遠隔臨場アプリとは?現場管理を効率化するおすすめ3選を紹介!

遠隔臨場アプリとは?現場管理を効率化するおすすめ3選を紹介!

2025/07/03

土木

建設現場の業務効率化が求められる今、遠隔臨場アプリが注目を集めています。遠隔地から現場の状況をリアルタイムで確認できるこの技術は、移動時間の削減や意思決定の迅速化など建設業における働き方改革にもつながります。

しかし「どんなアプリを選べばいいのか」「導入するメリットは具体的に何か」と迷われている方も多いのではないでしょうか。特に数多くのアプリが登場している中で、自社の現場に最適な選択をするのは簡単ではありません。

本記事では、遠隔臨場アプリの基本から選び方、おすすめの製品まで徹底解説します。

導入を検討されている方はもちろん、すでに導入済みでより効果的な活用法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

遠隔臨場アプリとは?

遠隔臨場とは、建設現場などの状況をリアルタイムで遠隔地から確認できるシステムです。

国土交通省の定義によると「動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)によって取得した映像及び音声を利用し、遠隔地からWeb会議システム等を介して『段階確認』『材料確認』と『立会』を行うこと」とされています。

具体的には、現場作業員がウェアラブルカメラやスマホを装着し、その映像を事務所にいる監督者がリアルタイムで確認するシステムです。監督者が現場に直接行かなくても、品質確認や安全管理が可能になります。

遠隔臨場アプリは、このシステムをスマホやタブレットで簡単に利用できるようにしたソフトウェアです。専用のアプリをインストールするだけで、高価な機器を導入せずとも遠隔臨場を実現できます。

建設業における働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策、技術者不足への対応として、国土交通省も積極的に遠隔臨場の導入を推進しています。

2020年には「建設現場の遠隔臨場に関する実施要項」が策定され、公共工事での活用が急速に広がっています。

遠隔臨場の基本的な仕組みと導入の背景

遠隔臨場システムは、現場と事務所をリアルタイムの映像・音声でつなぐことで、遠隔地から建設工事の確認を可能にする技術です。現場管理の効率化と働き方改革を同時に実現できるツールとして注目されています。

遠隔臨場システムが建設業界で急速に普及している背景には、業界特有の課題解決への期待があります。

遠隔臨場システムの基本構成は、以下のとおりです。

現場側 事務所側
  • スマホ
  • タブレット
  • ウェアラブルカメラ
  • パソコン
  • タブレット
  • 大型モニター

建設業界で遠隔臨場が注目される主な理由は、以下のとおりです。

人手不足への対応 小規模事業所では人材が限られており、現場確認の移動が大きな負担
時間効率の向上 複数現場の管理が必要な監督者の移動時間を大幅に削減
コロナ対策 対面接触の機会を減らし、感染リスクを低減
働き方改革 長時間労働の是正や業務効率化に貢献

国主導のプロジェクトも遠隔臨場の普及を後押ししています。

遠隔臨場は、単なる便利なツールではなく、建設業界の構造的課題を解決するための手段です。移動時間の削減と効率的な現場管理を両立させ、今後もさらに活用範囲が広がっていくでしょう。

遠隔臨場アプリの導入効果

遠隔臨場アプリの導入は、建設現場に多くのメリットをもたらします。最も大きな効果は、移動時間と人件費の削減です。

導入によって得られる主な効果は、以下のとおりです。

業務効率の向上 立会いにかかる待機時間の削減と複数現場の同時確認が可能
コスト削減 交通費や人件費の削減
書類作成の効率化 映像記録が自動的に保存され、報告書作成が効率化
意思決定の迅速化 問題発生時に即座に専門家の判断を仰げる

遠隔臨場アプリは、新型コロナウイルス対策として、対面接触機会の減少にも貢献しています。特に複数の関係者が集まる必要がある検査や立会いの場面で、感染リスクを低減できます。

記録された映像データは、トラブル発生時の証拠として活用できるほか、教育・研修資料としても価値があります。過去の工事記録を簡単に参照できるため、ノウハウの蓄積と共有が進み、技術継承にも効果的です。

遠隔臨場アプリの主な活用シーン

遠隔臨場アプリは建設現場の効率化と品質向上を実現するツールであり、さまざまな現場シーンで幅広く活用されています。プロジェクト全体の流れをスムーズにするために役立つ技術です。

遠隔臨場アプリが重視される理由は、現場に直接行かなくても迅速な判断と対応が可能になるからです。
リアルタイム映像を通じた遠隔確認により、移動時間の削減や即時対応が可能になります。
国土交通省が策定した「建設現場の遠隔臨場に関する実施要項」では、遠隔臨場の活用場面として立会確認や段階確認が位置づけられています。

建設現場で特に効果を発揮する主な活用シーンは、以下のとおりです。

施工状況の確認と立会い コンクリート打設や鉄筋組立時の品質確認を遠隔で実施
材料・製品の検査 建設資材の納入時検査を工場や納入現場と接続して実施
緊急トラブル対応 現場で発生した問題に対し、責任者がリアルタイムで状況確認と指示
安全パトロール 安全担当者による複数現場の効率的な巡回と危険箇所の早期発見
完成検査と引渡し 工事完了時の検査を関係者全員が効率的に実施

遠隔臨場アプリは、単なる便利ツールではなく、建設プロジェクト全体の品質と安全を確保しながら効率化を実現する重要な手段です。特に遠隔地や山間部などアクセスが困難な現場ほど、その効果が顕著に表れるでしょう。

遠隔臨場アプリの選び方|導入前に確認すべきポイント

遠隔臨場アプリを導入する際には、自社の業務フローや現場環境に合った製品を選ぶことが大切です。コストをかけて導入しても、使い勝手が悪ければ現場に定着せず、投資対効果が得られない恐れがあるからです。

最適なアプリを選ぶためには、いくつかのポイントを事前に確認する必要があります。主なポイントは、以下のとおりです。

ポイントを参考に、自社に最適なアプリを見つけることで、導入後の活用度を高め、建設現場の効率化を実現できるでしょう。

通信の安定性と画質・音声のクオリティ

遠隔臨場アプリを選ぶ際、最も重視すべきは通信の安定性と映像・音声の品質です。
通信の安定性が重要視される理由は、建設現場特有の環境にあります。山間部や地下、高層階など電波状況が不安定な場所でも途切れることなく通信できる能力が求められます。

複数人での同時接続時にも安定したパフォーマンスを維持できるかどうかも大切なポイントです。

実際の現場では、以下のような点に注目して製品を比較すると良いでしょう。

  • 通信環境が悪い場所でも接続が維持できるか
  • 通信状況に応じて画質を自動調整する機能はあるか
  • 通信が途切れた場合のバックアップとして録画できるか
  • 建設現場の騒音下でも音声が明瞭に伝わるか
  • 細部確認時に拡大しても十分な解像度があるか

遠隔臨場システムでは、通信の安定性と高品質な映像・音声が欠かせません。導入前には、実際の使用環境で通信テストを行い、現場の条件下でもスムーズに動作することを確認しましょう。

操作性のシンプルさ

遠隔臨場アプリを選ぶ際は、シンプルな操作性も確認しましょう。直感的に使えるアプリなら、スムーズに導入・活用できます。どれだけ高機能なアプリでも、現場の作業員が使いこなせなければ意味がありません。

現場作業員は防護手袋を着用していることが多く、細かなタッチ操作が困難です。日差しの強い屋外や暗所での視認性、騒音下での操作性など、オフィス環境とは大きく異なる条件下で使用されるため、操作性は必ず確認しましょう。

操作性を評価する際のチェックポイントは、以下のとおりです。

  • アプリ起動から接続開始までのステップ数と所要時間
  • 説明書がなくても操作できるシンプルなUI設計
  • 手袋着用時でも押しやすい大きなボタン配置
  • ハンズフリーで操作できる音声認識機能
  • 通信エラー発生時の復旧手順のシンプルさ

操作性のシンプルさは遠隔臨場アプリ選びの判断基準の一つです。実際の現場環境を想定した操作性テストを行い、さまざまな条件下でも直感的に使えるアプリの選択が、導入後の活用度を高めるためにも求められるでしょう。

対応デバイスとクラウド連携

遠隔臨場アプリを選ぶ際は、対応デバイスの範囲とクラウドサービスとの連携性もポイントの一つです。多様な機器で利用でき、他システムとスムーズに連携できるアプリほど、現場での活用範囲が広がります。

対応デバイスとクラウド連携が重要な理由は、建設業界のIT環境の多様性にあります。各社で異なるOS・デバイスを使用していることが多く、取引先との互換性も考慮しなければなりません。
施工管理システムや図面管理ソフトなど、既存のシステムとの連携ができれば、業務効率が格段に向上するでしょう。

デバイスとクラウド連携に関する確認ポイントは、以下のとおりです。

  • iOS/Android両方のスマホ・タブレットに対応しているか
  • 事務所側でのPC視聴・操作が可能か
  • ウェアラブルカメラなど特殊機器との連携はどうか
  • 撮影データのクラウド保存容量と保存期間
  • 工程管理ソフトや文書管理システムとの連携機能

対応デバイスの幅広さとクラウドシステムとの連携性は、遠隔臨場アプリの実用性を大きく左右します。自社の既存システム環境を整理し、シームレスに連携できるアプリを選ぶようにしましょう。

おすすめ遠隔臨場アプリ3選

ここまで遠隔臨場アプリの機能や選び方について解説してきました。では、実際にどのようなアプリが市場で評価されているのでしょうか。ここでは、おすすめの遠隔臨場アプリとして、以下の3選をご紹介します。

それぞれの特徴などを確認していきましょう。

遠隔臨場 SiteLive

遠隔臨場SiTE-Liveの画面が映ったパソコンとスマホの画像、SiTE-Liveという文字。
引用:遠隔臨場 SiteLive公式サイト
提供会社 株式会社建設システム(KENTEM)
初期登録料 30,000円(税抜)
利用料 月額:20,000円(税抜)/工事
年額:200,000円(税抜)/工事
主な特徴
  • 検査映像や画像を「KSデータバンク」に自動保存
  • 録画データを発注者と簡単に共有可能
  • 工種ごとにデータを紐づけて登録でき、管理の手間を削減
  • 配信映像と設計データを同時に共有できるため、立会・説明がスムーズ

「遠隔臨場 SiteLive」は株式会社建設システムが提供する建設現場向けの遠隔臨場アプリです。使いやすいインターフェースと充実した機能で、効率的な現場管理を実現します。

遠隔臨場 SiteLiveは、データ管理と共有機能に優れており、特に設計データを確認しながら遠隔で検査できる点が大きな特徴です。クラウド保存による自動整理機能で事務作業の効率化にも貢献するため、書類作成の負担軽減を重視する現場に適切なアプリと言えるでしょう。
遠隔臨場 SiteLiveの詳細を確認する

みらいコネクト

みらいコネクト(遠隔作業支援DX)。アプリの説明「作業現場と遠隔地との間で、作業現場の映像と双方向の音声会話をリアルタイムで共有・録画することが可能なサービスです。」、ヘルメットをかぶった男性の写真
引用:みらいコネクト公式サイト
提供会社 株式会社ミライト・ワン
対応デバイス 専用ウェアラブル「THINKLET®」、スマホ、Webカメラなど
主な特徴
  • 電源を入れてデバイスを装着するだけで使用可能
  • 現場に応じて最適なカメラデバイスを選択できる柔軟性
  • 首掛け型ウェアラブルデバイスによるブレの少ない映像
  • ブラウザからズーム・露出補正・録画操作が可能
  • 複数の場所から同時に映像を確認できる機能

「みらいコネクト」は株式会社ミライト・ワン・システムズが提供する、誰でも簡単に使える遠隔臨場システムです。特に操作性とデバイスの選択肢の豊富さが特徴となっています。

みらいコネクトは、特にITに不慣れな現場作業員でも使いこなせる操作性の高さが魅力です。首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET®」は、他の眼鏡型や頭部装着型よりも安定した映像を提供し、長時間の使用でも疲れにくい設計になっています。

視聴側の操作性も高く、現場とのコミュニケーションがスムーズに行えるため、建設現場の効率化と安全性向上に貢献するシステムと言えるでしょう。
みらいコネクトの詳細を確認する

Xacti LIVE

アプリ名のXacti LIVE。その下に作業の様子の写真が4枚並んでいる。
引用:Xacti LIVE公式サイト
提供会社 株式会社ザクティ
専用デバイス ウェアラブルカメラ「CX-WL100W」(29g)
料金プラン 購入:月額3,980円、初期費用99,000円
レンタル:月額9,900円、初期費用30,000円
※いずれも最低契約期間12カ月以上
主な特徴
  • わずか29gの小型カメラ「CX-WL100W」で作業者の負担を軽減
  • 作業者視点からのブレの少ない高品質な映像を提供
  • 専用アプリから画質の最適化やズーム、明るさ調整などのリモート制御
  • GPS情報と連携した複数現場の一元管理が可能
  • 歪みやノイズの少ない映像で作業記録の精度を向上

Xacti LIVEは、リアルタイムでの映像共有と音声指示により、離れた現場とオフィスをシームレスにつなぐ遠隔支援ツールです。メンテナンスや設備工事、点検作業などさまざまな業務シーンで活用されています。

Xacti LIVEの特徴は、超軽量カメラによる作業者の負担軽減と、高品質な映像によるリモート監視・指導の精度の高さです。特に複数現場をGPS情報と併せて管理できる点は、広域で多数の現場を抱える企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

料金プランも購入とレンタルの選択肢があり、導入規模や期間に応じて柔軟に選べる点も魅力です。
Xacti LIVEの詳細を確認する

まとめ

遠隔臨場アプリは、建設業界の効率化と働き方改革を同時に実現するツールです。現場と事務所をリアルタイムの映像・音声でつなぐことで、移動時間の削減や業務効率の向上、現場品質の確保といった多くのメリットをもたらします。

アプリを選ぶ際は、通信の安定性と画質・音声のクオリティや操作性のシンプルさ、対応デバイスとクラウド連携など、複数の視点から総合的に判断する必要があります。
特に建設現場の厳しい環境下でもストレスなく使えるか、自社の既存システムと連携できるかなどを重視しましょう。

本記事で紹介したアプリの中でも「遠隔臨場 SiteLive」は設計データを確認しながら遠隔で検査できる機能や、クラウド保存による自動整理機能など、使いやすさと機能性を両立しています。

クラウドでのデータ管理と共有機能に優れており、書類作成の負担軽減を重視する現場に特におすすめです。

国の政策による後押しもあり、今後さらに遠隔臨場の重要性は高まっていくでしょう。現場の効率化と働き方改革を進めるためにも、ぜひ自社に合った遠隔臨場アプリの導入を検討してみてください。

  • みらいコネクトは、株式会社ミライト・ワン・システムズの登録商標または商標です。
  • Xacti LIVEは、株式会社ザクティの登録商標または商標です。
  • その他の社名、および製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。