導入活用事例(製品レビュー)
電子納品対応を機に現場システム標準化
プレストレスト・コンクリート技術の先駆者として数々の実績を持つ同社。広汎な土木/建築分野を切り開き、内外へ幅広く展開している。
- 会社名
- 株式会社ピーエス三菱
- 所在地
- 東京都中央区晴海
CALS/EC電子納品対応を機に現場システム標準化を推進
PC(プレストレスト・コンクリート)工法は、橋梁や海洋構造物、大型建築構造物など、各種のコンクリート構造物の代表的な工法の一つである。東京都中央区に本社を置くピーエス三菱は、1952年、わが国で初めてこのPC工法を工業化し設立された企業。設立以来半世紀余り、同社はこのPC工法の先駆者として各種の建設工事に豊富な実績を蓄積。いまや国内全域をフィールドとして、橋梁、港湾などを中心に土木、建築分野に幅広く展開している。――そんな同社では、2005年6月、以前から進めていたCALS/EC対応のための現場IT化計画を本格稼働し、施工管理システム「デキスパート」(建設システム)を、順次同社の全国の現場へ導入。デキスパートによる現場システム標準化を開始した。この計画を主導する情報システム部の尾崎氏は語る。
「公共土木は当社事業の主柱の一つであり、私たちもCALS/EC対策に早くから取り組んできました。しかしこのCALS対策ということを別にしても、厳しさを増す市場環境のもと、いまやIT化は避けて通れない現場の重要課題となっています。電子納品への対応と合わせ、現場には業務をトータルに効率化できる施工管理システムがどうしても必要だったのです」(尾崎氏)。
もちろん同社の現場でもIT化は進行していたが、現実には各支店あるいは現場ごとに個別に進められており、システムやツールについてはまったく統一されていなかったのである。これでは1つの現場が終わり次の現場に行った時、それまでと違うシステムやツールにを使うために技術者は1から操作を覚えなければならない。また、さまざまな製品が混在する環境は、ソフト管理の点からも問題が多い。その意味でも、電子納品対応は、同社にとって現場システム標準化への大きなチャンスだったといえるのである。
「こうした事情を踏まえ、私たちが電子納品対応製品の選定を開始したのは2004年始めのこと。といってもシステムを使うのは現場の技術者ですから、実は当製品選びについても、現場の技術者たちに主役になってもらったのです」(尾崎氏)。
現場の技術者たちが選んだ現場に最適な施工管理システム
こうした経緯を経て、製品選定はまず同社の全国支店が使っている電子納品ソフトやCADを調査することから始まった。ここで尾崎氏に協力したのが、土木部門を統括する土木統括部だ。同部の東條氏は語る。
「土木部門だけで全国250箇所を超える当社現場で使おうというシステムですから、導入本数も相当の数になりますし、選定ミスは許されません。そこで各支店で実績のある製品をピックアップし、その中から選定しようと考えました。現場では実にさまざまな製品が使われていましたが、中でも実績のあるものを選び、検証した上で2本に絞り込みました。その1本がデキスパートだったのです」(東條氏)。
こうして、尾崎氏らは2種の製品を支店に委託。1年近くにわたり実際に現場で使ってもらい、現場の判断を仰いだのである。忙しい業務のなか、未知のソフトを試すのは負担だったはずだが、デキスパートは想像以上に多くの技術者に使われ大きな好評を集めたのだ。なぜデキスパートがこれほど多くの支持を集めたのか。理由は、それが現場に最適化されたシステムだったからだ、と両氏は語る。
「建設会社向けのプログラムが充実している点が大きかったですね。出来形管理や写真管理、コンクリート品質管理、文書作成支援も現場ではとても重宝します。現場経験のある人なら、これが電子納品の有無に関わらず現場で効果を発揮する製品だとすぐ分かるでしょう」(東條氏)。
さらにもう一つポイントとなったのはシステム自体が分かりやすく、操作が簡単な点である。現場ではExcel、Wordで苦労するスタッフも多く、インストールでつまづく可能性さえある。だからこそ現場の流れに沿って直感的に使える、デキスパートのインターフェイスと、緻密なフォロー体制は大きな選定ポイントとなったのだ。
「前述の通り、当社の土木現場は全国200箇所に及びますが、デキスパート導入現場には、建設システムが担当者を派遣し、直接現場をサポートしてくれるのです。しかもイントラネット上にはデキスパート専用のサポートぺージが用意してあるし、全国の各地域ごとに建設システムの担当者も決まっていて、現場から直接連絡が取れます。ここまでしてくれるベンダーは、そうはないでしょう」(尾崎氏)。
尾崎氏の言う専用のサポートぺージは、同社のリクエストに応えて建設システムがカスタマイズしたオリジナルのWebページ。操作で迷った時など、すぐにインターネット経由でアクセスして調べることができる。現場技術者にとって心強い味方なのである。
「実際の現場へのデキスパート導入は、各現場の状況に合わせて随時進めていますが、それでも6カ月経った現段階で導入本数は100本近くなりました。今後は導入現場からのフィードバックも生かしつつ、さらに支援体制を整えて、1~2年のうちに完全な現場標準システム化を図る計画です。そのためにも建設システムのさらなる協力を期待したいですね」(東條氏)。
CAD&CG 2006年3月号掲載
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