72時間の壁とは?災害時に生存率が下がる理由と実践すべき対策を紹介
2026/02/20
災害が発生した際、最初の72時間は「生死を分ける決定的な時間」と呼ばれています。
この時間帯を指す「72時間の壁」という言葉は、阪神・淡路大震災の教訓から生まれた概念であり、現在では防災計画やBCP(事業継続計画)策定の基本的な考え方として広く認知されています。
なぜ72時間という時間が重要なのでしょうか。
それは、人間の生存限界と行政支援の本格化までの空白期間という2つの要因が重なるためです。
本記事では、72時間の壁の定義や科学的根拠から、企業・家庭で実践できる具体的な対策まで詳しく解説します。
BCP対策を強化したい企業の防災担当者や総務担当者、経営者の方々はぜひ参考にしてください。
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72時間の壁とは
72時間の壁とは、災害発生後に人命救助の生存率が急激に低下する分岐点を指す言葉です。
この概念は過去の大規模災害における救助活動のデータ分析から導き出されたものであり、防災計画の基本的な考え方として定着しています。
ここでは、72時間の壁が誕生した背景と、この概念が持つ意味について詳しく解説します。
阪神・淡路大震災から生まれた概念
72時間の壁という概念は、1995年に発生した阪神・淡路大震災の救出データ分析から生まれました。この震災では、建物の倒壊により多くの方が瓦礫の下に閉じ込められ、救助活動が困難を極めました。
救助活動の記録を詳細に分析した結果、救出時間と生存率の間に明確な相関関係があることが判明しました。特に発災から72時間を境に、生存者の発見確率が著しく低下するという事実が明らかになったのです。
この発見は、その後の日本の防災政策に大きな影響を与えました。
現在では、地域防災計画やBCPの策定において、72時間を意識した初動対応の設計が標準的な考え方となっています。
救出時間と生存率の関係
阪神・淡路大震災のデータによると、救出された方の生存率は発災当日で約75%、2日目で約24%、3日目で約15%、4日目以降は約5%まで低下しました。
このデータは、時間の経過とともに生存可能性が急速に失われていくことを示しています。
特に注目すべきは、3日目から4日目にかけての急激な低下です。
72時間を超えると、生存率が15%から5%へと3分の1以下に減少しており、この時点が生存の分水嶺となっていることがわかります。
このような統計的事実に基づき、災害対応においては「いかに72時間以内に救助を完了するか」という視点が重要視されるようになりました。
黄金の72時間と呼ばれる理由
72時間の壁は「黄金の72時間」とも呼ばれています。
この呼称は、発災後72時間が人命救助において最も価値のある時間帯であることを強調しています。
黄金という表現には、この時間帯に適切な対応ができるかどうかが、救える命の数を大きく左右するという意味が込められています。
逆に言えば、この72時間を有効に活用するための事前準備が、防災対策の核心となるのです。
企業においても、従業員の安全確保と事業継続の観点から、黄金の72時間を意識した計画策定が求められています。
72時間の壁で生存率が低下する理由
72時間という時間が生存の限界点となる背景には、科学的根拠と現実的な制約が存在します。
人体の生理的限界、災害環境の過酷さ、そして行政支援の体制構築に要する時間が複合的に作用しています。
なぜ72時間が限界なのか、その理由を具体的に解説します。
人間の生理的限界と72時間
人間が水分を摂取せずに生存できる限界は、一般的に約72時間とされています。
これは医学的な知見に基づく数値であり、72時間の壁が設定される主要な根拠の一つです。
水分不足は脱水症状を引き起こし、血液の循環機能を低下させます。
さらに体温調節機能にも影響を及ぼし、低体温症や熱中症のリスクを高めます。
災害時に瓦礫の下に閉じ込められた場合、負傷や出血を伴うケースも多く、体力の消耗はさらに加速します。
これらの要因が重なることで、72時間を超えると生存率が急激に低下するのです。
災害環境特有の悪条件
災害現場では、通常の環境では考えられない過酷な条件が重なります。
瓦礫の下では水分摂取が不可能なだけでなく、圧迫による血流障害、粉塵による呼吸困難、狭い空間での体温低下などが同時に発生します。
さらに、救助を待つ間の精神的ストレスも無視できない要因です。
暗闘、孤独、いつ助けが来るかわからない不安は、心身両面に大きな負担をかけます。
これらの複合的な要因により、健康な成人であっても72時間を超えると生存が困難になります。
高齢者や持病のある方、乳幼児については、さらに短い時間で危険な状態に陥る可能性があります。
行政支援の空白期間
72時間の壁が重要視されるもう一つの理由は、行政による本格的な支援体制が整うまでに要する時間です。
大規模災害の発生直後から72時間程度は、被害状況の把握、人員の調整、物資の輸送準備に追われ、公助が十分に届かない空白期間となります。
この期間、被災者は基本的に自助と共助に頼らざるを得ません。
自治体や消防、自衛隊などの公的機関も全力で対応しますが、被災地域が広範囲にわたる場合、すべての現場に即座に対応することは物理的に不可能です。
したがって、企業や家庭においては「72時間を自力で乗り切る」ことを前提とした備えが不可欠となります。
この認識が、現代の防災計画やBCP策定の基本的な考え方を形成しています。
企業の防災担当者は、この空白期間における従業員の安全確保と事業継続の両立を図る必要があります。
そのためには、安否確認システムや備蓄品管理など、具体的なツールの導入を検討することが重要です。
72時間の壁における救助の実態
72時間の壁を乗り越えるためには、公的機関による救助だけでなく、自助・共助の力が極めて重要です。
阪神・淡路大震災の分析からは、近隣住民による救助活動が高い効果を発揮したことが明らかになっています。
ここでは、自助・共助の具体的な効果と、救助活動の実態について解説します。
近隣住民による救出の高い生存率
阪神・淡路大震災のデータによると、近隣住民によって救出された方の生存率は約8割に達しました。
一方で、消防・警察・自衛隊などの公的機関による救出は約2割にとどまりました。
なぜ近隣住民による救助が高い生存率を記録したのでしょうか。
その理由は、発災直後に現場に駆けつけることができるスピードにあります。
消防隊や自衛隊は専門的な技術と装備を持っていますが、現場への到着には時間を要します。
一方、近隣住民は発災直後から救助活動を開始でき、72時間の壁を意識した迅速な対応が可能です。
救助活動の困難さと必要な人員
災害時の救助活動は、想像以上に多くの労力を必要とします。
阪神・淡路大震災の分析では、木造家屋から1人を救出するのに平均約84人・分の労力が必要であり、鉄筋コンクリート建物からは約188人・分の人数・時間を要したという試算もあります。
この数値は、瓦礫の撤去や安全確保に膨大な人手と時間がかかることを示しています。
専門的な重機がなければ、手作業での救出活動には限界があります。
このような現実を踏まえると、事前の備えによって救助が必要な状況に陥ることを防ぐことの重要性が理解できます。
建物の耐震化や家具の固定など、事前対策が72時間の壁を乗り越えるための基盤となります。
初動の速さが生死を分ける
72時間の壁を考える上で最も重要なのは、初動対応の速さです。
現場への到着が早ければ早いほど、生存率は高くなります。
企業においては、発災直後の安否確認と初動指示が初動対応の核となります。
従業員の状況を迅速に把握し、適切な指示を出すことで、二次災害の防止と早期復旧につなげることができます。
そのためには、平時からの訓練と、確実に機能する連絡体制の構築が欠かせません。
災害発生時に混乱なく行動できるよう、役割分担と手順を明確にしておくことが重要です。
企業が72時間の壁を意識して
準備すべき部門
企業が72時間の壁を乗り越えるためには、組織的な準備体制が必要です。
特に重要な役割を担うのが、危機管理担当、BCP担当、総務担当の3つの部門です。
各部門が果たすべき役割と、準備すべきポイントについて解説します。
危機管理担当の役割と重要ポイント
危機管理担当は、人命最優先の初動指揮を担う部門です。
安否確認、被害把握、情報統制といった災害対応の中核的な業務を遂行します。
72時間の壁を意識した準備として、指揮命令系統の明確化が最も重要です。
誰がどのような権限を持ち、どのような判断を下すのかを事前に決めておかなければ、発災時に混乱が生じます。
また、情報収集ルートの多重化も欠かせません。
通信インフラが被害を受けた場合に備え、複数の連絡手段を確保しておくことが重要です。
さらに、行政機関やメディアへの対応についても、初動段階で誰が窓口となるかを決めておく必要があります。
正確な情報発信は、ステークホルダーからの信頼維持に直結します。
BCP担当の役割と重要ポイント
BCP担当は、72時間以内の事業存続判断と初期復旧を担当する部門です。
重要業務の継続可否判断と、代替手段の確保が主な役割となります。
72時間の壁を乗り越えるためには、優先業務の特定が不可欠です。
すべての業務を同時に復旧させることは現実的ではないため、事業継続に不可欠な業務を事前に洗い出しておきます。
代替拠点やバックアップ体制の整備も重要な準備項目です。
本社機能が使用できない場合に備え、どこで誰がどのように業務を継続するかを計画しておく必要があります。
72時間以内の復旧シナリオは複数用意しておくことが望ましいです。
被害の程度に応じて柔軟に対応できるよう、複数のパターンを想定した計画を策定します。
総務担当の役割と重要ポイント
総務担当は、物資・人員・生活支援の調整と、従業員とその家族の安全確保を担う部門です。
72時間の壁を乗り越えるための実務的なサポートを提供します。
72時間分の備蓄管理は総務担当の重要な責務です。
保存水、非常食、救急用品などの在庫状況を定期的に確認し、消費期限・賞味期限の管理を行います。
帰宅困難者への対応も72時間の壁を意識した準備が必要な項目です。
都市部では、大規模災害発生時に多くの従業員が帰宅困難となる可能性があり、社内待機のための環境整備が求められます。
精神的ケアと情報提供体制の構築も忘れてはなりません。
災害発生時の不安を軽減するため、正確な情報を適時に提供できる仕組みを整えておくことが重要です。
72時間の壁を乗り越えるための対策
72時間の壁を乗り越えるためには、具体的な対策を事前に講じておく必要があります。
企業・家庭を問わず実践できる対策として、備蓄の準備、防災訓練の実施、ハザードマップの確認が挙げられます。
それぞれの対策について、具体的な方法を解説します。
防災グッズ・備蓄の準備方法
72時間の壁を意識した備蓄では、最低3日分の物資を確保することが基本です。
特に重要なのは水と食料であり、1人1日あたり3リットルの水と、調理不要な非常食を3日分用意します。
水と食料以外にも、懐中電灯、携帯ラジオ、モバイル充電器、救急セット、常備薬、簡易トイレなどが必要です。
これらの備蓄品は、すぐに持ち出せる場所に配置しておくことが重要です。
備蓄品の管理で見落としがちなのが、消費期限・賞味期限と電池の定期点検です。
いざという時に使用できないという事態を避けるため、年に1〜2回は点検の機会を設けることをお勧めします。
企業においては、従業員数に応じた備蓄量の確保と、備蓄場所の分散配置を検討する必要があります。
一か所に集中させると、その場所が被害を受けた場合にすべての備蓄を失うリスクがあります。
定期的な防災訓練の実施
72時間の壁を乗り越えるためには、知識だけでなく実践的なスキルが必要です。
そのため、定期的な防災訓練の実施が欠かせません。
家庭・企業共通で実施すべき訓練として、避難経路と集合場所の確認、初期消火訓練、救出訓練などがあります。
実際に体を動かして訓練することで、いざという時に迷わず行動できるようになります。
地域防災訓練への参加も重要です。
72時間の壁では共助の力が大きな役割を果たすため、近隣住民との連携体制を構築しておくことが有効です。
訓練は一度実施して終わりではありません。
訓練で見つかった課題を抽出し、改善策を検討し、次回の訓練に反映させるというPDCAサイクルを回すことが重要です。
ハザードマップの確認と活用
72時間の壁を意識した準備として、ハザードマップの確認は基本中の基本です。
自社や自宅がどのようなリスクにさらされているかを把握することで、適切な対策を講じることができます。
ハザードマップで確認すべき内容は、洪水リスク、土砂災害リスク、津波リスクなど多岐にわたります。
危険区域と安全区域を把握し、避難ルートの選定に活用します。
避難ルートは複数想定しておくことが重要です。
災害の種類や規模によって最適なルートは変わるため、複数の選択肢を持っておくことで柔軟な対応が可能になります。
同様に、避難先についても複数の候補を持っておくことをお勧めします。
企業であれば、家族や従業員との間で事前に避難場所を共有しておくことで、72時間の壁の間の安否確認がスムーズになります。
72時間の壁を乗り越えるための対策は、日常的な準備の積み重ねによって効果を発揮します。
総合防災アプリ「クロスゼロ」を活用すれば、安否確認や備蓄品管理を効率的に行うことができます。
まとめ
72時間の壁とは、災害発生後に人命救助の生存率が急激に低下する分岐点を指す概念です。
阪神・淡路大震災の救出データから生まれたこの考え方は、現代の防災計画やBCP策定において重要な基準となっています。
72時間が限界となる理由は、人間の生理的限界と行政支援の空白期間という2つの要因にあります。
この時間帯は自助・共助が最も重要であり、企業・家庭ともに「72時間を自力で乗り切る」ことを前提とした備えが不可欠です。
企業においては、危機管理担当、BCP担当、総務担当の3部門が連携し、組織的な準備体制を構築することが求められます。
備蓄の準備、防災訓練の実施、ハザードマップの確認など、具体的な対策を日常的に積み重ねていくことが重要です。
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