
- 定期的な防災訓練の実施
- 耐震対策の実施
- 緊急連絡体制の整備
安全配慮義務を果たすことは、従業員の命を守るだけではなく、企業自身を守ることにもつながります。地震大国日本で事業を営む以上、企業は常に最新の防災情報を収集し、適切な対策を講じる必要があります。
地震への備えは、企業の社会的責任の一つです。従業員と企業双方を守るため、積極的な取り組みが求められます。
企業にとって
地震の備えが大切な3つの理由
地震が多い日本だからこそ、会社を経営する中で地震への備えは重要な要素の一つです。
企業に地震の備えが必要な理由は、大きく分けて以下の3つがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
従業員の身の安全を守るため
地震が発生した際、企業が一番に考えるべきは従業員の安全の確保です。
特に就業中に地震が発生した際は、すべての従業員が無事に避難できるように、避難経路を確保し、必要に応じて備品の提供をする必要があります。
就業時間外の場合は、防災ツールなどを活用した早急な従業員の安否確認が求められるでしょう。
地震発生時に素早くかつ的確に行動するためには、備蓄の用意や避難経路の確認など、従業員の身を守る対策を事前に行っておく必要があります。
会社のオフィスや設備を守るため
企業が地震への備えをしておく理由は、地震発生時の被害を最小限に抑えるためです。
たとえば地震が発生した際、パソコンや棚に耐震対策を実施してくことで、倒壊やデータの損失を防げます。
特に棚やロッカーなどの耐震対策は避難経路の確保にも効果的です。
耐震対策によって被害を最小限にできれば、修繕にかかる費用を少なくできて、余分なコストを抑えられるでしょう。
事業を継続させるため
企業の地震対策は、避難経路の確保や耐震対策だけでなく、地震発生後の事業復旧に向けた取り組みの検討も含まれます。
たとえば従業員の安全確認ができた後、取引先への連絡はどうするか、誰を責任者として活動を進めるかなど細かく決めておかなければ、いつまで経っても事業の再開ができません。
再開が遅れることで、取引先との契約が切れる、顧客が離れるなどの悪影響が出てきて、最悪の場合倒産する可能性もあります。
従業員が地震発生後にどうやって仕事を継続すればいいかを共有できていれば、出社せずとも業務を続けられ、事業を復旧させるスピードを早められるでしょう。
災害の規模ごとにシミュレーションを行い、災害発生時でも落ち着いて事業を継続させるための準備をしておくことが大切です。
企業の地震の備えには
BCPの策定が必須
企業の地震の備えは計画としてまとめ、全従業員に共有しておくと良いでしょう。
地震などの災害発生時の事業の取り組みや対策をまとめた計画のことを、事業継続計画(BCP)と呼びます。
BCPで決めるべき項目は大きく分けて以下のとおりです。
- 人的資源
- 物的資源(モノ)
- 物的資源(金)
- 物的資源(情報)
- 体制等
項目ごとの内容を決めることで、地震などの災害発生時に取るべき行動が明確になります。
まずはBCPを策定し、徐々にブラッシュアップしていくことが重要です。
BCP策定の5つの具体的ステップ
BCPを策定するための具体的なステップは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 対策の目的を明確化
まず、最初にBCP対策の目的を明確化しましょう。漠然とした計画では、効果的な運用は難しいからです。
目的設定する際には以下の点に注意しましょう。
- 事業継続の優先度
- 顧客への価値提供
- 従業員の安全確保
目的を定めることで、BCPの内容や運用方法が具体化します。例えば「地震発生後3日以内に主要業務を再開する」といった明確な目標を立てられるでしょう。
自社の経営方針と整合性を取りながら、実現可能な目的を設定してください。経営陣と現場の意見を取り入れ、全社で共有できる目的を決めましょう。
2. 実行チームを決定
目的が明確化できたら、次は実行チームを決定していきます。BCP策定の実行チームを決定する際は、経営層の参加と会社規模に応じた体制構築が大切です。
実行チームを決定する際は、以下の点に注意してください。
- 経営層からのメンバー選出
- 各部署の代表者を含める
- 防災や事業継続の知識を持つ人材の起用
大企業の場合、各部署から担当者を選抜しBCP推進チームを立ち上げます。中小企業では、必要最小限のリソースで効率的なチーム編成が可能です。
実行チームは定期的に会合を持ち、BCPの策定や見直しを行いましょう。全従業員への情報共有も、チームの重要な役割です。適切なチーム構成をすれば、効果的なBCP運用が実現できます。
3. 復旧優先度を特定
実行チームが決定したら、復旧優先度を特定していきます。企業の中心となる事業を見極め、緊急時に最優先で復旧すべき業務を明確にしましょう。
復旧優先度の決定に考慮するべき項目は、以下のようなものが挙げられます。
- 売上への影響
- 社会的重要性
- 代替手段の有無
- 復旧に必要な時間と資源
各事業の中断が与える影響を評価するため、影響度分析を行います。具体的には、以下の表のように影響度を5段階で評価します。
事業 | 売上影響 | 社会的重要性 | 代替手段の難しさ | 総合評価 |
---|---|---|---|---|
A事業 | 5 | 4 | 4 | 13 |
B事業 | 3 | 5 | 3 | 12 |
C事業 | 4 | 3 | 2 | 9 |
※数字が1~5で評価し、大きいほど影響が大きいことを表します。
上記表であれば、A事業の復旧度を優先する必要があるとわかります。
評価結果に基づき、総合評価が高い事業から順に復旧優先度を決定してください。次に、各事業の目標復旧時間を設定します。例えば、A事業は24時間以内、B事業は48時間以内といった具合です。
優先度と時間設定により、限られた資源を効率的に配分し、迅速な事業復旧が可能になります。
4. 地震発生時の行動手順を策定
復旧優先度が特定できたら、次は行動手順を策定していきます。明確な行動手順があれば、混乱を抑え、迅速な対応が可能になります。
地震発生時の行動手順を決める際は、以下の3つに分けて策定が必要です。
初動対応 | 従業員の安否確認、被害状況の把握 |
---|---|
緊急対応 | 情報集約、復旧計画の立案 |
復旧対応 | 計画の周知、事業再開の取り組み |
各段階で具体的な行動内容を定め、責任者を決めておきます。BCPの発動基準(例:震度5弱以上)も明確にしておくと良いでしょう。
5. 定期訓練で計画を検証し改善
BCPは策定して終わりではありません。定期訓練で計画を検証し改善していく必要があります。年に1回以上の実施が望ましく、多くの企業が9月1日(防災の日)付近に訓練を行っています。
定期訓練を行う際には、以下のようなポイントを確認しておきましょう。
安否確認 | 回答率、速度 |
---|---|
情報伝達 | 正確性、迅速性 |
初動対応 | 役割理解、連携 |
訓練後は必ず振り返りを行い、課題を洗い出します。
例えば、安否確認に時間がかかった、被害状況の把握が不十分だった、などの問題点を特定し、改善策を検討しましょう。
定期的な訓練と改善のサイクルを通じて、BCPの質を高めることで、実際の緊急時に機能する体制を整えられるでしょう。
企業における
地震の備えで大切なこと
企業における地震の備えは、従業員の命と会社の存続を左右する重要な課題です。
日本では年間30回以上の大規模地震が発生しており、いつ襲ってくるかわからない地震に対して、企業は常に準備を整えておく必要があります。
ここでは、以下の3つの観点からどのような備えが必要なのかを解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
地震発生時の対応
地震発生時の対応は、従業員の安全と企業の事業継続を左右する要素です。迅速かつ適切な行動のために、以下のように段階的な対応を事前に計画しておくことが大切です。
社員の安全確保 | 身の安全確保、家族の安否確認、会社への報告 |
---|---|
初動対応 | 状況把握、被害状況確認、事業所状況確認 |
組織的対応 | 全社的な安否・被害情報集約、復旧計画立案 |
行動を始める基準は、事前に決めておきましょう。地域や企業の規模にもよりますが、震度5弱以上を目安に対応を開始するようにしましょう。社員一人ひとりが自発的に行動できるよう、対応手順を記載したカードの携行を推奨します。
初動対応では、全従業員の安否確認や被災状況の把握を行い、本社への報告体制を整えます。組織的対応では、集約した情報をもとに復旧計画を立案し、必要に応じて地域貢献も検討しましょう。
定期的な訓練を通じて、全社員が円滑に行動できるよう備えましょう。事前の準備と訓練が、緊急時の適切な対応につながります。
事業継続のための備え
事業継続のための備えは、地震発生後の企業活動の早期再開に不可欠です。初動対応後、限られた経営資源で効率的に業務を再開するため、優先順位を明確にする必要があります。
本社機能と事業機能に分けて復旧計画を立てましょう。
本社機能 | 財務、人事、総務、システム | 即時〜数日以内 |
---|---|---|
支社機能 | 被害状況に応じて判断 | インフラ復旧後〜2週間以内 |
本社機能では、資金繰りや給与支払い、建物の復旧、システムの回復を優先します。支社機能では、社会情勢やマーケット状況を把握し、被害状況に応じて重要業務を特定しましょう。調達品の供給状況や在庫状況の確認も必要です。それぞれの対応を事前に計画し、定期的に見直すことで、地震発生時にも迅速な事業再開が可能になります。
平常時から優先業務の洗い出しと復旧手順の確認を行い、全従業員で共有しておきましょう。
平時からの備え
平時からの備えは、地震発生時の被害を最小限に抑え、迅速な対応を可能にするための取り組みです。企業は以下の対策を日常的に実施しましょう。
安全対策 | 家具の固定、ガラスの飛散防止 |
---|---|
避難経路 | ハザードマップの確認、経路の確保 |
安否確認 | 複数の連絡手段の準備 |
物品備蓄 | 水・食料、医薬品の準備 |
防災訓練 | 定期的な訓練実施、役割分担の確認 |
オフィス内の安全対策では、大型家具の固定やパソコンの転倒防止対策が必要です。避難経路は定期的に確認し、障害物を置かないよう心がけましょう。
安否確認システムの導入や、非常用物品の定期的な点検も欠かせません。さらに、実践的な防災訓練を通じて、従業員の防災意識を高め、緊急時の行動力を養いましょう。
今すぐできる
企業の地震の備え5選
企業が取り組むべき地震の備えは以下のとおりです。
BCPの策定にも必要になる箇所もあるため、今のうちに対策を行いましょう。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
防災担当者を決める
地震対策を進めるには、主体となって動く担当者が必要です。
災害発生時は現場が混乱することが多く、誰に何を連絡すればいいか分からず、情報が錯綜してしまうリスクがあるからです。
情報をまとめ全体をスムーズに動かすには、以下の項目を決めて共有しておきましょう。
- 担当者名
- 担当者への連絡手段
- 担当者の連絡先
規模が大きな会社であれば、各部署に防災担当者を配置し、災害発生時の連絡経路も確保しておくのが効果的です。
担当者は災害に関する知識はもちろん、BCPなどの災害発生時のマニュアルに関する知識も求められます。
全国で防災に関する研修や講習会を受けることもできるため、積極的に最新情報を集めておきましょう。
避難経路や避難所を確保・確認する
地震が発生した際に従業員が無事に避難できるよう、避難経路や避難所を確保しておくことも重要です。
ほとんどの企業は、自社のオフィスから外に脱出するための避難経路の確保は実施できていますが、避難場所の把握までできている企業は多くありません。
一時避難先、二次避難先など会社の周辺の避難所を把握して、従業員に共有しておくのがおすすめです。
また、普段からできる地震対策としては、廊下や出入り口付近に物を置かないことが挙げられます。
避難経路の確保のためにも、整理整頓を普段から心がけておきましょう。
オフィスの機器や什器の耐震対策を行う
パソコンやコピー機などのオフィス機器、本棚やロッカーなどの什器の転倒防止対策は必須です。
たとえば、パソコンが倒れて画面が割れると破片によって怪我する危険があり、従業員の目の前で本棚が倒れると下敷きになるリスクがあります。
ロッカーが倒れて入り口を塞げば、避難ができなくなる可能性も出てくるでしょう。
耐震器具を使ってオフィス機器を固定するだけでも、耐震対策になります。
入り口付近に什器がある場合は、場所を移動したり部屋を変えるなどの対策を取るのも効果的です。
保険に加入する
地震の被害を最小限に抑えるには、保険に加入しておく方法も手段の一つです。
企業向けの火災保険や地震保険に加入しておけば、いざという時に災害補償を受けられる可能性があります。
被害が甚大だった場合に、保証金を受け取ることができれば、再建に向けた取り組みがスムーズに進むでしょう。
ただ、企業向けの地震保険は費用が高いというデメリットもあります。
どのくらいの範囲を適用するか、いくらまで支払えるかなど、会社の予算と相談しながら検討してみてください。
防災ツールを導入する
企業の地震の備えとして、防災ツールの導入もおすすめです。
防災ツールとは、災害発生時の従業員の安否確認や備蓄情報などをリアルタイムで確認できるツールのことです。
ツールによって利用できる機能は異なりますが、普段から使える機能を備えた防災ツールを活用しておけば、いざという時に使い方に悩んで初動が遅れるというリスクを減らせます。
普段から使える防災ツールの導入を検討している人は、クロスゼロがおすすめです。
クロスゼロには以下の機能が備わっています。
- 災害発生時の安否確認(自動配信)
- 掲示板機能
- 災害情報の自動配信
- チャット機能
- ファイル閲覧・管理
チャット機能やファイル閲覧機能は普段の業務でも十分機能します。
災害発生時には、使い慣れたツールで情報共有ができるため、円滑なコミュニケーションを実現可能です。
まずは利用してみて、使い勝手を確認するのもおすすめです。
クロスゼロは30日間無料で体験できるので、ぜひ公式サイトから確認してみてください。
まとめ
今回は企業の地震の備えで大切なことというテーマで、地震の備えが必要な理由や、今すぐ取り組める地震対策を解説しました。
地震はいつ発生するか分かりません。
世界的にも地震大国として知られている日本だからこそ、地震が発生したとしても事業を継続するために、企業の地震対策が重要です。地震対策として効果的なのは、耐震装備の設置や避難訓練などが挙げられます。
災害発生時に従業員の安否確認やコミュニケーションをスムーズに行うには、防災ツールの導入も検討しましょう。
防災ツールの導入を検討している企業は、クロスゼロがおすすめです。
クロスゼロを活用すれば、災害発生時の従業員の安否確認はもちろん、掲示板機能を使った情報発信や、備蓄の確認もスマートフォンで行えます。
BCPなどの災害時に必要な書類もリアルタイムで確認できるため、いざという時の行動に役立つでしょう。
クロスゼロの導入を検討している人は、まずは30日間の無料体験をお申し込みください。