【BCPを機能させる!】机上訓練とは?|進め方や成功のポイント
2026-02-17
BCPを策定したものの、実際の災害発生時に機能するか不安を感じている担当者は少なくありません。
計画の作成のみでは、有事の際に現場が対応できない可能性があるためです。
そこで重要となるのが「机上訓練(図上演習)」です。
机上訓練とは、会議室などで想定シナリオをもとに関係者が集まり、災害時にどのように判断し行動するかを議論形式で検証する訓練方法を指します。
本記事では、BCPを実効性のある計画にするため、机上訓練の定義や目的、実施手順、成功のポイント、事例を体系的に解説します。
防災担当者や総務、経営層の方々がBCP運用の第一歩として活用できる実践ガイドとしてお役立てください。
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BCP訓練における机上訓練の
位置づけ
BCPを策定しただけでは、災害時に計画通りに行動できるとは限りません。
策定した計画を実効性のあるものにするためには、定期的な訓練を通じた検証と改善の繰り返しが重要です。
ここでは、BCP訓練の基本的な定義から、訓練の種類と特徴、そしてなぜ訓練が必要なのかについて解説します。
机上訓練がBCP運用において果たす役割を理解するための基礎知識として押さえておきましょう。
BCP訓練の定義と目的
BCP訓練とは、策定した事業継続計画(BCP)を機能させるための検証・改善プロセスです。
災害や障害の発生時に、判断基準や行動手順を確認・修正することが主な目的とされます。
BCPは文書として作成されていても、実際の緊急事態において関係者が計画の内容を理解し、適切に行動できなければ意味がありません。
訓練を通じて計画と実行のギャップを把握し、改善点を見つけ出すことで、BCPの実効性を高めることができます。
また、訓練は一度実施すれば終わりではなく、継続的に行うことが重要です。
組織の体制変更や事業環境の変化に合わせて、BCPも定期的に見直し、訓練を重ねることで常に最新の状態を維持する必要があります。
BCP訓練の種類と特徴
BCP訓練にはいくつかの種類があり、それぞれ目的や実施方法が異なります。
自社の状況や目的に応じて適切な訓練を選択し、組み合わせて実施することが効果的です。
代表的なBCP訓練の種類と特徴は以下の通りです。
| 種類 | 特徴 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 机上訓練 (図上演習) |
会議形式で実施し、実際の行動は伴わない | 計画の不備や想定外事象の洗い出し |
| 実動訓練 | 実際に避難や移動を行う | 現場における行動の実効性確認 |
| 通知・連絡訓練 | システムを使用した一斉連絡の実施 | 安否確認や連絡網の動作確認 |
これらの訓練の中で、机上訓練はBCP運用の「起点」として位置づけられます。
まず机上訓練で計画の問題点を洗い出し、その後に実動訓練や通知訓練と組み合わせることで、BCPの完成度を段階的に高めていく流れが一般的です。
なぜBCP訓練が必要なのか
BCPは文書を共有するだけでは不十分であり、訓練を通じて初めて実効性が担保されます。
内閣府が公表している「事業継続ガイドライン」においても、継続的な教育・訓練の必要性が明記されています。
訓練を実施することで得られる主な効果は以下の通りです。
- 役割・権限の明確化
- 想定外リスクの可視化
- 災害時の初動スピード向上
- 関係者間のコミュニケーション促進
特に、災害発生直後の初動対応は被害の拡大を防ぐ上で極めて重要です。
日頃から訓練を重ねておくことで、実際の緊急事態においても落ち着いて行動できるようになります。
机上訓練の定義から活用方法
机上訓練は、BCP訓練の中でも導入しやすく、多くの改善点を発見できる手法です。
会議室などの限られたスペースで実施でき、大規模な設備や多大なコストを必要としない特徴があります。
ここでは、机上訓練の具体的な定義やメリット、活用されるシナリオ、他の訓練との連携方法について詳しく解説します。
机上訓練の定義
机上訓練とは、想定シナリオをもとに会議室などに関係者が集まり、「この状況でどのように行動するか」を議論形式で検証する訓練方法です。
実際の避難行動や移動は行わず、思考と判断の流れを検証することに重点を置いています。
具体的には、ファシリテーターが災害シナリオを提示し、参加者がそれに対してどのような判断を下し、どのような行動をとるかを順番に発言していく形式で進められます。
この過程で、BCPに記載されている内容と実際の対応との間に生じるギャップが明らかになります。
机上訓練は「図上演習」とも呼ばれ、自衛隊や消防機関などでも広く採用されている訓練手法です。
企業においても、BCPの検証手段として効果的に活用されています。
机上訓練の主なメリット
机上訓練には、他の訓練方法と比較して多くのメリットがあります。
特に、初めてBCP訓練を実施する企業や、リソースが限られている中小企業にとって取り組みやすい方法といえます。
その主なメリットとして、まず低コストかつ短時間で実施できる点や、複数のシナリオを横断的に検討できる点が挙げられます。
また、訓練を通じて曖昧だった役割分担や連絡経路を浮き彫りにできるほか、部署を横断した共通認識の形成や、参加者の防災意識の向上にもつなげることが可能です。
実動訓練のように大規模な準備や業務の中断を必要としないため、比較的気軽に実施できる点も大きな利点です。
定期的に開催することで、BCPの改善サイクルを継続的に回すことができます。
活用される代表的なシナリオ
机上訓練では、自社にとって発生可能性が高く、かつ影響の大きい事象をシナリオとして設定します。
業種や地域特性によって想定すべきリスクは異なるため、自社の状況に合わせたシナリオ設計が重要です。
代表的なシナリオの例を以下に示します。
| 自然災害 | 地震、台風、洪水、大規模停電 |
|---|---|
| 感染症 | パンデミックによる出勤制限、在宅勤務への移行 |
| 情報障害 | サイバー攻撃、基幹システムの停止、データ消失 |
| サプライチェーン障害 | 主要取引先の被災、物流の途絶 |
シナリオを設定する際は、発生時刻や被害の程度、ライフラインの状況なども具体的に設定することで、より実践的な訓練が可能になります。
抽象的なシナリオでは議論が深まらないため、できるだけリアリティのある状況設定を心がけましょう。
他の訓練との併用による効果
机上訓練は単独でも効果がありますが、他の訓練と組み合わせることでBCPの実効性をより高めることができます。
段階的に訓練を実施することで、計画の検証から実際の行動確認まで網羅的にカバーできます。
効果的な訓練の組み合わせ例は以下の通りです。
- 机上訓練で課題を抽出する
- 実動訓練で実際の行動を検証する
- 通知訓練で連絡体制を確認する
まず机上訓練でBCPの問題点を洗い出し、改善を加えた上で実動訓練を行うことで、より効率的にBCPを磨き上げることができます。
それぞれの訓練の特性を理解し、計画的に実施していくことが重要です。
こうした訓練の効果を最大化するためには、安否確認や情報共有を迅速に行えるツールの活用が有効です。
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机上訓練を行う目的
机上訓練を実施する目的は、単にBCPの内容を確認することだけではありません。
訓練を通じて、計画の問題点を発見し、関係者間の認識を統一し、実際の行動につなげることが求められます。
ここでは、机上訓練の目的を「計画の不備・想定外リスクの洗い出し」「関係者間の共通認識の形成」「役割分担と意思決定フローの確認」という3つの軸から解説します。
計画の不備・想定外リスクの洗い出し
机上訓練の最も重要な目的の一つは、書面上では見えない問題点を顕在化させることです。
BCPを策定する段階では想定していなかった課題が、実際のシナリオを検討する中で浮かび上がってきます。
机上訓練で発見されやすい問題点としては、まず複数の担当者に同じ役割が割り当てられているといった重複や、鍵・権限、代替手段が明確に定義されていないといった不備が挙げられます。
また、通信障害時の対応方法が不明確であったり、必要な備蓄品の保管場所が周知されていなかったりする点も露呈しやすく、さらに外部との連絡手段が限定されていることに気づくきっかけにもなります。
これらの問題点は、実際に議論してみることで初めて明らかになるケースが多いです。
机上訓練を定期的に実施し、継続的にBCPを改善していくことが重要です。
関係者間の共通認識の形成
災害発生時には、複数の部署や拠点が連携して対応する必要があります。
机上訓練は、関係者間で優先順位や判断基準、情報共有方法についての認識をすり合わせる機会として有効です。
共通認識を形成すべき主な項目には、人命安全や事業継続、資産保護といった対応の優先順位に加え、どの段階でどのような対応をとるかという判断基準が含まれます。
さらに、連絡手段や報告ルート、会議体制といった情報共有の方法、および外部機関との連携方法についても、事前に足並みを揃えておくことが不可欠です。
部署間で認識のズレがあると、災害時に混乱が生じる原因となります。
机上訓練を通じて事前に認識を統一しておくことで、迅速かつ的確な対応が可能になります。
役割分担と意思決定フローの確認
災害発生時に誰が指揮を執り、どのような判断を下すのかを明確にしておくことは極めて重要です。
机上訓練では、役割分担と意思決定フローが適切に機能するかを検証します。
具体的な確認ポイントとしては、災害対策本部の設置基準や本部長の決定方法、各部署の責任者と代替要員の明確化が挙げられます。
また、経営層への報告タイミングと内容、応援要請や外部連携の判断基準、さらには権限委譲の範囲と条件が適切に定められているかを精査します。
特に、担当者が不在の場合の代替要員や、通常の指揮命令系統が機能しない場合の対応方法については、事前に明確にしておく必要があります。
机上訓練で実際にシミュレーションすることで、想定外の状況への対応力を高めることができます。
机上訓練の実施手順
机上訓練を効果的に実施するためには、事前の準備から実施後のレビューまで、一連の流れを体系的に進めることが重要です。
場当たり的な実施では十分な成果が得られないため、計画的に取り組む必要があります。
ここでは、机上訓練の実施手順を「シナリオ設定」「参加者選定」「進行設計」「レビューとBCPへの反映」に分けて解説します。
シナリオ設定のポイント
机上訓練の成否を分ける重要な要素のひとつが、シナリオ設定です。
自社にとって現実的かつ影響の大きい事象を選定し、詳細な状況設定を行います。
効果的なシナリオを設定するためには、まず平日日中や深夜、休日といった発生時刻を明確にすることが重要です。
また、建物損壊や設備故障、人的被害などの被害程度を具体化し、あわせて電気・水道・通信といったライフラインや交通機関の状況も詳細に設定します。
さらに、時間の経過に伴う状況の変化をシナリオに盛り込むことで、より実効性の高い訓練が可能になります。
シナリオは複数用意しておくと、様々な状況への対応力を検証できます。
初回は比較的シンプルなシナリオから始め、回を重ねるごとに複雑な状況を設定していく方法も効果的です。
参加者選定と役割の明示
机上訓練の参加者は、実際の災害時に対応に当たるメンバーを中心に選定します。
また、訓練を円滑に進めるための役割分担も事前に明確にしておく必要があります。
参加者の選定と役割設定においては、経営層や部門責任者、現場リーダーなど、階層を横断して参加を募ることがポイントです。
基本的には災害対策本部のメンバーを中心に構成しつつ、議論の内容や課題を漏れなく記録する記録係や、客観的な視点から訓練を評価するオブザーバーをあわせて配置するようにします。
全員が積極的に発言できる人数として、10名~20名程度が適切とされています。
大規模な組織の場合は、部門ごとに分けて実施する方法も検討しましょう。
進行設計とファシリテーション
机上訓練を効果的に進めるためには、適切なファシリテーターの存在が欠かせません。
ファシリテーターは訓練全体の進行を担い、参加者から意見を引き出す役割を果たします。
進行設計にあたっては、テーマを限定した上で30分から2時間程度を目安に実施し、シナリオ提示、議論、振り返りの時間配分をあらかじめ決めておきます。
訓練中は発言内容や課題をホワイトボードなどで可視化するように努め、「誰が、いつ、どのように判断するか」という意思決定のプロセスを深く掘り下げていくことが大切です。
ファシリテーターは社内の人材で対応することも可能ですが、必要に応じて外部の専門家に依頼することも有効です。
外部ファシリテーターを活用することで、社内では気づきにくい課題を指摘してもらえる場合があります。
レビューとBCPへの反映
机上訓練で得られた成果をBCPに反映することが、訓練の最も重要な目的です。
訓練後は必ずレビューを行い、改善点を整理して計画に落とし込む必要があります。
レビューとBCP反映の具体的な手順としては、まず発見された課題を一覧化して優先順位をつけます。
次に、各課題に対する改善策と担当者、期限を明確に定義した上で、実際にBCPの該当箇所を修正し、関係者に周知します。
また、次回の訓練で継続して検討すべき事項を整理しておくことも、計画をブラッシュアップし続けるためには欠かせません。
訓練を実施しただけで終わってしまうと、せっかくの気づきが活かされません。
レビューの結果は文書化し、組織として共有することで、BCPの継続的な改善につなげましょう。
机上訓練を成功させるポイント
机上訓練を形式的なものにせず、実効性のある訓練とするためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
また、多くの企業が直面する共通の課題とその改善策を把握しておくことで、より効果的な訓練が実施できます。
ここでは、机上訓練を成功させるための具体的なポイントと、よくある課題への対処法、さらに参考となる企業・自治体の事例を紹介します。
成功させるための4つのポイント
机上訓練を成功させるためには、以下の4つのポイントを意識して取り組むことが重要です。
これらを押さえることで、形式的な訓練を避け、実質的な成果を得ることができます。
第一に、自社の実態に即したリアルなシナリオを設定することが重要です。
汎用的なシナリオでは参加者の当事者意識が薄れやすく、議論が深まらない傾向にあります。
第二に、小規模・短時間から開始し、定期的に実施することを心がけましょう。
最初から大規模な訓練を計画すると、準備の負担が大きく継続が難しくなります。
第三に、ファシリテーターを適切に配置することが重要です。
議論が停滞したり、特定の人物だけが発言する状況を避けるため、経験豊富なファシリテーターの存在が効果的です。
第四に、発言しやすい雰囲気づくりを心がけることです。
役職に関係なくフラットに意見を出し合える環境を整えることで、現場目線での課題が浮かび上がりやすくなります。
よくある課題と改善のヒント
机上訓練を実施する中で、多くの企業が共通して直面する課題があります。
これらの課題を事前に把握し、適切な対策を講じることで、訓練の効果を高めることができます。
| よくある課題 | 改善のヒント |
|---|---|
| シナリオの想定が甘い | 複数のシナリオを用意し、段階的に難易度を上げる |
| 訓練時間が長くなりすぎる | テーマを絞り込み、60分~90分を目安に実施する |
| 訓練後のフォローがない | BCPへのフィードバックを必須プロセスとして組み込む |
| 参加者の発言が偏る | 事前に各自の役割を明確化し、全員に発言機会を設ける |
| 形式的な訓練になる | 外部専門家を招いて客観的な評価を受ける |
特に「やりっぱなし」になってしまうケースは非常に多く見られます。
訓練で発見した課題を必ずBCPに反映し、次回訓練で改善状況を確認するサイクルを確立することが重要です。
企業・自治体の進行事例
机上訓練の具体的なイメージをつかむため、企業や自治体での想定事例を紹介します。
自社での訓練を計画する際の参考としてご活用ください。
製造業A社(物流停止シナリオ)の事例では、主要取引先の被災により物流が停止した想定で訓練を実施しました。
訓練を通じて、代替拠点からの出荷体制、社内外への情報共有方法、優先出荷品目の判断基準が未定義であることが判明しました。
この結果を受けて、代替拠点との事前契約の整備、緊急連絡網の構築、優先出荷品目リストの作成などの改善が行われました。
大学B校(地震・安否確認シナリオ)の事例では、大規模地震発生時の学生・教職員の安否確認を想定した訓練を実施しました。
訓練により、安否確認システムの操作理解不足、避難場所の周知不足、外部への情報発信体制の不備が課題として挙がりました。
改善策として、システム操作マニュアルの更新と再教育、避難場所の掲示強化、広報担当者の明確化が実施されました。
自治体C市(避難所運営シナリオ)の事例では、大規模災害時の避難所運営を想定した机上訓練を実施しました。
物資の在庫情報共有、要配慮者への対応方法、ボランティアとの連携体制などに課題が見つかりました。
これを受けて、物資管理システムの導入検討、要配慮者名簿の更新、役割分担表の整備といった改善が進められました。
まとめ
BCPは策定するだけでは機能せず、訓練を通じた検証と改善の繰り返しが実効性の担保につながります。
その中でも机上訓練は、コストと時間を抑えつつ多くの課題を発見できる、BCP運用の有効な第一歩です。
本記事では、机上訓練の定義や目的、実施手順、成功のポイント、よくある課題と改善策、実際の事例について解説しました。
重要なのは、訓練を一度きりのイベントとせず、継続的に実施してBCPに反映していくことです。
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